立教池袋中学校 入試対策
2025年度「立教池袋中学校の理科」
攻略のための学習方法
立教池袋の理科の出題では、いつもの勉強では、あまり触れることがないユニークな内容が出題されることが多い。本年度では「エコーロケーション」「冷媒」「DNA複製」、昨年度の「アーバンベア」「ネッククーラー」、2023年度の「海水の密度」「ボールに働く力」「光の速さの測定」、2022年度の「給湯器のエネルギー効率」「馬の遺伝子」、2021年度の「2021年度の「3億5千万年前の一日の長さ」・「日本刀」・「泡が出る入浴剤」、2020年度の「開花日」に関するいくつかのグラフ・「呼び鈴」、2019年の「もやし」・「暑さ指数」・「実際のエレベータの仕組み」、2018年の「ポップコーン」・「水星の軌道」、2016年の「大地震の周期」・「石油」、2014年の「カレーライス」、2012年の「コケ」、2010年の「ヤマネ」や「LED電球」、2009年の「膨張宇宙」。このうち、「LED電球は塾でも教わったよ」という生徒がいるかもしれないが、それは立教などの学校で出題されたからテキストに取り入れられたのであって、来年にはまた新しい内容が出題されるかもしれない。
もともと小学生の理科の原点は、「身近なものへのなぜ?なに?」であったことを考えると立教池袋の理科の方に正当性があるのだが、中学受験の理科も整理され体系立てまとめられていくと無理・無駄が省かれ、入試に出されやすいものをわかりやすい形で受験生に提供することになる。
それはそれでよいことだし、ほとんどの学校ではその内容の中から出され合格点も取れる仕組みになっている。
立教池袋の場合そのあたり少し異質なところがあるので、過去問を対策する時期になったときには少し注意して問題にあたってみよう。
その点を除くと、大問の文章はていねいでわかりやすく、1つの大問に対して設問も少ないので集中が切れることなく、また苦手な単元が出ても痛手が少ない。どちらかというとやりやすい、解きやすい理科のテストと言えよう。
しかし受験は甘くないのは、だからこそ受験生の多くは取り組みやすく、比較的平均点が高くなっている。簡単でできた、と思うのは誰もが同じこと。問題は、合格点を上回る正答率が出せたかと言うことであり、主観に過ぎない感想ではない。
やりやすい問題であるけれど、70%前後の得点を要求されるとなるとやはり厳しいレベルであることは間違いない。
合格点を取るための秘訣は?
まずは教材などで学ぶ、受験理科の基本的知識は穴のない形で頭に入れてしまおう。男子にありがちだが、計算分野ばかり得意とせず、植物・動物などの暗記物に時間をかけてもらいたい。
聞かれている知識は基本的とはいってもやはり上位校なので細かいことがらまで出来るだけ頭につめ込んで欲しい。柔軟な頭のうちに暗記力を高めておくことは大切で、長い目で見ても役立つ能力となる。
難易度としてはそう高くないレベルの設問が多いものの、典型的質問にとらわれずいろいろな視点で聞かれるので、同校の過去問や併願校のそれを演習しながら、入試問題ならではの出題を楽しむつもりで取り組んでもらいたい。
分野の克服が終ったら次は時間配分に余裕が持てるよう、早く解けるように自らを改革しよう。普段行う教材も、制限時間を定めてそれ以内に解くという練習を積めば、解くのにかかる時間はだんだんと短くなるはずだ。自分のペースでやるのは模試でよい。普段は自覚的にスピードを上げて解き、しかも正解できるように体と頭を改造していくこと。スピードが上がればいわゆるマイペースでも十分に間に合うようになる。
30分という短い間にいろいろな問題に会えるのが立教池袋の理科である。過去問を解いているうちは、その設問のユニークさを感じながら、面白いなと思って問題にあたって欲しい。そのゆとりある気持ちの向こうに合格が待っているはずだ。
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2025年度「立教池袋中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は30分で大問は7題,小問数は25で50点満点。大問数は例年6題または7題で、1つの大問に対する設問数は例年3~5問である。大問は、1つのテーマにそってじっくり考えさせる傾向が続いている。
例年ユニークな内容の出題が含まれている。本年度も、「DNAの複製」「冷媒」「エコーロケーション」がテーマの出題が見られた。このような問題に対しては、問題文の読み取りをしっかり行うことが大きなポイントとなる。
30分という試験時間に対して問題数がかなり多く、問題文の読み取りや計算に多くの時間がかかることから、できる問題から素早く解答欄を埋めていくという姿勢が求められる。
【大問1】音の伝わり方(エコーロケーションについて)
- 難度:標準
- 時間配分:4分
- ★必答問題
(1)コウモリ・イルカ・ウサギは哺乳類。
(2)340×5より、1700m。
(3)34×2÷340より、0.2秒後。
