早稲田中学校 入試対策
2025年度「早稲田中学校の国語」
攻略のための学習方法
【問題構成】
大問は物語と論説文の2題というのが定形となっている。文章量は2024年度では約8000字少なかったが、2025年度は約120000字であった。
問題数は最新年度では17問であった。そのうち、記号選択9問・記述3問・書き抜き2問と漢字・その他という構成である。2025年度の記述問題は50字ほどでまとめるものだが、制限字数の幅が5字しかないので、指定の字数にうまく収める難しさが生じてしまっている。
時間は50分なので十分足りるのだが、素材文自体がやや難しかったり、設問にも難しいものが織り交ぜられていたりと、簡単な試験ではない。時間を充分使ってやや難しい問題をじっくり考える試験であると言える。
【文学的文章の読解】
家族や友人との関わりを描いたものが多く見られる。また、フィクションとしてユニークな設定の物語も用いられる。
例えば2017年度では、主人公は車である。車の目から、その所有者家族やその友人の言動・隣家の車との会話などを通して、周囲の人間、さらには車の気持ちまでもが描かれている。多分に想像力を要する問題である。読書経験の中でも、現実に近い設定のものやSF・ファンタジーのような時空を超えた壮大なものなど、様々な書物や多様な設定・形態の小説に多く触れておくことが、このような問題では力となるだろう。
ともあれ、まずは長文読解の基本的な力をつけることが第一である。時間・場所・登場人物などの変化で場面の変わり目をチェックする。人物の性格も考慮し、その言動や情景などから、心情を理解する。あらすじをまとめ、誰のどんな気持ちを描いた話なのか・主題を考える、といった基本の取り組み方を練習しておこう。
【説明的文章の読解】
国際化・日本文化・哲学など、幅広いテーマの文章が使われている。
選択肢問題でも記述問題でも、要点・要旨がしっかり見抜けているかどうかがポイントになる。論理的文章の読解の基本をしっかり身に付けよう。
段落の整理。形式段落を意味段落でまとめ、小見出しをつけるとわかりやすい。段落のつながりをよく確認しよう。各段落の要点を傍線などで目立つようにしておく。要点をまとめ要旨を把握する。おおまかに要約も考えておくと良い。問題を多くこなして論理の流れを正確にたどれるようになっておこう。
【選択肢問題と記述問題】
選択肢問題は、似たような選択肢で紛らわしいとか文が長すぎて手間がかかるとか、いわゆる意地悪な選択肢ではない。しかし、素材文の細かい部分まで正確に読み取れていないと正解できない問題が多く、また、正解をあるだけ選びなさいといった全体を正確に読むことが必要な設問も多い。
選択肢問題のコツというよりも、読解力そのものが必要な問題という印象である。類似問題を多くこなすことはもちろんだが、本文を細部まで正確に読み取る注意力も十分に高めておきたい。
記述問題は2025年度では45~50字以内という、その差5字の範囲内でまとめる問題になっており、字数調整に慣れておかなければならない。問われる内容は、傍線部近くだけ読んでも答えられないものが多い。次の場面や、さらに先の段落、全体のテーマなども含めて答えを探さなければならないものがある。
要点のまとめや気持ちの変化の流れなど、やはり読解がしっかりできていることが重要となる。「自分の考えを述べよ」といった論説タイプの記述ではないので、本文をしっかり読めていれば得点できる。過去問で慣れておきたい。
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2025年度「早稲田中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
文章量は2題合わせて約12000字。ただし総解答数は17問しかないので時間は十分にある。記述問題も50字とさほど重いものではない。素材文の細部まで見落としのないように正確に読み取り、選択肢問題でも注意を怠らず、正確に読み着実に答える。過去問で時間の感覚をつかみ、確実な読解を心がけるようにしたい。
【大問一】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:27分
- ★必答問題
働く女性の妊娠・出産・子育てに対するさまざまな偏見や反感について、亜希と三津子と話すうちに主人公(茗子)は自分の誤りに気付く。
問1 A・B 少しあとで亜希が話している。茗子は「(例)妊娠中の人に迷惑って言う」(口に出して言った)ことに対しては謝っているが、妊娠の可能性がある人は個別認識しないなどの発言から心では「(例)妊娠・育児中の人を迷惑と思っている」のではないかと亜希は考えており、そこに「違和感」を感じているのである。
〔注目!――冒頭でいきなり記述問題が出されている。最初から後回しにはしづらいかもしれないが、時間がかかりそうな問題は記号選択などを終えてからあとでゆっくり考えよう。〕
問2 これから茗子に意見することになるので、いったん落ち着いて言いたいことを整理したかったのだと思われる。水を頼んだのもそうした気持ちの表れであろう。
問3 イ. 派遣社員が5年を超えて雇用される場合、本人が希望すれば無期雇用に転換できるというルールがある。
問4
イ. 三津子を通してしか言えないという状況は示されていない。
エ. 茗子に見下されているという事実はない。
問5 直前の「問題は妊娠や出産じゃなく、前野さん自身の問題」という話と同じような例として電車での体験を挙げ、「妊婦や子連れ」だからではなく、「もともと偉そうで感じが悪い人」が問題であると述べている。
問6 エ. 「わずかながらある」という程度に思ってはいない。
<時間配分目安:27分>
【大問二】論説文の読解
- 難度:標準
- 時間配分:23分
- ★必答問題
どんな主義や価値観も、それがただ自らで思考せず周囲への同調で生じたものであれば、いつまた放棄されるかわからない。友達と接するように自分と対話し、視点の複雑性を持たなければ思考は深まらないのである。
問1 a. 洞察 b. おちい(って) c. 独創
問2 戦後、すぐに元の道徳性に戻ったのは「ただ周囲への同調によ」るものであり、「思考の欠如」という意味においては、道徳性が失われた経緯と変わらないわけである。
問3 ウ. 「思考の条件である友情」とある。つまり、友情(他者との交流)が切断された結果、思考の欠如に至るわけであり、選択肢の因果関係は逆である。
問4 ナチスドイツの社会では虐殺に加担せず無責任とされた人々が、実は自らの考えで行動するという責任を負った人々だったのである。
問5 思考とは自己との対話である。友達との会話を通して自己対話を深めてこそ、複数の視点から物事を考えられる深い思考ができるようになるのである。
〔注目!――「思考に至る過程を踏まえて」とある。「友情」が思考にどのような作用を及ぼし、その結果どういう思考が可能になるかを順を追って説明しなければならないということである。また、制限字数の幅が5字しかないので、うまく調整できるよう過去問で練習しておこう。〕
問6 エ. 自己責任論への同調が、深く考えずただ周囲に合わせているだけだとしたら、かつてと同じように意識せず大きな暴力に加担しているのかもしれないのである。
<時間配分目安:23分>
攻略のポイント
まず、文量の多い素材を読むスピードが欲しい。問題数は少ないので考える時間の余裕はある。本文に注意深く目を通し、ポイントを見逃さないように正確に読む。解答のテクニックというよりもまっとうな読解力が求められているようである。
記述問題は字数指定の幅(5~10字)が狭いので、過去問で範囲内にまとめる感覚を養っておこう。
素材文・設問の難易度がやや高めではあるがクセの無い試験なので、他の難関校の問題なども利用するとよいだろう。
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