高校受験プロ家庭教師 弱点克服・志望校入試傾向対策
高校受験専門プロ家庭教師が語る

市川高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2023年度「市川高等学校の国語」
攻略のための学習方法

記述

「市川の記述対策」は「問題解説」及び上記のとおりだが、その前提としてやるべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。

最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。

では、何を「書く」か? 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。50~60字程度で書いてみる(市川の典型的な「記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一挙両得。

次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。

「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく。

解法

「記述」「選択肢」、その他の問題も含め、「市川の国語」で勝利するための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。

そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解説」が定まっていない証だからだ。そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。

さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

速読

大学入試にも匹敵、あるいはそれ以上の問題文を読まなくてはならない。「現代文」全体で7000字以上。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。

やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。

「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックしつつ、「心情表現」を拾いながら素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。市川に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。

知識

「高度な語彙力」だけではなく、「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる「市川の国語」(直接出題だけではなく、「本文読解」等でも必然的に問われる)。いかなる「攻略法」があるのか? 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。

確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。

要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。

なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500 四訂版」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。

古典

「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」は必須のカリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶことはない。

が、「中高一貫校」ではそれらを中学時点で学び始めている。従って、「高校入試」で出題されることになる。明らかに「ハンディ」だが、仕方がない。塾での学習ないし「独習」するしかない。最重要な「古文単語」(200語程度)を定着させ、基礎的な「文語文法」は理解しておかなくてはならない。

そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。なお、「古文」強化用のテキストとしては、「古文完全攻略63選——入試頻出問題厳選」(東京学参)や、「古文単語」定着用として「マドンナ古文単語230」(学研)などが推薦できる。

志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談

お問い合わせ・資料請求はこちら

2023年度「市川高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「論説文」、出典は長谷川眞理子「種と個のあいだ 『利己的な遺伝子』をめぐって」(文字数約4100字)。小問は全5問(解答数5)。「選択肢」、「説明記述」(1問。「100字以内」指定)。問題文は5分程度で読み切り、設問を13分弱で解きたい。

大問は「随筆」、出典は【文章Ⅰ】が石割透編「芥川追想」所収の恒藤恭「友人芥川の追憶」(文字数約3400字)、【文章Ⅱ】が芥川龍之介「恒藤恭氏」(文字数約300字)。小問は全5問(解答数6)。「選択肢」(「発言内容非合致」あり)、「抜き出し」(1問)、「説明記述」(1問。「80字以内」指定)。問題文を合わせて4分半程度で読み切り、設問を15~16分で解きたい。

大問は「古文」、【文章Ⅰ】が一色直朝「月庵酔醒記」(文字数約700字)、【文章Ⅱ】が井原西鶴「武家義理物語」(文字数約400字)。小問は全4問(解答数6)。「選択肢」(「組み合わせ」あり)、「抜き出し」(1問)。10分強で解きたい。

大問は「漢字の書きとり」(全5問)。2分以内で丁寧に終えたい。

【大問一】

  • 時間配分:13分弱

科学において、論争は双方の理論や分析をさらに精密化する活性剤になり、価値判断とは無関係だといわれる科学的事実も、私たちの価値判断に影響を与えることがあると論じている。本文では、科学者には研究成果を一般人に分かりやすく正確に伝える義務があり、批判的な鋭い目を持つ「非」科学者の一般人を育てていくことも科学者の使命のひとつだと指摘している。「科学論」ではあるが、さほど難解な語句もなく内容は理解できるはずだ。
「内容説明」と「換言説明」の選択肢4問と「説明記述」1問というシンプルな大問構成。だが、一筋縄ではいかぬものもあるので注意したい。以下、いくつか確認してみよう。

