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桐光学園高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2022年度「桐光学園高等学校の国語」
攻略のための学習方法

解法

「理由説明」にしても「記述」にしても、「桐光の国語」で勝利するための鍵は、「現代文」の「解法」をいかにうまく用いるかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」(随筆)、それぞれに応じた特有の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。

そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。

そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。

さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

記述

「桐光の記述対策」は「問題解説」及び「攻略ポイント」のとおりだが、その前提として為すべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。

では、何を「書く」か? 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。50~60字程度で書いてみる(桐光の典型的な「記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一挙両得。

次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。

その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。

ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく(その際はマス目のない用紙を使うこと)。

速読

「現代文」全体で8000字程度を読解しなくてはならない。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。

「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。

桐光に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。

知識

「高度な語彙力」だけではなく、「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる「桐光の国語」(直接出題だけではなく、「本文読解」等でも必然的に問われる)。

「攻略」するにはいかなる「学習法」があるのか? 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。

今からでもできることは、ある。先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。

さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。

なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500 四訂版」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。

古典

「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」「漢文」は必修カリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶこともない。

が、桐光などの「中高一貫校」ではそれらを中学時点で学び始めている。従って、「高校入試」で出題されることになる。明らかに「ハンディ」だが、仕方がない。塾での学習ないし「独習」をする他ない。最重要な「古文単語」(200語程度)を定着させ、基礎的な「文語文法」は「敬語」も含めて理解しておかなくてはならない。そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。また、「漢文」でも同様に「基本的事項」は定着させておくこと。
なお、「古文」強化用のテキストとしては、「古文完全攻略63選——入試頻出問題厳選」(東京学参)や、「古文単語」定着用として「マドンナ古文単語230」(学研)などが推薦できる。

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2022年度「桐光学園高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「漢字の書きとり」。小問はなく解答数5。2分弱で丁寧に終えたい。

大問は「論説文」、出典は内田樹編著「ポストコロナ期を生きるきみたちへ」所収の白井聡「技術と社会」(文字数約4000字)。小問は全6問(解答数8)。「選択肢」(「空所補充」、「組み合わせ」、「具体例判別」あり)、「説明記述」(「字数指定なし」1問)。問題文は5分弱で読み切り、設問を17分ほどで解きたい。

大問は「小説」、出典はくどうれいん「氷柱の声」所収の「滝の絵(二〇一一)」(文字数約4700字)。小問は全7問(解答数7)。「選択肢」のみ(「複数完全解答」あり)。問題文は4分程度で読み切り、設問を13~14分で解きたい。

大問は「古典」、出典は<甲>(古文)が無住法師「沙石集」巻第三ノ四(文字数約250字)、<乙>(漢文)は「孝子伝」(舟橋家本。文字数100字)。小問は全6問(解答数7)。「選択肢」(「現代語訳」、「主語判別」、「内容解釈」、「内容合致」、「複数完全解答」あり)、「返り点記入」。10分弱で解きたい。

【大問一】

  • 時間配分:2分弱

「漢字問題」。昨年度同様に「書きとり」のみ。難易度は例年よりやや高い。だが、極力失点は避けたい。

[問] 「漢字の書きとり」(全5問)。示されている各文の二重傍線部の「ひらがな」を「漢字」に直す。確認する。(1)「せいこう雨読の生活」=「晴耕(雨読)」⇒無論、「晴耕雨読」という「四字熟語」としての定着が必須。(2)「きひん室で食事する」=「貴賓」⇒難解、特に「賓」の細部に要注意(15画)。(3)「事のしんぎを確かめる」=「真偽」⇒「文脈」を正しく読み取り、「同音異義語」に注意。(4)「船がしゅっぱんする」=「出帆」⇒馴染みがないか? 「船が港を出ること」だ。(5)「ゴッホのありゅうにある絵」=「亜流」⇒「第一流の人に追随し、それをまね、独創的でなく劣っていること」という意味なので覚えておきたい。本校ではやはり「高度な語彙力」が求められていると心得よ。

