早稲田大学高等学院中学部 入試対策
2025年度「早稲田大学高等学院中学部の国語」
攻略のための学習方法
例年、説明的文章1題・文学的文章1題の計2問で構成されている。
文章量は7000~9000字ほどで総解答数は30問弱。漢字の書き取りが6~7問とその他の知識問題が数問見られる以外は、長文読解が大半を占める読解中心の試験となっている。
設問形式は記号選択が11~12問、記述問題が2~3問、残りが書き抜き問題といった割合で、年度により整序問題なども出題されている。
・長文読解
素材文は、説明的文章が2500~3000字程度、文学的文章が5000~6000字程度と、文学的文章の方が文量が多くなっているが、設定やストーリーが受験生にもわかりやすい話が多い。一方、論説文は難しい用語や概念も登場し、難易度がやや高い印象を受ける。
選択肢問題は、字数も少ないシンプルな選択肢が多く、内容も無理に迷わせるような複雑なものではないので、得点源としたいところである。
それと比べて書き抜き問題と記述問題はやや難しいものが多い。字数指定はあるが、答えを探す範囲の指定は無く、「本文全体をふまえて」といった条件がつく場合もある。傍線部の近くに答えが無いことも多いので、要領が悪いと時間切れの危険がある。本文のどこに何が書いてあるかを素早く的確に把握する必要がある。
・説明的文章
形式段落と意味段落の整理。意味段落の内容を小見出しのようにつけておくと後でわかりやすい。2016年度ではまさにそのような問題が出されている。
要点と要旨。各段落の最初と最後に注意しながら、傍線などで要点を目立つようにしておき、細部と区別する。要点をまとめて全体の要旨を読み取る。書き抜き問題や記述問題の答えは要点や要旨から見つかることが多い。
・文学的文章
場面の整理。時間・場所・登場人物の移動などから、場面の変わり目を見つけて印をつけておく。解答をどこから探すかの大きな目安になる。
人物の心情を考える。言動や情景などから、特に気持ちが変化した場面に注目して心情を把握する。自分ならばこう考える・・・といった予断は禁物である。あくまで、文中に書かれていること・暗示されていることを手がかりに考える。
以上のような、長文読解の基本的な手順を素早くこなし、解答する際に無駄に答えを探し回らないように練習しておくことが重要である。
・漢字・その他
毎年、6~7問出題される漢字の書き取りは本校の偏差値からすると易しい問題が多く、標準レベルである。塾などの漢字教材を一冊しっかりこなしておけば心配ないだろう。
言語事項や文法では、品詞・三字四字熟語・慣用句などが数問出されている。本校を受験するレベルの生徒であれば難しくはないだろうが、漢字と合わせて知識問題も油断なく勉強しておきたい。
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2025年度「早稲田大学高等学院中学部の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
長文2題合わせて10000字ほどと、やや多かった。総解答数は31問。漢字と数問の知識問題は7~8分で終え、残りは長文読解に充てることになる。
記述問題50字のものが1問に60字のものが1問、書き抜き問題が3問。その他は選択肢問題という割合であった。記号選択問題は比較的易しい問題が多いので、できるところからさっさと進め、難しい書き抜き問題と記述問題に少しでも多くの余力を残したい。
【大問一】論説文の読解
- 難度:標準
- 時間配分:23分
- ★必答問題
自己中は生物の本能であり、それゆえ社会のルールに従って他者と協力できることが説明されている。
問一 a. 過程 b. (無自)覚 c. 燃(えて) d. こころ
問二 A. 幕 B. 元
問三
B. すべての人が同じようにそう考える、「つまり」、あなただけでなく……。
D. なぜ~なるのかを説明しました。「ただし」、ここで注意が必要です。
問四 ルールに従うと、自分の好きなように水を飲むという「自己中」を制限することになる→選択肢ア。
問五 本能である自己中に従うと全面的な戦いになるので、力の強い者がルールを決め、それに従うことで協力し自身の安全を確保する……こうしたプロセスにおいて権力が発生したと述べられている。
問六 他者と協力し命の奪い合いをしない、といった意味であろうから、最後の段落の「善悪の観念」が抜き出せる。
問七 「吾輩は猫である」は夏目漱石、「高瀬舟」は森鴎外、「杜子春」は芥川龍之介、「たけくらべ」は樋口一葉の作である。
問八 「どんな生物もエゴイズムを本能」としていて、よだかは「自分もそこから逃れられないことに絶望した」のだと述べられている→選択肢エ。
問九 人がルールに従い他者と協力するのは、「なによりもまず自分の生命を確保すること」という強力なエゴイズムを持つがゆえである。相手のためではなく、自分にとってもっとも利益があるからこそ他者と協力するのである。
〔ワンポイント!――文学的文章でも記述問題が出ているが、本文を利用できる場合が多い説明的文章の記述問題の方がまとめやすいかもしれない。ともあれ、得意なほうの記述ではしっかり点を稼ごう。〕
問十
第一の部分:生物はおのずと「万人による万人の闘争」に向かうことが説明されている。
第二の部分:その解決策としての「リヴァイアサンとしての権力」について述べられている。
第三の部分:自己中それ自体は善でも悪でもないと結論付けている。
<時間配分目安:23分>
【大問二】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:27分
- ★必答問題
主人公は戦争で孤児になった文吉を自分の子どもとして育てている。文吉の友だちであるキクオも母親を亡くしており、主人公は心をひかれる。
問一 a. 暮(らし) b. 停(車場) c. 責任 d. 従(った)
問二
A. 三日にあげず――間をあけず・毎日のように。
B. (笑いを)殺す――声などが聞こえないようにする・押し殺す。
問三
ア. 九牛の一毛
イ. 立つ鳥あとをにごさず
ウ. 馬の耳に念仏
エ. 虎の威を借るキツネ
オ. 迷える羊
猿の前の干支はひつじなので、オ。
問四 イ. 「多くの人の声と声が重なった」場面は描かれていない。
問五 共通しているのは「実の母親がいない」ことである。
問六 子どもが最も甘えられる存在である母親がいないことの影響が大きいと思われる。「虚無的なところ」も感じられるとあるので、選択肢イのように「自然に大人の態度を身に着けていた」わけではなさそうである。
問七 父親が再婚し血のつながらない母としてキクオを育てている女性に、自分と同じ境遇を感じ共感を覚えているが、他人の家庭のことであるので表には出さないでいる。
〔ワンポイント!――選択肢問題は比較的難易度が抑えられている。無理に迷わせるような問題にはなっていないので、しっかり得点源としたい。〕
問八 キクオだけ先に電車に乗ってしまい、新宿駅で降りるようにと母親が合図で示した。主人公が前から気にかけていた子どもであり、新しい母親とも馴染んで暮らしている様子なので、新宿駅で待っているであろうキクオの姿を見るのが楽しみになっている。
問九 X. 昨日や今日の母子 Y. 調和
問十
イ. キクオの「男女同権」発言についての説明として合っている。
オ. 文吉が自分の実の子どもではないことを独白している部分の説明として合っている。
<時間配分目安:27分>
攻略のポイント
選択肢の問題は、比較的答えやすい問題が多い。書抜き問題も探す範囲が広い点は手間がかかるが、読解がしっかり出来ていれば答えられる。漢字と合わせてこの範囲の問題でしっかり得点を積み上げよう。その上で記述問題でもなるべく高い得点になるよう、過去問・類似問題で記述によく慣れておこう。
高偏差値の学校としては国語の試験は難易度が抑えられている。高得点での戦いが予想されるので、全体をしっかり考えられるスピードと不注意なミスを犯さない慎重さとを身につけておかれたい。
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