｢漢字の読み書き｣｡｢書きとり｣(７問｡｢送りがな｣のある場合はそれも書く)と｢読み｣(３問)｡例年と比較してやや難易度が高い。注意すべきものを確認する。

①｢コウキな身分｣＝高貴⇒｢文脈｣を正確に読み取ること。

④｢天地ソウゾウ｣＝創造⇒｢同音異義語｣に注意、｢想像｣ではない。

⑤｢詩をロウドクする｣＝朗読⇒｢同音異字｣に注意、｢郎｣ではない。

⑥｢コイに足を踏まれる｣＝故意⇒これは難解か？ ｢わざとする｣という意味で、対義語が｢過失｣だということも覚えておきたい。

⑧｢白装束｣＝しょうぞく⇒馴染(なじ)みの薄い言葉で難問。｢衣服｣のことだ。

⑩｢枚挙にいとまがない｣＝まいきょ⇒見慣れない語句に違いない。｢一つ一つ数えあげること｣という意味。｢枚挙に暇(いとま)がない｣(＝数が多過ぎてきりがない)という｢慣用句｣として定着させておくこと。

基礎から応用までの｢漢字力｣は確実に培っておきたい。

｢総合的知識問題｣｡例年以上に多種多様な｢国語的知識｣が問われている。｢ことわざ｣｢季語｣｢文法｣については、難なく答えられなくてはいけない。やや複雑な設問内容となっている｢文学史｣と、苦手な諸君が多い｢敬語｣に関してチェックしておく。

[問三]　｢関連事項の選択肢｣(５択)。｢文学史｣。示されている４つの｢文学作品｣が作られた年代が、｢三番目に古い作品｣と｢関係の深いもの｣を答える。

｢文学作品｣は、｢枕草子｣･｢竹取物語｣･｢奥の細道｣･｢平家物語｣。順に、｢平安時代中期｣、｢平安時代初期｣、｢江戸時代前期｣、｢鎌倉時代｣の作品だということは知らなくてはいけない。よって、｢三番目に古い｣のは｢平家物語｣だ。

各選択肢は、(ア)｢琵琶法師｣･(イ)｢清少納言｣･(ウ)｢俳句｣･(エ)｢かぐや姫｣･(オ)｢紫式部｣だ。

結びつきを特定すると、｢枕草子｣＝｢清少納言｣、｢竹取物語｣＝｢かぐや姫｣、｢奥の細道｣＝｢俳句｣、｢平家物語｣＝｢琵琶法師｣だと分かるはず。

したがって、｢答え｣は(ア)になる。尚、｢文学史｣では｢作品名｣･｢成立時期｣･｢ジャンル(分野)｣･｢内容｣などを結びつけて定着させておくことが肝要。

＜時間配分目安：30秒＞

[問四(二)]　｢空所補充の語句記述｣(全２問。ともに｢ひらがな｣で、各｢４字｣と｢５字｣指定)。｢敬語｣。示されている｢敬語に関する会話文｣の中の空所③④に｢当てはまる四字と三字のひらがな｣を、それぞれ答える。

｢会話文｣は｢(敬語について) サラ『自分がプレゼントをもらうことを何て言ったらいいのかな』 ゆい『そういう時は、   ③(四字) って言うんだよ。この言葉は他にも   ④(三字) 　ことをへりくだって言う時に使うよ』｣となっている。｢自分がプレゼントをもらう｣のだから、｢敬語｣では｢もらう｣の｢謙譲語｣を用いることになる。よって、③の｢答え｣は｢いただく｣だ。また、｢いただく｣は｢たべる｣(④の｢答え｣)を｢へりくだって言う時｣(謙譲語)にも使う。｢敬語｣に関しては頻出なので、｢尊敬語｣･｢謙譲語｣･｢丁寧語｣の用法をしっかりと区別して理解し、使えるようにしておくこと。

＜時間配分目安：30秒＞

現代の｢ヴンダーカンマー｣(｢奇跡の部屋｣｢驚異の部屋｣という意味)である｢博物館｣で、一日職場体験をすることになった中学生５人が、別々の部門に分けられ一日を過ごす――出会い、ときめき、孤独、友情が交錯する、それぞれにとって忘れがたい一日を描いている。

