高校受験プロ家庭教師 弱点克服・志望校入試傾向対策
高校受験専門プロ家庭教師が語る

市川高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2017年度「市川高等学校の国語」
攻略のための学習方法

[記述]
「市川の記述対策」は「問題解説」及び上記のとおりだが、その前提としてやるべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。

最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。

では、何を「書く」か? 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。50~60字程度で書いてみる(市川の典型的な「記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一挙両得。

次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。

「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく。

[解法]
「記述」「選択肢」、その他の問題も含め、「市川の国語」で勝利するための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。

そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解説」が定まっていない証だからだ。そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。

さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

[速読]
大学入試にも匹敵、あるいはそれ以上の問題文を読まなくてはならない。「現代文」全体で7000字以上。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。

やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。

「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックしつつ、「心情表現」を拾いながら素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。市川に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。

[知識]
「高度な語彙力」だけではなく、「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる「市川の国語」(直接出題だけではなく、「本文読解」等でも必然的に問われる)。いかなる「攻略法」があるのか? 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。

確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。

要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。

なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・文法630」(「文法」含む)や「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字」(共に旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」からの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。

[古典]
「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」は必須のカリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶことはない。

が、「中高一貫校」ではそれらを中学時点で学び始めている。従って、「高校入試」で出題されることになる。明らかに「ハンディ」だが、仕方がない。塾での学習ないし「独習」するしかない。最重要な「古文単語」(200語程度)を定着させ、基礎的な「文語文法」は理解しておかなくてはならない。

そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。なお、「古文」強化用のテキストとしては、「古文完全攻略63選——入試頻出問題厳選」(東京学参)や、「古文単語」定着用として「マドンナ古文単語230」(学研)などが推薦できる。

志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談

お問い合わせ・資料請求はこちら

2017年度「市川高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「漢字の書きとり」(全5問)と「同音異字の判別選択肢」(全5問)。

3分ほどで丁寧に終えたい。

大問は「論説文」、出典は池内了「科学と人間の不協和音」所収の「役に立たない科学の居場所」(文字数約2700字)。

小問は全5問(解答数6)。「選択肢」(「語句の空所補充」「本文合致」あり)、「説明記述」(「80字以内」指定1問)。問題文は4分弱で読み切り、設問を15~16分で解きたい。

大問は「小説」、出典は司馬遼太郎「菜の花の沖」(文字数約2300字)。

小問は全6問(解答数6)。「選択肢」、「説明記述」(「60字以内」指定1問)。問題文は3分強で読み切り、設問を17~18分で解きたい。

大問は「古文」、出典は石川雅望「しみのすみか物語」(文字数約610字)。

小問は全5問(解答数5)。「選択肢」(「組み合わせ」「空所補充」あり)、「抜き出し」(空所補充)。10分ほどで解きたい。

【大問1】

  • 時間配分:1分半

「漢字問題」が独立した昨年度は「漢字の読み書き」だけだったが、本年度は「書きとり」と「同音異字の判別」になった。難易度も格段にアップし、特に「書きとり」は大学入試レベルだ。

[問1] 「漢字の書きとり」(全5問)。超難解。全て書けなくても不思議ないくらいだ。せめて1問だけは「正解」したい。確認する。

(1)シンサンをなめる」(=「辛酸」)⇒「辛い苦しみ」のこと。

(2)マイキョにいとまがない」(=「枚挙」)⇒「枚挙に暇がない」=「数えられないほど沢山ある」と覚えておきたい。

(3)「勝ち負けにコウデイする」(=「拘泥」)⇒「こだわる」ことだ。

(4)「教授のシゲンを聞く」(=「至言」)=「本質をついた言葉」のこと。

(5)「悪事をソソノカす」(=「(す)」)⇒これは何とか書きたい。

無論、「捨て問」があっても構わない。いずれにしても、本校では高度な「語彙力」が求められているということだ。

<時間配分目安:1分以内>

[問2] 「同音異字判別の選択肢」(全5問/各5択)。

示されている(1)(5)の各文の傍線部と「同じ漢字を使うもの」を答える。

大学入試センター試験と同形式の「漢字問題」。5問だが結局、計30の「漢字」が判別できなくてはいけない。特に「判別」が難しいものを確認しておく。

(1)「会社のモン弁護士」=「(問)」⇒選択肢(ア)「ベツ指導」=「(別)」/(イ)「キョウな意志」=「(強)」/(ウ)「自分の力をジする」=「(示)」/(エ)「イに人にぶつかる」=「(意)」/(オ)「キャクを満足させる」=「(客)」⇒「答え」は(オ)。