[問1] 「内容説明選択肢」(5択)。
傍線部(1)「『社会生物学』という大著」について、「それはどのような書物か」を答える。「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」を最優先に考えること)。しかし、傍線部だけでは流石(さすが)に無理だ。「同一意味段落」に「手がかり」を求めたい(「論説文」「説明文」、「随筆」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)。すると、傍線部の次の形式段落冒頭に「(「社会生物学」という大著)が多くの分野の学者を巻き込んで繰り広げられることになる大論争を引き起こした」とある。
ここで、各選択肢の「文末」と照合する(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)。(ア)「長期的な対立の原因となった書物」、(イ)「長きにわたる大きな混乱をもたらした書物」、(ウ)「長期的な論争を引き起こした書物」、(エ)「十年以上にわたる議論をもたらした書物」、(オ)「論争をさらに激化させた書物」。さあ、どうだろうか? 「大論争引き起こした」のだから、「長期的な論争引き起こした書物」以外は即「消去」できると判別できなくてはいけない。「同一意味段落」で他の部分の説明を確認しても特に誤っていない。したがって、「答え」は(ウ)だ。本問ではワンクッションあったが、先ずは「原意消去」だと心得よ。
<時間配分目安:2分弱> 

[問3] 「換言説明選択肢」(5択)。
傍線部(3)の「双方ともに成長したようです」とは「どういうことか」を答える。もちろん、「原意消去」から。ここは「換言説明」なので、「成長した」の「原意」と結びつかない「換言」を「消去」する。
各選択肢の「文末」は、(ア)「活発なものにしていった」、(イ)「展開していった」、(ウ)「確認していった」、(エ)「取り入れていった」、(オ)「高めていった」。「成長」の「原意」は無論、知っているはず。であれば、「高めていった」以外は「消去」可能だと判別できる。念のために、「同一意味段落」を確認する。他の部分の説明も特には誤っていないと分かる。よって、「答え」は(オ)になる。華麗なる「一発消去」ではないか。「原意消去」は必須定着ツールだ。本校のようにそれぞれの「選択肢説明」が長い場合は尚更だ(本問では「80字程」もある)。
<時間配分目安:1分強> 

[問5] 「内容説明記述」(「100字以内」指定)。
傍線部(5)の「科学者の使命」とは「どのようなものと考えられるか」を、「100字以内」で説明する。先ずは、「傍線部一文一部の法則」に「手がかり」を求める(「傍線部が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要」という読解の基本となる解法)。直前・直後は、「そのような鋭い『非』科学者の一般人を育てていくことも、(科学者の使命)の一つなのでしょう。」となっている。ここでのポイントは「そのような」という「指示語」と、「も」という「反復」の助詞だ。「指示語」の内容が「科学者の使命」の「一つ」であり、他にも「使命」が前で述べられていることになる。「指示語」から開いていく(「指示語」が出たら即開くこと)。直前から、「そのような鋭い『非』科学者」=「科学的知識を理解するための知的努力を楽しいと感じ、知的論争を好むような批判的な鋭い目を持つ『非』科学者」だと読み取れるはず。そして、もう一つの「科学者の使命」を「同一意味段落」で読み解いていくと、一つ前の形式段落から、「科学者は、自分たちの研究成果を分かりやすく正確に一般の人びとに伝え、間違って普及されているものを正す義務がある」ことが分かる。これらが「科学者の使命」になる。あとは、内容を整理して「字数」に合わせてまとめていけばいい。たとえば、「研究成果を正確に一般の人びとに伝え、間違って普及されているものは正すとともに、科学的知識を理解するための知的努力を楽しみ、知的論争を好むような批判的な鋭い目を持つ『非』科学者の一般人を育てていくもの。」(100字)といった「答え」になる。適切な「解法」を用いて、段階的に解き進めることが肝要だ。
<時間配分目安:3分>

【大問二】

  • 時間配分:15~16分

【文章Ⅰ】では、芥川龍之介の没後90年に際し、芥川と関わった旧友、元同僚、作家たち、家族が、記憶の中の作家のさまざまな素顔を呼び返し、近代文学の鬼才の素顔に迫まっている。本文の筆者(恒藤恭)は芥川と大学(旧制第一高等学校=一高)の同級生で親友だった。

【文章Ⅱ】では、芥川自身が親友「恒藤恭」の「人となり」について語っている。昭和初期と大正末期の文章で難解な語句が多々あるが、「※注」を参考にしてなんとか内容を理解したい。本校としてはオーソドックスな構成の大問だ。以下、いくつかの設問を検証する。

