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麻布中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2018年度「麻布中学校の理科」
攻略のための学習方法

単に知識を問われるのではなく、文章を読んで未知の事柄を理解したり類推したりする力が求められる出題である。小問35題に対して50分という試験時間は長いように思えるが、もたついていると時間が足りなくなる。

このような試験問題に対応するために鍛えておきたいのが、読解力と計算力である。
読解力については、いわゆる「設問の対応箇所からキーワードを探す力」だけでは太刀打ちできない。問題文に散りばめられた情報を適宜総合して判断する必要があるため、文脈としての論理展開を把握する力が要求される。しかも、それを短時間で行えなければならない。

対策として、国語の説明的文章を一読し、理解した事柄を自分の言葉でまとめ直す練習をすると良い。6年生の前半までは、同様の練習を理科のテキストで行うのも効果的である。
その際、読む回数はなるべく1回だけに限定する。当然難しいはずだが、「じっくり読まないと分からない」のが当たり前になってしまうと、なかなかスピードが上がってこない。「取り敢えず1回読んで、まとめる」というサイクルを回していくのが良い。

計算については比例式の処理など定番の対応が出来れば十分だが、今年度は単位換算を要する問題が目立った。要求された単位で答えるのはもちろんのこと、単位換算を含む計算を効率的に処理するポイントとして、「立式段階で単位換算のための計算を含めておく」ことを挙げておきたい。

たとえばnmといった微小単位を扱う場合、一旦cmで答えを出してから換算しようとすると、小数点以下の桁数が大きくなって間違いの元になる。予め式に「×10×1000×1000」を組み込んでおくことで、約分しながら処理できるため、スムーズな計算が可能になる。

上記のような立式ができるようになるためにも、立式と計算の過程がはっきり分けられるように意識付けをしておきたい。単位換算が煩雑であったり分数を多用したりするような計算では、扱う数値がイメージしづらくなるため、計算結果を考えながら式を立てる癖がついていると無用な混乱を生じがちである。「これを計算すれば答えが出てくる」という式をひとまとめに書いておいて最後に計算する、という訓練をしておくと良い。

知識については、標準レベルの事柄が理解出来ていれば十分である。
ほとんどの問題は知識が無いことを前提に作られていると考えて良いが、今年度出題されたエアコンのように、身の回りの科学的現象は難関校の理科でテーマにされやすい。ほとんどは問題文を読めば理解あるいは推測できるような出題になっているとは言え、多少なりとも知識があると有利ではある。教科書のコラムや科学的現象に関するニュースの説明などを積極的に読んだり聞いたりする習慣があると役に立つ。

ただし、知識への過度の依存には注意が必要である。知っていることは役に立つが、知らなければ持ち合わせの知識を総動員して答えを類推する、という力も必要である。身の回りの現象について調べる前に、「どうしてそうなるのか」を自分なりに考えてみる練習もしておくと良い。そのうえで解説を読めば、知識の定着もより確かなものになる。

以下、各分野について注目すべきテーマや学習に際して意識しておくべきことを挙げておく。

生物分野

生物の持つ形態や習性などについて、単に覚えるだけではなく、「それは種の生存や繁栄にとってどのように有利なのか」を考える習慣をつけておくこと。生命の起源や生物の進化に関する話題に日頃から注意しておこう。

地学分野

知識の暗記よりも、天体の見え方や気象、地形の成因について、原理面の理解を徹底しておきたい。特に天体の見え方は作図を通じて考えられることが重要である。
また、時事的な話題の多い環境問題や宇宙に関する発見についての情報には注目しておくと良い。

物理分野

先端的な発見は概ね小学生の理解を超えるので、ほとんど出題されないだろう。他方、科学的現象を応用した器具や現象が出題のテーマになりやすい。難関校の入試には同様の出題が多いので、色々な学校の入試問題を解いて練習しておくと良い。

化学分野

未知の事柄について書かれた問題文を読み、理屈を頭に入れたうえで単純な計算をさせる出題が多い。基礎的な比例計算を手早く行えるように訓練しておくこと。知識面では物質の性質を確実に覚えておきたい。余裕があれば、原子や分子の話についても学習しておくと良い。

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2018年度「麻布中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問数は4題、小問数は35題で40点満点。前年度よりも設問数や文章量がやや増加した。

計算や問題文の読み込みに時間をとられていると50分をあっという間に使い果たしてしまう。とは言え、文章を読まなければ解けない問題が多いので、精読のスピードが要求されると肝に銘じること。

