桐光学園高等学校 入試対策
2025年度「桐光学園高等学校の国語」
攻略のための学習方法
解法
「理由説明」にしても「記述」にしても、「桐光の国語」で勝利するための鍵は、「現代文」の「解法」をいかにうまく用いるかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」(随筆)、それぞれに応じた特有の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。
そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。
さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
記述
「桐光の記述対策」は「問題解説」及び「攻略ポイント」のとおりだが、その前提として為すべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。
では、何を「書く」か? 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。50~60字程度で書いてみる(桐光の典型的な「記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一挙両得。
次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。
その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。
ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく(その際はマス目のない用紙を使うこと)。
速読
「現代文」全体で8000字程度を読解しなくてはならない。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。
桐光に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。
知識
「高度な語彙力」だけではなく、「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる「桐光の国語」(直接出題だけではなく、「本文読解」等でも必然的に問われる)。
「攻略」するにはいかなる「学習法」があるのか? 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。
今からでもできることは、ある。先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。
さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。
なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500 四訂版」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。
古典
「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」「漢文」は必修カリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶこともない。
が、桐光などの「中高一貫校」ではそれらを中学時点で学び始めている。従って、「高校入試」で出題されることになる。明らかに「ハンディ」だが、仕方がない。塾での学習ないし「独習」をする他ない。最重要な「古文単語」(200語程度)を定着させ、基礎的な「文語文法」は「敬語」も含めて理解しておかなくてはならない。そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。また、「漢文」でも同様に「基本的事項」は定着させておくこと。
なお、「古文」強化用のテキストとしては、「古文完全攻略63選——入試頻出問題厳選」(東京学参)や、「古文単語」定着用として「マドンナ古文単語230」(学研)などが推薦できる。
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2025年度「桐光学園高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は「漢字の書きとり」。小問なし(解答数5)。2分程度で終えたい。
大問二は「論説文」、出典は田中大介「電車で怒られた」(文字数約2900字)。小問は全9問(解答数12)。「選択肢」(「空所補充」、「組み合わせ」、「不適切」、「総合的知識問題」あり)、「説明記述」(「50字以内」指定1問)。問題文は3分ほどで読み切り、設問を15分程度で解きたい。
