頌栄女子学院中学校 入試対策
2015年度「頌栄女子学院中学校の社会」
攻略のための学習方法
[スライド式学習]
「頌栄対策」では先ず、「地理」「歴史」「公民」全単元と「時事問題」の「知識」を確実に定着させることが重要だ。
「基礎的事項」は無論、細部にわたる「知識」や「深い理解」も求められるので、テキストの「注」や「囲み説明」等のチェックもすること。
だが、悲しいことに人は忘れるものだ。時が経てば経つほど忘れる。ここに落とし穴がある。
基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し定着させたのか、その時期が問題となる。塾では通常、本格的な受験勉強が始まる５年生になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、６年生の夏休み前には終える。その後は「復習」となるが、メインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。６年生で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか？ 実質的に１年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。「地理」の全分野から出題される頌栄ではなおさらだ。
そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での学習とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある５年生の冬休みやその後の春休みを利用して、徹底的に「地理」の「復習」をしておくことがポイントだ。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用するといい。さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習を独自に続けておくことで、ライバルに差をつけておこう。
[いもづる式学習]
全ての単元に共通だが、「暗記事項」はそれぞれ単独(要は「一問一答方式」)で定着させていても無意味だ。
バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられない。ましてや、頌栄で求められる「多角的思考」などできるはずがない。
そこで重要となるのが「いもづる式学習法」。「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習だ。１つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。もし「言葉」としては覚えていても「内容」があいまいになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ここでも「復習」できる)。また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。その上で、それらが結びつく背景(＝「面」)をも理解するようにする。
このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても、「線」で結びつけて答えられることになる。
さらに、単元もまたいでいるので、頌栄おなじみの「３単元融合問題」にも対応できるようになる。
無論、「多角的思考」にも「いもづる式学習法」は力を発揮する。
[手づくり式学習]
特に、「歴史」単元の「復習」で必要となる。
塾での「歴史」の学習は通常、「政治史」を軸とした「通史」で「時代別」「時代順」になっている。
しかし、頌栄に限らず上位校ではそうした単純な出題はほとんどない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸になっている。
それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。
「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」～「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。
さらに、その「年表」には「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」も対応させて記入しておきたい。「世紀」と「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみたい。
[細部へのこだわり式学習]
