桐朋高等学校 入試対策
2025年度「桐朋高等学校の英語」
攻略のための学習方法
確実に合格を手にするための学習ポイントを何点かにわたり、以下に述べてみたい。
① 単語力をしっかり蓄える
難関校合格に求められる最低でも3500単語。具体的には、英検準2級以上のレベルである。特に、一つの単語で多様な意味を有する単語は要注意。例えば、figureという名詞には「人形、人物、数字、(数字の)桁、図柄、形」などの意味がある(同様な単語は他にもたくさん存在)ことなどをしっかり把握しておくこと。そうしないと、英文を正しく読むことができなくなる。また、英単語の根本的な意味を把握しておくこと。例えば、natureという単語がある。大半の受験生の皆さんは「自然」と訳するだろう。もちろん、「自然」という訳をあてはめて適切である場合もあるかもしれない。しかし、難関校の英文をその内容までしっかり押さえるためには英単語の持つ“根本的な意味(根っこの意味)”を 押さえておくことである。
そこで、natureの根っこの意味とは何であろう。考えてみると「自然」とは、人間の手が入っていない状態のことであり、まさに「自然な状態」のことである。何も手を入れていない状態という意味から、natureには手を入れていないもともとの状態という意味から「本質、性質、本来、元来」などの意味を含むのである。さらにその形容詞形であるnaturalには「本質的な、本来の」という意味がある。
つまり、「今ある状態をさかのぼった起源的な状態」のことを指すのであり、平易な言葉でいえば「もともとの」という意味になるのであり、他の単語で考えると‘original’という単語とほぼ同じ意味となる。
このように、単語の本質的な意味を折に触れて理解し、自身の知識として蓄えていくためには、「英英辞典」を使うと効果的であろう。ぜひ挑戦して欲しい。
また、受験生の多くが英語長文に苦労する。その原因として考えられる主たるものは、「文法事項」の基礎的知識が不足していること、又はその知識が十分あったとしてもそれを実際の問題にあてはめる(=アウトプット)実戦力が足りないことが考えられる。そこで、受験生が戸惑い、かつ入試長文に頻出される文法事項の中の一つである「分詞構文」について、一緒に確認してみたい。
② 分詞構文を十分に理解すること
分詞が動詞と接続詞の両方の働きを持ち、その分詞の導く句が副詞句として用いられる場合、分詞構文という。具体的には、文頭に~ingがあり、それが動名詞として主語の働きをしていない場合には、分詞構文と考えるのである。分詞構文の代表的用法としては、ⅰ)時(~のとき)、ⅱ)譲歩(~だけれども)、ⅲ)理由(~なので)、ⅳ)様態(~のように)、条件・場合(~の場合は)などがある。
例えば、ⅰ)について以下のような分詞構文の仕組みについて理解を深めよう。
Seeing me, the dog wagged its tail.(私を見ると(=見たとき)、その犬はしっぽを振った)
という英文を考えてみると、文の前半(条件節又は従属節という)は、接続詞が省略され、主語も後半(帰結節又は主節という)の主語と同じなので省略される、というルールに従って書かれた英文である。したがって、省略された部分を補って考えると以下のようなオリジナルな英文であることを理解して欲しい。
When the dog saw me, it(=the dog)wagged its tail.
