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出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2025年度「城北高等学校の国語」
攻略のための学習方法

小説は、設問の内容としての「心情把握」が定番である。

いかにして、的確に人物のキャラクターや特性、さらには内面の世界に広がる本人の「ものの考え方」、「他人に対する接し方」、「人生観や価値観」を理解できるか

基本は、本文にそくして、話の展開と情景描写を丁寧に追いかけることである。直截的にその様な人物の内面の世界を描写することはないので、文章に込められた作者の意図を見抜かねばならない。人物と人物の人間関係の変化などにも注目するように。そして、その変化がどのような背景に起因して生じたのかを理解することである。

そのような変化と心情変化を的確かつ確実に結び付けられるかが、設問の正解へたどり着く時間的プロセスを短縮にすることも可能となるのである。

ぜひ、日頃から小説(教科書に掲載された小説や私的に読む小説)に親しみ、様々な角度から文章を吟味できるようにしておいてもらいたい。

論説文については、論理的文章に自身の論理展開をあてはめられるように。

大事なことは、筆者が主張しようとしているテーマが何なのかをいち早く発見することである。

論説文の最初の段落には、一般的に、本文で扱うテーマの内容や、問題提起のきっかけとなった「出来事」や「筆者の心象風景」などが書かれているものである。文章全体を把握する有力なヒントとして、第一段落は極めて重要な個所である。そこで展開される筆者の主張(同じ単語や表現が複数回使用されているかどうか)をしっかり理解し、自分の中で再構築して設問に挑戦しよう。

論説文の常として、筆者の主張をより明確に、説得力をもって読者へアピールしようと考えると、「対立の概念」を用いるという手法がある。

「対立」―つまり、真逆の概念・事実を並立して対比させながら主張することにより、互いの特性や論理性、合理性が明確になり、筆者が論じようとしているテーマ(論点)があぶり出されてくる。その論点を時系列的に並べていくことにより、本文の論理展開の流れが明瞭になり、結果、内容把握が確実に迅速に可能となる。

また、小説との学習法と明確に異なる方法として、「主張を書き出す」ということである。

論点を並べるということは、自分の論理と思考を整理し、正解へ導く有力な手法の一つである。

ただし、その論点並べが単に頭の中だけで行われてしまったのでは、正確な論説文把握を行うためには不十分である。出来るならば、箇条書きで要点だけを書き出すことが重要である。書き出すことで、論理の流れをより明確に的確に理解できることが可能になる。

そのような論理の流れを大雑把に把握し理解することで、論説文の全体的構造が良く見えてくる。そこまで、本文の流れを把握していれば、設問の意図を素早く把握でき、正解を消去法などで選択(確かに、消去法は一つの有力な解法手段であることは認めるが)することなく、積極的に正解を特定できるようになる。

初めは、論点を書き出すことは非常に手間のかかることでもあるし、速効性のある学力向上、言い換えれば「点数を1点でも多くいかに得点可能か」という観点で考えれば、「今日それ(論点の書き出し・整理)をやったからといって、明日のテストで論説文の高得点が得られる訳ではない」ということは自明であろう。しかし、長い目で考えてみれば、「真の学力」つまり「自分の頭で考え自分の言葉で表現する力」が、確実に形成されることは間違いない。その延長線上には、現代文以外の他教科の学力向上が見えてくるのである。

なぜならば、「言葉で理解する」ことが「何を問われているか」を的確に把握し、説得力ある合理的な言葉と表現で答案を仕上げてゆくことができるからである。そして、考えを書きとめるということで、「漢字」に理解と知識への定着につながるはずである。

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2025年度「城北高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問一は、論説文の読解<24分>。芸術に関する論説文。35字、80字の記述問題対策をしっかり行っておくこと。

大問二は、小説の読解問題<32分>。本問のような小説におけるポイントは、登場人物の心情把握に尽きるのであり、ポイントは「会話」と「情景描写」である。心情把握問題の出題率は本問においても8割を超える。30字、60字の記述問題も2題出題されている。

大問三は、漢字の書き取り問題<4分>。標準的な漢字である。完答を目指そう。

【大問一】芸術に関する論説読解問題

  • 時間配分:24分

出典は『「ふつうの暮らし」を美学する』(青田麻末著)