前述のように、「リード文」「設問文」「統計資料」等の「要素」と、自らの「知識」を多角的に結びつけないと解けない問題が頌栄には多い。
考える際の前提は無論、それぞれの「要素」をいかに正確に読み取るかということだ。そこから「考えるヒント」を見つけ出すのだから、「細部」にこだわって読み取ることが重要となる。
当然、トレーニングが欠かせない。過去問や練習問題等を用いて、各「要素」の細かな「意味」や「資料の数字」、そして「関連事項」など全てを材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する練習をしなくてはいけない。導き出せることについては、過去問や問題集の「解説」に示されているはずなので活用する。
こうした「細部へのこだわり学習」を続けることで、次第に様々な「要素」から着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」と結びつけて考えていけばいい。
[意識継続式学習]
どのような場合も、常に何かを「意識」しながら学習することが必要だ。なんとなく机に向っていても時間の無駄。
その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのかを具体的に「意識」し続けていることが重要だ。そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。
頌栄の入試では40分という制限の中で、様々な「要素」を考え「条件」をクリアして70もの問題に答えなくてはならない。だからこそ、「設問」を正しく理解しているか？ 「要素」は全て確認したか？ 「他の設問」との関連は大丈夫か？「条件」を満たしているか？ つまらないミスはないか？ といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。
当然、「時間」も「意識」すること。入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。
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2015年度「頌栄女子学院中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問１は｢総合｣(｢歴史｣が６割で｢地理｣｢時事｣｢公民｣の順)。｢第一次世界大戦｣を題材とした問題。小問は全９問(解答数37)、｢選択肢｣｢事項記述｣｢空所補充記述｣｢説明記述｣(｢10字以内指定｣１問と｢字数指定なし｣４問)。
大問２は｢地理｣(ただし｢歴史｣１問含む)。｢北陸新幹線｣を題材とした問題。小問は全８問(解答数８)、｢選択肢｣｢事項記述｣｢説明記述｣(｢字数指定なし｣２問)。
大問３は｢地理｣。｢各府県の特徴｣についての問題。小問はなく解答数５、｢選択肢｣のみ。
大問４は｢総合｣(｢公民｣が半分で｢時事｣｢歴史｣の順)。｢女性の権利｣を題材とした問題。小問は全７問(解答数11)、｢選択肢｣｢事項記述｣｢空所補充記述｣｢説明記述｣(｢字数指定なし｣４問)。
時間配分としては、２分で３問を解くペースでいきたい。
[大問1]
- 時間配分：
｢2014年は第一次世界大戦勃発から百周年｣という｢時事ネタ｣を切り口とした｢大戦と日本との関係｣についての｢リード文｣からの出題。各単元が混在しており、難易度もバラバラ。
以下、いくつかの｢設問｣を確認してみよう。
[問１] ｢リード文中の空所補充記述設問｣(全20問)。｢歴史｣単元。
｢広く深い知識｣が必要なものが紛れている。
｢辛亥革命｣⇒｢空所(２)｣(＝｢清(朝)｣滅亡)、
｢大戦景気｣⇒｢空所(13)｣(＝｢猪苗代(湖)｣)と｢東京の間の送電成功｣、
｢1879年以来日本の領土｣⇒｢空所(14)｣(＝｢琉球(処分)｣)、
｢1921年開催の太平洋地域の新秩序形成についての会議｣⇒｢空所(19)｣(＝｢ワシントン(会議)｣)
などは、特に注意したい。
歴史的事項に関しては、｢周辺の背景｣も含めて理解しておくことが重要だ。
＜時間配分目安：７分＞
[問２(Ａ)] ｢下線部についての選択肢設問(複数完全解答)｣(７択)。｢歴史｣単元。
｢三国同盟｣の国々｢３つ｣を答える
。｢第一次世界大戦の背景｣にあったのが｢三国同盟と三国協商の対立｣だ｡
｢ドイツ･イタリア･オーストリア｣vs.｢イギリス･フランス･ロシア｣｡
｢戦争｣では、｢背景｣｢きっかけ｣｢講和｣の三要素が重要だ。
塾では詳しく学習していない可能性があるが、自らしっかりと確認しておく必要がある。
＜時間配分目安：１分以内＞
[問３] ｢下線部についての写真読み取り説明記述｣(字数指定なし｡100字ほどの解答欄)。｢歴史｣単元。
