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桐光学園高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2017年度「桐光学園高等学校の国語」
攻略のための学習方法

[解法]
「理由説明」にしても「記述」にしても、「桐光の国語」で勝利するための鍵は、「現代文」の「解法」をいかにうまく用いるかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」(随筆)、それぞれに応じた特有の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。

そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。

そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。

さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

[記述]
「桐光の記述対策」は「問題解説」及び「攻略ポイント」のとおりだが、その前提として為すべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。

では、何を「書く」か? 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。50~60字程度で書いてみる(桐光の典型的な「記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一挙両得。

次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。

その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。

ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく(その際はマス目のない用紙を使うこと)。

[速読]
「現代文」全体で8000字程度を読解しなくてはならない。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。

「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。

桐光に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。

[知識]
「高度な語彙力」だけではなく、「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる「桐光の国語」(直接出題だけではなく、「本文読解」等でも必然的に問われる)。

「攻略」するにはいかなる「学習法」があるのか? 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。

今からでもできることは、ある。先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。

さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。

なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・文法630」(「文法」含む)や「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字」(共に旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」からスタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。

[古典]
「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」「漢文」は必修カリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶこともない。

が、桐光などの「中高一貫校」ではそれらを中学時点で学び始めている。従って、「高校入試」で出題されることになる。明らかに「ハンディ」だが、仕方がない。塾での学習ないし「独習」をする他ない。最重要な「古文単語」(200語程度)を定着させ、基礎的な「文語文法」は「敬語」も含めて理解しておかなくてはならない。そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。また、「漢文」でも同様に「基本的事項」は定着させておくこと。
なお、「古文」強化用のテキストとしては、「古文完全攻略63選——入試頻出問題厳選」(東京学参)や、「古文単語」定着用として「マドンナ古文単語230」(学研)などが推薦できる。

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2017年度「桐光学園高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「論説文」、出典は東浩紀「弱いつながり」(文字数約3600字)。小問は全7問(解答数12)「選択肢」(「本文内容合致」あり)、「抜き出し」、「説明記述」(「字数指定なし」1問)、「漢字の書きとり」(5問)。問題文は5分弱で読み切り、設問を15~16分で解きたい。

大問は「小説」、出典は馳星周「ソウルメイト」(文字数約3100字)。小問は全8問(解答数10)「選択肢」(「本文合致」「総合的知識問題」あり)、「抜き出し」、「説明記述」(「字数指定なし」1問)。問題文は4分強で読み切り、設問を15分ほどで解きたい。

大問は「古典」、出典は「古文」が作者不明(通説は藤原成範)「唐物語」(文字数約260字)、「漢文」は張守節「欽定四庫全書 史記正義」(文字数118字)。小問は全6問(解答数6)「選択肢」(「内容解釈」「和歌解釈」「本文内容合致」あり)、「返り点記入」。10分ほどで解きたい。

【大問一】

  • 時間配分:

たった一度の人生を「かけがえないもの」にしたいならば、環境を意図的に変え、グーグルに与えられた検索ワードを裏切っていくしかなく、それを可能にするのが「身体の移動」や「旅」、そして「弱いつながり」だ――人生に自由と強度を与える「偶然性」と「ノイズ」へ向かう道筋を示している。

本文では、「福島第一原発」は「観光地化」を通じて、多くの人が現地に行けるようにすべきだと提案するとともに、我々には、言葉にならないものを言葉にしようと努力しながら、世界を捉えていく姿勢が必要だと論じている。

「社会学」「哲学」に関する論考だが、「※注」を用いれば十分に内容は理解できるはずだ。判別しづらい「選択肢設問」や「抜き出し」、「字数指定なしの説明記述」など、本校らしい多種多様な問題が並ぶ。手際よく解き進めていきたい。以下、いくつか確認してみたい。

[問一] 「漢字の書きとり」(全5問)