本文では、｢哺(ほ)乳類｣の学芸員である｢久遠(くおん)さん｣と一緒に耕作放棄(き)地にカピバラの放牧に行った｢知恵(＝私)｣が、合流した保育園の子どもたちと交流する様子が描かれている。とても平易な文章で内容も分かりやすい。ただ、｢空所補充｣｢説明記述｣｢抜き出し｣、｢総合的知識問題｣などが目まぐるしく展開する。スピード重視で次々と解き進めていきたい。以下、いくつか確認する。

[問一]　｢理由説明の選択肢｣(５択)。傍線部①｢私はめまいがした｣について、｢その理由｣を答える。

｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡先ずは｢原意消去｣をしたい(｢原意絶対優位の原則｣＝｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)｡ここは｢理由説明｣なので、各選択肢の｢文末｣が(｢選択肢｣の説明で最も重要な要素は｢文末｣に記されている)､｢直接的理由｣として結びつかないものを｢消去｣していきたい｡

それぞれ確認する。

(ア)｢不満だったから｣→｢めまいがした｣､

(イ)｢面倒(どう)に思えてきたから｣→｢めまいがした｣､

(ウ)｢緊張してきたから｣→｢めまいがした｣､

(エ)｢体調が悪くなってきたから｣→｢めまいがした｣､

(オ)｢こわかったから｣→｢めまいがした｣。

｢めまいがした｣のだから(ウ)と(エ)以外はすぐに｢消去｣できるはずだ。そして、｢傍線部(空所部)一文一部の法則｣(｢傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要｣という｢重要解法｣)で確認すると、直前に｢ちびっ子たちの元気のよさに｣とあるので、｢暑い野外に長くいて｣となっている(エ)も｢消去｣でき、｢保育園の子どもたちと接するのは気が重く｣と説明されている(ウ)が｢答え｣となる。

本問では｢２段階的消去｣となったが、先ずは｢原意消去｣を試みることが鉄則だ。

＜時間配分目安：１分弱＞

[問二]　｢空所補充の語句選択肢｣(全３問/５択)。本文中の空所  ②　･  ⑧　･  ⑨　に｢当てはまる語｣を答える。

各選択肢は全て｢副詞｣だ。｢文脈｣の｢被修飾部｣を捉(とら)えて、｢答え｣を特定していく。

｢私は、  ②　と汗ばんできた｣⇒｢答え｣は(オ)の｢じっとり｣、

｢私は……、  ⑧　と頭を撫(な)でた｣⇒｢答え｣は(イ)の｢そおっ｣、

｢関係ないことまで  ⑨　とおしゃべりしている｣⇒｢答え｣は(ア)の｢きゃっきゃ｣

だと分かるはずだ。

尚、｢副詞｣同様に｢空所補充｣の定番である｢接続詞｣では、｢逆接｣はともかく、それ以外には十分に注意すること。｢逆接｣以外だと、どれもがあてはまってしまう可能性があるのだ。単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの｢接続詞｣の｢意味･用法｣を的確に押さえた上で、｢内容｣を確認する必要があると心得よ。

＜時間配分目安：全問で１分強＞

[問五]　｢内容補充の条件付き説明記述｣(｢10字程度｣指定)。傍線部⑤｢やっぱり……｣について、｢……｣に｢入る内容｣を答える。｢条件｣は｢本文中の言葉を使う｣こと。

｢同一場面｣から｢状況｣を読み解いていく(｢小説では同一場面の直前直後に根拠あり｣、これは｢小説｣の｢最重要解法｣)｡直前に｢(保育園児たちに対して)今日はもうふたり、みんなに紹介したいお姉さんがいます｣、直後には｢(園児たちの)つるんと澄(す)んだ瞳(ひとみ)がまっすぐに私と岡本さんを見つめていた｣とある｡さらに、５行後で｢まずは岡本さんから自己紹介する｣となっている。ということは、もう分かるはずだ。

たとえば、｢(やっぱり)自己紹介するんだろうな｣(11字)といった｢答え｣になる。

尚、そもそも｢説明記述｣では｢文中の言葉｣を用いるのが基本だが、本問のように敢えて｢条件｣として課されている場合は特に意識して用いること。

＜時間配分目安：１分半＞

[問六]　｢語句の意味の選択肢｣(５択)。｢総合的知識問題｣｡傍線部⑥｢面食らっている｣の｢意味｣を答える。

どうか？ 定着しているか？ ｢面食らう｣とは｢突然の事に驚きとまどう｣ことだ。よって、(ウ)の｢急なことにおどろきあわてる｣が｢答え｣になる。無論、｢文脈｣を丁寧に読み解いて判別することは可能だが、それでは時間がかかり、スピード最優先の本校では致命的になってしまう。やはり、徹底した｢語彙力強化｣が肝要だ。

