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洗足学園中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2025年度「洗足学園中学校の国語」
攻略のための学習方法

知識

本校の「帰国生入試」では、「一般入試」以上に「漢字問題」を中心としてあらゆる「知識」が求められ出題される。当然、一朝一夕には身につかないので、地道な努力が必要となる。先ず「語彙力」。日々の積み重ねあるのみ。塾での「小テスト」等を確実にこなし、もし間違ったものがあれば、必ず書き出して覚えるようにする。「漢字の読み書き」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」や「分かりづらい言葉の意味」等も押さえておきたい。また、過去問や演習問題を実施する場合、問題文中の語彙で「読み・書き・意味」のいずれかがあやふやなものがあったら、書き出して自分なりの「言葉ノート」を作成しておくといい。そこには自分が分からない言葉がたまっていくので、折に触れ確認し定着させていく。入試当日に持っていけば、「お守り」にもなる。

速読

8000字程度の分量の問題文を読まなくてはならない。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから通常の「速読術」を使うわけにはいかない。やはり文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論部分」「結論部分」は論旨が述べられているのでしっかりと読み、「本論部分」は「段落相互関係」に注目しながら各形式段落の最初と最後を読み進める。「小説」は「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックしつつ、「心情表現」を拾いながら素早く読んでいく。これらのコツは塾でも教えてくれるはずだし、自分から聞いてみるといった積極性もほしい。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章(「一般入試」も含めて)を読むことだ。本校に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速750字以上で「速読」できるようにしておきたい

解法

「解法」がもちろん重要になる。「論説文」(説明文)や「小説」特有の「解法」だ。それぞれを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。たとえば、塾での練習問題(「論説文」や「小説」の通常の「読解問題」でよい)。答え合わせをして「解説」を聞いて納得した。以上終了ではダメだ。必ず「考え方」の道筋をなぞっておくことが重要。特に、間違った問題は宝の山。「解き方の過程」のどこで誤ってしまったのか? その分かれ道をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことが、同じ間違いを繰り返さない秘訣だ。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方の過程」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書きとめた自分なりの「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

意識

常に何かを「意識」しながら学習することが大切だ。無意識に机に向っていても無意味なのは当然だ。その時々、何を目的として学習しているのか、具体的に「意識」し続けていることが重要。そうして何かを「意識」することができるようになったら、次は同時にいくつかのことを「意識」するようにしたい。「設問」を正しく理解しているか? 「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」している必要がある。50分という時間で解き進めていかなくてはならない本校では、ひとつのミスが致命的になる。入試本番では、見直しの時間はないと思った方がいい。常に「意識」しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ

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2025年度「洗足学園中学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「論説文」、出典は宮坂道夫「対話と承認のケア――ナラティヴが生み出す世界」(文字数約5400字)。小問は全9問(解答数16)。「選択肢」(「具体例」、「脱文挿入」、「本文内容合致」、「複数完全解答」あり)、「説明記述」(全3問。全て「字数指定」なし)、「漢字の書きとり」(全5問)。問題文は7分弱で読み切り、設問を18~19分で解きたい。
大問は「小説」、出典は高瀬準子「新しい恋愛」(文字数約3500字)。小問は全8問(解答数は15)。「選択肢」(「空所補充」、「本文内容合致」、「総合的知識問題」あり)、「ひらがな記述」(総合的知識問題)、「説明記述」(全3問。全て「字数指定」なし)。問題文は4分ほどで読み切り、設問を21分程度で解きたい。

【大問一】

  • 難度:標準
  • 時間配分:25分
  • ★必答問題

「ナラティヴ」に対する誤解を解き、<ケアする人>と<ケアされる人>の二者関係を軸に、ナラティヴによる「解釈」・「調停」・「介入」を熟思し、なぜ、「患者の話を聞くこと」「患者と対話すること」がケアになるのかを解き明かしている。本文では、「ヘルスケア」では医学的知識に基づく診断だけでなく対話的アプローチも必要だが、それが自己満足で終わらせないためには、ケアする側もされる側と同じくいずれは死ぬ存在だと自覚が必要だと指摘している。難解な語句や専門用語があるが、「★注」を使って内容を理解したい。「説明記述」を中心に本校らしい設問が並ぶ大問だ。以下、いくつかを検証してみたい。尚、問題文は【文章Ⅰ】・【文章Ⅱ】・【文章Ⅲ】に分かれている。