<時間配分目安:全問で2分弱>

【大問二】

  • 時間配分:17分ほど

コロナ・パンデミックによって世界は変わった――グローバル資本主義の神話は崩れ、一握りの超富裕層がいる一方で、命を賭して人々の生活を支える多くのエッセンシャルワーカーが貧困にあえいでいる。私たちは今、矛盾に満ちた「歴史的転換点」にいる。こうした分岐点をどのように生き延びればいいのかを論じた中の一篇。本文では、科学技術が世界の中心だという「ポスト・ヒューマン」の概念が浸透しつつあるが、技術はあくまでも社会を発展させるための手段であると指摘している。中高生に向けて書かれているので、内容は難なく理解できる。本校としてのオーソドックスな小問が並んでいる。手際よく解き進め、得点を重ねたい大問だ。以下、いくつか確認する。

[問一] 「空所補充の語句選択肢」(全3問/6択)。本文中の空所  Ⅰ    Ⅲ  に「当てはまる言葉」を答える。選択肢は「接続詞」と「副詞」、本校に限らず定番の問題だ。「接続詞」では「逆接」以外には十分に注意しなくてはいけない。「逆接」以外だと、どれもあてはまってしまう可能性があるのだ。単純に前後を読みつなぐだけではなく、それぞれの「接続詞」の「意味・用法」を的確に押さえた上で、「文脈」を確認する必要がある。また、段落冒頭の「接続詞」は前段落全ての内容を受けているので注意すること。各空所の「答え」を確認していく。

  Ⅰ  には「例示」を表す「副詞」の(エ)「例えば」、  Ⅱ  には「逆接」の「接続詞」である(ア)「しかし」が入り、  Ⅲ  には「換言」の「接続詞」である(ウ)「つまり」がそれぞれあてはまる。「接続詞」「副詞」などの「空所補充」は必出だ。失点は致命傷になると心得よ。

<時間配分目安:1分半>

 

[問三] 「空所補充の語句組み合わせ選択肢」(4択)。本文中の空所   X      Y   に「入る言葉」の「組み合わせ」を答える。空所前後を確認する。「ただし、『ポスト・ヒューマン』を   X   と見るにせよ、   Y   と見るにせよ、……」となっている。つまり、空所は「ポスト・ヒューマン」に対する2つの「見方」だと判断できる。次に、どのような「見方」なのかを「同一意味段落」から読み取りたい(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)。確認すると、直前の2つの形式段落から、「もう人間は『世界の中心ではない』」というのが「ポスト・ヒューマン」の核心にある考え方であり、同時に「極端なまでの人間中心主義(ヒューマニズム)でもある」ということが読み取れるはずだ。よって、(X)=「脱人間中心主義」・(Y)=「究極の人間中心主義」の組み合わせになっている選択肢(エ)が「答え」だ。的確な「解法」を用いることで「正解」にショートカットできると心得よ。

<時間配分目安:1分半>

 

[問四] 「具体例判別選択肢」(4択)。傍線部(2)「私たちの内なる自然、つまり『自然としての人間』に対する態度が変わってきた」について、筆者の考えを踏まえつつ、「その具体例」を答える。「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」を試みたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。ここは「具体例判別」なので、「一般論」としての「『自然としての人間』に対する態度が変わってきた」という「原意」と結びつかない「具体例」を「消去」していきたい。各選択肢の「文末」と照合する(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)。(ア)「近代の人間観が再評価されてきたこと」、(イ)「技術の進歩が及ぼす悪影響について警鐘が鳴らされてきたこと」、(ウ)「普遍的なものとみなされてきた人間の定義に対する懐疑的な見方が生まれてきたこと」、(エ)「『自然とは何か』という議論が行われてきたこと」。「自然としての人間」なのだから、「近代の人間観」・「技術の進歩」・「自然とは何か」は即「消去」できるはず。念のために、「同一意味段落」で他の部分の説明を確認する。特に誤ってはいない。したがって、「答え」は(ウ)だ。見事な「一発消去」だ。「具体例」であっても、「原意」に忠実であれば悩むことはないわけだ。「選択肢消去」では「原意消去」が最優先だと心得よ。

