広尾学園高等学校 入試対策
2025年度「広尾学園高等学校の国語」
攻略のための学習方法
現代文の読解
例年、論説文が2つ出されている。文学的文章の出題はない。字数は総計7000~9000字前後。高校生レベルの文章で受験生にとってはやや難しい。
設問形式は計33問中、言語事項などを除いて、選択式15問・書き抜き1問・適語記入2問・記述5問(2025年度)。記述はいずれも50~80字ほどの長文記述になっていて難しい。
記述問題
字数が多いので、かなり練習を積んでおかないと試験本番で混乱し、うまくまとめられない事態が懸念される。本校の長文読解は論説文だけなので、論理的文章を指定された字数で要約する訓練が必要ということになる。
おおよそは20~30字でひとつの事柄がまとまり、50~60で大きなまとまりを形成すると考えれば、使う部分を整理しやすいだろう。20~30字ほどで重要点を抜き出しておき、設問の指定にそって組み合わせて答えとするのである。
まずは長文読解の基本どおりに問題をこなしていこう。形式段落→意味段落の整理(その際、意味段落の内容をタイトルとしてつけてしまうとわかりやすい)・段落ごとのつながり・各段落の最初と最後に特に注意しながら要点と細部の区別・それらをまとめて要旨・要約へといたる。
記述問題はまとめる内容が整理できていないと何回も書き直して時間切れになる恐れがある。素材文を読みながら印・傍線で重要点を目立つようにしておき、関連する事柄は線で結んでおくなどすれば解答の際に役立つだろう。同程度の文量の問題を多くこなし、60字や120字くらいで要約する練習を繰り返して十分に慣れておきたい。
選択肢問題
素材文が難しめなので選択肢の文も難しくなってしまうが、内容自体は迷わせるような微妙なものは少なく、選びやすくはなっている。本文をしっかり理解できていれば得点源にできるだろう。
古文
600~800字ほどの素材文で例年4~5問の出題となっている。配点は2割ほどあるので無視はできない。
現代語訳はつかないが、難しい単語の注はついている。内容も古文の中では比較的やさしい、現代人にもわかりやすい文が使われている場合も多く、難易度は配慮されている。
とはいえ、学校でさっとなぞっただけの古文の学習では足りない。最重要単語や基本文法を頭にいれ、高校生初級レベルの古文の教材で勉強しておこう。古文に頭を慣らしておくだけでも、得点につながるはずである。
漢字
言語事項などの知識問題はあまり出題されない。漢字の読み4問・書き6問という形でほぼ定着している。読み書きともに難しい漢字も出されているので、中級程度の漢字をマスターし、できれば上級レベルまで手を伸ばしておきたい。
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2025年度「広尾学園高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
2問の論説文読解で約9000字・古文700字ほどで計9700字ほどの文量で、総解答数は33問。
5問の記述は難易度も高く計15~17分ほどは取られそうである。どうしても時間が足りなければ何問かは諦めるのも作戦であろう。
漢字10問は2~3分程度でさっさと済ませ、選択肢の問題を全てこなしてから、記述問題に時間いっぱい取り組む。
【大問一】漢字の読み書き
- 時間配分:3分
問一 ① おもわく ② こぶ ③ ふきゅう ④ かたわ(ら)
問二 ① 鑑賞 ② 畏怖 ③ 円滑 ④ 回顧 ⑤ 孤高 ⑥ 貢献
【大問二】論説文の読解
- 時間配分:20分
人間は「複雑性」を持つがゆえに社会のルールを作り変えることができるが、その「活動」の予測不可能性を制御できるのが「約束」であり、だからこそ約束を破ってはいけないのである。
問一 A. 人間は生まれながらに平等であるという、「普遍的」な人権の概念。
B. 既存の社会のルールを変えることは、「一時的に」大きな混乱を招く。
C. すべての人が一つのルールに従い多様性が失われると、社会は「画一的に」なってしまう。
問二 フランス革命では現代にも通じる人権や平等といった概念が生み出されたが、革命の過程で暴力や殺人などの無秩序な状態も生じ、悲惨な出来事も起こってしまった→選択肢ウ。
問三 しばらく後の部分で、多様性が失われるとすべての人間が一つのルールでカバーで
きてしまう「単一の存在」になってしまうという、アーレントの考えが引用されている。