それまでの戦争とは性質が異なっていると指摘されている｢第一次世界大戦｣の｢大きな特色｣を、２枚の写真(①｢軍需工場の様子｣と②｢食糧配給を待つ行列｣)をもとに説明する。
｢新兵器のデパート｣｢国家の総力戦｣｢かつてない犠牲者｣といった｢特色｣は知っていなくてはいけない。
あとは、｢写真｣から読み取れることを結びつけていく。
｢戦場の写真｣ではないという点がポイント｡｢近代的兵器｣の製造には｢高い工業力｣が必要となり、｢工場｣では｢女性や老人｣も働いている。
また、｢食糧配給｣などで｢国民生活｣も犠牲になっているわけで、｢国家総動員の国をあげての戦争｣だということだ。こうしたことをまとめていきたい。
｢自らの知識｣と｢読み取ったことがら｣を多角的に結びつけることが肝要。
＜時間配分目安：３～４分＞
[問８] ｢下線部に関連する空所補充記述設問｣(２問)。｢地理｣単元。
｢製糸業とは[Ｘ](１字)の繭から[Ｙ](２字)を作ること｣という説明の、[Ｘ][Ｙ]に当てはまる｢言葉｣を答える。
誰だってすぐに、[Ｘ]＝｢カイコ｣、[Ｙ]＝｢生糸｣だと分かる。
だが、[Ｘ]は｢１字指定｣、｢漢字指定｣ではないが漢字でなければ答えられない｢意地悪な問題｣。｢カイコ｣＝｢蚕｣だ｡
原則的に｢全て漢字で覚える｣と心得よ。
さらに、この問題のような｢字数指定｣を考え、｢同じ事項｣についての｢字数の異なる２つの表現｣がある場合、両方を押さえておく必要がある(｢御成敗式目｣＝｢貞永式目｣、｢地方公共団体｣＝｢地方自治体｣など)｡
[問９(Ｃ)] ｢下線部に関連する説明記述｣(字数指定なし｡20字ほどの解答欄)。｢時事｣単元。
｢2014年、民主化を求める大規模なデモが繰り広げられた香港｣について、｢人々が要求した民主主義の内容｣を説明する。
やはり、頌栄の｢時事問題｣は一筋縄ではいかない。
｢香港でのデモ｣までは楽勝だ。
しかし、その｢内容｣となるとどうか？ ｢行政長官選挙での、立候補制限のない普通選挙実施要求｣だ。
｢時事｣での｢深い知識｣は頌栄合格には不可欠。
＜時間配分目安：１分以内＞
[大問2]
- 時間配分：
｢2015年３月の北陸新幹線開業｣という｢時事ネタ｣を切り口とした｢リード文｣と｢通過する５県の特徴を述べた説明(Ａ～Ｅ)｣からの出題。｢歴史｣１問以外、｢地理｣単元｡さほど難しくはない｡以下、少しだけ｢設問｣を検討する。
[問１] ｢下線部についての事項記述設問｣(漢字指定)。｢地理｣単元。
｢５県｣のうち、｢Ａ｣で説明されている県の｢南西部の県境をなす山々｣を含む｢山脈名｣を答える。
｢Ａ｣には｢８つの県と隣接｣とあるので、すぐに｢長野県｣だと分からなくてはいけない。で、｢南西部｣といえば｢南アルプス｣だが、｢漢字指定｣なので｢赤石山脈｣と答える。
意外と忘れている日本各地の｢地形｣や｢地名｣、改めて再定着させておくこと。
＜時間配分目安：１分以内＞
[問６] ｢各説明の順序整序設問｣。｢地理｣単元。
｢Ａ｣～｢Ｅ｣の各県を｢東京からの北陸新幹線が通過する順｣に並べ替える。
｢Ａ｣＝｢長野県｣以外を確認する。｢キーワード｣と結びつけて各県を特定したい。
｢Ｂ｣＝｢全国一の生産量を誇るチューリップ｣⇒｢富山県｣、
｢Ｃ｣＝｢西部が山地で東部は平野｣｢市の数が最も多い｣｢ねぎ｣⇒｢埼玉県｣、
｢Ｄ｣＝｢幕末に開港｣｢湿田→乾田｣｢米｣⇒｢新潟県｣、
｢Ｅ｣＝｢かかあ天下とからっ風｣⇒｢群馬県｣
となる。
従って、｢答え｣は｢Ｃ→Ｅ→Ａ→Ｄ→Ｂ｣になる。｢地理｣に限らず、｢ひとつの事項｣を｢いくつかのキーワード｣と結びつけて覚えておくことが重要だ。
＜時間配分目安：２分＞
[問８] ｢波線部についての条件付き説明記述｣(字数指定なし｡50字ほどの解答欄)。｢地理｣単元。
｢リード文中の波線部｣について、｢東京－金沢間の所要時間がこれまでの４時間から２時間半に短縮されると、航空機よりも新幹線で移動する人の方が多くなると予測｣されている｢根拠｣を、｢資料１｣(各都市間移動の新幹線と航空機のシェア)と｢資料２｣(新幹線の時刻表)から読み取り、｢具体的な所要時間｣をあげて説明する。
｢正確な資料の読み取り｣に基づいて、しっかりと考えなければ答えられない。頌栄らしい良問だ。
｢具体的な所要時間｣が鍵だ。
｢資料１｣で｢各都市間移動の新幹線と航空機｣の利用割合を確認する。どこに着目してもいい｡たとえば、｢東京｣からだと｢広島｣までは｢新幹線｣が多いが、｢山口｣以遠では｢航空機｣に逆転していることが分かる。
｢資料２｣からは｢東京－広島間の所要時間は約４時間、東京－山口間は約４時間半｣だと判明する。
ということは？ ｢所要時間４時間を境として、航空機から新幹線に逆転する｣ということだ。そうしたことを｢資料｣にも触れながらまとめればいい。
｢資料読み取り｣は繰り返し練習しておくこと。