この英文が分詞構文を用いて表現すると上記のような英文になるのである。また、-ed(過去分詞)で始まる動詞で始まる分詞構文もあるので注意すること。その場合には、従属節(条件節)が受動態の場合であることも必須知識である。
さらに、条件節と帰結節の主語が異なる場合も、機械的に条件節の主語を省略させるわけにはいかない。その場合には、従属節の中の主語は省略させずに残した状態(S1+~ing+~,S2+V+~)で表現するのである。これを「独立分詞構文」という。
以上、分詞構文について概観したが、興味のある受験生は高校生用の文法書で『分詞構文』の項を熟読し、実際の長文に取り組んで欲しい。
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2025年度「桐朋高等学校の英語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問1は、リスニングテスト問題<10分>。
大問2は、長文総合読解問題(説明文)<19分>。
大問3は、長文総合読解問題(説明文)<15分>。
大問4は、自由英作問題<6分>。与えられた日本文を英文に直す完全自由英作問題が2題である。
【大問2】説明文に関する総合長文読解問題
- 時間配分:19分
(問1)適語選択問題<2分>。
1-a 本問の直後に、waiting for a good wave to rideとある。「サーフボートに座っていた」としたい。さらに、直前がwas となっているので進行形の形にする。
1-b pull him into the waterとあるので、tryが適切であるが時制が過去であるので過去形にする。
1-c pull him into the waterという状況の中で、イルカが現れたのである。
1-d 直後に、almost diedとあるので本問は「大量の血を失った」としたい。
(問2)適語補充問題<1分>。
本文の文脈は、「サメから人間の命をイルカが救った」のであり、The sharks swam awayしたのである。
(問3)整序問題<2分>。
本問下線部の段落最後の文に、The whales immediately followed the dolphin as it led them to deep waterとあり、イルカはクジラも救っていることが分かる。したがって、「イルカが救うのは唯一人間だけではない」とする。
(問4)文章並び変え問題<2分>。
それぞれの選択しないの指示語、代名詞が何を指しているのかを考えながら適切に選択肢の英文を並び変える。
(問5)適語補充問題<3分>。
thisは指示語であるため、その内容は直前にある。内容的にはHow do dolphins know when a human or animal is in danger ? である。
(問6)英文和訳問題<3分>。
本文の冒頭のhaving…は主語であり動名詞句であり、動詞はmeansである。
(問7)内容真偽問題<2分>。
D 「Todd Endrisは殺されかけた僅か6週間後に、サーフィンを再開したのである」が本文内容に一致する。
(問8)英作文問題<4分>。
知能が高いと言われるイルカ以外の動物について、理由を2つ述べて40語程度の英文を作る問題である。どのような動物が想定できるかといえば、イヌやサルが考えられるであろう。
【出題傾向】
本問は、イルカの知能と脳の構造に関する科学的な内容を扱いながら、人間に救助や助けを提供した物語的なエピソードを交えることで、受験生の読解力と多角的な情報処理能力を試しています。
①科学・生物(イルカの知能、脳の構造)、社会・環境(動物との共存、救助活動)など、幅広いテーマから出題されます。専門的な単語も出ますが、文脈で理解できるものがほとんどである。
②文脈理解、内容一致、語彙・文法、パラグラフの要旨、和訳、英作文(記述)など、多岐にわたる。特に[記述問題](下線部(5)の説明や問8)の配点が高いと考えられる。
③問1(1a)~(1d)のように、文脈に合う動詞や適切な品詞を選ぶ問題が多い。同じ単語を複数回使用できない制約が、語彙力と判断力を試されている。
④問3や問4のように、長いフレーズや文を正しい文法構造で並べ替える問題が出題されている。特に関係代名詞や倒置、慣用句を含むパターンに注意が必要。
⑤問8のように、本文の内容を踏まえて自分の言葉で簡潔にまとめる記述問題(40語程度)は、得点差がつく重要なポイントである。
※以下の類問題に挑戦しよう。(制限時間:7分)
問 次の英文を読んで以下の問いに答えよ。
While scientists have long recognized that dolphins are highly intelligent, recent studies focusing on their unique abilities continue to surprise researchers. One such finding concerns their sonar. Dolphins use echolocation not only to locate objects, but also to “see” inside them. They can scan a human body to detect a hidden fish, or even see the structure of bones. This ability is far beyond what scientists previously imagined. In addition, dolphins exhibit self-awareness, recognizing themselves in mirrors—a trait shared only by a few animals, including great apes and elephants. This capacity for self-recognition suggests a high level of cognitive function. Many researchers believe that dolphins also possess a form of complex, non-verbal language, communicating sophisticated ideas through clicks and whistles that vary in frequency and pattern.