<時間配分目安:1分以内>

 

[問五] 「条件付き内容説明記述」(「字数指定」なし。「90字ほど」の解答欄)。傍線部(3)「こうした現実は、『私たちは自然を征服した』という『ポスト・ヒューマン』の観念を吹き飛ばす」について、「どのようなことか」を説明する。「条件」は「『こうした現実』の内容を明らかにして説明する」こと。先ずは、「こうした現実」という「指示語」を開いていきたい(「傍線部」の「主語」であり「条件」でもあるから)。「段落冒頭の指示語は前段落全ての内容を指し示す」という「基本的解法」を意識して読み取ると、「こうした現実」=「新型コロナウイルスが私たちにもたらす影響は予測困難なものばかりだという現実」だと判断できる。次に、「こうした現実」と「『ポスト・ヒューマン』の観念」との連関を、「同一意味段落」から捉えていく。3つ前の形式段落の最初で「新型コロナによる危機が吹き飛ばしたのは」「『人間の開発した技術は世界の謎を解明し尽くして、思うがままに自然を改変できる』といった観念ではなかったか」と述べられている。「私たちは自然を征服した」という「ポスト・ヒューマン」の観念と「新型コロナによる危機」とが結びついた。あとは、こうした内容を整理して、「過不足なく」まとめていけばいい。たとえば、「新型コロナによる危機は私たちには予測困難なものばかりだという現実は、人間の開発した技術が世界の謎を解明し尽くし、思い通りに自然を改変できるという観念を根本的に覆すものだということ。」(90字)といった「答え」だ。尚、「説明記述」では「比喩表現」は必ず「換言」することが肝要だと心得よ。

<時間配分目安:3分半>

【大問三】

  • 時間配分:13~14分

東日本大震災発生時、盛岡の高校生だった主人公「伊智花」の目を通して、人びとの経験や思いを紡いだ連作小説。震災報道では触れられることのない、さまざまな葛藤や悩み、苦しみ。語れないと思っていたこと、言葉にできなかったこと──いくつもの「声」を瑞々(みずみず)しい文体で描いている。本文では、2011年、高校2年生で東日本大震災に遭遇した「伊智花」(=「私」)は、美大への進学を考えていたが、参加したコンクールで被災者としての美談を語ることを暗に強制されたために夢を断念してしまう姿が描かれている。平易な文章なので内容は理解できるはずだ。小問は「選択肢設問」のみだが、中にはやや判別が紛らわしいものもある。以下、いくつかを検証する。

[問一] 「理由説明選択肢」(4択)。傍線部(1)「……描いた方がいいですか」について、「『私』が絵を描くことをためらっているのはなぜか」を答える。先ずは「原意消去」といきたいが、流石(さすが)にこの傍線部だけでは無理だ。「理由説明」なので、「きっかけ」や「結果」を「同一場面」から読み取りたい(「小説」では「同一場面」に「ヒント・手がかり」がある)。直前で、「私」が「じゃあ、何を描けば」と問うたことに対しての「鳥とか、空とか、花とか、心が安らぐような、夢を抱けるような、希望や絆があって前向きなもの」という返事を聞いて、「絵を描くことをためらっている」ことが分かる。ということは、この言葉の内容が「理由」と結びついていると読み取れるはずだ。各選択肢の「文末」をチェックする。(ア)「同時に別の作品を描かなければならないことを負担に感じたから」、(イ)「顧問に対して反感を覚えたから」、(ウ)「(どうして自分が推薦されたのか)理解できなかったから」、(エ)「(自分の描いた絵に)人の心を癒(いや)したり、希望を抱かせたりする力があるとは思えなかったから」。当然ながら、(エ)以外は「消去」できるはず。「同一場面」で他の部分の説明を確認しても、特に誤ってはいないと分かる。よって、「答え」は(エ)でOK。「理由説明」では、「きっかけ」や「結果」が「直接的理由」として結びつくと心得よ。