＜時間配分目安：15秒＞

[問七]　｢換言表現の抜き出し｣(｢段落｣の｢はじめの５字｣指定)。傍線部⑦｢うるうるっと目に涙を溜(た)めた遥(はるか)ちゃん｣の気持ちを｢『私』が代わりに表現している段落｣を探し、｢はじめの五字｣を抜き出して答える。

｢抜き出し問題｣では、｢抜き出し内容｣を特定した上で｢抜き出し範囲｣を絞り込んでいくことが鉄則｡ここでの｢内容｣を､｢同一場面｣の｢状況｣から読み取っていく。前の10行ほどから、少し｢舌足らず｣の｢遥ちゃん｣が｢カピバラ｣を｢カピパラ｣と言い間違えたことをお友だちからきつく言われて、｢べそをかきはじめた｣状況だと読み取れる。つまり、このときの｢遥ちゃん｣の気持ちが｢抜き出し内容｣になる。｢抜き出し範囲｣は無論、｢同一場面｣。｢段落｣だということを意識して丁寧に探していくと、４段落後に｢うん、わかるよ。……いい間違いを指摘されると、すごく悔(くや)しいよね。……、悲しい気持ちでいっぱいになるんだよね｣という｢私｣の｢思い｣が説明されている段落がある。｢内容｣が合致している。｢範囲｣をさらに確認する。他に｢候補｣となる段落はない。したがって、｢うん、わか｣が｢答え｣になる。

尚、｢抜き出し設問｣では｢候補｣はひとつとは限らないので、｢範囲｣の全てを確認することが肝要だ。

＜時間配分目安：全問で１分＞

植物の常識に照らすと、生態が少し奇妙なイネ。だがそれゆえに、人に深く関わりその生活や歴史までも動かしてきた――イネとは何か？ なぜ人を魅了してやまないのだろうか？ その秘密を説明している。本文では、草原という過酷な環境で動物に食べられないように進化してきたイネ科植物が、生き延びるために行った工夫について述べている。｢植物学｣の説明だが、文章は平易で内容も分かりやすい。｢内容読解｣と｢総合的知識問題｣が混在する小問構成で、本校としては標準的な難易度だ。以下、いくつか検討してみたい。

[問一]　｢空所補充の語句選択肢｣(全３問/５択)。｢総合的知識問題｣｡｢ことわざ｣だ。傍線部①｢実りの秋に、稲穂(いなほ)が垂れ下がっている風景｣に関連して、示されている(１)～(３)の｢ことわざ｣の空所に｢当てはまる言葉｣を答える。

それぞれの｢ことわざ｣を確認し、｢言葉｣を特定していく。

(１)｢火中の   を拾う｣⇒｢自分の利益にならないのに、他人のために危険を冒すたとえ｣である｢火中の栗を拾う｣＝｢答え｣は(イ)の｢栗｣。

(２)｢   から駒(こま)｣⇒｢意外な所から意外な物が出ることのたとえ｣である｢瓢箪(ひょうたん)から駒が出る｣＝｢答え｣は(エ)の｢瓢箪｣。

(３)｢濡(ぬ)れ手で   ｣⇒｢濡れた手で粟(あわ)をつかめば粟粒がたくさんついてくるように、骨を折らずに多くの利益を得ることのたとえ｣である｢濡れ手で粟｣＝｢答え｣は(ウ)の｢粟｣。ちなみに、｢粟｣(＝穀物)と｢栗｣は字形がよく似ているので間違わないこと。

本校では、｢慣用句｣｢故事成語｣｢四字熟語｣なども頻出なので、完璧に習得しておくことが必須。

＜時間配分目安：全問で１分強＞

[問三]　｢語句の意味の選択肢｣(全２問/各５択)。｢総合的知識問題｣｡｢外来語｣。傍線部③｢コスト｣･⑧｢シンプルな｣の｢本文中での意味｣をそれぞれ答える。

後者はともかく、前者は｢中学入試｣ではなじみの薄い言葉かもしれない。いかにも本校らしい。｢答え｣を確認したい｡

｢コスト｣＝｢物を生産するのにかかる費用｣⇒②の｢答え｣は選択肢(ア)｢費用｣｡

｢シンプル｣＝｢簡素。単純｣⇒⑧の｢答え｣は(ウ)｢単純な｣だ｡

こうした意表を突く｢知識問題｣に限っては、前後の｢文脈｣を踏まえて｢類推｣することも必要になる。

＜時間配分目安：全問で１分強＞

[問四(一)]　｢内容説明の条件付き抜き出し｣(｢10字以内｣指定)。傍線部④｢そこで、イネ科植物は体を硬(かた)くすることを考えた｣について、｢何のために体を硬くしたのか｣の説明を｢十字以内｣で抜き出して答える。｢条件｣は｢『～ため』に続くようにする｣こと。

