中学受験プロ家庭教師 弱点克服・志望校入試傾向対策
中学受験専門プロ家庭教師が語る

鎌倉女学院中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2017年度「鎌倉女学院中学校の国語」
攻略のための学習方法

知識

「鎌女の国語」で当然押さえておかなくてはならない「攻略ポイント」のひとつが、「総合的知識問題」。さて、どう対処するか? 当然、一朝一夕には身につかないので、地道な努力が必要となる。

先ずは「語彙力」。日々の積み重ねあるのみ。
塾での「小テスト」等を確実にこなし、もし間違ったものがあれば、必ず書き出して覚える。「漢字の読み書き」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」や「敬語」「分かりづらい言葉の意味」等、さらには、「オノマトペ」といった「基礎の基礎」までも押さえておきたい(実際に出題されている)。

また、過去問や演習問題を実施する際、問題文中の語彙で「読み・書き・意味」のいずれかがあいまいなものがあったら、書き出し自分なりの「語彙ノート」を作成しておくといい。そこには自分が分からない言葉が蓄積されていくので、折に触れ確認し定着させていく。入試当日に持っていけば、「お守り」にもなる。

これらの「語彙」は様々な形式で出題されるし、「記述」の際にも重要だ。一定の字数の中でいかに的確な「言葉」を用いるかが勝負となるからだ。最終段階では、問題集等で何度も確認しておくこと。

そして、「文法」。塾でも学習しているはずだが、定着していない受験生が多い。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。

なお、「語彙力」「文法力」強化用テキストとしては、「言葉力1200」「言葉力ドリル」(共に学研)「でる順過去問 ことわざ・語句・文法」(旺文社)等がオススメ。

速読

大学入試にも匹敵する分量の問題文を読まなくてはならない。全体で7000字程度。解答時間は45分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから通常の「速読術」を使うわけにはいかない。
やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。

「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているのでしっかりと読み、「本論」は「段落相互関係」に注目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。

「小説」「随筆」は「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。これらのコツは塾でも教えてくれるはず。教えてくれなければ、自分から聞いてみるといった積極性がほしい。

その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。鎌女に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速650字以上(できれば700字近く)で「速読」できるようにしたい

解法

鎌女の多種多様な「問題」に勝利するための基本は、前述したとおり「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。

「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。たとえば、塾での練習問題。答え合わせをして「解説」を聞いて納得した。以上終了ではダメ。必ず「考え方」の道筋をなぞっておくことが重要。

特に、間違った問題は宝の山だ。「解き方の過程」のどこで誤ってしまったのか? その分かれ道をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことが、同じ間違いを繰り返さない秘訣だ。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方の過程」を身につけたい。それが「解法」となる。

そうして理解、習得したものを書きとめた自分なりの「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

記述

「鎌女の記述対策」は前述の通りだが、その前提としてなすべきことがある。
それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。いやがらずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要がある。

では、何を「書く」か? 読解の練習問題にある「記述設問」はもちろんだが、その問題文の「要約」をするのもとてもいい方法だ。40~50字程度で書いてみる(鎌女の典型的な「記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生に確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一石二鳥。

次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか?
解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要なのだ。その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。

ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要要素」を文末にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく(その際は、マス目のない用紙を使うこと)。

意識

いついかなる場合でも、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。ただなんとなく漠然と机に向かっていても無意味だ。その時々、何を目的として学習しているのか、具体的に「意識」し続けていることが必要。

そうして何かを「意識」することができるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」するようにして学習したい。「設問」を正しく理解しているか?「条件」に合致しているか?「細部」は大丈夫か?「必要な要素」は満たしているか?つまらないミスはないか?といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」している必要がある。

45分という時間で解き進めていく鎌女では、ひとつのミスが致命的になる。入試本番では、見直しの時間はないと思った方がいい。常に「意識」しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。

