鷗友学園女子中学校 入試対策
2025年度「鷗友学園女子中学校の理科」
攻略のための学習方法
鴎友学園女子中学校理科の満点は100点、本年度の合格者平均は68.5点であった。幅広い知識を必要とする問題に加え、思考力を必要とする問題が多いことが本校理科の入試の特徴と言える。問題の形式としては、実験や観察に関する説明・図・グラフを読みとった上で答える問題が中心であり、計算問題や記述問題も含まれる。
合格に向けての学習法としては、まずは各分野の基本知識をまんべんなく確実に身につけることが必須である。その上で、過去問やレベルの高い問題も含めた問題演習をしっかり行うことが求められる。
本校の理科の入試問題では、ここ何年かはカラーの写真や図が用いられている。過去問演習を行う際には、実際の(カラー版の)問題を入手して(鴎友学園のホームページからもプリントアウトできます)演習を行って欲しい。
<分野毎の学習法>
生物分野
本年度は植生の遷移について出題された。ここ数年では、心臓のはたらきと血液循環、植物の花芽形成、動物の呼吸、アゲハチョウ、花のつくりと受粉、食物連鎖、生物の誕生、光合成、池に住む生物、人のからだの働きなど幅広い単元から出題されている。本校の入試では、植物や動物の写真がカラーで提示されることも想定される。日頃のご家庭での学習における心構えとして、植物や動物の学習を行う上では、花の色・動物や昆虫の姿をカラー写真で確認して欲しい。図鑑や資料を手元に置いて学習することを心がけよう。
地学分野
本年度は雲のでき方に関する出題で、本年度の大問4問の中では一番考えやすい内容であったと思われる。ここ数年では、火成岩、河岸段丘、天体(日食と月食など)、地震、気象、岩石や地層等に関しての出題が見られた。天体に関する出題がやや多い傾向にあるが、その他の単元からも幅広く出題されている。天体について学習する上では、月・太陽・星の動きを「なぜそのように動いて見えるのか?」の理屈を理解した上で覚えて欲しい。星や月の動きに関する計算問題も十分に練習しておきたい。地層や岩石の学習では、資料集などで各岩石の色等の違いも確認して欲しい。地層のボーリング調査に関する問題の演習もしっかり行うこと。また、今回出題された気象に関しては、雲のでき方に加え、風の吹き方、線状降水帯、地球温暖化や気象災害について力を入れて学習すること。
物理分野
本年は弦の振動について出題され、問題文の読み取り力と考察力が要求される内容であった。ここ何年かでは、力のつり合いと電気に関する出題が多く、凸レンズによる像や音に関する出題も見られる。この分野の学習としてまずは、最も出題される可能性の高いてこのつり合い、滑車・輪軸・浮力・ばねなどの基本的な計算をしっかり練習して欲しい。電気・光などについても基本的性質を理解した上で問題演習を行って頂きたい。単なる頭の中だけでの丸覚えだけでなく、実際の演習をしっかり行うことが大切である。
化学分野
本年度は炭酸カルシウムについて出題されたが、計算問題は含まれていなかった。ここ数年では、混合物の分離、水の状態変化と体積の変化、燃焼、中和反応、水溶液の性質、化学変化、熱量などに関する出題が見られた。この分野の学習としては、気体や水溶液の性質など知識事項を覚えることはもちろんのこと、計算を含む問題演習を数多く行うことが大切である。溶解度、水溶液と金属の反応、中和、燃焼などに関しては、塾のテキストや問題集を使ってしっかり練習して欲しい。
秋以降に実施される模試は、合格可能性の判定だけに注目するのではなく、苦手単元を見極めるチャンスとして考えてもらいたい。特に間違えの多かった単元においては、その問題だけの解きなおしではなく、これまで使ってきたテキストや問題集を活用して「基本」の洗い直しをすることも必要である。模試の結果の分析やその後の対策については、家庭教師を有効に活用して欲しい。
