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慶應義塾湘南藤沢中等部 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2022年度「慶應義塾湘南藤沢中等部の国語」
攻略のための学習方法

知識

SFCでは、「漢字の書きとり」はもちろん、様々な「総合知識問題」が出題されている。ありとあらゆる「知識」が求められる。

では、どうするか? 当然、一朝一夕には身につかないので、地道な努力が必要となる。
先ず「語彙力」。日々の積み重ねあるのみ。塾での「小テスト」等を確実にこなし、もし間違ったものがあれば、必ず書き出して覚えるようにする。「漢字の読み書き」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」や「分かりづらい言葉の意味」等も押さえておきたい。

また、過去問や演習問題を実施する場合、問題文中の語彙で「読み・書き・意味」のいずれかがあいまいなものがあったら、書き出して自分なりの「語彙ノート」を作成しておくといい。そこには自分が分からない言葉が蓄積されていくので、折に触れ確認し定着させていく。入試当日に持っていけば、「お守り」にもなる。これらの「語彙」は様々な形式で多数出題されるし、「記述」の際にも重要だ。字数制限の中でいかに的確な「言葉」を用いるかが勝負となるからだ(特にSFCの「短い記述」では重要)。最終段階では、問題集等で何度も確認しておくこと。

そして、「文法」。塾でも学習しているはずだが、定着していない受験生が多い。直接出題されるだけではなく、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ減点されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の用法を確実に定着させておくことが重要だ。

速読

大学入試にも匹敵する分量の問題文を読まなくてはならない。全体で7000字弱~9000字超。解答時間は45分しかない。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから通常の「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。

「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているのでしっかりと読み、「本論」は「段落相互関係」に注目しながら各形式段落の「最初と最後」を中心に読み進める。

「小説」「随筆」は「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックしつつ、「心情表現」を拾いながら素早く読んでいく。これらのコツは塾でも教えてくれるはずだし、自分から聞いてみるといった積極性も求められる。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。SFCに限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。

そして、最終的には分速650字以上(できれば700字近く)で「速読」できるようにしておきたい。

解法

前述したが、SFCらしい「読解問題」の基本は「解法」の応用。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。

たとえば、塾での練習問題。答え合わせをして解説を聞いて納得した。以上終了ではダメだ。必ず「考え方」の道筋をなぞっておくことが重要。特に、間違った問題は宝の山だ。「解き方の過程」のどこで誤ってしまったのか? その分かれ道をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことが、同じ間違いを繰り返さない秘訣。
さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方の過程」を身につけたい。それが「解法」となる。

そうして理解、習得したものを書きとめた自分なりの「解法ノート」を作成しておく。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

記述

SFC定番の「長文自由記述問題」の「対策」も、先ずは「文を記す」ことに慣れることから始まる。最初は時間がかかってもいい。いやがらずに、とにかく「書く」。
そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」等、正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことが正確に伝わっているかを確認しなくてはいけない。

では、何を「書く」のか? 読解の練習問題にある「記述設問」はもちろんだが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。100字程度で書いてみる(「長文自由記述問題」の練習になる)。無論、内容は先生に確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一石二鳥だ。

次の段階としては「字数の感覚」を身につけること。書こうとしている内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要になる。その際、10~20字程度をひとつのブロックとして考えるといい。

「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」や「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要の要素」を文末にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく。

意識

いつ何時も、何かを「意識」しながら学習することが大切だ。無意識に机に向っていても無意味だ。その時々、何を目的として学習しているのか、具体的に「意識」し続けていることが重要。

そうして何かを「意識」することができるようになったら、次は同時にいくつかのことを「意識」するようにして学習したい。「設問」を正しく理解しているか? 「細部」を無視していないか? 「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」している必要がある。

45分という時間で解き進めていかなくてはならないSFCでは、ひとつのミスが致命的になる。入試本番では、見直しの時間はないと思った方がいい。常に「意識」しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。

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2022年度「慶應義塾湘南藤沢中等部の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「総合的知識問題」。小問なし(解答数10)。「漢字の音読み判別記述」(全て「二字熟語」)。2分強で丁寧に終えたい。

大問は「論説文」、出典はドリアン助川「プチ革命――言葉の森を育てよう」(文字数約3900字)。小問は全9問(解答数18)。「選択肢」(「正誤判別」、「総合的知識問題」あり)、「抜き出し」(1問)、「ひらがな記述」(総合的知識問題。空所補充)。問題文は5分程度で読み切り、設問を9分ほどで解きたい。