志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談

お問い合わせ・資料請求はこちら

2017年度「鎌倉女学院中学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問「漢字の読み書き」。小問なし(解答数10)。2分程度で丁寧に終えたい。

大問「総合的知識問題」。「熊本と文学の関連についての説明文」(文字数約430字)からの「文学史」(「海外作品」含む)の出題。小問は全5問(解答数7)。「選択肢」(「空所補充」あり)、「語句記述」(「地名」あり)。2分ほどで終えたい。

大問「小説」、出典はにしがきようこ「川床にえくぼが三つ」(文字数約4400字)。小問は全12問(解答数15)。「選択肢」(「空所補充」「組み合わせ」あり)、「抜き出し」、「語句記述」、「説明記述」(「字数指定あり」2問)、「総合的知識問題」。問題文は6分弱で読み、設問を1718分で解きたい。

大問「説明文」、出典は高槻成紀「野生動物と共存できるか」(文字数約2900字)。小問は全6問(解答数18)。「選択肢」(「不適切」「空所補充」あり)、「抜き出し」、「語句記述」、「総合的知識問題」。問題文は4分弱で読み、設問を1415分で解きたい。

【大問一】漢字の読み書き

  • 難度:やや難
  • 時間配分:2分

「漢字の読み書き」。「書きとり」(7問。「送りがな」のある場合はそれも書く)「読み」(3問)。昨年以上に、本校が求めている「高度な語彙力」求められている。確認したい。

①「ハガネのように強い意志」(=「)知っておきたい「慣用表現」。

②「トトウを組む」(=「徒党)「ある目的のために集まった仲間や一味」という意味も覚えておきたい。

③「主役をツトメル(=「務める)これはできて当然。

「大きなゴサン(=「誤算)知っているはずの熟語。

「口で言うのはヤサシイ(=「易しい)「同訓異字」に注意。

⑥「校庭をカイホウ(=「開放)「同音異義語」の要注意語句。

⑦「一日センシュウの思いで待つ」(=「千秋)「四字熟語」の定番。

⑧「手間を(=「はぶ())これは平易のはず。

知己(=「ちき)「難読熟語」としてお馴染み、⑩「なく断る」(=「ゆえ)「文脈」を的確に判断せよ。「漢字力」は確実に培っておきたい。

<時間配分目安:2分>

【大問二】総合的知識問題

  • 難度:やや難
  • 時間配分:2分

「総合的知識問題」。「文学史」に関連する問題だけでの大問で、しかも、「熊本と文学の関連についての説明文」の「読解問題」になっているという稀有で意欲的な良問。「国語(一般)常識」を重視する本校の本領発揮だ。

「海外作品」や「文学作品の冒頭特定」も含んでおり、難易度は高い。いくつか検証してみる。

[問二()] 「俳句の空所補充記述」(「平仮名」指定)。傍線部②「大学時代の友人である正岡子規と再会し、俳句の指導を受けています」に関連して、示されている「正岡子規」作の「柿くへば   が鳴るなり法隆寺」と、本文中の(  ①  )(=「夏目漱石」⇒[問一]「答え」)作の   つけば銀杏ちるなり建長寺」という2つの空所に共通して入る「同じ言葉」を「平仮名」で答える。

前者の「正岡子規の俳句」の方は「文学史」の知識として当然、定着していなくてはいけないものなので、「答え」は「かね」だと分かるはずだ。「夏目漱石」と「正岡子規」の関係なども「文学史」の一環として押さえておきたいものだ。

<時間配分目安:30秒>

[問二()] 「俳句に関する地名記述」(「市」指定)[問二()]で示されている「二つの俳句」が詠まれた場所の近くにはそれぞれ「有名な大仏」があるが、「(  ①  )(=「夏目漱石」)の俳句」が詠まれたのは「どこの市か」を答える。「社会」かと見紛う問題だ。

同俳句には「建長寺」とあるので、そこから「答え」を導き出すことになる。「臨済宗」の寺院で「鎌倉五山の第一位」であるということは「歴史」の知識として定着しているはずだ。であれば当然、「答え」は「鎌倉()」となる。「文学史」の背景としては「歴史」「地理」も関連してくる。

まさに「一般常識」が問われているわけだ。本校では、「教科」の枠をも超える「常識」が求められていると心得よ。

<時間配分目安:30秒>

[問三] 「海外作品についての選択肢」(5択)。傍線部③「英国留学」に関連して、イギリスの作家・シェークスピアの「作品」を答える。さすがに、超有名作家なので知っているか?