大問三は「小説」、出典は福永武彦「退屈な少年」(文字数約1300字)。小問は全7問(解答数8)。「選択肢」(「本文内容合致」あり)。問題文は1分強で読み切り、設問を15分弱で解きたい。
大問四は「古典」、出典は「古文」が「源平盛衰記」(文字数約330字)、「漢文」は「白氏文集」(文字数98字)。小問は全6問(解答数8)。「選択肢」(「語句の意味」、「内容解釈」あり)、「抜き出し」(空所補充)、「返り点記入」、「説明記述」(「20字以内」指定1問)。14分程度で解きたい。
【大問一】
- 時間配分:2分
「漢字の書きとり」(5問)。
例年よりやや難解だが、できれば失点は避けたい。確認する。
(1)「だいたいエネルギー」=「代替」⇒「他のものでかえること」。(2)「のうりょう盆踊り大会」=「納涼」⇒問題ない。(3)「恩恵をほどこす」=「施(す)」⇒高校入試の定番、(4)「疑問点をふっしょくする」=「払拭」⇒やや難解か? (5)「きょえい心を捨てる」=「虚栄(心)」⇒「自分を実質以上に見せようと、見栄を張りたがる心」のことだ。「高度な語彙力」を磨いておくことが重要だ。
<時間配分目安:全問で2分>
【大問二】
- 時間配分:18分
交通空間のコミュニケーションの歴史と現在を通して、現代日本における都市構造やその変容を考察している。本文では、現在は重なり合う情報空間と交通空間のどちらを優先すべきなのかという新たな問題が表れていると指摘している。平易な文章なので、内容は理解できる。本校らしい多種多様な設問が並ぶ大問だ。以下、いくつかの小問を検証する。
[問一] 「語句の意味の選択肢」(全2問。各4択)。
「総合的知識問題」。本文中の傍線部(a)「厳格な」・(b)「端的に」の「本文における意味」を答える。「原意」(=「本来の意味」)での特定を優先させ、それが困難な場合は前後の「文脈」から判断していく。「答え」を確認する。「厳格だ」⇒「規律や道徳にきびしく、不正や怠慢を許さないこと」だと誰もが知っているはず⇒(a)の「答え」は選択肢(ア)「不正や例外を許さない」。「端的」⇒当然、定着しているはずの語句=「はっきりとしているさま。明白」という意味⇒(b)の「答え」は(ア)「言葉通りの意味で」。
尚、「本文中の意味」・「文脈」にこだわり過ぎると,「原意」からかけ離れてしまって誤答となる場合があるので、要注意。本校ではこの程度の「語彙力」は必須だと心得よ。
<時間配分目安:全問で2分弱>
[問三] 「内容説明選択肢」(4択)。
傍線部(1)「その内容に対する解像度がさらに上がっている」の「説明」を答える。「選択肢消去」では「原意消去」が基本(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。ここは「内容説明」なので、「解像度がさらに上がっている」の「原意」と結びつかない「説明」を「消去」したい。各選択肢の「文末」と照合する(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)。
(ア)「より細分化された状態で理解できるようになっている、ということ」。(イ)「(「迷惑」が)『声と音』と『ながら操作』に由来するものだと明かされた、ということ」。(ウ)「若者への嫌悪感が表面化されている、ということ」。(エ)「区別して考える必要があると判明した、ということ」。さあ、どうだろうか? 「消去」できるか?
「解像度がさらに上がっている」のだから、「より細分化された状態」以外は「消去」だと判別できなくてはいけない。「同一意味段落」で他の部分の説明を確認しても特に誤ってはいない(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)。したがって、「答え」は(ア)でOKだ。なんと、見事な「一発消去」ではないか!
「原意消去」は必ずマスターして使いこなせるようにすることが肝要だと心得よ。
<時間配分目安:1分半>
[問四(1)] 「具体例判別不適切選択肢」(4択)。
傍線部(2)「『視覚的なコミュニケーションの秩序』として維持されている車内空間に、『聴覚的コミュニケーションの秩序』が侵入する」について、「車内空間」で「『視覚的なコミュニケーションの秩序』を維持する具体例」として「適当でないもの」を答える。
「同一意味段落」から内容を読み解いていきたい。「視覚的なコミュニケーションの秩序」は「狭く、閉じられた」電車内で、「近接する人びと」が「距離をとって共在する」ためのものであり、危険を予測して行動することではないことが読み取れるはずだ。
よって、「答え」は選択肢(1)の「不審な乗客を見かけた時は、隣の車両に移る」だと判別できなくてはいけない。
尚、本文内容を的確に捉え、「具体例」にあてはめるという設問は本校に限らずひとつのトレンドなので、しっかりと練習しておくことが肝要だ。
<時間配分目安:全問で2分強>
[問六] 「空所補充の語句選択肢」(全2問。各4択)。