問1. 本文によると、イルカのソナー(エコーロケーション)は、物を特定する以外にどのような能力を持っているか、本文中の語句を用いて日本語で説明しなさい。(30以内)
問2. 以下の記述のうち、本文の内容と一致しないものを一つ選びなさい。
a) イルカは、チンパンジーやゾウと同じく、鏡の中の自分を認識する能力を持つ。
b) 科学者たちは、イルカのソナー能力が想像以上に高度であることを最近の研究で発見した。
c) イルカは、複雑な非言語コミュニケーションを用いて、高度な思考を伝達している可能性がある。
d) イルカは、骨の構造を見る能力を、魚を探す場合にのみ使用している。
問3.本文の情報を基に、「なぜイルカは高い知能を持つと言えるのか」という問いに対し、45語程度の英語で答えなさい。
《日本語試訳》
科学者たちはイルカが非常に高い知能を持っていることを長年認めてきましたが、彼らの特異な能力に焦点を当てた最近の研究は、研究者たちを驚かせ続けています。そうした発見の一つが、イルカのソナー(水中音波探知機)に関するものです。イルカはエコーロケーション(反響定位)を、単に物体を探知するためだけでなく、物体の**「内部を見る」ためにも使います。彼らは人間の体をスキャンして隠された魚を見つけたり、さらには骨の構造**を見たりすることさえできます。この能力は、科学者たちがこれまでに想像していたものをはるかに超えています。さらに、イルカは自己認識を示し、鏡に映った自分を認識します。これは、大型類人猿やゾウを含むごく一部の動物だけが持つ特性です。この自己認識能力は、高いレベルの認知機能を示唆しています。
《解答・解説》
問1.人の体をスキャンして隠された魚を探したり、骨の構造を見たりできる。
(解説)“scan a human body to detect a hidden fish, or even see the structure of bones” の内容をまとめる。
問2.d)
(解説)本文では “not only to locate objects, but also to ‘see’ inside them” や “detect a hidden fish, or even see the structure of bones” とあり、魚を探す場合にのみ使用するという限定はされていない。
問3.Dolphins are intelligent because they can use echolocation to see inside objects, such as bones or a human body. Also, they have self-awareness by recognizing themselves in mirrors. This suggests complex thinking.
(解説)ソナー能力と自己認識能力の二点を必ず含めること。
【大問3】説明文に関する総合読解問題
- 時間配分:15分
(問1)文脈把握問題<3分>。
本問下線部直後に、…most people laughed at very ordinary comments or questionsとある。
(問2)内容把握問題<3分>。
本問下線部以降に書かれている内容のうち、「男女の差以外」に言及している内容をまとめる。
(問3)下線部訳問題<3分>。
下線部冒頭のwhoは主格の関係代名詞である。be likely to ~は「~しがちである」または「~する可能性がある」という意味のイディオムである。高校入試においては頻出のイディオムであるので、しっかり覚えよう。
(問4)適語選択問題<2分>。
後ろの文にEven the best jokes rarely made participants laugh if they were aloneとあり、pairs or groupsでいるときの方がよく笑う、とある。
(問5)適文選択問題<2分>。
直後の文に、This kind of laughter can be especially unkind …とあるので、この文脈で内容を吟味する。
(問6)適語選択問題<2分>。
直前に、…relationships between people とあるので「笑い」はsocialなものなのである。
【出題傾向】
本問は、「笑い (Laughter)」の機能、特に社会的役割に焦点を当てた心理学・社会科学系のエッセイである。
①心理学、行動科学、コミュニケーションなど、人間の行動や社会性をテーマにした論説文が頻出される。本文の論理展開を正確に追う読解力が求められている。
②文脈を考慮した語句の挿入 (空所補充)、理由説明(和訳・記述)、内容一致/不一致、文法・語法(特に比較表現や慣用句)が中心です。
③文法的なつながり(例:動名詞、不定詞)や、文脈上意味が合う最も適切な語句を選択させる。
④笑いが持つネガティブな用途(例:いじめ)といった、テーマに対する多角的な視点の表現を理解しているかが問われている。
※以下の類似問題に挑戦しよう。(制限時間:7分)
問 以下の文章を読み、後の問いに答えなさい。
The primary function of human laughter, according to most social scientists, is not humor but rather social bonding. It serves as a kind of social glue, reinforcing connections between individuals. Research shows that laughter is contagious; when one person starts laughing, others in the group are highly likely to join in. This is why groups that laugh together often develop stronger ties and feel closer to each other. Furthermore, in conversations, the speaker tends to laugh much more frequently than the listener. This suggests that the speaker is not just amused by their own words, but is using laughter to invite approval or participation from the audience. Laughter, therefore, acts as a signal of willingness to interact, creating a comfortable environment for communication.