 「答え」は選択肢()「ロミオとジュリエット」だ。尚、他の選択肢の作者は、()「星の王子さま」=サン・テグジュペリ、()「あしながおじさん」=ウェブスター、()「ハリー・ポッターと賢者の石」=ローリング、()「レ・ミゼラブル」=ユゴー。本校では、国内だけではなく海外の「文学史」についても確認しておく必要がある。

<時間配分目安:1分以内>

[問五] 「文学作品の冒頭特定選択肢」(5択)。傍線部⑤「枕草子」の「冒頭の文」を答える。各選択肢を確認する。()「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく……」=無論、これが「枕草子」(平安時代中期)「答え」、()「ゆく河の流れは絶えずして……」=鴨長明の随筆「方丈記」(鎌倉時代初期)()「祇園精舎の鐘の声……」=軍記物語の「平家物語」(鎌倉時代前期)()「月日は百代の過客にして……」=松尾芭蕉の俳諧紀行文「おくのほそ道」(江戸時代前期)()「いまは昔。竹取の翁といふもの……」=物語文学の「竹取物語」(平安時代初期)「文学作品の冒頭」は本校に限らず、よく出題されるので確認しておきたい。

<時間配分目安:30秒>

【大問三】小説の読解

  • 難度:標準
  • 時間配分:23分

大問

主人公の「文音(あやね)」は中学2年の夏休み、友だちの「華(はな)」とともに叔母の「楓子(ふうこ)」の研究について行き、インドネシアに8日間滞在し「遺跡の発掘調査」に参加した。初めての海外に期待は高まるが、不安もいっぱい――「文音」が出会った「カルチャーショック」と「冒険と友情」の物語。

本文は、「文音」が50万年前の「ジャワ原人」のものだと考えられる「足あと」を「川床」で発見し、感動する様子が描かれている。「抜き出し」「空所補充」「説明記述」「総合的知識問題」などが、目まぐるしく展開する。スピード感を持って次々と解き進めていきたい。以下、いくつか確認する。

[問二] 「条件付き内容説明抜き出し」(「初めの5字」指定)。傍線部②「首をかしげるしかできなかった」について、このような動作をしたのは「華に対してどう思っていたからか」が分かる「箇所」を抜き出し、「はじめの五字」を答える。「条件」は「『文音』の言葉より見つける」こと。

「抜き出し」では、「抜き出し内容」を特定した上で「抜き出し範囲」を絞り込んでいく。ここでの「内容」は、「首をかしげる」のだから「華に対して」、「よく分からない」と思っていることになるはず。「範囲」は「条件」の通りだ。傍線部は「文音」と「楓子」との「会話のやりとり」なので、「文音」の言葉をたどっていく。

すると、4行目に「華が何を思ってるのか、あたし、わかんなくなっちゃった……」という「箇所」がある。まさに、そのものズバリだ。したがって、「答え」は「華が何を思」となる。「抜き出し」の「解法」に従って解いていけば、難なく解ける問題だ。

<時間配分目安:1分以内>

[問三] 「心情説明の語句選択肢」(5択)。傍線部③「発見って、人と人との関係をこわすほど力のあること」について、「『発見』によってどのような心が生まれたのか」を答える。

「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。「人と人との関係をこわすほど力」によって生まれる「心」=「心情」の「原意」と直接結びつかないものを「消去」したい。