大問は「小説」、出典は幸田文「台所のおと」所収の「濃紺」(文字数約3700字)。小問は全9問(解答数17)。「漢字の書きとり」(5問)、「選択肢」(「内容合致判別」、「総合的知識問題」、「一般常識」あり)、「抜き出し」(1問)。問題文は5分弱で読み切り、設問を10分程度で解きたい。

大問は「説明文」。出典未詳「2021年東京オリンピックでのソフトボールチーム金メダル獲得に関する説明文」(文字数約600字)。小問なし。「ソフトボールチームの監督としての論述問題」(「140字以内」指定)。15分ほどでまとめたい。

【大問一】「総合的知識問題」(漢字の音読み判別記述)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:2分

「二字熟語のひとつの漢字の音読み判別記述」(全10問)。

示されている①~⑩各組の「二字熟語」のうち、二重傍線部の「漢字の読みが違う熟語の読み」を「ひらがな」で答える。〈例〉として、「才女」・「天女」・「子女」⇒「答え」=「てんにょ」、「人気」・「天気」・「元気」⇒「答え」=「ひとけ」が挙げられている。えっ、何これ? という感じになるだろう「漢字」の「答え」だけをチェックする。

「内訳」・「直訳」・「通訳」⇒「うちわけ」・「ちょくやく」・「つうやく」⇒「答え」=「うちわけ」。

「家屋」・「楽屋」・「平屋」⇒「かおく」・「がくや」・「平屋」⇒「答え」=「かおく」。

「密度」・「支度」・「節度」⇒「みつど」・「したく」・「せつど」⇒「答え」=「したく」。

「王家」・「出家」・「人家」⇒「おうけ」・「しゅっけ」・「じんか」⇒「答え」=「じんか」。

「発作」・「工作」・「不作」⇒「ほっさ」・「こうさく」・「ふさく」⇒「答え」=「ほっさ」。

ひとつでも曖昧(あいまい)なものがあった諸君は猛省せよ。

本校の【大問一】は例年、趣向を凝らした「知識問題」となっている。どのような設問内容であっても、即座に対処できるように「語彙」の習得を完璧なものにしておくこと。

【大問二】「論説文の読解」(「総合的知識問題」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:14分
  • ★必答問題

どんなに生きづらい世の中でも人生を豊かにしていくのはその人の心だ。心が自由なら希望を持って生きていける。心の中に言葉の葉を繁らせて、人生を広げていこう――受身ではなく強制でもない、1人でできる「プチ革命」を提起している。本文では、筆者が20世紀末から21世紀初頭にかけてニューヨークで暮らした体験を導入として、「言葉とは何か」について論じている。「言語論」ではあるが、文章は平易で具体例が多く、内容は分かりやすい。「教養人」を求めている慶應義塾らしく、配点の半分近くが「総合的知識問題」という大問だ。それらを中心にいくつか確認してみたい。

[問一] 「語句の意味判別記入」(全4問)。「総合的知識問題」。

「文法」だ。本文中の波線部①~④のうち、「可能の意味のあるもの」には(A)、「可能の意味のないもの」には(B)を答える。それぞれの波線部を「品詞分解」して「答え」を判別していきたい。

  「さいなまれました。」⇒動詞「さいなむ(苛む)」の未然形「さいなま」+「受身」の助動詞「れる」の連用形「れ」+「丁寧」の助動詞「ます」の連用形「まし」+「過去」の助動詞「た」の終止形「た」=「答え」は(B)

  「やってこられたこと……」⇒動詞「やる」の連用形「やっ」+接続助詞「て」+動詞「くる(来る)」の未然形「こ」+「可能」の助動詞「られる」の連用形「られ」+「過去」の助動詞「た」の連体形「た」+名詞「こと」=「答え」は(A)

  「バンドを組め、」⇒可能動詞「組める」の連用形「組め」=「答え」は(A)

「ライブハウスで歌えたことは……」⇒可能動詞「歌える」の連用形「歌え」+「過去」の助動詞「た」の連体形「た」=「答え」は(A)。本校では、高校入試レベルの「文法的知識」が求められると心得よ。

                                <時間配分目安:全問で2分弱>

[問二] 「空所補充の語句選択肢」(全4問/9択)。

本文中の空所        に「あてはまる言葉」を答える。各選択肢は「接続詞」と「副詞」。本校に限らず、「接続詞」などの「空所補充問題」は定番だ。特に、「接続詞」では「逆接」以外には十分に注意すること。しっかりと確認しないと、どれもがあてはまってしまう可能性があるのだ。前後の「文脈」をしっかりと確認することが肝要だ。では、「答え」をチェックしていく。