<時間配分目安:2分以内>

 

[問六] 「状況説明選択肢」(4択)。傍線部(6)「私から私が剥(は)がれていく感覚がした」について、「この時の『私』を説明したもの」を答える。先ずは「原意消去」をしたい。ここでは「私から私が剥がれていく感覚」という「比喩表現」の「原意」と結びつかない「状況」を「消去」していきたい。各選択肢の「文末」と照合する。(ア)「自分が無神経に感じられ、うろたえている」、(イ)「安心して力が抜けていくような感覚になっている」、(ウ)「これまで信じていたものがなくなっていくような無力感におそわれている」、(エ)「いらだちを抑えきれないでいる」。「私から」「私が剥がれていく」「感覚」であれば、「うろたえている」・「力が抜けていく」・「いらだちを抑えきれない」はすぐに「消去」していいと判断できるはずだ。確認のために、「同一場面」で他の部分の説明を確認する。特に誤ってはいないと分かる。したがって、「答え」は(ウ)だ。本問は見事な「一発消去」だった。やはり、「原意消去」は「正解」へのショートカットだ。確実に使いこなせるようにすること。

<時間配分目安:1分>

 

[問七] 「状況変化説明選択肢」(4択)。傍線部(7)「蹴飛ばそう、と思った」・(8)「私は私の滝を抱きしめていた」について、「この間の『私』についての説明」を答える。無論、先ずは「原意消去」からだ。ここは「状況変化説明」なので、(7)か(8)のどちらか判別しやすそうな「原意」から「消去」していきたい。(8)の「私は私の滝を抱きしめ」という「比喩表現」の方から試みたい。当然、各選択肢の「後半」の部分と照合する。(ア)「周囲に自分の画力を認めさせようと思い直し、絵を抱きしめている」、(イ)「絵を抱きしめることで自分の複雑な感情を受け止めようとしている」、(ウ)「絵が壊れてしまうのはもったいないと思い直し、絵を抱きしめている」、(エ)「絵を抱き留め、その人たちを大切にしようという思いを強くしている」。「私」が「私の滝」を抱きしめるのだから、「周囲に(自分の画力を)認めさせよう」・「絵が壊れてしまうのはもったいない」・「その人たちを大切にしよう」は「対象」や「内容」が明らかに異なっている。故に「消去」だ。念のために、(イ)の「前半」を傍線部(7)の「同一場面」でチェックする。特に誤ってはいないと判断できる。よって、「答え」は(イ)でいい。本問のように2箇所以上の傍線部に関して問われた場合は、どちらか分かりやすい方から「原意消去」をしていくことが鉄則だ。

<時間配分目安:2分>

【大問四】

  • 時間配分:10分弱

「問題文〈甲〉」(古文)は鎌倉時代中期成立の、仮名まじり文で書かれた仏教説話集。「今昔物語集」の典拠のひとつと考えられている。全十巻。「問題文〈乙〉」(漢文)は「孝思想」に発した文学で、中国の哲学や社会制度とも深く関わり、また、わが国における説話文学史に大きな影響を与えた。尚、「問題文〈甲〉」と「問題文〈乙〉」の内容は連関している。本校の「古典」は近年、難化傾向だったが、本年度は「古文」も「漢文」も基本レベルで比較的解きやすいはずだ。いくつか検討してみよう。

[問一] [古文]「語句の現代語訳選択肢」(全2問/各4択)。〈甲〉の傍線部(a)「制してければ」・(b)「心づきて」の「本文における意味」をそれぞれ答える。本校志望者であれば定着しているはずの「基本的古文単語」および「基礎的文語文法」の知識で解ける。「品詞分解」をして「答え」を確認していく。(a)「制してければ」=サ行変格活用の動詞「制す」の連用形+接続助詞の「て」+「伝聞過去」の助動詞「けり」の已然形+接続助詞の「ば」⇒ここで注意すべきは「ば」、「未然形接続」では「順接仮定条件」(~ならば)、「已然形接続」では「順接確定条件」(「理由説明」では「~なので」、「単純接続」では「~ところ」)となる。ここでは「文脈」から「単純接続」⇒よって、現代語訳は「静止したというところ」⇒「答え」は選択肢(イ)「止めたところ」。(b)「心づきて」=カ行四段活用の動詞「心づく」の連用形+接続助詞の「て」⇒よって、現代語訳は「気がついて」⇒「答え」は(ウ)「思い至って」。やはり、本校志望者であれば「古文単語」と「文語文法」は基本レベルを完全習得すべきだと心得よ。