各選択肢を確認する。()「信仰心」、()「好奇心」、()「向上心」、()「依存心」、()「嫉妬心」。「人と人との関係をこわす」のだから、「嫉妬心」以外は即「消去」できるはずだ。よって、「答え」は()になる。「一発消去」だ。「原意消去」は絶対に活用すべし

<時間配分目安:30秒>

[問五] 「語句の意味の選択肢」(5択)「総合的知識問題」。傍線部⑤「気おくれ」の「意味」を答える。こんなの誰でも知ってるじゃん! そう、その通り。

だが、各選択肢は、()「弱気になる」、()「がっかりする」、()「遅くなる」、()「我慢する」、()「慎重になる」、ここで、あれれ? となってしまう諸君がいるのではないか? 「弱気になる」でも「慎重になる」でもいいのではないか? どちらでもあてはまる? 確かにそうかも。

が、「気おくれ」の「原意」(=「相手の勢いやその場の雰囲気などに押されて、心がひるむこと」)を的確に押さえていれば、「答え」は()「弱気になる」だと判別できるはずだ。「弱気になる」⇒「慎重になる」とつながるが、そもそもの「原意」を答える必要があるということだ。本校では、的確かつ正確な「語彙力」が求められていることの典型だと心得よ

<時間配分目安:30秒>

[問七] 「原因説明の語句選択肢」(全2問/6択)。傍線部⑥と⑪の「ふるえ」は、それぞれ「何によるものか」を答える。先ずは「原意消去」をしたいが、同じ「ふるえ」であり、その「原因」なのでさすがに無理だ。

そこで、「傍線部(空所部)一文一部の法則(「傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要」という「重要解法」)、「手がかり」を探す。傍線部⑥は「手のふるえが止まらない、反対の手でふるえる手でおさえた」となっている。

「手」で何をしているのか? 「直前直後」から「状況」を確認する(「小説では同一場面の直前直後に根拠あり」、これは「小説」の「最重要解法」)。「ジャワ原人」のものだと考えられている「足あと」を、「手」にとった筆で確認しようとしているところだと分かる。

各選択肢は、()「恐怖」、()「感動」、()「寒気」、()「焦燥」、()「歓喜」、()「緊張」。であれば無論、「ふるえる手」は「緊張」によるものだと判別できるはず。⑪は「一文の全部」なので「直前直後」でチェックすると、直後に「涙がじわっとわいてきた」とある。当然、「感動」のなせる業だ。

したがって、「答え」は、⑥=()、⑪=()となる。適切な「解法」に則して読み取ることが肝要だ。

<時間配分目安:2分>

[問十] 「条件付き換言説明記述」(20字以内」指定)。傍線部⑨「胸をはってもいい大きな存在なのだとつきあげてくるように思う」について、「自分を『大きな存在』だととらえられるようになった」とは「どういうことか」を「二十字以内」で説明する。「条件」は「自分で考え」ること。「自分で考える」? 

唐突にそんな「条件」を示されても、どうしたらいいのやらと思う諸君が多いはず。先ずはもちろん、「解法」から「考えるヒント」を得ることになる。傍線部の「同一場面」を読み解いていきたい。

直前に「あたしは本当にちっぽけだ。……だけど、そのちっぽけなあたしの存在は、気の遠くなるような過去からの命の連なりの結果で……あたしの命が、大なき生命の流れへと続いていると気づかされる」とある。「ちっぽけなあたしの存在」⇒「大なき生命の流れへと続いている」=「大きな存在」だと分かるはずだ。

あとは、「自分の言葉」でまとめていきたい。たとえば、「自分も生命の歴史の一部だと気づいたこと。」といった「答え」だ。「自由記述」であっても、「手がかり・ヒント」は「本文」に求めることが鉄則