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2025年度「鷗友学園女子中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は4、小問数は33で100点満点、試験時間は45分であった。2020年度入試から、各教科ともに試験時間が50分から45分に短縮されている。適語を答える問題、記号選択問題の他に、計算問題・記述問題・グラフを描く問題も含まれている。また、大きな特徴として問題の中の図や写真がカラー印刷されている。時間は45分あるが、記述問題・計算問題・思考力を必要とする問題も多いので、45分という時間は短く感じられるであろう。できる問題から素早く処理することが大切になってくる。算数・国語同様に100点満点なので、理科の出来が合否を大きく左右する。合格に向けてしっかり準備して欲しい。
【大問1】生物分野 植生の遷移
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
問1 植物の分類についての知識問題。コケは胞子で増え、維管束がない。
問2 ススキは単子葉類。葉脈は平行脈、茎に形成層はなく、根はひげ根。
問3 記述問題。イタドリ・ススキの花粉は、風に運ばれやすい形をしている。
問4 記述問題。裸地なので、水分や養分が少ないので、広い範囲に根を長く伸ばす必要がある。
問5 草原から低木林への遷移に関する選択問題。
問6 記述問題。落ち葉が多くなり、分解されて腐葉土が多くなる。腐葉土は保水力が高い。
問7・問8 森林の遷移についての選択および記述問題。陽樹の林の中は日当たりが弱くなるので、陽樹の林→陽樹と陰樹の混合林→陰樹の林と遷移する。
植生の遷移についての出題。植物の分類等についての知識問題や記述問題も含まれる。光の強さと二酸化炭素吸収量の関係のグラフ(補償点のグラフ)についての問題は、中学入試頻出。グラフの意味を理解し、類題の演習にも取り組んで欲しい。
【時間配分目安:10分】
【大問2】物理分野 弦の振動
- 難度:標準
- 時間配分:15分
- ★必答問題
問1 音の高さは弦の振動数で決まる。弦の長さを長くすると振動数が減り、音は低くなる。弦を強く張ると振動数が増え、音は高くなる。
問2 「線密度=重さ÷長さ」 を用い、4÷20より、0.2g/㎝。
問3 直径が2倍になると、断面積が4倍になるので、重さも4倍になる。従って、線密度も4倍になる。
問4 実験結果より、振動数が150回のとき、「腹の数×20=弦の長さ」であると言える。従って、20×7より140㎝。
問5 実験結果より、振動数と腹の数は比例の関係にあると言える。1秒間の振動数が50回で腹の数が1つなので、1秒間の振動数が250回では、腹の数は5となる。
問6 表より、電磁おんさの振動数が同じとき、面密度が4倍になると腹の数が2倍、面密度が9倍になると腹の数が3倍という関係があり、おもりの個数が4倍になると腹の数は1/2に、おもりの個数が9倍になると腹の数は1/3になるという関係もあることもわかる。面密度が0.1g/㎝・おもりの個数が1個のとき、腹の個数は2個である。密度が3.6g/㎝になると腹の個数は6倍の12個になるので、腹の個数をその1/4の3個にするためのおもりの個数は、4×4より16個となる。
問7 面密度が0.4g/㎝と面密度が0.9g/㎝の弦をつないだ実験。面密度の比が4:9なので、腹の数の比は2:3。腹は合計15個なので、6個と9個となる。面密度0.9g/㎝長さ30㎝の弦にできる腹の数が、振動数100回のとき3個だったので、100×9÷3より、1秒間の振動数は100回に設定されている。
問8 面密度0.1g/㎝・長さ60㎝の弦の振動数が100回の時にできる腹の数が2個なので、振動数が200回にすると腹の数が4個になる。従って、腹1つ分の長さは60÷4より15㎝となる。面密度0.4g/㎝の弦にできる腹は8個、面密度0.9g/㎝の弦にできる腹は12個になるので、同様に考えると、それぞれの腹1個分の長さはそれぞれ7.5㎝、5㎝となる。
弦の振動に関する問題。問題文に書かれてある内容を読み取る力・考察力が必要なレベルの高い問題。実験データの読み取りには、思い込みは禁物。単なる比例・反比例関係ではない項目も含まれていることに注意が必要である。後半に進むにつれて難度が上がっているので、前半での失点は避けたい。