(3)「キフクの激しい山」=「(起)」⇒(ア)「病気がカイフクする」=「(回)」/(イ)「飼い主にフクジュウする」=「(従)」/(ウ)「フクザツな心境」=「(雑)」/(エ)「話にフクセンを張る」=「(線)」/(オ)「フクスイ盆に返らず」=「(水)」⇒「答え」は(エ)。

(5)「注意をカンキする」=「(起)」⇒(ア)「カンマンな動き」=「(慢)」/(イ)「土地がカンボツした」=「(没)」/(ウ)「証人をカンモンする」=「(問)」/(エ)「ゴッカンの地」=「(極)」/(オ)「運命をカンジュする」=「(受)」⇒「答え」は(ウ)。「漢字対策」では「最高難度レベル」まで定着しておくこと。

<時間配分目安:2分>

【大問2】

  • 時間配分:

欲望の道具として消費され、ときに人間を傷つけさえする現代科学――戦争や市場経済に翻弄されてきたその「危うさ」を科学者自身が再検証し、福島第一原発事故後の目指すべき「地上資源文明」への転換を構想している。

本文では、「科学」は「文化」の中核を成し、「技術」は「文明」の基礎だとすれば、地下資源の少ない日本では、「科学」が日本を背負う状況は異様であるので、「文化」としての「科学」の大事さを評価すべきであると論じている。「科学論」「文明論」でそもそも内容がつかみづらい。

しかも、本校特有の「長い説明」(100字以上は当然)の「紛らわしい選択肢設問」が連なり、「長文説明記述」も待ち受けている。本大問を如何に突破するかが、勝敗を分けると言っても過言ではない。以下、いくつか確認してみたい。

[問1] 「換言説明選択肢」(5択)

傍線部(1)「科学は文化の諸相の中核を成し、技術は文明の基礎と言うことができる」について、これは「どういうことか」を答える。いきなり「説明文」だけで「約550字」という「選択肢設問」だ。気勢をそがれて当然だが、ここは気を取り直して基本に立ち返り、挑んでいきたい。

「選択肢設問」は「消去法」が原則なので、先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。ここは「換言説明」なので、先ずは傍線部後半の「技術は文明の基礎」の「原意」と、各選択肢の「文末」(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)とが結びつかないものを「消去」する。

選択肢(ア)「技術は文明の形態によって特徴づけられる産業構造を構成する」、(イ)「技術は文明の優劣を決定する」、(ウ)「技術は文明の形態を決定する」、(エ)「技術は文明の質や形態を決定し変化させていく」、(オ)「技術は文化と結びつくことで文明の形態や質を特徴づける」。

どうか? 「消去」できるか? 「技術」=「文明の基礎」なのだから、当然、(ウ)以外は「消去」可能だと判別したい。他の部分の説明も特に誤っていないので、(ウ)が「答え」となる。「長い長い選択肢説明」だが、「文末」だけで「一発消去」だ! 「原意消去」は使えるぞ。

<時間配分目安:1分>

[問3(1)] 「換言説明選択肢」(5択)

傍線部(3)「科学研究は社会と独立した独善的な行為ではないのだ」について、「どういうことか」を答える。当然、「原意消去」からだ。傍線部後半の「独善的な行為ではない」の「原意」と、各選択肢の「文末」とが結びつかないものを「消去」したい。だが、選択肢の「文末」は全て「必要だということ」、これでは「消去不能」。

次に、「傍線部(空所部)一文一部の法則」(「傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部(空所部)以外が重要」という「重要解法」)に「手がかり」を求める。しかし、傍線部は「一文全部」だ。ここでも不発(まあ、こういうこともある)。めげずに次善の策へ。「何」が「必要だ」というのかを、「同一意味段落」で確認する(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)。