[問一] 「換言説明選択肢」(4択)。傍線部(1)の「ケア者が必然的に行わざるを得ない対話である」とは「どういうことか」を答える。「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。ここは「換言説明」なので、「行わざるを得ない対話」の「原意」と結びつかない「換言」を「消去」する。各選択肢の「文末」を確認する(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)。(ア)「今日の医療システムの中では浸透しきれていないということ」、(イ)「患者の語りを丁寧に聴いて問題を読みとるしかないということ」、(ウ)「患者の生活機能の領域や人生史についての一般的知識は十分身につけているということ」、(エ)「患者の人生のあり方を考えるべきだということ」。どうだろうか? 「行わざるを得ない対話なのだから、「患者の語りを丁寧に聴いて問題を読みとるしかない」以外は「消去」できると判別可能なはずだ。他の部分の説明を「同一意味段落」で確認しても特に誤っていないので(「論説文」「随筆」では「同一意味段落」に「根拠・手かがかり」がある)、「答え」は(イ)になる。見事な「一発消去」だったではないか。「原意消去」は必ず使いこなせるようにしたい。
                                   <時間配分目安:2分半>

[問二] 「相違説明記述」(「3行以内」指定、「90字ほど」の解答欄)。傍線部(2)「臨床推論は疾患を理解する実践であり、解釈的ナラティヴ・アプローチは病いを理解する実践であると言えるかもしれない」について、「『疾患』と『病い』とはどのように違うのか」を「三行以内」で説明する。両者の相違はどこで説明されているのかを「同一意味段落」でチェックしたい。すぐに、傍線部直前で説明されていることが分かるはずだ。「医学的な視点でとらえた病像を「疾患」と呼び、患者の視点とらえた病像、すなわち患者自身が五感で経験し、その意味を自分なりとらえているものを『病い』と呼んで区別する」と述べられている。あとは「補足すべき要素」を確認しながら、「字数」を調整して「過不足なく」まとめていけばいい。たとえば、「『疾患』はある症状に対して問診や検査結果などの情報を医学的な視点でとらえて診断したものだが、『病い』は患者自身が五感で経験し、患者の視点でその意味を自分なりにとら得たものという違い。」(91字)といった「答え」だ。
                                   <時間配分目安:3分半>

[問六] 「脱文挿入選択肢」(5択)。示されている、【文章Ⅲ】から抜けている文「つまり、いずれ壊れてしまうロボットのほうに、親近感を感じて、自分の話を聞いてほしいと思うのではないかというのが、 この仮説である。」を「入れるべき箇所」を、本文中の《》~《》のうちから答える。「脱文挿(そう)入」では「接続詞・指示語・副詞、そして、文脈(内容)」に着目すること。ここでは接続詞の「つまり」に先ずは着目したい。要は「脱文内容」の「換言」が直前にあることになる。各選択肢の箇所を確認し、「答え」は《》だと判別できなくてはいけない。「脱文挿入」では、「候補箇所」に必ず「代入確認」し、丁寧に確認することが肝要。
                                   <時間配分目安:1分半>

[問七] 「空所補充の語句選択肢」(全4問/4択)。本文中の空所  A    D  に「入れる語」を答える。各選択肢は、全て「接続詞」と「連語」だ。本校に限らず定番の問題。「接続詞」の判別では「逆接」はともかく、それ以外には十分に注意すること。「逆接」以外ではどれもがあてはまってしまう可能性があるのだ。単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの「接続詞」の「意味・用法」を的確に押さえた上で、「内容」を確認すること。また、形式段落冒頭の「接続詞」は「前段落全ての内容」を指し示すことにも注意したい。では、それぞれの空所の「答え」を確認していきたい。  A  には「逆接」の接続詞である(エ)「しかし」、  B  には「順接」の(ア)「したがって」、  C  には「換言」の(ウ)「つまり」、  D  には「対比」の連語である(イ)「これに対して」がそれぞれ入ると特定できるはずだ。「候補」はひとつとは限らないので、必ず全て「代入確認」すべし。
                                   <時間配分目安:1分半>

