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筑波大学附属駒場高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2018年度「筑波大学附属駒場高等学校の国語」
攻略のための学習方法

記述

「筑駒の記述対策」は「問題解説」のとおりだが、その前提としてなすべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。

最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。

では、何を「書く」か? 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。60~90字程度で書いてみる(筑駒の典型的な「解答欄」の「字数」に慣れる練習にもなる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一挙両得。

次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。

「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。
ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく(その際はマス目のない用紙を用いること)。

解法

前述のとおり、「記述」やそれ以外の問題も含めて「筑駒の国語」で勝利するための鍵は、「現代文」の「解法」をいかにうまく用いるかということだ。
「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」(随筆)、それぞれに応じた特有の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。

そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。
「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。
そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。

さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。
そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

速読

合計で3000字程度を読解しなくてはならない。解答時間は45分。

当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。

「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。

その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。筑駒に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。
そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。

知識

「高度な語彙力」だけではなく、「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる「筑駒の国語」(直接出題だけではなく、「本文読解」等でも必然的に問われる)。「攻略」するにはいかなる「学習法」があるのか?
「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。

先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。
過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。

さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。
特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。

なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・文法630」(「文法」含む)や「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字」(共に旺文社)などが推薦できる。
また、残念ながら「中学入試レベル」からスタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。

古典

「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」「漢文」は必修カリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶこともない。
しかし、筑駒ではそんなことはお構いなく出題されることになる。前述のとおり塾での学習でも不十分なので、「独習」をする他ない。

「古文単語」では「大学入試基礎レベル」(300語程度)を定着させ、「文語文法」は「動詞」「形容詞・形容動詞」は当然として、「助動詞」「助詞」の「意味・用法・接続」、さらに「敬語」までも理解しておく必要がある。

そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。
なお、「古文」強化用のテキストとしては、「高校用」の「ステップアップノート30——古典文法基礎ドリル」(河合出版)や、「古文単語」定着用として「重要古文単語315」(桐原書店)などが推薦できる。

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2018年度「筑波大学附属駒場高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「論説文」、出典は千野帽子「人はなぜ物語を求めるのか」所収の「どこまでも、わけが知りたい」(文字数約1700字)。
小問は全5問(解答数12)。「選択肢」(語句の空所補充)、「説明記述」(「字数指定なし」3問)、「漢字の書きとり」(5問)。問題文は2分ほどで読み切り、設問を16~17分で解きたい。

大問は「小説」、出典は佐藤春夫「オカアサン」(文字数約3400字)。
小問は全4問(解答数4)。全て「説明記述」(「字数指定なし」4問)。問題文は4分半ほどで読み切り、設問を15分弱で解きたい。

大問は「古文」、出典は編者未詳「今昔物語集」(文字数約300字)。
小問は全3問(解答数4)。「仮名遣い」、「説明記述」(「字数指定なし」2問、「条件付き」あり)。6~7分で解きたい。

【大問一】論説文

  • 時間配分:

人は人生に起こるさまざまなことに意味づけし、「物語」として認識することなしには生きられないが、それはどうしてなのか?――思考の枠組みのひとつである「物語」とは何か? 私たちが救われたり、苦しめられたりする「物語」の仕組みを解き明かしている。

本文では、「どこまでも、わけが知りたい」と思う私たちの思考回路を、「帰納」と「演繹」という観点から論じている。「哲学論」で難解な語句もあり、内容を正しく把握することは至難の業だ。そして、「説明記述」もなかなか手強い。以下、いくつかを検証する。

[問一] 「理由説明記述」  (「字数指定」なし。「60字ほど」の解答欄)。

傍線部「『自分はいつもうまくいかない』というのは、端的に『間違い』なのです」について、「なぜそのように言えるのか」を説明する。「傍線部(空所部)一文一部の法則」(「傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部(空所部)以外が重要」という「重要解法」)で「手がかり」を確認したいが、傍線部は「一文全て」なので無理だ。

そこで、「同一意味段落」を確認する(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)。ここでの「同一意味段落」は本文冒頭から傍線部までだと分かる。読み解いていくと、2~3段落目から、「自分はいつもうまくいかない」と「決めつけてしまう」という「態度は不本意な側面だけに焦点を当てて」いる「過度の一般化」であって、「認知の歪みのひとつ」とある。「認知の歪み」であれば「間違い」のはずなので、これが答えるべき「理由」だと判断できる。