総合的知識問題。「カタカナ語」。本文中の A ・ B に「入る語句」を答える。それぞれの空所前後の「文脈」から「答え」を特定していきたい。「見知らぬ人の A な内容が耳に入ることによる気まずさ……」⇒選択肢(イ)「プライベート」。「……『本当はいけないのですよね、と言い訳しつつ、不在の他者と通話を続けざるをえない B を表現している」⇒(エ)「ジレンマ」(=「2つの相反する選択肢の間で、どちらを選んでも不利益が生じる可能性がある」状態のことだ)。
選択肢の他の語句、「センチメンタル」・「ソーシャル」・「スマート」・「バランス」・「ルール」・「シンパシー」についても確実に意味・内容を押さえて定着させておくこと。
<時間配分目安:全問で2分強>
[問七] 「理由説明記述」(「50字以内」指定)。
傍線部(4)「『携帯電話』から『スマートフォン』に変化している」について、「このようになったのはモバイルメディアがどのように変化したからか」を説明する。「モバイルメディアの変化」ついて、「同一意味段落」から読み取っていきたい。「モバイルメディア」は、「音声通話を主としたツール」だったが、2010年代になると、「スマートフォン」という表記に変わり、「小さなパーソナル・コンピュータ」といえるような「マルチデバイス化した情報端末」として、広く認識されるようになったという変化が読み取れる。こうした「変化」を「理由説明」として「過不足なく」まとめていきたい。
たとえば、「スマートフォンが音声通話だけでなく、マルチデバイス化した情報端末として理解されるようになったから。」(49字)といった「答え」だ。
尚、「説明記述」では「最重要要素」(「理由説明」の場合は「直接的理由」)を必ず「文末」にすること。
<時間配分目安:3分半>
※尚、[問九]は「本文内容合致の選択肢設問」だ。「論説文」なので、「本文内容合致」=「論旨合致」と捉え、「序論部」および「結論部」と照合すればいいのだが、本問の各選択肢説明は「100字以上」あり、照合するのにとても手間がかかる。そこで時間をとられるよりは、他の小問をしっかりと確認し、確実に得点していく方が得策だ。
したがって、戦術的には「あとまわし」にすること。無論、「捨て問」でも構わない。
【大問三】
- 時間配分:16分
14歳の「健二」は退屈しきっていた。もちろん面白そうな動物や植物はある。けれどもいったん退屈であると宣言した以上は、何がなんでも退屈でなければならなかったのだ。僕はもう子供じゃない――退屈でしかたない「健二少年」、看護婦の「三沢さん」、少年の父「麻生教授」、その長男の「舜一」……、主役がめまぐるしく変わるストーリーだ。内容は難なく理解できる。「本文内容合致」と「心情説明」「状況説明」「理由説明」の選択肢のみの大問構成だ。以下、いくつかの小問を検証する。
尚、本文は【文章Ⅰ】と【文章Ⅱ】の2つの「場面」から構成されている。
[問三] 「状況説明選択肢」(4択)。
傍線部(3)「彼は苦い煎薬(せんやく)のようにこの言葉を呑み込んだ」について、「この時の『舜一』の状況」を答える。
先ずは「原意消去」をしたい。ここでは「状況説明」なので、「苦い煎薬のようにこの言葉を呑み込んだ」の「原意」と結びつかない「状況説明」を「消去」していきたい。各選択肢の「文末」と照合する(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)。
(ア)「気持ちのやり場がなくなった」、(イ)「この不誠実さは必要なものだと言い聞かせた」、(ウ)「残酷な事実を突きつけることはできないと判断した」、(エ)「本当のことを言うべきだと決意した」。「舜一」は「苦い煎薬のように」「言葉を呑み込んだ」のだから、(ウ)以外は「消去」できなくてはいけない。念のために、「同一場面」で他の部分の説明を確認する(「小説」では「同一場面」に「ヒント・手がかり」がある)。特に誤ってはいない。よって、「答え」は(ウ)でいい。「一発消去」ではないか。
「原意消去」、「小説」でも必ず使いこなせるようなしておくこと。
<時間配分目安:1分>
[問五] 「心情説明選択肢」(4択)。
傍線部(5)「舜一は何か言いそうになって口籠った」について、「この時の『舜一』の気持ち」を答える。先ずは「原意消去」をしたい。本問は「心情説明」なので、「口籠った」の「原意」と結びつかない「心情」を「消去」していきたい。各選択肢の「文末」と照合する。(ア)「嫉妬心が芽生え始めている」、(イ)「二人の違いをあげつらうことを止めた」、(ウ)「彼女を愛することができなきなった」、(エ)「釈然としない思いが残っている」。「舜一」は「何か言いそうになって口籠っ」ているので、(ア)・(イ)・(ウ)は「消去」できなくてはいけない。念のために、「同一場面」で他の部分の説明を確認して、特に誤ってはいないことが分かる。よって、「答え」は(エ)でいい。またしての「一発消去」ではないか。「原意消去」、必ず使いこなせるようなしておくこと。
<時間配分目安:1分>
[問六] 「状況説明選択肢」(4択)。