<時間配分目安:1分半>

【大問四】説明文の読解

  • 難度:
  • 時間配分:18分
  • ★必答問題

漁業に被害を与えるという理由でラッコが駆除されたが、漁獲量が減ったのはなぜか? 怖いクマや爆発的に増えるシカと、本当に共存できるのか?――新しい学問である「保全生態学」のさまざまなチャレンジから、私たちが野生動物とどう関わればいいかを説明している。

本文では、野生動物を絶滅から守る努力のひとつとして、「アホウドリ」の例を紹介している。ジュニア向けに記されているので、内容は理解しやすいはずだ。本大問は【大問と比して概して平易だ。一気呵成に解き進んで高得点を狙いたい。以下、いくつか検討してみたい。

[問一] 「理由説明抜き出し」(20字以内」の「はじめと終わりの3字」指定)。傍線部①「アホウドリという鳥がいます。ひどい名前ですね」について、「どうしてこのようなひどい名前がつけられたのか」を「二十字以内」で抜き出し、「はじめと終わりの三字」を答える。

「抜き出し内容」は設問そのものだ。「抜き出し範囲」は「同一意味段落」(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「手がかり・ヒント」がある)。探していく。2行後に「なぜ『アホウ』になったかというと」とあり、以下で「理由」が説明されている。確認すると「それ(=「斜面や風を利用して飛び上がる」こと)ができないように人が近づけばかんたんに捕まってしまうから」とまとめられている。

「字数」も合致する。よって、「答え」は「人が近~うから」だ。ここは「理由説明」なので、「~から」までを抜き出すこと。

<時間配分目安:1分以内>

[問二] 「熟語の空所補充の漢字記述」(全3問/「1字」指定)「総合的知識問題」。「打消しの接頭語」だ。傍線部②の「不安定」のように、示されている「熟語」の空所に入れる「打ち消す漢字」を答える。それぞれの「熟語」に入れる「答え」を確認していく。()成年」⇒「未(成年)」、()制限」⇒「無(制限)」、()日常」⇒「非(日常)」。本問はとても平易だったが、「接頭語」の「無・未・非・不」や「接尾語」の「的・然・化・性」は本校に限らずよく出題される。しっかりと定着記させておくことが肝要。

<時間配分目安:30秒>

[問三] 「慣用句の空所補充の漢字記述」(全3問/「漢字1字」指定)「総合的知識問題」。「慣用句」。傍線部③の「頭が下がります」のように、示されている「慣用句」の空所に入れる「体の一部を表す漢字」を答える。それぞれの「答え」を確認する。

()「広すぎて一人でそうじするにはに余る」⇒「手(に余る)」=「物事が自分の能力以上で、その処置ができない」こと()「彼は足が速いことをにかけている」⇒「鼻(にかける)」=「自慢する。得意がる」こと()「彼女の歌の上手さにはみんなを巻いた」⇒「舌(を巻く)」=「あまりにもすぐれていて、ひどく驚く」こと。もし、ひとつでも不明なものがあったならば、確実に復習しておくこと。

また、「ことわざ」「故事成語」なども習得が不可欠だ。

<時間配分目安:1分以内>

[問四()-] 「内容説明抜き出し」(「6字」指定)。示されている「アホウドリの絶滅危機から復活までの年表」の中の傍線部()「天然記念物に指定され保護」について、「アホウドリ」は「どのような様子がすばらしいと本文では言っているか」を「六字」で抜き出して答える。「抜き出し内容」は「アホウドリのすばらしい様子」を示すもので問題はない。ただ、「抜き出し範囲」はというと、注意が必要だ。

なぜなら、傍線部自体が「本文」ではないからだ。「年表」では「天然記念物に指定され保護」されたのは「一九五六年」となっている。したがって、「一九五六年」に「天然記念物に指定され保護」されたことが説明されている部分の「同一意味段落」となる。確認する。

すると、その部分から2つ前の「形式段落」に「その(「アホウドリ」の)姿はとても美しく、とくに飛んでいる姿は翼が長く、じつにすばらしいものです」とある。「じつにすばらしい」とあるのだから、「答え」は「飛んでいる姿」だと分かるはずだ。一筋縄ではいかない問題であった。本校では、「抜き出し問題」に限らず、こうした少々ひねった設問もあり得ると心得よ。