【大問Ⅰ】生物分野:ヤンバルクイナの生態と環境

  • 難度:標準
  • 時間配分:9分
  • ★必答問題

選択肢の問題は答えが直感的に分かりやすいので、検討に時間はかからないはず。知識問題についても教科書的な内容が問われており、短時間で突破したい大問であると言える。

問2 「小さなカタツムリは殻がついたまま胃に入っていました」および「フンを調べてみると……カタツムリの体や殻はほとんど入っていませんでした」という記述から、カタツムリの殻は胃に入って消化されていると論理立てられる。

植物の実や小石については、「消化できなかった植物の実の皮や種と、小石など」という記述から消化できない、すなわち栄養にもならないと読み替えなくてはならない。

小石が他の食べ物を消化しやすくする働きについての記述は本文中に見られないが、を除く他の選択肢が明確に誤りであることから、を消去法で選ぶことが出来る。
なお、小石には胃の中で殻などを砕いて消化しやすくする役割がある。

問6 問われているのは「実際に行われたこと」に関する知識ではなく、本文の記述から論理的に「行われ得ること」を判別する力である。

「道路で車にひかれてしまう」と書かれていることから、の選択肢はヤンバルクイナの保護と明らかに矛盾する。は偏食が健康を損なう可能性を考えると、即座に誤りだと判断すべき選択肢ではないが、の正当さに鑑みればやはり選ぶしかない。

【大問Ⅱ】化学分野:セッケンの性質

  • 難度:やや難
  • 時間配分:13分
  • ★必答問題

セッケンに関する知識自体はほぼ必要なく、実態は比例計算や単位換算の能力を測る問題である。

問題の読解や計算処理が一見大変そうだが、考え方そのものは難しくない。
ただし、問2を間違えると後の問題が正解できないので要注意。

問3 ガラス管の内側に水がついたままセッケン水を吸い上げると、セッケン水が薄くなってしまい、吸い上げる前のセッケン水と比べて同体積にとけている固体セッケンの量が少なくなってしまう。

一般に、濃度のみが分かっている溶液を量り取る器具は同じ溶液で洗浄する必要がある。
他方、溶質の質量が分かっている溶液の計量器具は、溶質の量の変化を避けるために純水で洗わなければならない。

問7 問5の結果から、セッケン膜の面積と体積との間には「(底面積)×20[nm]=(体積)」の関係が成り立つ。つまり、常に「(体積)/(底面積)=20[nm]」であることから、両者は比例関係にあると分かる。

【大問Ⅲ】地学分野:雨と川、天体

  • 難度:標準
  • 時間配分:13分
  • ★必答問題

地質、天体から幅広く出題されており、計算問題や化学の問題も含まれる。ほとんどの設問は難しくないが、問題文や選択肢の表現にやや分かりにくい箇所があるので、考え過ぎると却って解きにくい。

問2 の選択肢の書き方が分かりにくい。「ふきとばされてしまう」という表現からは、今ここにあるものがどこかへ飛んで行ってしまう印象を受けやすく、天気雨とは逆、すなわち「雲があるのに雨が降らない」要因の説明だと誤解する可能性がある。ここでは「ふきとばされて『来る』」という意味なのだと捉えなければならない。

が誤りであることは「水のつぶが集まって重たくなった結果、雨となって落ちてくる」という知識を思い浮かべれば判断出来るが、前半の「雨つぶが風で持ち上がると雲ができる」という表現に惑わされないようにしたい。これ自体はあり得ない話ではないが、「ので」に問題がある。仮に持ち上がった雨つぶが雲を形成することがあったとしても、だからと言って「雨の降り始めは雲がない」という理屈にはなり得ない。

問5 問題文中の記述と写真とを注意深く比べなければならない。文中には「レアはテチスよりも大きな衛星です」と書かれているのに対し、写真ではレアの方が小さく見えている。ここから、カッシーニとの距離はレアの方が遠くなければならないことが分かるはずである。さらに、マチスの右側にレアが見えることから、カッシーニの位置はアであると決定される。

太陽光の向きについては、衛星の右側が光っていることからaまたはcと判断出来る。また、ほぼ半分が光って見えるためには、衛星から見たカッシーニの方向と太陽光の方向が直交していなければならない。よって、cの方が適当である。

問8 下線部⑥を参照すると「タイタンの表面は−180℃」であると書かれている。メタンが雨となって降るには、0℃を遥かに下回る極寒の環境下でも液体の状態が維持されなければならない。つまり、凍る温度は水よりもかなり低いはずである。他方、沸点についての情報は記されていない。凍る温度が低ければ沸騰する温度も低くなると予想はつくだろうが、状態変化の理屈について簡単に知っておくのは役に立つ。