[問八] 「漢字の書きとり」(全5問)。例年並みの難易度だ。本校としては「標準レベル」。「全問正解」でいきたい。当然、「文脈」を正確に読み取り、的確な「漢字」に結びつけることを忘れてはならない。それぞれを確認する。(ア)「(条件を)トウニュウすれば」=「投入」⇒何ら問題なし。(イ)テキヒを見きわめる=「適否」⇒やや悩むか⇒「文脈」を正しく読み取ること。(ウ)「制度のカイゼン」=「改善」⇒書けて当然。(エ)オギナってくれる」=「補(って)」⇒問題ないはず。(オ)「自らのライレキ」=「来歴」⇒馴染みが薄いに違いない⇒「物事が過ぎ経てきた次第。由来」のことだ。尚、「トメ」「ハネ」などにも配慮し丁寧に記すこと。
                               <時間配分目安:全問で1分半弱>

【大問二】

  • 難度:標準
  • 時間配分:25分
  • ★必答問題

最高の<恋愛>小説集。あなたはどこまで共感できますか? ひと筋縄ではいかない5つの「恋」のかたち。本文では、中学生の姪(めい)である「美寧々」を一晩預かることになった社会人の「知星」は、ロマンチックすぎる交際相手について語るなかで、自分と「美寧々」との価値観や恋愛観の違いを実感していく姿を描いている。内容は難なく理解できる。ユニークな「総合的知識問題」など、多種多様な設問内容が連なっている。以下、いくつかの「設問」を確認する。

[問一] 「理由説明選択肢」(4択)。傍線部(1)「ロマンチックが嫌」について、「『知星』が『ロマンチックが嫌』と考えるのはなぜか」を答える。先ずは「原意消去」から。ここは「理由説明」なので、「ロマンチックが嫌」の「直接的理由」として結びつかない「説明」を「消去」していく。各選択肢の「文末」⇒だから⇒「ロマンチックが嫌」と結びつくかどうかで確認する。(ア)「準備を真剣に進めてほしいと願っているから」、(イ)「素直な言葉であるべきだと思っているから」、(ウ)「不快を感じてしまうから」、(エ)「自然と落ち着いてきたから」。「ロマンチックが嫌」なのだから、「不快を感じてしまう」以外は「消去」可能だと分かるはずだ。念のために、他の部分の説明を「同一場面」で確認する(「小説」「随筆」では「同一場面」に「手がかり・ヒント」がある)。特に誤ってはいないことが分かる。よって、「答え」は(ウ)でOKだ。華麗なる「一発消去」! 「小説」でも「原意消去」は使えると心得よ。
                                  <時間配分目安:1分程度>

[問三(一)] 「表現の意味の選択肢」(4択)。「総合的知識問題」。傍線部(3)「頭を巡(めぐ)らせた」の「本文での意味」を答える。それぞれの「原意」(本来の意味)に忠実に判別すれば何の問題もないはずなのだが、本文中での意味を意識し過ぎると間違ってしまう可能性があるので、要注意。「答え」を確認する。「頭を巡らせる」=「あれこれと深く考える」⇒「中学入試」の定番だ⇒「答え」は(エ)「あれこれと考えを働かせた」。こうした「語句の意味」では、「原意絶対優位の原則」を徹底させることが肝要。
                                <時間配分目安:全問で1分弱>