問1は、語句内容選択問題<1分>

「敬虔」とは「深く敬い、慎むようす。とくに、神仏を敬うようす」のことである。

問2は、内容理解問題<4分>

「高級感覚」には「視覚と聴覚」が入り、「低級感覚」には「触覚、味覚、臭覚」が入る。また、「高級感覚」には「私たちの身体から離れたものを知覚」することができるが「低級感覚」にはそれができない。よって、「高級感覚のほうこそが精神と強く結びつくもの」という「イメージ」を産み出す。さらに、「高級感覚は、離れている対象も知覚することができるため…広く情報」を集めるのである。

問3は、内容把握選択問題<2分>

「低級感覚はあくまで肉体にとどまる感覚」であり、「精神と身体の対立を理解する格好の具体例」となる。

問4は、慣用句問題<1分>

「おいしいものを食べたときの感覚、満足感」のことであり「舌鼓を打つ」という。

問5は、内容把握選択問題<2分>

「美的経験」は「なんの役にも立っていないのにそれでもなお快い、という特殊性を持つもの」であるが、「料理から得られる味覚の快」は「私たちの生命維持活動」と結びついているものであり、「主観的あるいは個人的な経験」だともみなされてきたのである。

問6は、内容把握選択問題<2分>

料理は「主観的あるいは個人的な経験」であるが、芸術は「同じ作品を鑑賞している」という確固たる物理的基盤を持っているのである。つまり、その芸術性を客観的に把握できるのである。

問7は、内容把握選択問題<2分>

「料理ないし食べ物を味わうという経験は、必ずしも個人的な経験ではない」ということを意味するのである。結婚相手の実家で郷土料理を味わうという行為は「個人的な経験」を超えた意味があるのである。

問8は、内容把握問題<2分>

「美的経験」は「無関心性を一つの条件とする経験」であり、「味覚の経験」は「主観的」「個人的な経験」だともいえるのである。

問9は、内容把握記述問題<5分>

「料理もまた精神的意味を内包しうる」のであり、「社会的に共有できるということ」は「日常のなかにも美的なものが浸透していること」を示すものである。よって、「料理とは、…芸術と日常の境界が流動的」であることの証である。

問10は、主題に関する問題<3分>

かつては「日常と芸術は区別」されていたが、現代においては「芸術と日常の境界が流動的」になっているのである。

【出題意図】

本問は、文章読解を通じて、以下の国語力を総合的に問う問題である。

1. 論理的思考力と文章構造の把握:筆者の主張や論理展開を正確に読み解く力を問うている。特に、本文の主張と、それを支える具体的な例や反対意見との関係性を理解する力が試されている。

2. 語彙力と文脈理解:「五感」や「感覚的快」「美的快」といった抽象的な概念が、本文中でどのように定義されているかを正確に読み取る力が求められている。

3. 記述力:設問の意図を正確に捉え、本文中の情報を基に、過不足なく簡潔にまとめる記述力が問われている。指定字数内に収める練習も重要である。

4. 要約力:本文全体、あるいは特定の段落の要点を的確に抽出し、自分の言葉でまとめる力が試される。
全体として、単に文章の内容を追うだけでなく、筆者の思考をたどり、その意図を深く理解する高度な読解力が求められている。

※短い文章ではあるが、以下の類題に挑戦しよう。

【類似問題】

次の文章を読み、後の問いに答えなさい。

私たちは日々の生活の中で、多くの「情報」に囲まれて暮らしている。インターネット、テレビ、新聞、SNSなど、情報源は枚挙にいとまがない。しかし、これらの情報すべてが、私たちの生活を豊かにしてくれるわけではない。むしろ、多すぎる情報に振り回され、本当に大切なことを見失ってしまうことさえある。

情報とは、あくまでも私たちの生活をより良くするための道具である。道具は、正しく使ってこそ意味がある。たとえば、地図は目的地にたどり着くための道具であり、地図自体が目的地ではない。にもかかわらず、私たちは情報という地図を眺めることばかりに時間を費やし、目的地である「自分らしい生き方」を見つけられずにいるのではないだろうか。

本当に必要な情報は、自分で「探す」ものである。誰かが与えてくれるのを待つのではなく、自ら問いを立て、その答えを探す。その過程で、私たちは情報に振り回されるのではなく、情報を使いこなす力を身につけることができる。