<時間配分目安:1分半>

[問四()] 「時期特定の選択肢」(全2問/6択)。示されている「2つの出来事」の「時期」を特定し、「年表」(上記[問四()-]と同じ)の中の【A】~【F】のどの「時期」にあてはまるかを答える。まるで、「社会」の「年代特定問題」のようで、一瞬とまどうかも知れない。そこは冷静になって、しっかりと読み解いていけばいい。

「2つの出来事」を確認する。①「鳥島のアホウドリが一〇〇〇羽に達した時期」⇒「そして一九九五年の一一月、」で始まる段落の最後に「一九九九年には鳥島のアホウドリは……、念願の一〇〇〇羽に達しました」とあるので、「年表」の「一九九三」と「二〇〇五」の間にある【F】が「答え」だ。

そして、②「長谷川博さんが鳥島を訪れた時期」⇒「さいわい、一九七三年になって」で始まる段落に「イギリスのティッケル博士が調査の訪れたこと」が記されており、その次の段落で「長谷川さんは苦労して鳥島を訪れ」ている。その後、「長谷川さん」は「アホウドリの生活」を明らかにしていくが、「一九八八年」に「鳥島」を「土石流」が襲ったことが説明されているので、「年表」の「一九七三」と「一九八八」の間にある【D】が「答え」になる。

本校では、たまにこうした意表を衝く問題がある。心してかかること。

<時間配分目安:2分半>

攻略のポイント

「総合的知識問題」は要注意だ。「高度な語彙力」だけではなく、「韻文」「文法」や「国語(一般)常識」などといった「あらゆる知識」が問われる。独自に「幅広い知識」を常に習得していくことが必要。

「指定字数」が少なく、かえって難しい本校の「説明記述」。「攻略ポイント」は結局、実直に「記述」の「練習」を続けることに尽きる。先ずは、正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていく手法を完璧にマスターすること。「内容」から優先順位を特定し積み上げていく。それぞれの「要素」を「2030字程度」でまとめられるように徹底的に練習することが肝要。

本校では1~2つ程度の「要素」でまとめることに慣れておきたい。「合格ライン」は7割強と高い(過去3年間の「合格者平均得点率」は74.7%、本年度は近年になく高くなり77.2%)「説明記述」での「失点」や「減点」は大きな打撃になると心得よ。

定番の「抜き出し」などの「攻略」にとって、最も重要なのが「設問内容」に対応した「解法」を的確に用いて、段階を踏んで解き進めていくこと。従って、様々な基本的「解法」を完全に習得して、適切に応用できるようにしておくことが重要。

試験時間は45分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は全体で7000字程度(本年度は約7700)。「解答数」を考えても、当然、速く正確に読み取ることが徹底的に求められる。分750字以上を目標「読む練習」を常にすることが重要。

志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談

お問い合わせ・資料請求はこちら

鎌倉女学院中学校の科目別
入試対策一覧

中学受験のために
家庭でできること

インタビュー=学力が伸びる子と伸び悩む子の特徴とは

リーダーズブレインの合格実績豊富な現役家庭教師が、プロならではの視点でポイントをお話ししています。どのようなタイプの子供が伸びるのか、家庭でのサポートで親が気を付けるべき事は何か。勉強のサポートの仕方から親子の関係性など…ぜひ参考にしてください。

TOP

創業以来、
最高峰のプロ教師陣を輩出

TRADITION
SINCE 1985

1985年法人設立以来、プロ家庭教師のクオリティーにこだわり続け、現役プロ教師の中でもトッププロと呼ばれる真の実力を兼ね備えた合格実績豊富な家庭教師のプロだけをご紹介しています。
特に中学受験·大学受験·医学部受験専門のプロ教師のクオリティーに自信があります。