[問三(二)] 「空所補充の文字記述」(全4問。「ひらがな」指定)。「総合的知識問題」。「慣用句・ことわざ」。示されている(Ⅰ)~(Ⅳ)の「『頭』を使った慣用句やことわざなど」の空所にあてはまる「ひらがな」を記入する。(Ⅰ)「頭を Ⅰ (どうしたらよいかわからず、困ってしまう)⇒「答え」=「かかえる」。(Ⅱ)「頭が Ⅱ (感心させられ、尊敬の気持が起こる)⇒「答え」=「さがる」。(Ⅲ)「頭隠して Ⅲ 隠さず(自分では欠点などを隠したつもりだが、まだ一部分が見えていること)⇒「答え」=「しり」。(Ⅳ)「頭 Ⅳ (わけも聞かないで、いきなり決めつけること)⇒「答え」=「ごなし」。本校では「慣用句」「ことわざ」だけではなく、「四字熟語」「故事成語」なども完璧にしておくこと。
                                 <時間配分目安:全問で2分>

[問四] 「心情説明記述」(「3行以内」指定、「90字ほど」の解答欄)。傍線部(4)「わたしは子どもに諭(さと)されている」について、このとき「『知星』はどのような気持ちなのか」を「三行以内」で説明する。社会人である「知星」が中学生の「美寧々」に「諭されている」のだから、無論、「恥ずかしい気持ち」だと分かるはずだ。あとは「補足説明」を「同一意味段落」から読み取り、適切にまとめていけばいい。たとえば、「交際相手の言葉は、好きを好き以外の言葉で言いかえているだけなので、ロマンチックすぎるなどと嫌がらずに素直に受け止めるべきだと中学生の美寧々に言われ、大人として恥ずかしい気持ち。」(88字)といった「答え」になる。尚、「小説」では必ず「心情」が問われる。その際、「セリフ」⇔「ト書き」⇔「動作」⇔「情景」といった具合に多角的に読み取ることが必須だと心得よ。
                                   <時間配分目安:3分半>

※尚、[問八]は「本文内容合致選択肢設問」(4択)になっている。「論説文」や「説明文」の場合は「本文内容合致」=「論旨合致」として、「序論部分」および「結論部分」との照合で判別可能だが、「小説」では本文全てと照合する必要があり、とても「手間ひま」がかかる。「配点」(3点)を考慮すると、戦術的には「あとまわし」にすべきだ。無論、「捨て問」でも構わない。

攻略のポイント

「説明記述」での「素直ではない設問内容」をいかに的確に解きほぐすかが、「最大の攻略ポイント」。攻略のためには、「文章内容」に対応した「解法」を的確に用いて考えることが必要だ。したがって、基本的「解法」を完全に習得して適切に応用できるようにしておくことが重要。「設問内容の取り違い」による「失点」や「減点」を防ぎ、「得点力」を安定させたい。「合格ライン」は6割程度(過去4年間の4科目合計の「合格最低得点率」61.3%、本年度は下がって59.4%、過去4年間の「国語」の「受験者平均得点率」は61.0%、本年度は下がって59.4%)。「説明記述」での配点比率が高い本校では(本年度は48%)、「失点」「減点」が致命的になると心得よ

●「記述方法」の対策も怠ってはならない。正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていく手法を完璧にマスターすること。「内容」から必要度の優先順位を特定し、優先度の高いものから積み上げる。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習することが必要だ。さまざまな「字数」に応じてまとめられるような練習もしておきたい。

●ミスが許されない「総合的知識問題」。「国語常識」を含む「あらゆる知識」が問われる。本校を志望したその瞬間から、独自に「幅広い知識」を常に習得していくこと。塾での学習だけでは全く不十分なので、「独習」は欠かせない

●一昨年度初出の「内容推測記述」に引き続き、昨年度は「意見表明不適切判別選択肢」が出題された。2021年度から導入された新たな「大学入試新制度」を意識したものだ。本年度はともに未出だったが、来年度以降の出題も予想されるので、「思考力・判断力・表現力」を磨くべく練習を重ねてほしい

●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は全体で例年6500~8000字前後(本年度は増加して約8900字)。てきるだけ素早く正確に読み取っていきたい。分速800字以上を目標に「読む練習」を常にすること

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