例年と比べると、やや易化している。ただ、判断しづらいものもあるので、しっかりと「文脈」も確認しながら特定していくこと。二重線部(あ)「ひとつのきはんになっていました」=「規範」、(い)「れいせんによる東西分断」=「冷戦」、(う)「しょうきゃく炉」=「焼却」、(え)「しょせつある」=「諸説」、(お)「ぞくあくな観光地」=「俗悪」。本校の例年のレベルを意識して、「高度な語彙力」を磨いておくことが重要。

<時間配分目安:1分>

[問二] 「条件付き内容説明抜き出し」(「30字以内」指定)

傍線部(1)「観光なんてものごとの表層を撫(な)でるだけだから、観光で行くぐらいならむしろ行かないほうがましだというひともいます」について、このような「ひと」にとっての「旅とはどういうものか」を「三十字以内」で抜き出し、「最初と最後の三字」を答える。

「条件」は「解答欄に合うようにする」こと。「抜き出し」では、「抜き出すべき内容」を特定した上で「抜き出し範囲」を絞っていくことが鉄則。「内容」は「『表層を撫でるだけ』の『観光で行くぐらいならむしろ行かないほうがましだ』と考える『ひと』にとっての『旅』とは何か」ということだ。つまり、そういう「ひと」にとっての「旅」とは「表層を撫でるだけのものではない」わけだ。

次に「範囲」。基本的に「同一意味段落」になる(「論説文」における「根拠・手がかり」は「同一意味段落」にある)。それは、本文冒頭から傍線部の形式段落までだとすぐに分かる。探していく。すると、最初の部分に「旅といえばかつては、苦難を乗り越えて秘境を訪れ、その過程で自分を見つめなおす……スタイルがひとつの規範になっていました」とある。「苦難を乗り越え」「自分を見つめなおす」⇒「表層を撫でるだけのものではない」に結びつく。「字数」も合致している。

「条件」の「解答欄」は「~もの」となっているので、「答え」は「苦難を~なおす(もの)」だ。「抜き出し」では、「内容」→「範囲」と説き進めること。特に、「範囲」は重要。あてどもなく探していても時間の無駄なので、あらゆる「解法」を駆使して「抜き出し範囲」を絞り込むこと。

<時間配分目安:2分半>

[問四(1)] 「内容説明選択肢」(4択)

傍線部(3)「アウシュヴィッツを訪れたころ、ぼくは東大の駒場で表象文化論専攻の大学院に所属していました」について、「表象文化論」の立場では「『アウシュヴィッツ』での『ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)』をどのように考えていたか」を答える。

「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。傍線部だけでは「『表象文化論』の立場」が不明なので、その内容を「同一意味段落」で確認する。次段落冒頭に、「表象文化論」では「表象不可能性」という問題があり、それは「あまりに深刻で複雑であるがゆえに、単純に記録に残したり物語にしたりするのでは本質が伝えられないような出来事の性格を表す」と説明されている。

そして、直後に、その一例として「ホロコースト」が挙げられている。つまり、「表象文化論」の立場では、「ホロコースト」を「表象不可能性」の問題だと考えていることになる。各選択肢の「文末」(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)で「消去」していきたい。

(ア)「(出来事)すべてを言い尽くすことに到っていない」、(イ)「記号を駆使して体験の本質を表現できる」、(ウ)「(出来事の)本質を伝えようとしても到底言葉にし尽くせないものである」、(エ)「(体験の)本質をとらえることができるようになる」。どうか? 「ホロコースト」は「本質が伝えられないような出来事」なのだから当然、(ウ)以外は「消去」できるはず。他の部分の説明も特に誤ってはいないので、「答え」は(ウ)になる。「一発消去」だ。「選択肢設問」では、先ずは「原意消去」を試みること。

<時間配分目安:1分半>

[問四(2)] 「内容説明記述」(「字数指定」なし

「60字ほど」の解答欄)。傍線部(3)「アウシュヴィッツを訪れたころ、ぼくは東大の駒場で表象文化論専攻の大学院に所属していました」について、「アウシュヴィッツ」での経験から「ぼく」は現在、「どのようなことを考えているか」を説明する。「同一意味段落」を読み解いていく。