傍線部(A)「その時不意に彼の心の中がきりきりと痛んだ」・(B)「その時不意に、心の中がまたきりきりと痛んだ」について、「この時の『舜一』についての説明」を答える。先ずは「原意消去」からだ。2箇所について問われているので、先ずは(A)の「状況」で「消去」してみたい。各選択肢の前半で(A)に関して説明されている。照合する。(ア)「父の結婚を喜ぶ気持ちが消え失せている」、(イ)「辛く切ない気持ちになっており」、(ウ)「不安を覚えており」、(エ)「嫉妬心を覚えており」。「心の中がきりきりと痛んだ」のだから、(イ)以外は「消去」できるはずだ。後半の(B)に関する「説明」も問題ない。さらに、「同一場面」で他の部分の説明を確認しても特に誤ってはいない。よって、「答え」は(イ)でいい。
「一発消去」ではないか。「原意消去」、「小説」でも必ず使いこなせるようなしておくこと。
<時間配分目安:1分>
【大問四】
- 時間配分:14分
「問題文<甲>」(古文)は鎌倉時代末期の成立で、軍記物語である「平家物語」の異本のひとつ。全48巻からなる。「問題文<乙>」(漢文)は「白居易」の詩。本校の「古典」は近年、難化傾向にある。本年度は「古文」と「漢文」とを連関させ、行き来する設問が多くなっている。いくつか検討してみよう。
[問一] [古文]「語句の意味の選択肢」(4択)。
<甲>の傍線部(1)「かちより」について、その「意味」を答える。「古文単語」の基本だ。本文では「軍兵かちより渉(わた)る時」となっている。「かち(徒歩)」+「より」(=~で)+「渉(わた)る」(=移動する)⇒よって、「答え」は選択肢(エ)の「歩いて」となる。
とにもかくにも、「古文基本単語」は確実に定着させておく必要があると心得よ。
<時間配分目安:30秒>
[問三] [漢文]「返り点記入」。
<乙>の傍線部(3)「自 把 大 石 鎚 折 臂 」に、「自ら大石を把(と)り鎚(う)ちて臂(うで)を折る」という訓読を参考にして「返り点」を記入する(「送り仮名」は不要)。
訓読から考えて、「自」→「大石」→「把」→「鎚」→「臂」→「折」の順に読むと分かるはずだ。したがって、「答え」は「自 把二 大石一 鎚折レ 臂 」(*「レ」「二」「一」が「返り点」)となる。
「返り点」「書き下し文」は「漢文」の「基本のキ」で、当然ながら「再読文字」や「置き字」などについてもしっかりと習得しておくことが肝要。
尚、「書き下し文」では「付属語(助動詞・助詞)」を「平仮名」とし、当然、「歴史的仮名遣い」で表記すること。
<時間配分目安:1分>
[問五] [古文][漢文]「理由説明記述」(「20字以内」指定)。
<乙>の傍線部(5)「 終 不 悔 」(終<つひ>に悔いず)について、その理由を<甲>から探し、「二十字以内」で説明する。
<甲>から、「兵士として召集された男(翁)」は「腕を折ること」で兵役を免れ、「老人」になるまで生きることができたため、全く「悔やんでいない」ということが分かるはずだ。
したがって、たとえば「長生きし長寿を全うすることができたから。」(20字)といった「答え」になる。
本校では、[古文][漢文]での「説明記述」の出題もあるので、覚悟せよ。
<時間配分目安:2分半>
攻略ポイント
●「多種多様な設問内容」。どう対処するか?無論、「設問内容」に応じた「解法」の適用だ。基本的「解法」を完全に習得して、適切に応用できるようにしておくことが重要。それによって、「得点力」を安定させたい。本校の「合格ライン」は5割半ほど(過去5年間の「SAコース」男女合計の「合格最低得点率」の平均は56.5%。本年度はやや低くて53.2%)。「解法」の応用で、「失点」「減点」を防いでいきたい。
●「字数指定なし」の「説明記述」。いかに「過不足なく」まとめ、「攻略」するか? 「裏ワザ」などないので、愚直に「記述」の「練習」を続ける他ない。正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくという手法を完璧にマスターし、「内容」の優先度が高いものから積み上げていく。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習する。本校では「20~100字程度」の「解答欄」と幅があるので、どのような「字数」にも対応できるように練習しておくことが肝要だ。
●「古文」「漢文」の「攻略法」は? 重要な「古文単語」の定着は勿論だが、「内容解釈」も求められるので「基礎的文語文法」は押さえておきたい。また、「古典常識」も「日本史」を含めてなじんでおくことが必要になる。「漢文」でも、「返り点」「訓点」「書き下し文」「基礎的句法」などの基本的知識は押さえておくこと。
●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は「現代文」で8000字程度(本年度は一気に減少して約3600字。だが、油断は禁物だ)。当然、速く正確に読み取ることが求められる。分速750字以上を目標に「練習」を常にすることが重要だ。