城北埼玉高等学校 入試対策
2025年度「城北埼玉高等学校の国語」
攻略のための学習方法
長文読解
例年、文学的文章と説明的文章の計2問が出題される。古文・漢文は出題されていないので、古典を苦手とする人には受けやすい学校である。
選択肢・穴埋め・抜き出し・空欄補充・並べ替えと設問の形は多彩であるが、以前は出されなかった長めの記述問題が2019年度以降出題されるようになった。全体としてはオーソドックスな試験であると言える。選択肢問題が多く、書き抜きが数問といった割合になっている。
難易度についても特別な難問は出されていない。選択肢の内容も無理に迷わせるようなものは無く、適正な実力があれば正解できる、クセのない試験問題となっている。
したがって、特別変わった対策を取る必要は無い。小説や論説文の読解の基本に則った訓練を積めば良い。
文学的文章ならば、やはり普段から数多くの小説に触れ、さまざまな登場人物の考えや行動を体感しておくことである。読書を通じて多種多様な考え方や物の見方に触れておくこと、いわば「人間心理体験」のようなものを積んでおくことが、人物の心情理解に役立つのである。
その上で、長文読解の技量を磨く。時間経過や登場人物の変化で場面・段落の変わり目をマークする。人物・筆者の言動や表情をチェックし、気持ちや筆者の考えを汲み取る。そこから作者・筆者の言いたいこと・主題に迫る。その際、矢印や傍線などを使って重要点をすぐ探せるようにしておくと、時間短縮できる。
説明的文章はやはり論理の流れを見誤らないことが重要である。自然科学・社会科学に関する本などを、序論・本論・結論や、段落のつながり、細部説明と要点の区分けなどを意識しながら読んでみると良いだろう。
そして実践。形式段落と意味段落の整理、この時、意味段落の内容をまとめてタイトルとしてつけてしまうとわかりやすい。段落の最初と最後に特に注目しながら要点を確認、それらをまとめて要旨・結論を抽出。本文を読み進めながら矢印・傍線を用いて目立つようにしておくことはここでも有効である。
同じような出題傾向の学校も多いので、他校の過去問なども良い練習になる。同レベルの入試問題などもこなして、長文に慣れておいていただきたい。
文章量
2024年度では約6500字、2025年度では約7000字の文章量であった。ここ数年は6000~7000字ほどで推移している。文章量が増加傾向にある学校も多く見られるので、文章を読むスピードは重要である。過去問に取り組む時はもちろん、普段の読書においても、意識して速く正確に読む訓練をしておかれたい。
本校の場合、使われる文章の難しさはさほど難解なものではないので、無理に大人向けの書物に挑戦する必要は無いだろう。高校生対象レベルの本で自分の興味の持てる内容のものを多く読んで、よく現れるテーマやストーリーに触れておくと良い。
知識問題
長文読解の問題と合わせて語句の意味や文法などの知識問題も出題されている。中級レベルで良いので、しっかり練習しておくこと。
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2025年度「城北埼玉高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
現代文の読解2問で合わせて約7000字。総解答数は29問。大問2の漢字・ことばの知識・文学史などを手早く終え、長文読解に十分な時間を確保したい。
2025年度では40~50字の記述が2問出題されており、ここで6~7分前後の時間をみておく必要がある。
素材文を速めに読み、要点のハイライトが上手く出来ていれば、大幅に時間が足りなくなることはないだろう。
【大問一】論説文の読解
- 時間配分:18分
抑制された美しさである奥ゆかしさを身につけることが教養というものであり、そのために向上心を持ち学芸を学ぶのであるという吉田兼好の美学を紹介し、現代人もこれに倣うべきだと筆者は述べている。
問1 人生を四つのステージに区切ってとらえるインドの四住期のような考え方ということであろうから、選択肢ウが合う。
問2 兼好が重視したのは「抑制された美しさ」たる「奥ゆかしさ」であり、「知識ではなく教養」を身につけて「なまめかしく」生きる人が「よき人」なのである。そうした吉田兼好の考え方を筆者は「美学」と評したのである。
問3 「過去からの批判は無視できない」、文化とは「伝統と革新」をどうつなげるかが重要である(→選択肢アは合わない)などから、選択肢イが選べる。
問4 例: 知識ではなく教養を身につけたいと心がけ、そのために学芸を身につけることで(三十六字)
問5 現代における日本人の「生き方を学び直すべきではないか」と考えた時に、筆者が思い浮かべたのは吉田兼好の「美学」であった→選択肢エ。
〔ワンポイント!――選択肢の吟味がやや難しい印象である。細部にまで注意して、本文との一致・不一致を正確に判断できるよう、過去問や類似問題で練習しよう。〕
【大問二】漢字・言葉の知識
- 時間配分:8分
問1 ① 許容 ② 看破 ③ いさぎよ(く) ④ あやつ(る)
問2 ① 他山の石 ② 四面楚歌 ③ 蛍雪の功 ④ 青雲の志
問3 ① ほとぼり ② くらせど ③ まるく ④ ひとはだ
問4 ① エ ② オ ③ ア ④ イ
〔ワンポイント!――配点が30点あるので、全問正解したい。中級レベルの言語事項の問題集などを1冊しっかり仕上げれば対応できるだろう。〕
【大問三】論説的随筆文の読解
- 時間配分:24分
能の表現における死生観について論じている。
問1 Ⅰ. 一時的 Ⅱ. 永続的
問2 指定された小見出しの範囲内最後とその前の段落に抜き出せる部分がある。「成仏することと再び生まれ変わることは実は同じ(Ⅱ)」であるというのが能の考えかたであり、それは普通に考えると「矛盾(Ⅰ)」しているようにも思えるのである。
問3 観客は死者であるシテを見て「自分の中の死者=過去に切り捨ててきてしまった自分」を考え、深く考えるうちについに「かつての自分(六字)」と対峙するのである。
問4 A. 衣 B. 刀
問5 ウ. 「死者を弔う儀式だった」のは中国においてであり、日本に入って来て「死者を呼び出して共に過ごすための儀式」に変わったと述べられている。
〔ワンポイント!――書き抜き問題が多く出されている。問題数が少なく、探すべき範囲もおおまかに指定してくれているので、焦らず正解を見つけよう。〕
攻略ポイント
古文・漢文が出題されない試験であるだけに、現代文読解の得意な生徒が多く受けることは予想される。形式・内容ともにスタンダードな試験なので、堅実な長文読解力を養って臨むのが得策である。
記述問題が出されたことは新傾向として留意しておく必要がある。論説タイプではなく、読解がしっかりできていれば書けるので、同タイプの記述問題で練習しておこう。
また、問題数は多くないが文法や言葉の知識も出題されている。標準レベルの問題集で良いので言語事項なども油断なく学習しておくこと。