あとは、「内容」を調えて「過不足なく」まとめていきたい。たとえば、「『自分はいつもうまくいかない』と決めつける態度は不本意な側面だけに焦点を当てる過度の一般化で、『認知の歪み』のひとつだから。」といった「答え」になる。「解法」を的確に用いて論理的に考えていくこと。

<時間配分目安:2分半>

[問二] 「内容説明記述」(「字数指定」なし。「60字ほど」の解答欄)。

傍線部「人間はあやふやながらも、どうにかやってきました」について、「どのような点が『あやふや』なのか」を説明する。先ずは、「傍線部(空所部)一文一部の法則」を確認したい。直前に「個人は世界や歴史の全体を体験できませんが、自分が知っている知識は他の時間・空間にも応用できる、と思うことで」とある。

つまり、「自分が知っている知識は他の時間・空間にも応用できる」かが「あやふや」だということになる。また、前文では「帰納法の問題とは要するに自然の斉一性を信じることに根拠があるのかという問題」だと述べられている。そして、「帰納法」とは「個別の事例をもとに、もっと広範囲の現象にあてはまる傾向や法則を導き出すこと」(2文前で説明されている)なので、「自分が知っている知識を他の時間・空間にも応用できると思うこと」には「根拠」がないということになる。そこが「あやふや」なのだ。

こうした内容を的確にまとめていけばいい。たとえば、「個人は世界や歴史の全体を体験できず、自分が知っている知識を他の時間・空間にも応用できると思うことには根拠がないという点。」といった「答え」だ。「説明記述」では、「最重要要素」を必ず「文末」とせよ。そうでないと「不正解」となってしまうと心得よ。

<時間配分目安:3分>

[問三] 「語句の空所補充選択肢」(全4問/4択)。

本文中の空所、    A    ~     D    に「あてはまる語」を答える。空所前後を確認してみる。「……人は、これまで(太陽が)二四時間間隔で昇ってきた(個別例の集合)から、毎日そうなんだろう(一般論)としていったん   A    したものを、だから明日もそうなんだろう(新たな個別例)と     B    しているだけ……。なんだか、知り合った     C    の大阪人がたまたまふたり続けて『せっかちで納豆嫌い』だったせいで『大阪人(     D    )はせっかちで納豆嫌い』という     D    論を導き出してしまう……」となっている。

そして、各選択肢は、(ア)「個別」、(イ)「一般」、(ウ)「帰納」、(エ)「演繹」。これだけでは何のこっちゃなので、「同一意味段落」を読み解いていく。すると、前の部分で「個別の事例をもとに広範囲の現象にあてはまる傾向や法則を導き出すことを帰納と言い、逆に、一般論を個物に適用することを演繹と言う」と説明されており、空所部はその「具体例」だということが分かる。

であれば、「答え」は明白だ。

    A    = (ウ)「帰納」、      B    = (エ)「演繹」、      C    = (ア)「個別」、      D    = (イ)「一般」だと判断できるはずだ。

一見判別不能だとしても、「解法」に則して読み取ることで道は開けると心得よ。

<時間配分目安:4問で2分半>

[問五] 「漢字の書きとり」(全5問)。

難解だった昨年度と比較して、本年度は例年並みの難易度だ。「答え」を確認したい。
(a)「次回までにそこをカイゼンしてみる」=「改善」⇒何の問題もないはず、
(b)「どうしようもないことであればそこについてはダンネンする」=「断念」⇒「ひらがな」ばかりで「文脈」が読み取りづらいので要注意、
(c)「法則を別の個物にテキヨウする」=「適用」⇒誰もがクリアできる、
(d)「太陽が毎日昇るホショウはない」=「保証」⇒「同音異義語」に注意(「保障」「補償」と混同せぬこと)、
(e)「世論ソウサ」=「操作」⇒やや紛らわしいか(無論「捜査」ではない)。

本校志望者は一気呵成に「全問正解」することが求められる。

<時間配分目安:1分>

【大問二】小説

  • 時間配分:

ほのぼのとした和製ミステリーといった趣の短編。「ロオラ」と名付けられた鸚鵡(オウム)を買ってきた「わたし」は、その鳴き声から深い悲しみが隠された元の飼い主の家庭を思い描いていく――。鸚鵡の鳴き声からさまざまな推理をめぐらせていくという設定はとても興味深いが、全て「説明記述」の設問は決して一筋縄ではいかない。以下、2問だけを考察してみる。