    には「逆接」の「接続詞」である(オ)「それでも」、    には「なおさら」という意味の「副詞」である(エ)「ましてや」、    には「補足」の「接続詞」である(ク)「ちなみに」、    には「理由説明」の「接続詞」である(イ)「なぜなら」がそれぞれあてはまると分からなくてはいけない。尚、こうした「空所補充問題」では「候補」がひとつとは限らないので、必ず全ての「候補」を「代入確認」すること。

                                 <時間配分目安:全問で2分>

[問三] 「空所補充の語句選択肢」(6択)。「文脈」を踏まえての「総合的知識問題」。

「語句の意味の判別」だ。本文中の空所   A   に「入る漢字二文字」を答える。空所前後の「文脈」から「答え」を特定していく。

「彼(ベーシスト)は(本格的な寿司店で)ずいぶんと食べました。回転寿司ではないので大      です」⇒各選択肢は、(ア)「好評」・(イ)「混乱」・(ウ)「抜擢(ばってき)」・(エ)「躍進」・(オ)「奮発」・(カ)「賛成」⇒「回転寿司」ではない「本格的な寿司店」で「ずいぶんと食べた」のであれば、支払った金額は相当のものだったと考えられるはず⇒「思い切りよく金品を出す」という意味のある(オ)の「奮発」が「答え」だと判別できなくてはいけない。ちなみに、「奮発」の第一義は「気力を奮い起こすこと。発奮」なので要注意。尚、各選択肢の「語句」にひとつでも未定着のものがあった諸君は、徹底的に「語彙」の復習をしておくこと。

                                <時間配分目安:全問で1分半>

[問四] 「換言表現選択肢」(6択)。

本文中の「ベーシスト」(筆者のバンドのメンバー)の傍線部(1)「フィッシュ・イズ・フィッシュ」という言葉は「どのような発言に置き換えられるか」を答える。「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」を試みたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。ここは「換言表現」なので、「フィッシュ・イズ・フィッシュ」の「原意」結びつかない「表現」を「消去」することになる。先ずは、「傍線部一文一部の法則」に「手がかり」を求めたい(「傍線部が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要」という読解の基本となる解法)。直後に「(魚は魚だろ)」と意味が記されているとすぐに気づく。さらに、「同一意味段落」を確認する(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「根拠」「手がかり」がある)。次の行に「彼(ベーシスト)は寿司ダネの区別がついていなかった」と説明されている。ここで、各選択肢の「表現」と照合する。

(ア)「『単純なことじゃないか、当たり前だろ』」

(イ)「『君が何を考えているのか知りたいな』」

(ウ)「『こんな食べ方をする必要があるのか』」

(エ)「『寿司になる前の元の形が知りたいな』」

(オ)「『魚の身は肉とは違うものなんじゃないのかい』」

(カ)「『どれだって似たようなものじゃないのかい』」

「寿司ダネの区別がついていなかった」のだから、無論、(オ)以外は「消去」できるに決まっている。よって、「答え」は(カ)だ。見事な「一発消去」、「原意消去」を必ず試みることが鉄則だと心得よ。

                                   <時間配分目安:1分弱>

[問六] 「文学作品の不適切選択肢」(6択)。「総合的知識問題」。

「文学史」だ。傍線部(2)「宮沢賢治」の「作品ではないもの」を答える。

各選択肢は、(ア)「よだかの星」・(イ)「一房の葡萄(ぶどう)」・(ウ)「どんぐりと山猫」・(エ)「グスコーブドリの伝記」・(オ)「永訣(えいけつ)の朝」・(カ)「月夜のでんしんばしら」。

どうか? 判別できるか? 「宮沢賢治」の相当にマニアックな作品が並んでいる。ほとんどの諸君にとって、知らないものばかりではないか? ただ、本問は「不適切選択肢」なので、「一房の葡萄」の作者は「有島武郎」だと知ってさえいれば、「答え」は(イ)だと判別できるはずだ。いずれにしても、本校では「文学史」でも「ディープな知識」が求められているわけだ。

                                  <時間配分目安:30秒弱>

[問八] 「語句の空所補充文字記入」(全3カ所。「ひらがな1文字」指定。複数完全解答)。

「文脈」を踏まえた上での「総合的知識問題」。「意味・用法からの語句特定」だ。

傍線部(3)「□く□く□も」は「六文字の語」だが、意味が通るように、空所に「入れるひらがな一文字ずつ」を答える。何とも奇妙な問題だが、本校志望者にとってはひとつの試金石となる。前後の「文脈」から、即座に「せめて」「少なく見積もっても」という意味の副詞である「すくなくとも」がふさわしいと特定できなくてはならない。したがって、「答え」は「す(く)な(く)と(も)」になる。万一、特定できなかった諸君がいたとするならば、本校の求める「語彙力」には達していないと猛省せよ。