物質は小さな粒子が集まって出来ているが、熱エネルギーが与えられることで粒子の動きが活発化され、バラバラになってしまう。粒子同士が目に見える程度に集まっているが一定の形を留めなくなった状態が液体、完全にばらけて形が見えなくなった状態が気体である。粒子同士が集まろうとする力は物質によって異なるが、その力が小さければ小さいほど小さい熱エネルギーで粒子がばらけてしまいやすい。つまり、液体になりやすい物質は、同じ理由で気体にもなりやすいのが一般的な傾向である。

【大問Ⅳ】物理分野:気体の体積と熱

  • 難度:
  • 時間配分:15分

会話文を読んで、エアコンの仕組みが理解できるかどうかが勝負。とは言っても、仕組みが丸ごと示されているわけではなく、気体の体積と熱に関する説明から、「こうなってなければならないはず」と推測しなければならない点で、難度が高い。

問2 エアコンは「温度が高い方から低い方へ熱が移動する」原理を利用して、空気の温度を上げ下げする装置である。冷房で室内の空気の温度を下げるためには、室内機を流れるガスの温度を下げ、空気から熱を奪わなければならない。

そのために膨張弁でガスの体積を急増させている。ところが、ガスが熱を吸収したままだと、次に室内機を流れる際、空気の熱を効果的に吸収できなくなってしまう。そこで、熱を室外に捨てる必要が生じるわけだが、今度は室外機のコンプレッサーでガスを圧縮することによって温度を上げ、ガスから外の空気へと熱を移動させるのである。

このとき、室外機に直射日光が当たっていると、ガスに余分な熱が与えられてしまい、温度が下がりにくくなってしまう。また、熱の移動はガスと外気の温度が均一になるように行われるが、室外機を狭い場所に置くと、熱を受け取れる外気の体積が小さくなり、僅かな熱移動で温度が均衡してしまうほか、暖められた空気が室外機の周りに溜まりやすいので、効率的な熱交換が妨げられてしまう。

問3〜5 室内機を流れるガスは室内の空気から熱を奪わなければならないので、の温度は当然35℃よりも低くなければならない。また、熱を奪った後も室内の空気より暖かくなることはないので、<35℃である。そして、室外機では室外の空気に熱を放出しなければならないので、におけるガスの温度は37℃よりも高くなっている必要がある。さらに、熱を放出した後も室外の空気より温度が低くなることはないので、37℃<である。

よって、全体では<35℃<37℃<だと考えられ、問5の値を適用すると、=5℃、=10℃、=50℃、=90℃となる。

問6 ガスを逆流させると、コンプレッサーで圧縮されて高温になったガスが室内の空気に熱を伝えることで暖房効果が生まれる。熱を失ったガスは膨張弁で室外の空気よりも低い温度になるように膨張させられ、室外の空気から熱を受け取れる仕組みになっている。

問7 代替フロンガスについての知識が無かったとしても、実用上の観点からの性質を持ったガスが使われるべきではないことは見当がつけられるだろう。

は「環境を悪くしない」の解釈が微妙である。出題者の意図としては「オゾン層を破壊するフロンガスに代わって使われるようになったガス」として代替フロンガスを捉えさせたいのだろうが、代替フロンガスは二酸化炭素の100〜10000倍の温室効果があると言われ、排出規制の対象にもなっている。こうした事実が頭にあるとイは素直に選びにくい。ただ、温室効果ガスは直接自然を破壊するわけではないので、通常は環境汚染物質に含めない。

問8 エアコンの仕組みを考えれば分かるように、空気との温度差が大きければ大きいほど、熱交換は効率よく行える。そのためには体積変化が大きければ大きいほど良い。また、ガスと空気が接する面積が大きければ大きいほど、熱交換を早く行うことができる。図2の工夫にはそのような意味がある。

攻略のポイント

大問1から大問3まではあまり難しくないが、文章や図の情報が多いので、読解や情報処理のスピードが重要になる。特に計算問題でもたついてしまうと時間をかなり浪費してしまう。

また、今年度のように言い回しが分かりにくい選択肢の記述が見られる場合、ほとんどの小問の配点は1点であることから、運悪く間違えてしまっても大怪我はしないと割り切って進む決断も必要である。随所に時間を費やし、十分に検討すれば確実に解ける問題を取りこぼす方が、ダメージは大きい。

大問4は対話文からエアコンの仕組みを自力で類推しなければならないので思考力が要求され、十分な時間を残していなければ厳しかっただろう。

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