直前に、「科学が文化であるためには」「社会的受容が欠かせない」とある。各選択肢の、「何」が「必要」なのかという部分で「消去」する。(ア)「自治体の努力」、(イ)「市民間の合意」、(ウ)「市民の寛容な態度」、(エ)「科学者の謙虚で実直な姿勢」、(オ)「社会の要求を冷静に見極めることのできる感性」。

「必要」なのは「社会的受容」なのだから無論、(ウ)以外は「消去」だと判別できるはず。他の部分の説明も特に誤っていない。よって、「答え」は(ウ)。「解法」に則した「段階的消去」も駆使する必要があると心得よ。

<時間配分目安:2分半>

[問4] 「語句の空所補充選択肢」(5択)

「総合的知識問題」。「慣用的表現」だ。本文中の空所 4 に「入る語」を答える。空所前後は「芸術も同じ文化の一 4 を構成している」となっている。各選択肢は、(ア)「尾」、(イ)「翼」、(ウ)「足」、(エ)「腕」、(オ)「首」だ。「一を構成」、

さあ、思い浮かぶか? 「一翼を担う」という「慣用的表現」があったはずだ。「全体の中で、一つの役割を引き受ける」こと。つまり、「一翼」には「全体の中での役割などの一端」という意味がある。

したがって、「答え」は(イ)となる。「ことわざ」「慣用句」「故事成語」はもちろん、本問のような「慣用的表現」もしっかりと定着させておくこと。

<時間配分目安:1分以内>

【大問3】

  • 時間配分:

江戸後期、淡路島の貧家に生れた「高田屋嘉兵衛」は悲惨な境遇から海の男として身を起こし、遂には蝦夷・千島の海で活躍する偉大な商人に成長してゆく――鎖国下の日本と、南下する大国ロシアとのはざまで数奇な運命を生き抜いた快男児の生涯を描いた作品。

本文では、「嘉兵衛」が「キッキャ」と呼ばれていた11歳の頃の、「大人の顔をぶらさげて」いる「腕白ぶり」が活写されている。「時代小説」だが、内容は分かりやすい。が、この大問でも癖のある「選択肢設問」が連続し厄介だ。以下、いくつかの設問を検証する。

[問3] 「理由説明選択肢」(5択)

傍線部(3)「律蔵は涙を溜めつつも苦笑した」について、「どうして律蔵は苦笑したのか」を答える。当然、先ずは「原意消去」。ここでは「理由説明」なので、各選択肢の「文末」⇒「だから」⇒「苦笑した」と、「直接的理由」として結びつかないものを「消去」したい。

確認する。(ア)「あらためて何とかしなければと思ったから」、(イ)「あらためて痛感し悲しくなったから」、(ウ)「あらためて情けなく感じたから」、(エ)「自分をどうすることもできなかったから」、(オ)「あらためて痛感し情けなかったから」。「苦笑」なので、「情けない」ではない(ウ)(オ)以外は「消去」できるはずだ。

次なる「消去」。傍線部は「涙を溜めつつ苦笑した」となっている。つまり、「涙」と「苦笑」という2つの「心情」が同時にあるわけだ。そこから、「情けなく」とだけ説明されている(ウ)ではなく、「痛感し」「情けなかった」となっている(オ)が残ると分かる。他の部分の説明も特に誤ってはいない。

したがって、「答え」は(オ)でいい。「細部」に着目するということも、「選択肢消去」の大きなポイントだと心得よ。

<時間配分目安:2分>

[問4] 「条件付き換言説明記述」(「60字以内」指定)

傍線部(4)「おのれの哲学にすりかえた」について、これは「どういうことか」を説明する。「条件」は「『すりかえた』理由を明らかにする」こと。「直前直後」から「状況」を把握する(「小説」では「同一場面」の「直前直後」に「手がかり・ヒント」がある)。「身を売りたい」という話を聞いた「律蔵」が、「キッキャ」に「それほどに弥吉っつぁん(「キッキャ」の父)はツライ(窮迫している)のか」と言ったのに対して、「キッキャ」が「十一にもなって、親の飯を食うておれんわい」と答えたことが、「おのれの哲学にすりかえた」ことだと分かる。