1. 本文の内容に最も合うものを一つ選びなさい。

(ア) 情報源が多いほど、私たちはより良い決断を下せる。

(イ) 情報は、私たちの生活を豊かにするために欠かせない。

(ウ) 情報を適切に使うには、受け身ではなく能動的な姿勢が必要だ。

(エ) 現代社会では、情報が多すぎて何も見つけられない。

2. 本文中の下線部「道具」を、本文全体の文脈に基づいて日本語で説明しなさい。

3. 本文によると、私たちが「自分らしい生き方」を見つけられないのはなぜですか。本文中の言葉を使って、簡潔に説明しなさい。

解答

1. (ウ)

解説: 本文では、本当に必要な情報は、自分で「探す」ものであると述べられており、情報を受け取るだけでなく、自ら能動的に関わることが重要だと主張している。

2. 自分の生活をより良くするという目的を達成するための手段や手助けとなるもの。

解説: 本文では、情報が「生活をより良くするための道具」であり、地図の例で「目的地にたどり着くための道具」だと説明されている。

3. 情報という道具を眺めることばかりに時間を費やしているから。

解説: 本文の第二段落に私たちは情報という地図を眺めることばかりに時間を費やし、目的地である「自分らしい生き方」を見つけられずにいるとある。

【大問二】小説に関する読解問題

  • 時間配分:32分

出典は『カフネ』(阿部暁子著)

問1は、語句問題<1分>

「一瞥」とは「一瞬目を向けること」であるので、「少しも視線を送ることなく」が正しい選択肢である。

問2は、心情把握選択問題<2分>

「絶句」とは「驚いて言葉が出ない」ことであるので、選択肢が適切である。

問3は、心情把握記述問題<4分>

「小学生相手」に「切りつけるように言って」しまい、「大人げない態度」を取ったことに後悔しているのである。

問4は、心情把握選択問題<3分>

「せせら笑う」とは、相手のことを「馬鹿にしている」ときの笑い方である。

問5は、心情把握選択問題<3分>

千佳子は「(自分には)母親になる資格」がなかった、つまり「母親失格であると自己嫌悪」になっているのである。

問6は、心情把握記述問題<5分>

千佳子は鈴夏(娘)の前で「子どもを産んでいい人間じゃなかった」と発言してしまい、鈴夏は泣きたいのを我慢して必死に耐えていたのである。薫子は、そのような千佳子の発言は鈴夏を傷つけてしまうと思い、千佳子をたしなめたのである。

問7は、内容把握抜出し問題<3分>

本文には「食べるということを信じているように、見える」とある。

問8は、内容把握記述問題<3分>

本問直後に「プリンなんてものを、いったいいつの間に?」という箇所があり、「いつの間に作った」のかを尋ねたかったのである。

問9は、内容把握問題<5分>

「プリン」を「自分の力でいつだって作れる」ということで、「プリンを作る」という「行為」によって、「生きる意味がない」と思っている鈴夏に現実を変えることができる、という「希望」を与えたかったのである。

問10は、要旨把握選択問題<3分>

「母親の後ろに隠れるように立った」行動は、「照れ隠しをせずにはいられない不器用さ」を表しているのである。

【出題意図】

本問は、物語文の読解を通じて、以下の国語力を総合的に問うものである。

登場人物の心情把握: 物語の中での登場人物の行動やセリフから、その心情の変化を読み解く力が問われている。
状況把握と文脈理解: 物語の場面設定や、登場人物の関係性を正確に理解する力が求められる。
語彙力: 語句の意味を文脈から推測する力、また、適切な言葉に置き換える力が試される。
記述力: 設問の意図を正確に捉え、本文中の情報を根拠に、自分の言葉で簡潔にまとめる記述力が問われる。
物語文では、筆者の主張を読み取る評論文とは異なり、登場人物の心の動きや物語の展開を丁寧に追うことが重要である。

※物語文は「心情把握」が最重要である。短い文章ではあるが、以下の物語文で心情把握の練習を行おう。

【練習問題】

次の文章を読み、後の問いに答えなさい。

夕暮れのバス停に、僕は一人で立っていた。夏の終わりの風が、頬をかすめていく。じっとりとした暑さがまだ残っているが、風の中に秋の気配が混じっている。僕は、小さく息を吸い込んだ。