[問2] 「理由説明選択肢」(5択)。
傍線部(2)「何だか私も安心したような気がした」について、「それはなぜだと考えられるか」を答える。無論、最初に「原意消去」を試みる。本問は「理由説明」なので、「私も安心したような気がした」の「直接的理由」として結びつかないものを「消去」したい。
各選択肢の「文末」⇒「だから」⇒「私も安心したような気がした」とつながるかどうかだ。確認する(最後は全て「と感じたから」なので省略する)。(ア)「親友の心も落ち着くだろう」、(イ)「彼の心が安らぐだろう」、(ウ)「許してくれるだろう」、(エ)「正確に伝わる」、(オ)「参列者にも伝わる」。「安心した」のだから、「心も落ち着く」と「心が安らぐ」以外は「消去」できるに決まっている。これで「2択」になった……、ちょっと待った、本当にそれだけか? さらにもうひとつ、「消去」できなくてはいけない。「私安心した」ということは、もうひとり「安心」していなくてはならない。よって、「彼の心安らぐ」は「消去」可能で、「親友の心落ち着く」だけが残ると判別しなくてはならない。「同一意味段落」で他の部分の説明を確認して、特に誤っていないと分かる。したがって、「答え」は(ア)だ。「原意消去」の「ネタ」を漏らさなかったおかげで「一発消去」できた。
<時間配分目安:1分強> 

[問4(1)] 「換言内容の条件付き抜き出し」(「10~15字以内」指定)。
傍線部(4)の「私たちの共通の世界」と「同内容の表現」を「10字以上15字以内」で抜き出して答える。「条件」は「これより後の本文中から抜き出す」こと。「抜き出し」では、「抜き出すべき内容」を特定した上で「抜き出し範囲」を絞っていくことが鉄則。「内容」は傍線部そのものだ。「範囲」は当然ながら、「同一意味段落」になる。ここでは「条件」があるので、傍線部の次の段落から本文の最後までだと判断できる。丁寧に探していく。
すると、最後の一文に「私たちだけの領する第三の世界に属する」という部分がある。 まさに、内容的に結びつく。「抜き出し範囲」には他に候補となる部分はない。
よって、「指定字数」から「答え」は「私たちだけの領する第三の世界」(14字)になると確定できるはずだ。尚、「抜き出し候補」はひとつとは限らないので、「範囲」の全てを隈なく探すことが肝要だ。
<時間配分目安:1分強>

[問4(2)] 「内容説明記述」(「80字以内」指定)。
傍線部(4)の「私たちの共通の世界」とは「どのような過程でつくりあげられたものか」を、「80字以内」で説明する。「傍線部一文一部の法則」で確認すると、直前・直後は「こうした種々の事情の錯綜(さくそう)のうちに、(私たちの共通の世界)はつくられた。」となっている。つまり、「私たちの共通の世界」が「つくりあげられた過程」は「こうした種々の事情の錯綜のうち」ということになる。傍線部は形式段落の最後なので、「指示語」の内容は同段落全体から読み解くことになる。曰く、「二人は内容の違った世界を所有しつつ接触し」「各自の世界の特性は二人の間に展開し始めた世界に影響を及ぼし」「一高及び寄宿舎の生活という全く新しい経験を通して」といった内容が読み取れるはずだ。こうした「事情」が「錯綜」(=複雑に入りまじること)する「過程」が説明すべき内容になる。
あとは、内容を整理して「過不足なく」まとめていきたい。たとえば、「二人が内容の違った世界を所有しつつ接触し、各自の特性が二人の世界に影響を及ぼし、一高及び寄宿舎の生活という全く新しい経験という事情も複雑に入りまじっていく過程。」(80字)といった「答え」だ。尚、「説明記述」では必ず「最重要要素」を「文末」にすること。
<時間配分目安:3分>

※尚、[問5]は「2つの文章内容の比較・検討についての発言内容不適切選択肢」の問題だ。【文章Ⅰ】【文章Ⅱ】の趣旨と各「発言」の「要点」を絞り込んで判別すれば解けるのだが、それぞれの「発言」が「150字前後」もあり、とても手間ひまがかかる。よって、戦術的には「あとまわし」にすべきだ。無論、「捨て問」でも構わない(「配点」は他の小問と変わらない)。