また、直後には「この一件を親の恥にしたくなかったのであろう」とある。つまり、「十一にもなって親の世話になってはいられない」というのが「おのれの哲学」であり、そう「すりかえた」のは「親の恥にしたくなかった」からだとなる。あとは、「おのれの哲学」「すりかえた」を相応しい表現にして、「過不足なく」まとめていきたい。

たとえば、「自分の身売りを父の恥にしたくなかったので、もう親の世話になってはいられないという自らの生き方の問題へと替えたということ。」といった「答え」になる。「小説」では「状況」を読み解いて、説明すべき「要素」を捉えることが重要だ。

<時間配分目安:3分>

[問6] 「心情説明選択肢」(5択)

傍線部(6)「キッキャは、大声を出した」について、この時、「キッキャはどのような心情だったのか」を答える。先ずは「原意消去」といきたいが、さすがに「大声を出した」だけでは難しいので、「状況」を確認する。「キッキャ」の頼みごとに尻込みしている「律蔵」の「本家としてのわしの面が立つまいぞよ」という言葉に対して、「キッキャ」が「なにを兄さん」と「大声を出した」ことが読み取れる。

そして、「ト書き」には「わしが世間に声高に言う理由は」「商いを習いたいということじゃ、これは志というものじゃ」とある。さらに、直後で「キッキャ」は「兄さん、この一件は陽気にやってくれい」と言い、「律蔵」が「陽気」になったことも分かる。こうした「要素」から「選択肢消去」を試みると、(オ)だけが全ての「要素」を満たしていて、他は「消去」可能だと判別できなくてはいけない。

すなわち、(オ)の「律蔵を尻込みさせている」⇒「尻込みしている律蔵」、「律蔵を励ますため」⇒「陽気にやってくれい」、「自分の考えや思いをしっかり律蔵に伝えよう」⇒「声高に言う理由は、志というものじゃ」という結びつきだ。よって、「答え」は(オ)だ。このように、基準となるいくつかの「要素」を組み合わせて「選択肢消去」を行うというオプションもある。心得ておきたい。

<時間配分目安:2分半>

【大問4】

  • 時間配分:

「宇治拾遺物語」などの「説話集」の文体、体裁に倣って、旅人たちから聞いたとする滑稽な奇聞、逸話を集めた「笑話集」。作者の石川雅望は江戸時代後期の狂歌師、国学者、戯作者。

本文は、徹底した「ケチ」で「およそ世の中の宝の半分」も集めてしまった「大金持ち」の家に「貧乏神」が入ってきて、「近頃、世間には貧乏人が数多く出てきて、私の仲間は誇らしげに騒いでいますので、そのお礼を申し上げるために参りました」と言ったというエピソード。「古文」で頻出の「人物特定」や「内容解釈」、「理由説明」などが問われている。以下、いくつか確認したい。

[問1] 「人物特定の組み合わせ選択肢」(5択)

頻出の「主語」などの「人物特定問題」。本文中の二重傍線部(a)~(c)の「我がともがら」とは、それぞれ「誰の仲間のことか」の「組み合わせ」を答える。ちなみに「ともがら」(仲間。同輩)は必須の「古文重要単語」のひとつ。各選択肢の「人物」は「窮鬼(=貧乏神)」と「毘沙門天(=財宝を守る神)」の「組み合わせ」。

確認する。(a)の直前に「毘沙門天、……はひりの方をにらまへて宣(のたま)ひけるは(=毘沙門天が、入口の方をにらんでおっしゃたことには)」とあるので、「毘沙門天」の「ともがら」だと分かる。(b)は「窮鬼簀子(すのこ)のもとについ居て、申しけるは(=窮鬼が、縁側の下にひざまずいて申し上げたのは」となっているので、「窮鬼」の「ともがら」。(c)は「主語」は省略されているが、「問ひ給へば(=問いなさるので)」という「尊敬語」があっての「答え」なので、「毘沙門天」の「問い」に対する「窮鬼」の「言葉」だと分かり、「窮鬼」の「ともがら」になる。

よって、その「組み合わせ」である(ウ)が「答え」。「人物特定」では、「主語」が省略されていても、「文脈」や「敬語」などに着目して判別することが肝要

<時間配分目安:1分>

[問4] 「副詞の空所補充選択肢」(5択)

