昭和学院秀英高等学校 入試対策
2025年度「昭和学院秀英高等学校の国語」
攻略のための学習方法
〇長文読解
例年、説明的文章・文学的文章の各1問ずつが出題されている。素材文の字数はおよそ計9000字。
漢字5~6問・接続詞や慣用句などの言語事項が数問、合わせて出されている。
やはり70~90字ほどある記述問題は手間がかかる。論説文・小説の両方で出題があるので、それぞれの記述のまとめ方に慣れておこう。
〇記述問題
論説文の場合、本文中の言葉・文章の他の表現への変換や詳しい説明が主になるが、各段落の要点にまとめられている場合が多いだろう。傍線部の前後・段落の最初と最後は注意すべき最重要点である。まず同じ意味段落の中で適当な箇所を探すということもセオリーであろう。
形式段落→意味段落への整理・各意味段落の要約(この際、内容を短いタイトルにしてつけてしまうとわかりやすい)・段落ごとのつながり・各段落の要旨の把握、そして全体の要約へといたる。解答の際の手間を省くためにも、上記の重要点を印・傍線で目立つようにしておくことは大変有効である。
およそ20~30字程度で一つの事柄がまとめられる場合が多いので、80字であれば3点くらいの内容を抽出してつなげれば形よくまとまるだろう。
小説の場合、心情の説明がやはり多くなる。場面・登場人物の転換があればその箇所を正確に分けておく。人物の言動や表情からその時の心情を考える。特に心情に大きな変化があった場面は要チェック。情景にも注意しながら本文で描かれているテーマを読み取る。
文学的文章の場合、文中にはっきりと説明されていないことも多い。その場合、普段から多くの小説・随筆を読み、人間のさまざまな気持ちを体験しておくことが何よりもよい勉強になるので、ぜひ読書に勤しんでいただきたい。
〇選択肢問題
本校の選択肢の問題は5択になっていて、答えを絞るのに手間はかかるが、それぞれの選択肢の内容ははっきりしており、無理に迷わせるようなものではない。本文をしっかり読み取れていれば正解を選べるはずである。
〇漢字・その他
漢字は基本的なものが5~6問程度出題される。その他、品詞やことわざ・慣用句などの言語事項も数問。高校受験用の問題集などを1冊しっかり仕上げておこう。
〇古文
単語に注釈はついているが、現代語訳などはついていないので、ほぼ大学レベルとも言える難しさである。内容は現代人にも理解しやすいものが選ばれているようなので、古典に慣れていれば読み取れるであろう。
ただし、そのためには中学校で習う量では全く足りない。高校初級~中級レベルの教材で、重要単語・基本文法を覚え、少しでも多くの古文に触れて頭を慣らしておかなければならない。配点も2割ほどと高いので、最低でも半分は正解できるくらいの力はつけておきたい。
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2025年度「昭和学院秀英高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
長文読解はおよそ論説文3500字・小説4800字で計8300字ほどであった。これに古文660字ほどが加わり、文量が多くなっている。長文記述は90字・100字で2問。ここだけで10~12分ほどは要するであろうから、最初の漢字や知識問題を素早く済ませ、なるべく多くの時間を記述問題に残したい。古文も10~12分ほどみておいて全体の時間配分を考えたい。
【大問一】漢字の読み書き
- 時間配分:2分
1 欺(く) 2 託宣 3 証左 4 排斥 5 つちか(う)
【大問二】論説文の読解
- 時間配分:19分
医療における分業の弊害を例として説明しながら、争わない社会を作るために何が必要かを考察している。
1. 千差万(別)
2. b. 総合診療科の設置は、高齢者の一つの原因に限らない「複合的」な病に対応するためと考えられる。
c. 過度な分業は「依存先が固定されて選択肢が閉じた状態」で「全体から切り離された仕事」であるから、「硬直的」なシステムであると言える。
3. 「長足」には「物事の進み方がはやいこと」という意味がある→選択肢オ。
4. エ
5. 分業に歯止めをかける力が働いているのは、「分業の歪み(五字)」を医療業界自らが問
題視していることの表れであることが、少し前で指摘されている。関係者が直感的に「分業の歪み」を察知した結果なのである。
6. ア. 「仕事の内容を自分で選べなかった場合」に傾向が強くなるので、「仕事の内容そのものには関係なく」は誤り。
7. 「仕事の方向性を決める自由は、社会的・経済的に恵まれた人にしか認められないのだろうか」という問いに対して、「雑用係とされているポーターが患者への共感力や判断に必要な経験値を通して、医師や看護婦とは異なる、業務内容には書かれていない有意義な役割を果たしている」という研究結果を挙げて、「だれでも自分で仕事の方向性を決める自由があるのだということ」を筆者は主張しているのである。