【大問三】

  • 時間配分:10分強

【文章Ⅰ】は、戦国時代の関東の大名である著者による啓蒙的な人文百科事典。漢詩や和歌のアンソロジー、詩人、歌人の逸話などで構成されている。

【文章Ⅱ】は、江戸中期の浮世草子。武士を主人公にして,彼らの守るべき倫理たる義理を主題とする27章26編の短編小説集だ。本文では、両作品ともに京都の「加茂川」が舞台となっており、「老人」との出会いと「香炉」にまつわるエピソードになっている。例年同様に「古文単語の意味」といった単純な設問はなく、全て「現代語訳」や「内容解釈」に関連するものだ。なかなか厄介なので、心して解き進めること。以下、2問だけ検討してみよう。

[問2] 「現代語訳の選択肢」(全2問。各5択)。
【文章Ⅰ】の傍線部(1)「さらば出でてきかむ」と【文章Ⅱ】(3)「さても気散じなる返答や」の「本文中の意味」をそれぞれ答える。「品詞分解」して「現代語訳」する。前者は、接続詞「さらば」(=それならば)+下二段活用の動詞「出づ」の連用形「出で」(=出る・出かける)+接続助詞「て」+四段活用の動詞「きく(聞く)」の未然形「きか」(=「聞く」以外に「味わいを試す」・「(香りを)かぐ」という意味もある)+「意志」の助動詞「む」の終止形「む」⇒「それならば出かけて、(香りを)かごう」という「現代語訳」になる。
各選択肢の冒頭で判別する。(ア)「それでも」、(イ)「そうだとしたら」、(ウ)「それならば」、(エ)「そういうことなら」、(オ)「そのうち」。明らかに(ウ)以外は「消去」だと分かるはず。全体も「それならば出かけていってそのよい香りをかいでみよう」なので問題ない。
よって、「答え」は(ウ)でOKだ。後者は、感動詞「さても」(=なんとまあ・それにしてもまあ)+名詞「気散じ」(=ふさいだ気分を紛らすこと・気晴らし)+「断定」の助動詞「なり」の連体形「なる」+名詞「返答」+「詠嘆」の間投助詞「や」⇒「なんとまあ気晴らしの返答だなあ」となる。各選択肢の冒頭は「なんとまあ」、最後は「返事であることよ」で共通なので、「気晴らしの」の部分で判別する。
(ア)「要領をえない」、(イ)「悪意のある」、(ウ)「落ち着いた」、(エ)「気配りを感じる」、(オ)「気楽な」。もちろん、「答え」は(オ)で決定。なかなかに難解だった。
やはり、本校合格のためには、基本的な「古文単語」は確実に定着させておきたい。
<時間配分目安:全問で2分強>

[問3] 「内容説明選択肢」(5択)。
【文章Ⅰ】の傍線部(2)「こころみしける」について、「六角貞頼は何をしようとしたのか」を答える。先ずは、「こころみしける」で「原意消去」してみる。「品詞分解」すると、上一段活用の動詞「こころみる(試みる)」の連用形「こころみ」+サ行変格活用の動詞「す」の連用形「し」(=する)+「間接過去」の助動詞「けり」の連体形「ける」。
よって、「試みたという」といった意味になる。各選択肢の「文末」と照合する。(ア)「質問しようとした」、(イ)「理解してもらおうとした」、(ウ)「質問しようとした」、(エ)「確かめようとした」、(オ)「確かめようとした」。 当然ながら、「確かめようとした」以外は「消去」なので、「2択」になる。
次なる「消去」。傍線部の直前に「花鳥の名筆をばはやくうち過ぎて、この一軸に帰を忘じけるや」とある。「花鳥の名画はすぐに通り過ぎて、この一軸で帰ることを忘れないのだろうか」といった内容なので、「(その絵がかつて牧渓のものだったと)気づいているかを」と説明されている(オ)は「消去」で、「ものの価値を見抜く力が本当にあるのかを」となっている(エ)が「答え」だと判別したい。高度な「古文知識」が求められていたが、先ずは「原意消去」を試みるということは「現代文」と同じだと心得よ。
<時間配分目安:2分強>