                                   <時間配分目安:1分弱>

【大問三】「小説の読解」(「一般常識」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:14分

女はそれぞれ「音」を持っている――なにげない日々の暮らしに耳を澄ませ、目を配り、心を傾ける。透徹した感性が紡ぐ珠玉の短編集の一篇。本文では、夫に先立たれ、和裁の腕で暮らしている「きよ」が、孫たちの言い争いを聞くうち、30年ほど前に贈られた下駄のことを思い出し、また履(は)いてみようと思う様子が描かれている。50年以上前の作品なので、馴染みのない語句があろうが、「◆注」を活用して内容を理解したい。「内容読解」と「総合的知識問題」などが混在しており、本校としては標準レベルの大問。一気呵成に得点を重ねていきたい。いくつかの「設問」を検証してみよう。

[問一] 「時期特定の選択肢」(4択)。「一般常識問題」。

「この話はいつ頃の話か」を答える。

各選択肢は、(ア)「江戸」・(イ)「明治」・(ウ)「昭和」・(エ)「平成」。

「時期」や「時代」を特定できそうな「キーワード」を拾っていく。「孫」の「いまはもう下駄、はかないもの」という言葉、「30年も以前」「普段ばきは下駄だった」という説明などから、常識的に考えて「昭和」の頃だと特定できるはずだ。「答え」は(ウ)。慶応義塾、当然ながら「一般常識」にも通じていなくてはならない。

                                    <時間配分目安:1分>

[問三] 「漢字の書きとり」(全5問)。

二重傍線部(a)~(e)の「カタカナ」を「漢字」に直す。本年度は昨年度と比べてやや平易になった。注意すべきものだけ「答え」を確認する。

(a)「ひと言がフイにつうと胸にしみて」=「不意」⇒「思いがけないこと。突然であること」だ。

(b)「きよのサイフは相変わらず普段ばきしか買えず」=「財布」⇒「買えず」とあることに着目すること。

(e)「削るヨチのない程に」=「余地」⇒「文脈」を正しく読み取り、「同音異義語」に要注意。万一曖昧(あいまい)なものがあったなら、徹頭徹尾「漢字練習」を繰り返すことが必要だ。

                                <時間配分目安:全問で1分半>

[問七] 「理由説明不適切選択肢」(6択)。

「きよが長年とっておいた下駄を見て」、傍線部(4)「このつぎはもう歯つぎ(=下駄の歯を修理すること)はできない」という「状態なのに履こうと思った理由」として「正しくないもの」を答える。もちろん、先ずは「原意消去」から。ここは「不適切理由説明」なので、「下駄を履こうと思った」ことの「直接的理由」として結びつかない「消去」すべき「選択肢」が「答え」となる。各選択肢の「文末」⇒「だから」⇒「下駄を履こうと思った」と結びつくかどうかだ(「選択肢」の「説明」では「文末」が最重要ポイント)。確認する。

(ア)「(下駄に対する)意地」

(イ)「(役割を)全(まっと)うさせてやりたい思い」

(ウ)「(下駄に)愛想が尽きた気持ち」

(エ)「(下駄の魅力が記憶以上だった)驚き」

(オ)「(下駄を)愛おしむ気持ち」

(カ)「(作ってくれた青年に)報いたい気持ち」

「履こうと思った」のだから、「愛想が尽きた気持ち」は全く「理由」になっていないとすぐに判断できるはずだ。念のために、「同一場面」を確認する(「小説」では「同一場面の直前直後」に「根拠・手がかり」がある)。他の部分の説明も特には誤っていない。したがって、「答え」は(ウ)になる。瞬時に「一発消去」できた。見事な「神業」ではないか。「理由説明」でも使える「原意消去」、完全習得して完璧に応用すべし。