8. 「争わない社会を作るには、社会の構成員がシステムの一部としての役割を果たしながら、なおかつ自分なりの仕事の意義と目的を設定できる環境を整えなくてはならない」という目標についてポーターという業種に関する研究を取り上げ、彼らには「他者への想像力がある」と述べている。その「想像力」こそが「争いの兆候を放置させない重要な要素」となるのだと、筆者は考えているのである。
〔ワンポイント!――論理的な文章の読解であるから、文の論理的なつながりを読み取る力が必要である。そこから解答がどこにあるかを見つけ出し、記述問題であれば条件にしたがってまとめることになる。筆者の論理の流れを辿れるよう、論理的な文章を多く読んで正確に読み取る練習をしよう。〕
【大問三】小説の読解
- 時間配分:19分
修業すれば魔法を会得できるという山奥の寺を訪れたタナカとフルタ。単調な作業の繰り返しに耐え切れず山を下りたフルタからの差し入れで、タナカはある真理に気づかされる。
1. A. オ B. ウ
2. 正念(場)
3. 魔術は何ができるとかできないとかではなく、およそ「あらゆる不可能を可能に転じることができる(二十字)」ものだと、噂ではささやかれていた。
4. フルタは鳥を探すならなにも魔法に頼らなくてもいいのではないかと思ったが、2年間見つからないと聞いて心無いことを言ったと思った。タナカはあらためて逃げた鳥のことが思い出され、悲しくなった。
5. フルタがいなくなってから調子が上がらなくなったことが述べられている直後の空欄イに戻すのがよい。
6. イ
7. その日見た夢に大きな原因がありそうである。ともに修行で辛苦を共にし、心が通じ合うようになったフルタが殺し屋から足を洗いドーナツ屋を初めて、ドーナツ差し入れしてくれたが、食べる前に目が覚めてしまった。現実に戻ったタナカに、もう虚しい豆拾いを一人で続ける気力はなくなってしまったのであろう。
8. ア・カ
〔ワンポイント!――ファンタジー小説では現実では起こらない出来事が描かれるが、少なからず現実のメタファー(隠喩)が含まれており、人物の気持ちや行動は現実の社会を反映している。想像力を働かせて、何を伝えようとしているのかを現実に当てはめて読み取ろう。〕
【大問四】古文の鑑賞
- 時間配分:10分
《あらすじ》梅の鉢植えを多く育てている山中平吉という人がいた。ある年、平吉は大病を患い、病状も悪化して苦しんでいたときに、夢にひとりの子供が現れて、「私は数年深い恩恵を受けて養っていただいた者です。あなたが病気の定めで死に近いといっても、恩恵を思ってあなたの寿命を私が代ろうと思います。今の医者の薬は良くありません。篠山吉之助に頼んで医師を招いて薬を飲めば治るでしょう」と語ったところで目が覚めた。手紙を書いていたところに吉之助が来たと伝えがあり、吉之助も「夢で誰かわからないがあなたの病気のことで相談しますといったと思い目が覚めたので、訪ねてきたのです」といって、互いに驚き合った。篠山家に出入りの医者を寄越して薬を飲むと、不思議なことに病気がだんだん良くなるにつれて、たくさんある梅の中で特別に大事にしていた鉢植えの梅がだんだんと調子が悪くなりついに枯れてしまったということである。
1. ようよう
2. A. 「なやむ」は病気で苦しむという意味。「し」は過去の助動詞「き」の連体形。
B. 「おどろく」は目が覚めるの意。「ぬる」は過去の助動詞「ぬ」の連体形。
3. 平吉は不思議なことだと思ったが、夢で言われたとおりに吉之助に手紙を書いていたところ……。
4. 特別に大事にしていた鉢植えの梅(「わけて寵愛なしける鉢植の梅」)が大切にしてもらった恩返しに子供の姿で夢に出てきて、病気で短い余命の肩代わりをしてくれたという話である。
5. エ
6. ウ
〔ワンポイント!――「おどろく」や「なやむ」など、現代語と意味が異なって使われる言葉は特によく覚えておこう。妖怪や心霊にまつわる話も多く、ファンタジーやSFと思って読んだ方がよい話もあるので、多くの古文にふれて慣れておこう。〕
攻略ポイント
記述問題で配点の2割を占めている。同じくらいの字数で日本語に破綻がないようにうまくまとめる練習を積んでおくこと。2019年度から選択肢は5択にもどったが、いたずらに答えを迷わせるような意地悪なものではないので、読解力をつけて臆せず自分が正解と思うものを選べばよい。古文も中学生向けに素材文のレベルを下げてくれるわけではないので、高校生中級くらいを目指す気持ちで高校用の教材で勉強しておくのがよい。問題文も含めて字数は多いので、常にスピードを意識して学習すること。