本文中の空所 3 に「入る語」を答える。空所前後は「窮鬼簀子のもとについ居て、 3 申しけるは」となっている。つまり、空所は「窮鬼」が「ひざまずいて(毘沙門天に)申し上げた」([問1]参照)様子だ。

各選択肢は、(ア)「おめおめ」、(イ)「はればれ」、(ウ)「くどくど」、(エ)「おづおづ」、(オ)「たうたう」。「ひざまずいて申し上げた」のだから当然、(エ)が「答え」となる。「古文単語」や「文法」で不明なものがあったとしても、「文脈」などから何とか類推していくことが重要

<時間配分目安:2分>

[問5] 「理由説明選択肢」(5択)

「窮鬼が家主(=大金持ち)の家にやってきたのはなぜか」を答える。本文全体の「内容解釈」に関する問題だが、具体的には「窮鬼」が最後に語っている部分で「理由」が説明されていることを読み解きたい。そこには、「我がともがら所得てうけばり誇らはしうののしり侍る。此のよろこび申さんために、すなはちきう来つるなり」とある。難しいかも知れないが、「※注」なども活用して、何とか解釈したい。

要は「私の仲間は思いのままになって、晴れやかに立ち振る舞い、誇らしげに騒いでいますことのお礼を申し上げようと、こうして来たのです」ということ。これを踏まえての「選択肢消去」だが、すぐに「礼を言いたいと思ったから」とある(イ)を「答え」にしてはいけない。「よろこび申さため」の「ん」に着目する必要がある。「ん」=「む」で、「推量」「意志」「婉曲」「仮定」の「助動詞」だ。

ここでは「一人称」なので「意志」になる。したがって、「礼を言いたい」という「希望」は「不適切」なのだ。よって、「答え」は「感謝の念を示そと思ったから」の(オ)となる。無論、「う」は「口語文法」で「意志」の「助動詞」。「文語文法」とともに「口語文法」も駆使して、「細部」にこだわることで、「内容解釈」の「選択肢」は「判別可能」となるのだ。

<時間配分目安:2分>

攻略ポイント

●「長い説明文で紛らわしい選択肢設問」はどう対処するか? 無論、できるだけ単純な方法で、「選択肢」を少しでも「消去」しておきたい。その為にこそ「原意消去」だ。絞り込めば、誤答の可能性が減少するのは自明の理。その上で、様々な「解法」を用いて、さらに判別すればいい。従って、基本的「解法」を完全に習得し的確に応用できるようにしておくことが重要だ。それによって「得点力」を安定させたい。

●「説明記述」は「問題文」と「条件」がとても複雑だ。「攻略」できるか? それぞれを正確に理解することは当然として、後は実直に「練習」するだけだ。正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げるという手法を完璧にマスターすること。「内容」から重要度を特定し、優先順位の高いものから積み上げる。各「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習する。本校では「60~80字程度」の「字数指定」が多いので、2~3つ程度の「要素」でまとめることに慣れること。「合格ライン」は65%ほど(過去5年間平均の「3科目合計合格者最低点」は62.0%、本年度は62.3%)。配点が大きい「説明記述」(各10点程度)での失点や減点は致命的になると肝銘せよ。

●「総合的知識問題」も決して侮れない。「あらゆる知識」が問われる。独自に「幅広い知識」を常に習得していくこと。学校や塾での学習だけでは、全く不十分だ。

●「古文」の「攻略法」は? 重要な「古文単語」の定着はもちろんだが、「内容解釈」も求められるので「基礎的文語文法」は押さえておきたい。

●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は7000字ほどにもなる。速く正確に読み取ることが不可欠。分速700字以上を目標に「読む練習」をしたい。

志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談

お問い合わせ・資料請求はこちら

市川高等学校の科目別
入試対策一覧

TOP

創業以来、
最高峰のプロ教師陣を輩出

TRADITION
SINCE 1985

1985年法人設立以来、プロ家庭教師のクオリティーにこだわり続け、現役プロ教師の中でもトッププロと呼ばれる真の実力を兼ね備えた合格実績豊富な家庭教師のプロだけをご紹介しています。
特に中学受験·大学受験·医学部受験専門のプロ教師のクオリティーに自信があります。