｢抜き出し内容｣は設問のとおり。｢抜き出し範囲｣は｢同一意味段落｣だ(｢論説文｣｢説明文｣では｢同一意味段落｣に｢手がかり･ヒント｣がある)｡｢そこで｣とあるので、｢そこ｣が｢目的｣に結びついているはずだと分かる。｢指示語｣なので開く。前段落全体から(段落冒頭にある｢指示語｣なので｢前段落全ての内容｣を指し示している)、｢そこで｣＝｢イネ科植物が(動物による)食害を防ぐ目的で｣だと読み取れる。つまり、｢動物による食害を防ぐため｣に｢体を硬くした｣わけだ。こうした｢目的｣を説明している部分を｢同一意味段落｣で丁寧に探していく。すると、２段落前に｢イネ科植物は動物たちから身を守ることを考えた｣という説明がある。他に｢候補｣となる部分はない。したがって、｢答え｣は｢動物たちから身を守る(ため)｣だ。

尚、本問のように｢指示語｣が直接問われていなくても、｢指示語が出たら即開く｣が鉄則だと心得よ。

＜時間配分目安：１分強＞

[問四(二)]　｢方法説明の空所補充抜き出し｣(全３問/｢３字｣･｢３字｣･｢５字｣指定)。[問四(一)]の｢目的｣を｢達成するために、どのような方法をとったのか｣を説明した｢文｣の空所３カ所に｢当てはまる言葉｣を、それぞれ｢字数にしたがって｣抜き出して答える。

示されている｢文｣は｢  Ⅰ(三字) を使って   Ⅱ(三字)　のような体をつくり、さらに  Ⅲ(五字)　を低くする方法｡｣となっている。前問から、｢目的｣は｢動物たちから身を守るため｣だと分かっている。そのための｢方法｣については、傍線部直後から｢同一意味段落｣の最後までの16行で説明されていることも分かる。丁寧に確認しながら各空所に｢当てはまる言葉｣を特定していきたい。

先ず、５行後に｢イネ科植物が利用したのがケイ素｣だとあり、９行目では｢ケイ素はガラスの原料にもなるほど硬い物質｣だと指摘し、続けて｢(イネ科植物は)ガラスのような頑丈(がんじょう)な体を手に入れた｣と説明している。以上で、空所(Ⅰ)(Ⅱ)が特定された。

さらに、12行目以降で｢固いだけ｣では｢動物に食べられてしまう｣ので、｢葉の栄養価を低くして、エサとして魅(み)力のないものにする｣という｢工夫｣を用意したと補足している。これで空所(Ⅲ)も判明した。

｢同一意味段落｣はここで終わっているので、他の候補もあり得ない。｢答え｣を整理する。

空所(Ⅰ)＝｢ケイ素｣(を使って)、

(Ⅱ)＝｢ガラス｣(のような体をつくり)、

(Ⅲ)＝｢葉の栄養価｣(を低くする方法)ということになる。

｢抜き出し｣の｢解法｣に従って確実に解いていきたい。

＜時間配分目安：全問で２分半＞

[問六]　｢内容説明の具体例選択肢｣(５択)。｢総合的知識問題｣｡｢理科｣？ ｢一般常識｣？ 傍線部⑦｢ダイコンやサツマイモ｣について、｢これ以外で私たちが『根』を食べているもの｣を答える。

各選択肢は、(ア)｢ナス｣･(イ)｢キャベツ｣･(ウ)｢トマト｣･(エ)｢ゴボウ｣･(オ)｢カボチャ｣。

当然、知らないものはないはず。であれば、｢答え｣は(エ)の｢ゴボウ｣だと即答できなくてはいけない。万が一、すぐに判別できないようであれば、傍線部直後の｢地面の下に貯蔵器官｣が｢ヒント｣になるに違いない。いずれにしても、本校ではこうした出題もあるということだ。覚悟せよ。

＜時間配分目安：15秒＞