(4)60÷340-60÷1500より四捨五入して、0.14秒。
音の伝わり方に関する出題。コウモリやイルカのエコーロケーションが題材として取り上げられているが、テキストや問題集で取り上げられている音の速さに関する問題と相違はない。(4)の四捨五入など、正確な計算が求められる。
【大問2】物質の重さと浮力
- 難度:標準
- 時間配分:5分
- ★必答問題
(1)恐竜模型が水に浸かると、その体積分の水の重さが浮力として働く。
(2)長さが40分の1なので、体積は40×40×40分の1になる。
(3)360×64000より、約23000000㎤。
(4)23000000÷5500000より約2.2倍。
物質の重さと浮力に関しての出題。(1)で浮力についての知識が必要になるが、浮力に関する計算問題はない。(2)以降は、重さや体積の計算問題。計算の桁数が多いので、落ち着いて計算すること。
【大問3】重そうの加熱
- 難度:標準
- 時間配分:4分
- ★必答問題
(1)重そう加熱で発生し、石灰水を白く濁らせる気体は二酸化炭素。
(2)実験結果の表より、重曹そうの重さと加熱後の粉末の重さは、比例していることがわかる。3.36gは0.84gの4倍なので、0.53×4より、2.12g。
(3)同様に考えると、4.2gの重そうを加熱した時に得られる粉末は、4.2÷0.84×0.53より2.65g。従って、3.2-2.65より、0.55g
重そうの加熱に関する出題。化学分野では一般的な、比を用いた計算問題が中心。なお、重そうの正式な名称は炭酸水素ナトリウムであり、加熱によって二酸化炭素が発生することは知識として覚えておこう。
【大問4】光の屈折
- 難度:標準
- 時間配分:5分
- ★必答問題
(1)凸レンズの入り口と出口の2回、同じ方向に屈折する。
(2)完全に長方形である6区画以外の10区画を黒く塗ればよい。
(3)(2)で選択した10区画のカーブと同じ方向に三角形の斜辺が並んでいる図を選択すればよい。
(4)フレネルレンズに関する問題。(2)(3)より、レンズの屈折に関係ない部分を除いた軽い形状にしているが、像の画質は劣ると考えられる。
光の屈折に関する出題。(3)以降は(2)に基づいて考えるやや難度の高い問題になっている。(2)までは正答したい。(3)以降は思考に時間をかけ過ぎることは避けたい。
【大問5】冷媒について
- 難度:やや難
- 時間配分:4分
- ★必答問題
(1)問題の図にエアコンを暖房として使う場合の例があるので、その逆を考えればよい。
(2)二酸化炭素が水に溶けた水溶液は、石灰水ではなく、炭酸水である。
(3)グラフの読み取り問題。-10℃では液体、5℃では気体より、3MPaが選択される。
冷媒というユニークなテーマを題材にした出題。それだけに、問題文・図・グラフの読み取りが大きな意味を持つ。本校の出題では、このように問題の読み取りと理解が重要な意味を持つ問題が含まれていることを確認して欲しい。
【大問6】天体の動き
- 難度:標準
- 時間配分:4分
- ★必答問題
(1)オリオン座は1時間に15度東から西へ動いて見える。
(2)火星同様に地球の外側を公転する木星と土星を選択すればよい。
(3)地球が火星よりも1周多く公転するのにかかる日数を求めればよい。1÷(1/365-1/687)より、約780日となる。
星座と惑星の動きに関する出題。(1)は基本的な内容だが、(2)以降は問題文を読み取る力と思考力が求められる。天体については、単なる丸暗記ではなく、地球など惑星の公転、地球の自転、月の公転を理解し、それに基づいて考えることが大切である。
【大問7】DNAの複製
- 難度:やや難
- 時間配分:4分
(1)2を10回かければよく、1024個となる。
(2)問題文の保存的複製の説明より、もとも14Nを持つDNAと、新たに作られた15Nを持つDNAが半数ずつできる。
(3)1個のDNAの中に14Nと15Nの両方が含まれていると考えられるので、半保存的複製または分散的複製と考えられる。
(4)問題文の読み取りがポイントだが、難問であり捨て問レベル。
DNAの複製というユニークな内容がテーマの出題。問題文や図をしっかり読み取ることが必要だが、問題文を理解することが非常に難しい。特に(4)は深追いしなくてよいであろう。
攻略のポイント
テスト時間は30分で50点満点。本校理科の特徴として、ユニークな内容をテーマとした出題が多いことがあげられる。問題文を読んで、書かれてある内容や出題の意図を理解することが大きなポイントとなる。とは言っても、解答に必要なことは学習してきた知識や解法である。基本知識・基本的な解法を学習することの大切さを忘れないでほしい。
試験時間の30分に対して問題量がかなり多い。また、すべての大問において問題文がかなり長いので、問題文の読み取りにかなりの時間を要する。過去問を中心とした問題演習に時間をかけることが対策として必須である。
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