                                   <時間配分目安:1分弱>

[問九] 「内容説明抜き出し」(「25字以内」の「最初の5字」指定)。

傍線部(6)「下駄は三十年のきよの心にこたえて」について、「下駄ときよはどのような共通点でつながっているか」を「二十五字以内」で抜き出し、「最初の五字」を答える。「抜き出し設問」では先ず「抜き出し内容」を特定し、「抜き出し範囲」を絞りこんでいくのが鉄則。「内容」は「下駄ときよとがつながっている共通点」だとすぐに判断できる。「範囲」は無論、「同一場面」だ。ただし、ここでは「下駄ときよとがつながった」のは「三十年前」なので、「回想場面」が「範囲」になる。丁寧に探していく。すると、「回想場面」の最後から2番目の段落に「(下駄のくせのある木のいとしさと、そのくせのある材に手間をかけたその人の哀しさ、くせを贈られた自分=きよとの)三者ともに通じるのは、ふしあわせな環境におかれたとき我慢する能力がある、という点だった」という部分がある。「三者ともに通じる」=「下駄ときよとがつながっている共通点」でもある。まさに、「抜き出し内容」に結びつく。「字数」もOKだ。「範囲」の中で他に候補はない。したがって、「最初の五字」なので「答え」は「ふしあわせ」になる。「抜き出し設問」では「抜き出し範囲」の絞り込みがポイントとなると心得よ。尚、「抜き出し候補」はひとつとは限らないので、必ず「範囲」の全てを隈なく探すこと。

                                   <時間配分目安:2分半>

【大問四】「考察論述問題」(「ソフトボールチームの監督としての方針」について)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:15分

「条件付き考察論述問題」(「140字以内」指定)。

「2021年東京オリンピックでのソフトボールチーム金メダル獲得」に関して、「『勝っても負けても結果に影響のない第5戦』で勝ったアメリカチームが『決勝』では負け、『第5戦』で負けた日本チームが『決勝』では勝った」ことについての「説明文」を踏まえた上で、「あなたがもしこの『第5戦』日本チームの監督と同じ立場に置かれたら、この試合にどのような方針で臨むか。また、その方針を試合前の選手に何と伝えるか」を「百四十字以内」で論述する。「条件」は「原稿用紙の使い方に従って書くこと。ただし、一マス目から書き始め、改段落はしないこと」だ。本年度は、例年以上にさまざまな内容が課された昨年度よりもさらに複雑な設問内容になった。面倒くさい? 確かにそうだ。だが、「説明文」の内容を読み解くことで、「ポイント」が自ずと浮かび上がってくるので、実は論述しやすいのだ。「『勝っても負けても結果に影響のない第5戦』にどのような方針で臨むか」という視点で「説明文」を読み取っていくと、後半で「肝心なのは決勝を全力で勝つことだけだ」と述べていることが分かる。これこそ、「方針」の眼目につながると判断できなくてはいけない。したがって、たとえば「第5戦は勝つことよりも相手を研究するという方針で臨む」、また、選手には「『一番大切なのは決勝で勝つことだから、この試合は負けてもいいので、相手の長所と短所を見極めることを第一に戦おう』と伝える」といった内容が考察できるはずだ。こうした「内容」を、あなた自身の表現で詳しくまとめていきたい。本校では定番の「長文考察論述問題」は配点も大きく(本年度は「10点」)、合否を左右すると言っても過言ではない。したがって、多くの過去問をこなして練習しておくことが不可欠だ。尚、「条件」は「手がかり・ヒント」でもあると心得よ。

攻略のポイント

「長文考察論述問題」をいかに攻略するかが最大のポイント。しかし、突飛とまで言えるユニークな「題材」や「設問内容」は毎年変わるのだから(特3年前は全く新しい傾向の出題だった)、具体的な「対策」は難しい。ただ、着目すべきはこの問題を通して本校が何を問おうとしているのかということ。簡潔にいえば、柔軟な「発想力」や「着想力」と「構成力」「表現力」だ。したがって、こうした「力」を磨く訓練をすることが攻略への道となる。「発想力」や「着想力」については、たとえぱ、目前にある「何か」(「消しゴム」でも「ノート」でも「お守り」でも何でもいい)について「100字程度の自由記述(論述)」をしてみる。思いつくままでいい。とにかく、「何か」に着目して次々と「連想」し「発想」を広げて書いていく。その繰り返しこそが重要なのだ。何度も何度も練習したい。また、「構成力」「表現力」は「長文記述(論述)」の基本的「解法」なので、しっかりと磨いておくこと。 

●無論、通常の「読解問題」も侮れない。「高度な読解力」が求められるが、その基本も「解法」だ。それぞれの「文章内容」や「設問内容」に対応した「解法」を、的確に用いることが重要。特に、本校では「空所補充設問」の比率が高いので、十分に練習を重ねておくことが求められる。

●本校に限らず慶應義塾は「教養人」を求めている。それは、単に「国語」としての「語彙力」というだけでなく、「一般常識」「社会的通念」というものまで問うてくるということだ。本校を志した瞬間から「あらゆる知識」を吸収するように努力することが必要だ。

●制限時間は45分。問題文のボリュームは全体で7000~10000字超(本年度は減少して約8200字)。いかに速く読み取れるかが勝負だ。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。

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