問四 (例) まったく同じ人間は一人として存在せず、これまで誰もしなかったことを新し
く始めることができるから(四十七字)。
問五 活動は多様性を持つ人間が集まって行われるため、予測不可能性を排除できないと述べられている→選択肢ア。
問六 (例) 社会の既存のルールを刷新するとき、その活動は道徳すら守られない無秩序状態に陥るが、活動を健全に制御する力を持つのが「約束」を交わすこと・守り抜くことだから(七十七字)。
〔ワンポイント!――論説文の記述問題は文中の適切な部分を利用してまとめられる場合が多い。重要な部分に傍線を引くなどして目立つようにしておけば楽である。大事な箇所に印をつけられるよう、類似問題をこなしてコツをつかんでおこう。〕
【大問三】論説的随筆文の読解
- 時間配分:17分
新しい言葉の登場・流行・消滅は当然のこととして、「語彙力」の不足と「TPO」の判断については懸念を感じると筆者は述べている。
問一 新しい言葉の流行や消滅は当然のことだと筆者は考えており、古い言葉にあまり固執しないで楽しめばよいと提案している→選択肢イ。
問二 A. [目]くじら(を立てる) B. 大[目]玉(を食らう)
問三 以前は自分の思いを広く伝える手段が乏しかったが、SNSが普及した現在では自分の気持ちをすぐに・不特定多数に・自分の言葉で伝えらえるようになったこと(七十四字)。
問四 アナウンサーといっても常に正しい言葉を使うわけではなく、相手や場によっていろいろと使い分けているという点では、一般の人と変わらないのである。
問五 言葉について考えることは人間について考えることと同じであり、人間が言葉を作ったように言葉も人間を作る。言葉と現実はリンクするものであり、昔の言葉を知ることは、本来の日本人の姿を知ることにもつながるのである。
問六 エ. 「語彙力」について筆者の意見のまとめとして述べられていることと合う。
〔ワンポイント!――本校の記述問題は指定の字数に20字ほどの幅がある。調整しやすいので、あまり細かく気にせずまずは思ったことを書いてみよう。〕
【大問四】古文の鑑賞
- 時間配分:10分
《あらすじ》蔵人の貞高が急に会食の最中に食卓に倒れ込み、いびきをかいて寝てしまった。
小野宮頭中将が主殿司に命じて起こそうとしたところ、すでに死んでいた。みな大騒ぎになる中、頭中将はこのままにもしておけないので、(じつは嘘なのだが)東の陣から運び出そうといった。それを聞いた宮中の人たちが東の陣に集まったところ、遺体は西の陣から運び出され、人々は見ることができなかった。二十日ほど経って、頭中将の夢に貞高が生前の姿で現れ、死に顔を人に見られる恥をかかずに済みましたと泣きながら手を取って喜んだ。
問一 X. 貞高が急に突っ伏して寝てしまったので、「おかしい(あやし)」と思っていると……。
Y. 会食中に急に人が死んで、皆が「物恐ろし」く感じて方々に走り散った。
Z. 頭中将の夢に現れた貞高は「たいへん嬉しいです、自分が死んだ恥を隠していただいたこと、ずっと忘れません」と言った。
問二 A. 突っ伏した貞高が喉を詰まらせるようにくっくっと鳴らしたので……。
B. 小野宮頭中将が主殿司に「その寝ている様子は何かおかしい。起こしなさい」とおっしゃったので……。
C. 主殿司が近寄って起こすが、貞高はこわばったようになって動かない。
D. おかしいと思って主殿司が貞高を触って探ってみて……。
問三 ① エ ② イ
問四 東の陣から運びだそうと皆の前では言っておいて、実際は「西」の陣から遺体を運び出して、貞高が死に恥をさらさないように配慮したのである。
問五 頭中将が機転を利かせて皆を東の陣に向かわせたすきに西の陣から遺体を運びだしてくれたおかげで、貞高は自分が死んでしまうという恥を宮中の皆に見られずに済んだのである。
〔ワンポイント!――使われる素材文がやや難しめである。主語の見分けや助動詞の意味・重要な単語など、基礎的なレベルでよいので、しっかり対策して得点源にできれば有利である。〕
攻略ポイント
長文読解と記述対策が焦点であろう。
論説文の読解なので、論理の流れを把握して要約する力をつけることが目標となる。
記述は100字超の問題も出されるので、同程度の字数の問題を多くこなし、字数の感覚を得ておく。自然科学・人文科学などの論理的文章を読みながら要点に印をつけるなど、普段の読書も練習に組み込むことをお薦めする。
古文はやはり頭を慣らしておくことが大事なので、中学の教科書だけでなく、高校の教材を使って少しでも多くの古典に触れておくと良いだろう。