[問一] 「理由説明記述」(「字数指定」なし。「60字ほど」の解答欄)。

傍線部「私の妻はまたロオラの片言交じりの言葉を、よく聞きわけたり、解釈したりすることを努力しているのでした」について、「私の妻」は「なぜそのような『努力』をしているのか」を説明する。

「同一場面」を確認する(「小説」「随筆」では「同一場面の直前直後」に「根拠・手がかり・ヒント」がある)。直後に「ロオラが同じ『オカアサン』を言う時にも、甘ったれるようなのや、少し不きげんなのや、……、様々な発音があると彼女(妻)はいうのです。子供の泣き真似や、また出任せの歌などがひどく彼女を喜ばせました」とある。

また、その後では「わたしの妻には子供がなかったのです。時々それをさびしがるようなことを言うことがあります」「ロオラのきれぎれな言葉は……、妻には子供たちの生活を思わせたのです」と説明されている。

もう分かったはずだ。「妻」は「子供のいないさびしさ」を、「ロオラ」の鳴き声からさまざまな空想をすることで紛らわしたかったのだ。あとは、「過不足なく」まとめていけばいい。たとえば、「ロオラのきれぎれな言葉を、自分の子供の言葉のように聞きわけ、解釈することで、子供のいないさびしさを紛らわしたかったから。」といった「答え」になる。「小説」では直前直後の文脈を的確に読み解くことが求められる。

<時間配分目安:2分半>

[問三] 「条件付き理由説明記述」(「字数指定」なし。「60字ほど」の解答欄)。

傍線部「別のロオラになりつつあるのです」について、「ロオラ」は「なぜ、どのような鳥になるというのか」を説明する。本問は要注意だ。単なる「理由説明」ではなく、「どのような鳥になりつつあるのか」も説明する必要がある。その点を意識しながら、先ずは、「傍線部(空所部)一文一部の法則」を確認する。直前に「しかもそのロオラは、わたしのところで今は」とある。「しかも」という接続詞があるので、さらに前文をチェックする。「その子の声に生きうつしのロオラに逢いたいと思いはしないだろうか」となっている。

「指示語」があるので開く(「指示語」が出たら即開くのが鉄則)。「その子」=「わたしが想像する元の飼い主である夫人の、亡くなった愛児(まなこ)」だと分かる。そして、その前の部分では、「わたしたちの家庭になついた頃には、わたしの家には子供がいないのだから、ロオラは子供(元の飼い主の、亡くなった愛児)の真似を忘れてしまい」と説明されている。

これで、記述すべき要素は出そろった。あとは的確にまとめていきたい。たとえば、「『わたし』の家には子供がいないので、なついたロオラは元の飼い主の亡くなった愛児の声を真似できないような鳥になるということ。」といった「答え」になる。当然ながら、「設問条件」は絶対に無視しないこと。

<時間配分目安:3分>

【大問三】古文

  • 時間配分:

平安時代後期の日本最大の説話集。全31巻で1040話を収録。「天竺(インド)」「震旦(中国)」「本朝仏法」「本朝世俗」の4部に分けられ、内容によって整然と分類配列されている。

内容的には、きわめて行動的な人間を漢文脈の強い文体で活写しており、短編小説としてもすぐれた特質を備えている。本文は巻十九ノ四十の「検非違使忠明」。例年同様に、「内容解釈」と「仮名遣い」という設問構成だ。2問を検討してみよう。

[問一] 「仮名遣いの変換記述」。

波線部(a)「やうやく」(b)「ゆゑなり」について、「歴史的仮名遣い」を「現代仮名遣い」に直して答える。誰もが知っていなくてはいけない「歴史的仮名遣い」の基本。

(a)は「母音」と「母音」が直接つながった場合の変換、(b)は「仮名表記」の問題だ。

「やうやく」「やう」は「yau」で、「母音」部分が「a・u」となっているので、「a・u」→「ou」→「o(∧)」⇒「yo(∧)」、よって、「答え」は「ようやく」となる。尚、「母音が直接つながった場合」では他に、「i・u」→「yu(∧)」、「e・u」→「yo(∧)」がある。