※尚、[問4]は「2つの文章内容の読み取り」の設問だ。【文章Ⅰ】【文章Ⅱ】の内容を照合するもので、【大問二】[問5]と同様にとても手間ひまがかかるので、戦術的には「あとまわし」にすること。もちろん、「捨て問」でも構わない。

【大問四】

  • 時間配分:2分以内

本校の「漢字問題」は「書きとり」と「同音異字判別」のどちらか、あるいは、その組み合わせといったパターンが多い。本年度は3年連続で「書きとり」だけという出題形式。難易度は近年、「難」→「易」→「難」と「隔年現象」が見られていたが、本年度は昨年度同様に「標準レベル」。よって、絶対に失点は避けたい。

[問] 「漢字の書きとり」(全5問)。示されている各文の傍線部の「カタカナ」を「漢字」に直す。確認する。
(1)「花がホコロぶ」=「綻(ぶ)」⇒なかなか厄介だが、答えたい。
(2)「試験にノゾむ」=「臨(む)」⇒「中学入試レベル」の平易さ。
(3)ジンソクな対応」=「迅速」⇒やや難解か? 「物事の進みぐあいや行動などが非常に速いこと」という意味も押さえておくこと。
(4)ボウセキ工場」=「紡績」⇒書けて当然。
(5)ショウソウに駆られる」=「焦燥」⇒「高校入試」の定番。
本校ではやはり、高度な「語彙力」が求められていると心得よ。
<時間配分目安:全問で1分半>

攻略のポイント

●本年度も昨年度に引き続き「2つの文章の趣旨についての発言内容」に関する設問があった(しかも2問で、「古文」もあった)。明らかに「大学入学共通テスト」を意識している。当然、来年度以降の出題も予想されるので、しっかりと練習しておくことが不可欠だ。

●「説明文が長くて紛らわしい選択肢設問」にはどう対処するか? 無論、できるだけ単純な方法で、「選択肢」を少しでも「消去」しておきたい。そのためにこそ「原意消去」だ。絞り込めば、誤答の可能性が減少するのは自明の理。その上で、さまざまな「解法」を用いて、さらに判別すればいい。したがって、基本的「解法」を完全に習得し的確に応用できるようにしておくことが重要だ。それによって「得点力」を安定させたい。

●「説明記述」は「問題文」と「条件」がとても複雑だ(本年度は単純だったが、安心してはいけない)。「攻略」できるか? それぞれを正確に理解することは当然として、後は実直に「練習」するだけだ。
正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げるという手法を完璧にマスターすること。「内容」から重要度を特定し、優先順位の高いものから積み上げる。各「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習する。本校では「50~100字程度」の「字数指定」が多いので、2~4つ程度の「要素」でまとめることに慣れること。
「合格ライン」は60%台前半(過去10年間の「男女合計受験者平均得点率」は56.7%。本年度はやや下がって54.1%)。配点が大きい「説明記述」での失点や減点は致命的になると肝銘せよ(本年度は「10点」と「8点」)。

●「総合的知識問題」も決して侮れない。「あらゆる知識」が問われる。独自に「幅広い知識」を常に習得していくこと。学校や塾での学習だけでは、全く不十分だ。

●「古文」の「攻略法」は? 重要な「古文単語」の定着はもちろんだが、「内容解釈」も求められるので「基礎的文語文法」は押さえておきたい

●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は例年7000字ほどだったが、本年度は昨年度同様に増加しており約8900字。速く正確に読み取ることが不可欠。分速750字以上を目標に「読む練習」をしたい。

志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談

お問い合わせ・資料請求はこちら

市川高等学校の科目別
入試対策一覧

TOP

創業以来、
最高峰のプロ教師陣を輩出

TRADITION
SINCE 1985

1985年法人設立以来、プロ家庭教師のクオリティーにこだわり続け、現役プロ教師の中でもトッププロと呼ばれる真の実力を兼ね備えた合格実績豊富な家庭教師のプロだけをご紹介しています。
特に中学受験·大学受験·医学部受験専門のプロ教師のクオリティーに自信があります。