傍線部の次々段落に「ぼくが原発事故に深い関心を寄せているのも、そのような学問(=表象文化論)の影響があります」とあり、さらに、その後の段落で「(アウシュヴィッツでのホロコーストと同様に)言葉にできない体験」であった「福島第一原発事故」を「言葉にする責務」を負っていると続け、「言葉にできないもの」を「言葉にする」ために大事なことは「現地に行くこと」で、できるだけ多くのひとに訪れてもらうためには「観光地化」が欠かせないと提案している。

こうしたことを、「ぼくが現在考えていること」という視点で「過不足なく」まとめればいい。たとえば、「言葉にできない体験であった福島第一原発事故を言葉にするためには現地に行くことが大事で、観光地化が欠かせないということ。」といった「答え」になる。尚、「説明記述」では、正否の分岐となる「最重要要素」を必ず「文末」にすること。

<時間配分目安:2分半>

[問五] 「内容説明選択肢」(4択)

傍線部(4)「決定的に重要な事実」について、その「説明」を答える。さすがに、傍線部だけでは「原意消去」できないので、「傍線部(空所部)一文一部の法則」(「傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部(空所部)以外が重要」という「重要解法」)で「手がかり」を探す。

直前に「これは」という「指示語」がある。「決定的に重要な事実」=「これ」という典型的な「指示語問題」だ。無論、即開く。直前から、「これ」=「観光地化し定期的にバスが出ていたから、ぼくはアウシュヴィッツに行くことができた」ということだと分かる。このことが傍線部の「内容」だ。

では、各選択肢の「文末」で「消去」していく。(ア)「悲劇の場所を観光地化していった」、(イ)「誰にでも行くことができる場所であった」、(ウ)「繰り返し訪れることが可能となった」、(エ)「目的にはなかったアウシュヴィッツを訪れることができた」。「定期的にバスが出ていたから行くことができた」ことが「重要」なので、とりあえずは、(イ)(ウ)以外は「消去」可能のはず。

で、筆者は「繰り返し訪れ」てはいないが、「重要」だと論じている。したがって、(ウ)は「消去」で、「答え」は(イ)だ。本問のような「段階的消去」の場合でも、「文脈」を正確にたどることが肝要。尚、こうした直接的な「指示語問題」でなくとも、「指示語が出たらすぐに開くこと」が鉄則だ。

<時間配分目安:2分>

【大問二】

  • 時間配分:

犬と人間は言葉を交わせない。けれど巡り会うとかけがえのない「家族」になる――「バーニーズ・マウンテン・ドッグ」「柴犬」「チワワ」「ボルゾイ」などといった犬と人間が織りなす情感に満ちた全7編。

本文は、「わたし」が動物保護団体での活動中に、東日本大震災で亡くなった「母」から離れてしまった柴犬の「風太」を発見する様子を描いている。内容は分かりやすいが、短文で端的な説明が連なっており、「心情」や「状況」の把握などの読み取りが厄介だ。また、「内容説明選択肢設問」5問中4問が「理由説明」という特徴的な大問構成になっている。以下、いくつかの設問を検証する。

[問一] 「語句の意味の選択肢」(2問/各4択)

「総合的知識問題」。傍線部(a)「欲目」・(b)「居丈高に」について、「ここでの意味」を答える。(a)の「欲目」=「自分の都合のよいように判断すること」、これは知っていなくてはならない語句で、「答え」は選択肢(ウ)「自分の希望から実際以上に評価すること」。で、(b)の「居丈高」はどうか? かなり難易度が高い。しっかりと「知識」を習得している諸君のみが、「人に対して威圧的な態度をとるさま」という「原意」を押さえているはずだ。

よって、「答え」は(イ)の「周囲に対して威圧的な態度で」となる。「本文中の語句の意味」は、「文脈」から特定することも可能だが、やはり、本校の「高度な語彙力」に対応できるように確実に学習しておきたい。

<時間配分目安:1分>

[問四] 「理由説明選択肢」(4択)

傍線部(3)「里香は同じフレーズを繰り返していた。つづくパートをよく知らないのだろう。だが、それで充分だった」について、「わたし」が「そのように思った理由」を答える。何の「フレーズ」? 何にとって「充分」? そうした不明な「状況」を「同一場面」から捉えていきたい(「小説」では「同一場面」の直前直後に「ヒント・手がかり」がある)。