＜時間配分目安：３分＞
[大問3]
- 時間配分：
｢選択肢設問｣(６択)｡｢地理｣単元。
｢Ａ～Ｅ｣それぞれに示されている｢５府県｣に｢共通する特徴｣を、選択肢(ア)～(カ)の中からそれぞれ答える。基礎的知識でこなせるが、ひとつだけ悩むかも。
｢Ｅ｣の｢秋田県･新潟県･愛知県･京都府･兵庫県｣、残りの選択肢は、(ウ)｢最高気温40度以上を記録した都市がある｣か(オ)｢清酒生産量上位５位までの府県｣かだ。｢知識｣として明確に覚えていることはあり得ない。｢類推｣する。
｢40度以上｣で｢秋田県｣｢新潟県｣はどうか？ ｢清酒｣⇒｢米どころ｣＝｢秋田県｣｢新潟県｣！ ｢兵庫県｣の｢灘｣といえば｢清酒｣！ であれば、(オ)を｢答え｣にしていい。｢知っていること｣から｢類推｣することも必要。
＜時間配分目安：２分半＞
【大問4】
- 時間配分：
｢マララ･ユスフザイさんが2014年のノーベル平和賞を史上最年少で受賞｣という｢時事ネタ｣を切り口とした｢女性の権利拡大と男女共同参画社会の現状｣についての｢リード文｣からの出題。
ほぼ｢公民｣単元だが、若干｢時事｣｢歴史｣もある。
平易な問題が並ぶが(最後の｢記述｣３問も、よく知られた｢資料｣の読み取りなので問題ないはず)、２問だけ｢悩ましい選択肢設問｣がある。
それらを考えてみたい。
[問４] ｢下線部についての選択肢設問｣(４択)。｢公民｣単元。
下線部③｢国際連合総会｣についての説明で｢正しいもの｣を答える。
｢新たな加盟国承認には過半数の賛成が必要｣(×→｢2/3以上｣)となっている選択肢(イ)と、｢常任理事国の１カ国でも反対すると決議できない｣(×→｢拒否権｣が認められているのは｢安全保障理事会｣)とある(エ)は明らかに｢不適切｣｡
(ウ)の｢総会での投票は平等に一国一票制｣が｢正しい｣に決まっているのだが、(ア)の判別で悩んでしまわないか？
｢事務総長を議長とし｣とある。たぶん、知らないことだ。だが、｢事務総長｣は｢国連のトップ｣⇒｢議長｣もあり得る？ などと惑わされてはいけない。
｢知らない｣ことで判別はできないのだから、｢知っていること｣に自信を持つべきなのだ。｢議長｣は｢加盟国｣の中から毎年選出される。従って、｢答え｣は｢(ウ)｣でいい。
＜時間配分目安：１分以内＞
[問６] ｢下線部に関連しての選択肢設問｣(４択)。｢公民｣単元。
｢国務大臣｣についての説明で｢正しいもの｣を答える。
上記｢問４｣同様の｢悩み｣がある。｢自衛官の経歴を持つ人は就任できない｣(×→｢退職していればいい｣)とある選択肢(ア)と、｢天皇によって任命｣(×→｢内閣総理大臣｣)の(ウ)は明らかに｢不適切｣｡
(イ)の｢過半数は国会議員である必要｣は誰が考えても｢正しい｣｡
では、(エ)の｢事務次官と政務次官のサポート｣はどうか？ 分からない！
だが、ここも｢知らないこと｣で悩む必要はない。｢答え｣は｢(イ)｣だ。
ちなみに、｢政務次官｣という役職は2001年に廃止された。しっかりと準備をしてきた受験生は、自らを信じる事が肝要だ。
＜時間配分目安：１分以内＞
攻略のポイント
●頌栄では｢基本的知識を基にした思考力や記述力、また、図表や資料等から必要な情報を読み取る能力を特に重視｣(本校ＨＰより)している。それらを問う｢設問｣では、｢リード文｣｢設問文｣｢統計資料｣｢歴史史料｣等の｢要素｣と自分の｢知識｣を多角的に結びつけて考えることが必要だ。
そのためにも、過去問演習を通じて(｢解説｣を読みながら)、どのような｢要素｣を組み合わせて考えていけばいいのかを繰り返し確認し、自分でも｢多角的思考｣ができるように練習していきたい。
●｢基本的な地名や人名その他の社会科用語については、必ず正しい漢字を使って書くよう日頃から心掛け｣｢毎日の世界中の出来事に目を向けて、新聞やテレビで伝えられることがこれまで学んできたこととどのようなつながりを持つのか、自ら考える習慣も大切｣(同ＨＰより)だということも常に意識していたい。
●合格ラインは55%ほど(2015年度の合格者平均は54.5%)。
｢試験時間｣を考えれば｢戦術｣は不可欠。基本は｢取れる問題を確実に押さえる｣ということ。潔く｢捨て問｣にするという覚悟も求められる。
｢基本的知識｣の完全定着で、基礎点(５割強)は獲得可能だ。
●もうひとつ。頌栄では｢４科目の配点が全て均等(100点満点)｣であることも注意したい。｢社会｣だからといって手抜きはできない。
逆に考えれば｢社会｣が得意科目である場合、ライバルに大きく差をつけるチャンスにもなる。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
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