問1.本文によると、ほとんどの社会学者は笑いの第一の機能は何だと考えていますか。適切な語句を英語で抜き出しなさい。
問2.なぜ、会話において話し手は聞き手よりも頻繁に笑う傾向にあると述べられていますか。その理由を日本語で説明しなさい。(50字以内)
問1. 下線部「This is why groups that laugh together often develop stronger ties」を、文法的に正しい英語で「~する集団は、より強い結びつきを発展させないだろう」という意味の文に書き換えなさい。
《日本語試訳》
ほとんどの社会学者によると、人間の笑いの主要な機能は、ユーモアではなく、むしろ社会的な絆です。笑いは一種の社会的な接着剤として機能し、個人間のつながりを強固にします。研究によると、笑いは伝染性があり、一人が笑い始めると、グループ内の他の人も非常につられやすいことが示されています。これが、一緒に笑う集団がしばしばより強い結びつきを発展させ、互いに親密さを感じる理由です。さらに、会話においては、聞き手よりも話し手の方がはるかに頻繁に笑う傾向があります。これは、話し手が自分の言葉にただ面白がっているだけでなく、笑いを使って聴衆からの賛同や参加を促していることを示唆しています。したがって、笑いは交流したいという意欲のシグナルとして働き、コミュニケーションにとって快適な環境を作り出しているのです。
《解答・解説》
問1.social bonding
(解説)最初の文(主題となる文)に記載されている。
問2.聞き手からの同意や参加を促すためのサインとして笑いを利用しているから。
(解説)“using laughter to invite approval or participation from the audience.” の内容を要約する。
問3.Groups that do not laugh together would not often develop stronger ties.
(解説)「~しないだろう」という否定形にするため、”do not laugh” と “would not develop” を使用し、文脈を保つことがポイント。
【大問4】自由英作文
- 時間配分:6分
(1)「全く見当がつかないよ」は「全く分からない」と読み替えて、I have no ideaとする。「どうやったら(彼が)そんなに速く走れるか」はhow he can run so fastである。
(2)「鼻が高い」は「誇りに思う」と読み替え、his parents are proud of himとする。
※以下の類題に挑戦しよう。
問 次の下線部を英語に直しなさい。
A:最近、彼女に全く連絡がとれないんだ。 (1) 何かあったんじゃないかと心配だよ。
B:心配しすぎだよ。きっと忙しいだけさ。 (2) 彼女はいつも物事を後回しにする傾向があるからね。
《解答》
(1)I am worried that something might have happened to her.
(2)She tends to put things off all the time.
攻略ポイント
英語力のレベルとしては、高校1年生レベルを超えている。単語力も英検準2級はクリアにしてもらいたい。その上で、熟語(イディオム)も英検準2級レベルのものは確実に覚えてもらいたい。文法事項として、不定詞、関係代名詞、比較、分詞、仮定法、分詞(現在分詞・過去分詞)の形容詞的用法などの内容については、高校初級レベルの知識は確実にしておきたい。さらに、長文読解力であるが、400~500単語の長文総合問題(解答時間:15分を目標)を、3日で2題の割合で取り組んで欲しい。