「わたし」の「母ちゃんの子守歌」の「ねんねんころりよ。おころりよ」という「フレーズ」で、警戒しているの「風太」を落ち着かせるために「充分」だということが分かるはずだ。「直接的理由」となっている各選択肢の「文末」で「消去」する。

(ア)「里香の若さを感じているから」、(イ)「人間の言葉である歌詞など意味を持たないから」、(ウ)「優しい声でこの場を包みこめばよいから」、(エ)「母の子守歌を再現できなくても当然だと考えたから」。「風太」は長く「母ちゃん」と一緒に暮らしていたので、「同じフレーズ」だけでも「充分」だと「わたし」は思ったのだから無論、(ウ)以外は「消去」できる。他の部分の説明も特に誤ってはいないので、「答え」は(ウ)だ。「理由説明選択肢」では、「直接的理由」の「文末」[だから]⇒「傍線部」、と直接的に結びつくかどうかで「消去」することが肝要。

<時間配分目安:2分>

[問六] 「理由説明選択肢」(4択)

傍線部(5)「雪は降り続けていたが、寒さは感じなかった」について、「その理由」を答える。ここは「寒さは感じなかった」の「理由」なので、「原意消去」(「理由説明」では「直接的理由」での「消去」)ができそうだ。各選択肢の「文末」で試みる。

(ア)「動物の救済を続けてゆく意欲が高まっているから」⇒「寒さは感じなかった」、(イ)「里香に何でも相談していこうという思いが芽生えてきたから」⇒「寒さは感じなかった」、(ウ)「動物たちに今まで以上に愛情を傾けるようになっているから」⇒「寒さは感じなかった」、(エ)「(里香が)寄り添いあう存在となってゆく予感に包まれているから」⇒「寒さは感じなかった」。当然、「寄り添いあう」「包まれている」とある(エ)以外は「消去」だと判別できるはず。他の部分の説明も特に誤ってはいないので、(エ)が「答え」になる。何と「一発消去」だ。やはり、「原意消去」は最速最善の「解法」だ。

<時間配分目安:1分>

[問七] 「内容換言抜き出し」(「11字」指定)

波線部「人が見捨てたその町で、人に見捨てられた動物たちが必死で生きている」について、「風太」とのつながりを持つことによって確認された、「人に見捨てられた」犬たちに対する「『わたし』の思いが吐露された言葉」を「十一字」で抜き出して答える。「抜き出すべき内容」は全て「問題文」に示されている。要は、「見捨てられた犬たちに対する『わたし』の思い」だ。

次に、「抜き出し範囲」だ。「小説」だから無論、「同一場面の直前直後」だが、波線部は本文の2段落目で、「問題文」にある「わたし」が「『風太』とのつながりを持つ」ずっと以前だ。それではダメに決まっている。「『風太』とのつながり」が生まれるのは、傍線部(4)の4段落前からだ。そちらでの「同一場面」で探していく。すると直後に「わたし」が「風太」に話しかけている部分があり、そこに「お前の仲間も保護して、みんな腹一杯食わせてやる。また幸せにしてやるんだ」とある。

「お前の仲間」=「見捨てられた犬たち」で、「内容」は合致する。「指定字数」から、「答え」は「また幸せにしてやるんだ」となる。本問のように、「傍線部(波線部)」と「設問趣旨」が直接関係ないという問題もある。その場合、「傍線部」前後だけにこだわっていると解くことができないので要注意。

<時間配分目安:2分半>

【大問三】

  • 時間配分:

「問題文〈甲〉」(古文)は平安時代後期の説話集で、中国の故事を翻案し「歌物語」の形式にした27の短い説話から成る。本文では、伝説上の聖君である帝の「堯(げう=ぎょう)」から譲られる位を辞退した「許由」の清廉さと、それに過敏に反応した「巣父(そうほ)」の愚かさとを対比している。