<時間配分目安:全問で1分以内>

[問三]  [漢文]「返り点記入」。〈乙〉の傍線部(2)「不 能 更 作 」は「更に作る能はず」と読むが、これを参考にして「返り点」を記入する(「送り仮名」は不要)。「書き下し文」から考えて、「更」→「作」→「能」→「不」の順に読むと分かるはずだ。したがって、「答え」は「不 更 作」(*「」「」「」が「返り点」)となる。「返り点」「書き下し文」は「漢文」の「基本のキ」で、当然ながら「再読文字」や「置き字」などについてもしっかりと習得しておくことが肝要。尚、「書き下し文」では「付属語(助動詞・助詞)」を「平仮名」とし、当然、「歴史的仮名遣い」で表記すること。

<時間配分目安:1分>

[問四] 「理由説明選択肢」(複数解答/5択)。〈甲〉の「元啓」(=〈乙〉の「原谷」)は、「なぜ『孝孫』と呼ばれたのか」を「二つ」答える。無論、「古文」と「漢文」のそれぞれをしっかりと内容解釈して判別することはできる。だが、「現代文」同様に先ずは「原意消去」を試みたい。「孝孫」⇒「孝行な孫」=「親孝行」ならぬ「祖父孝行」の「孫」と考えられるはず。この「原意」で「消去」したい。各選択肢の「要点」と照合する。(ア)「仲違いする親たちをうまく取り持ったから」⇒「親」だけ。(イ)「親不孝な父の考えを改めさせたから」⇒「親不孝な父」=「祖父」に対してだ。(ウ)「手輿(人力で担ぐ車)を再利用したから」⇒「祖父」に関する説明なし。(エ)「父の行動から取るべき行動を悟ったから」⇒「父の行動」に関してだけだ。(オ)「祖父の命が失われるのを防いだから」⇒「祖父」に関する「孝行」。よって、(ア)(ウ)(エ)は「消去」で決定。「答え」は(イ)と(オ)になる。何と! 「一発消去」ではないか。「古文」「漢文」であっても「原意消去」は応用できるというわけだ。留意せよ。

<時間配分目安:1分弱>

攻略のポイント

●「多種多様な設問内容」。どう対処するか? 無論、「設問内容」に応じた「解法」の適用だ。基本的「解法」を完全に習得して、適切に応用できるようにしておくことが重要。それによって、「得点力」を安定させたい。本校の「合格ライン」は6割強(過去9年間の「SAコース」男女合計の「合格最低得点率」の平均は60.4%。本年度は59.8%)。「解法」の応用で、「失点」「減点」を防いでいきたい。

●「字数指定なし」の「説明記述」。いかに「過不足なく」まとめ、「攻略」するか? 「裏ワザ」などないので、愚直に「記述」の「練習」を続ける他ない。正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくという手法を完璧にマスターし、「内容」の優先度が高いものから積み上げていく。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習する。本校では「20~100字程度」の「解答欄」と幅があるので、どのような「字数」にも対応できるように練習しておくことが肝要だ。

●「古文」「漢文」の「攻略法」は? 重要な「古文単語」の定着はもちろんだが、「内容解釈」も求められるので「基礎的文語文法」は押さえておきたい。また、「古典常識」も「日本史」を含めてなじんでおくことが必要になる。「漢文」でも、「返り点」「訓点」「書き下し文」「基礎的句法」などの基本的知識は押さえておくこと。

●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は「現代文」で8000字程度(本年度は増加して約9000字)。当然、速く正確に読み取ることが求められる。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。

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