【時間配分目安:15分】
【大問3】化学分野 炭酸カルシウムについて
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
問1 炭酸カルシウムが含まれているものとして、石灰岩の他に、大理石・卵のからなどがある。
問2 炭酸カルシウムの「炭酸」より。「二酸化炭素」。
問3 はじめに出てくるのは、三角フラスコにあった空気。
問4 石灰水が白く濁るのは、二酸化炭素と石灰水が反応したことによるものである。
問5 石灰水が白く濁ったことから、試験管内の二酸化炭素の濃度は下がったと考えられる。従って、試験管内の溶液は再び白く濁る。
問6 土壌内の生物の「呼吸」による二酸化炭素を含んでいると考えられる。
問7 記述問題。二酸化炭素が溶けている飲料の栓を開けると、容器内の圧力が下がり、二酸化炭素が泡となって出てくる。
問8 地下水が石灰岩を溶かすのは、炭酸水が石灰岩を溶かす反応。地下水から炭酸カルシウムが析出するのは、炭酸水に溶けている炭酸カルシウムが出てくる反応。
炭酸カルシウムについての出題。「石灰岩」が問題文中に出てくるが、内容としては、化学変化に関する設問が中心。計算問題がないので、知識さえ身についていれば、ある程度対応可能である。問7では化学と身の回りの現象と関わりを問う問題。ご家庭内など身の回りの現象を、学んだことと関連して考える習慣が大切である。
【時間配分目安:10分】
【大問4】地学分野 雲のでき方
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
問1 高く上がると気温は低くなる。知識問題であるが、グラフでも提示されている。
問2 グラフの読み取り問題。100m高くなると、1℃温度が下がっている。
問3 水蒸気が凝結して水になるときの温度を「露点」という。
問4 25℃における飽和水蒸気量が23.1g/㎥、湿度が75%なので、23.1×0.75より四捨五入して、17.3g。
問5 20℃における飽和水蒸気量が17.3gなので、20℃で凝結が始まる。
問6 100m高くなると1℃温度が下がるので、20℃になるのは高さが500mのとき。
問7 グラフを作成する問題。温度が20℃になってから、グラフの傾きが変化する。
問8 問7で描き上げたグラフと、大気の温度分布を表した曲線との交点を読み取ると、8000mとなる。
問9 問8までの結果より、高さ500mで雲ができ初め、高さ8000mまで雲が高く伸びていることから、積乱雲と考えられる。
くものでき方に関する出題。飽和水蒸気量・湿度・露点などについての基本知識は必須。問7までは、知識や読み取ったデータに基づいて解き進めていけばよく、同様の問題演習の経験があれば考えやすい内容であったと言える。なお、今回は問われていないが、同様の問題でフェーン現象について問う問題も考えられる。問題集などで取り組んでみて欲しい。
【時間配分目安:10分】
攻略のポイント
知識でだけで解ける問題もあるが、思考力が要求される難度の高い問題も多くみられる。すべての大問が実験や観察に関する文章・図・グラフ・写真を題材として作られている。学習を進める上では、用語の丸覚えではなく、テキストの図・写真などにもしっかり注意を払って欲しい。本校の理科はカラー印刷された問題なので、学習する際もカラーの資料集や図鑑を手元に置いて、例えば植物・昆虫・動物・岩石などはその色なども確認しながら進めることが大切になる。
夏までに知識を固めた上で、秋以降は実戦的な演習を十分行うこと。本校の理科の出題は単なる丸暗記だけでは対応できない問題も多い。初見の問題にどう向き合っていくかが大切になっていく。過去問や思考力が必要な問題の演習をしっかり行うこと。演習に使う問題の選択については、家庭教師などに相談して欲しい。
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