「ねえ、なんでそんな顔してるの?」

不意に、後ろから声がした。振り返ると、そこには見慣れた顔があった。隣のクラスの小林だ。彼は、僕とは正反対の性格で、いつも明るく、周囲の中心にいる存在だった。僕が立ちすくんでいると、彼は僕の隣に立ち、静かに空を見上げた。

「夕焼け、綺麗だね」と彼は言った。

僕もつられて空を見上げた。オレンジと紫が混ざり合った、鮮やかなグラデーション。確かに、息をのむほど美しい。僕は、ぼんやりと空を眺めていた。小林は、何も言わずに僕の隣に立っていた。言葉を交わさなくても、そこに彼がいるだけで、僕の心は少しずつ軽くなっていくような気がした。

しばらくして、バスが来た。僕は彼に何も言わずに乗り込もうとした。すると、小林が僕の肩に手を置いた。

「また明日」

そう言って、彼はいつもの笑顔を見せた。僕は小さく頷き、バスに乗った。バスの窓から、バス停に立つ彼の姿が見えた。いつもなら騒がしいバスの中が、その日だけはとても静かに感じられた。僕は、バスの窓ガラスに映る自分の顔をそっと見つめた。そこには、さっきまで曇っていたはずの空が、少しだけ晴れているような気がした。

1. 筆者がバス停で「なぜそんな顔をしているの?」と声をかけられたとき、どのような気持ちだったと考えられますか。本文中の言葉を使い、簡潔に説明しなさい。

2. 筆者が「さっきまで曇っていたはずの空が、少しだけ晴れているような気がした」のはなぜですか。本文の内容から読み取れる理由を、具体的に説明しなさい。

3. 小林がバスに乗ろうとした筆者の肩に手を置いたのは、どのような気持ちからだと考えられますか。

解答

1. 心の中に抱えた何らかの悩みを、誰にも知られたくないと感じていたから。

解説: 「なんでそんな顔をしているの?」と聞かれたことに対し、筆者は立ちすくんでおり、この問いに答えていない。このことから、自分の心情を他人に知られたくないという気持ちが読み取れる。

2. 小林が静かに隣にいてくれ、言葉を交わさなくても心が軽くなったと感じたから。

解説: 「小林は、何も言わずに僕の隣に立っていた。言葉を交わさなくても、そこに彼がいるだけで、僕の心は少しずつ軽くなっていくような気がした」という部分からまとめる。

3. 筆者の悩みを理解し、そっと寄り添うことで、彼を気遣う気持ちからだと考えられる。

解説: 小林が「また明日」と声をかけたことや、「いつもの笑顔」を見せたことから、筆者への気遣いが感じられます。

【大問三】漢字の書き取り問題

  • 時間配分:4分

標準的な漢字である。普段から知識問題としてしっかり練習を積み重ねて欲しい。完答を目指したい。書き取りの漢字は「肥沃」「恩恵」「辣腕」「承諾」「塊」である。

※漢字の書取り問題の練習をしてみよう。

次の文の下線部を漢字に直しなさい。

1.日本のイデンシはどこにでも見られる。
2.その知らせにキョウガクした。
3.彼はカンシャの気持ちを述べた。
4.彼女はコウエンの活動に参加した。
5.古い書物をヒボウする。
6.彼はテイネイな言葉を使う。
7.新しいカクドから問題を見る。
8.カイドウ沿いに家が建ち並ぶ。
9.彼のショサイにはたくさんの本がある。
10.ホケンシツで休む。

解答

1. 遺伝子

2. 驚愕

3. 感謝

4. 後援

5. 誹謗

6. 丁寧

7. 角度

8. 街道

9. 書斎

10. 保健室

攻略のポイント

全体的には標準的な問題レベルであり、出題範囲も現代文(論説文と小説)、漢字である。

対策としては、標準的問題集をしっかり演習すること。その際に、文章読解力を高めるため設問の本文をじっくり分析しながら読む姿勢が必要である。時間の少ない受験生にとって、いかに良い文章、論理的文章に触れるかが国語の得点力向上に不可欠な要素であることを考えた場合に、上記のような設問の文章を丁寧に読み込むことの重要性は極めて高い。記述式問題の割合が高いため、50~90字程度の記述式問題にも慣れておく必要がある。自分の考えを過不足なくしっかりとまとめ上げるスキルは、何回も文章を書いてまとめ上げる鍛錬を積まなければならない

また、知識問題として漢字、ことわざなども事前にしっかり押さえておきたい。

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