「ゆゑなり」「ゑ」は五十音図「ワ行の第4の仮名」。現在は、「ア行」の「え」と発音上の区別がなく、「現代仮名遣い」では用いられないが、「歴史的仮名遣い」では「え」と区別している。したがって、「答え」は「ゆえなり」。尚、「語頭」以外の「は・ひ・ふ・へ・ほ」⇒「わ・い・う・え・お」となるのも頻出だ。
「歴史的仮名遣い」については、本校に限らず「古文」の「基本的常識」なので、必ず定着させておくこと。

<時間配分目安:30秒>

[問二] 「内容説明記述」(「字数指定」なし。「60字ほど」の解答欄)。

傍線部の「京童部(きやうわらはべ)は谷を見下ろしてあさましがりてなむ立ち並(な)みて見ける」は、「京童部は谷を見下ろし、驚きあきれた様子で立ち並んで見ていた」という意味だが、「どのようなことに対して『驚きあきれた』のか」を説明する。「京童部」は何を見ていたのか? 

傍線部の前文から読み解いていく。「京童部」といさかいを起こした検非違使の「忠明」が逃げ場を失った後、「蔀(しとみ)」(=格子を取り付けた板戸)を「脇に挟みて、前の谷に踊り落つるに、蔀のもとに風しぶかれて、谷底に鳥のゐるやうにやうやく落ち入りにければ、そこより逃げて去(い)にけり」と説明されている。

「しぶかれ」=四段活用動詞「しぶく(渋く)」(=滞る、詰まる)の未然形+「受身」の助動詞「る」の連用形、「ゐる」=上一段活用動詞「ゐる」(=座る、じっとしている、留まっている)の連体形、「やうやく(=やうやう)」=副詞(=次第に、そろそろと、やっとのことで)。
これらを踏まえて現代語訳する。

「(蔀を)脇にはさんで、前の谷へ飛びおりたところ、蔀の下に風が押しとどめられて、谷底に鳥が留まるように、そろそろと落ちていったので、そこから逃げ去ったという」となる。よって、たとえば、「逃げ場を失った忠明が蔀を脇にはさんで谷へ飛びおりると、蔀が風にあおられて鳥のようにそろそろと落ちていき、逃げ去ったこと。」といった「答え」になる。「古文」であっても、「現代語訳」をした後は、「現代文」と同じように「文脈」を読み解いていくことが重要だ。

<時間配分目安:2分半>

攻略のポイント

●「説明記述」を制さずして「筑駒の門」は開かない。
いかに過不足なく「必要要素」を網羅してまとめられるか? 結局は、愚直に「記述」の「練習」を続けるのみだ。
先ずは、正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくという手法を完璧にマスターすること。
そして、「内容」から重要度を特定し、優先度の高いものから積み上げる。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習する。

本校では「50~100字程度」の「解答欄」が多いので、2~5つ程度の「要素」でまとめることに慣れること。尚、昨年度は出題されなかった「自由考察記述」が本年度、復活した(2016年度以来)。来年度以降も要注意だ。

本校の「合格ライン」は6割超(過去6年間平均の「合格者最低得点率」は61.7%だが、本年度は一気に上昇して69.5%。気を引き締める必要がある)。配点比率の大きい「説明記述」での「失点」は防ぎ、「減点」も最小限にしたい。

●「説明記述」以外の「設問」にはどう「対処」するか?
「選択肢」「抜き出し」が主だが、高度な「読解力」が求められる。「設問内容」や「条件」を的確に捉え、それぞれに応じた「解法」を適切に用いることが最優先だ。そのためにも、基本的「解法」は完全に習得したい。

●「古文」の「攻略法」は?
勿論、「中学レベル」の学習ではとても追いつかない。一般的な「私立高校」向け対応をする塾などの「範囲」をも超越する。要は、中堅クラスの「大学入試」に対応できなくてはならない。「語彙」や「文法」、「古典常識」まで幅広い「知識」が求められる。昨年度の出典が「宇治拾遺物語」で、本年度は「今昔物語集」。本校志望者は「説話集」に広く触れておく必要がある。

●試験時間は45分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は4000字ほどで少ないのだが(本年度は増加して約5400字)、「説明記述」での時間を考慮すると、やはり、速く正確に読み取ることが求められる。分速700字以上を目標に「読む練習」を常にしたい

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