「問題文〈乙〉」(漢文)は中国前漢の武帝の時代に司馬遷によって編纂(さん)された中国の歴史書である「史記」の注釈書。本文では、「問題文〈甲〉」と同じ逸話について、「巣父」が「許由」を、「わざわざ人目につくように、譲られる位を辞退した名誉を求めた」と非難している。

「古文」「漢文」ともに昨年同様に「内容解釈」がいくつか問われている。近年、難化傾向にあると心得よ。以下、いくつか検討してみよう。

[問一] [古文]「理由説明選択肢」(4択)

傍線部(1)「耳を洗ひける(耳を洗ったということ)」について、「その理由」を答える。「傍線部(空所部)一文一部の法則」で「手がかり」を探す。

直前に「(が)許由に位を譲らんと三たびまで召しけるを、きたなき事を聞きつといひて(=位を譲ろうと三度もお呼びになったそうだが、許由はけがれたことを聞いてしまったと言って)」とある。

ということは、「答え」は選択肢(ウ)の「位を譲ろうという帝の意向を再三にわたって示されたのが受け入れがたいことだったから」になる。「古文」でも「現代文」同様に、的確に「解法」を活用することが肝要。

<時間配分目安:1分半>

[問二]  [古文]「内容説明選択肢」(4択)

傍線部(2)「をこがましくこそ覚ゆれ」について、「その解釈」を答える。「覚ゆ」は「古文最重要単語」のひとつで、「下二段活用」の「動詞」。「思われる」という意味だ。

尚、ここでは「係助詞」の「こそ」があり、「係り結び」で「已然形」の「覚ゆれ」となっている。各選択肢の「文末」で「原意消去」する。(ア)「思われる」、(イ)「言える」、(ウ)「聞こえる」、(エ)「記憶している」。「答え」は即(ア)だと特定できる。ちなみに、「をこがまし」は「ばかげている」という意味の「シク活用」の「形容詞」。「内容解釈」であっても、「古文単語」さえ定着していれば「原意消去」可能だということ。万一、「古文単語」の意味が不明の場合は「文脈」から判別する他ない。

<時間配分目安:30秒>

[問四]  [漢文]「返り点記入」

傍線部(3)「見            故」は、「由の耳を洗ふを見て其の故を問ふ」と読むが、これを参考にして「返り点」を記入する。語順は「由(ノ)」→「耳(ヲ)」→「洗(フヲ)」→「見(テ)」→「其(ノ)」→「故(ヲ)」→「問(フ)」。

したがって、「答え」は「見由 洗一レ  其 故」(*「」「一レ」「」「」が「返り点」)となる。「返り点」「書き下し文」などは十分に練習しておくこと。

<時間配分目安:1分以内>

攻略ポイント

●「多種多様な設問内容」。どう対処するか?無論、「設問内容」に応じた「解法」の適用だ。基本的「解法」を完全に習得して、適切に応用できるようにしておくことが重要。それによって、「得点力」を安定させたい。本校の「合格ライン」は55%ほど(過去5年間の「Aコース」「SAコース」、男女合計の「合格最低得点率」の平均。本年度はやや下がって52.5%)。「解法」の応用で、「失点」「減点」を防いでいきたい。

●「字数指定なし」の「説明記述」。いかに「過不足なく」まとめ、「攻略」するか? 「裏ワザ」などないので、愚直に「記述」の「練習」を続ける他ない。正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくという手法を完璧にマスターし、「内容」の優先度が高いものから積み上げていく。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習する。本校では「30~60字程度」の「解答欄」が多いので、2~3つ程度の「要素」でまとめることに慣れること。

●「古文」「漢文」の「攻略法」は? 重要な「古文単語」の定着は勿論だが、「内容解釈」も求められるので「基礎的文語文法」は押さえておきたい。また、「古典常識」も「日本史」を含めてなじんでおくことが必要になる。「漢文」でも、「返り点」「訓点」「書き下し文」「基礎的句法」などの基本的知識は押さえておくこと。

●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は「現代文」で8000字程度(本年度は減少して約7100字)。当然、速く正確に読み取ることが求められる。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。

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