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麻布中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2019年度「麻布中学校の理科」
攻略のための学習方法

合格を確実にするためには、下記【攻略のポイント】に記した「2. 考えれば確実に正解へとたどり着ける問題」をどれだけ増やせるかが鍵になる。

「3. 考えても確証を持てる答えが出し難い問題」との違いを生む要因は2点あり、まず「A. 問題文の記述や実験結果から論理的に導けるかどうか」、次に「B. 似たような考え方が要求される問題を経験したことがあるかどうか」である。

Aのケースで問題になるのは、知識以上に「精緻な読解力」や「情報整理の能力」である。
このような設問に対処する能力は、国語における説明的文章の読解や、算数における文章題や推論問題と相通じるものがある。
したがって、受験勉強の中で総合的に培われていく能力ではあるが、この手の問題を苦手とするような場合には、鍵となる本文中の記述に下線を引く、説明や実験結果から得られた情報を図式的にまとめ直すなど、認知的な情報処理作業を具体的な行動に落とし込む習慣づけからスタートすると良い。

一方、Bのケースでは演習量が物を言うのはもちろんだが、漫然と問題を解き、解説を理解するだけでは十分な効果が挙がらないことを強調しておきたい。

他の科目でも同様だが、問題演習の最大の意義は知識そのものを得ることにあるのではなく、考え方の引き出しを増やすことや押さえるべきポイントを再確認することにこそある。

その際に心がけるべきことが、解法や原理の「一般化」である。

たとえば、金網によるコーヒー豆の焙煎では酸化にムラが生じる、といった話は金属粉の加熱でも共通して登場するテーマである。
また、それぞれの豆を満遍なく空気に触れさせるための工夫は、水溶液を作る際に溶質をかき混ぜることで溶解を速める操作にも通じるものがある。

これらの例から導かれるのが、「粒子を拡散させることで周囲との反応がスムーズに進められる」という一般的な考え方である。

このように、過去に学んだ事柄との共通項を探りながら知識を整理していく意識が、知識に頼れない難関校の入試問題に挑む際には欠かせない。

これらの点を踏まえた対策として、問題集や過去問の演習はもちろんのこと、幅広い科学的現象や身の回りの製品の仕組みに関する解説にできるだけ触れておきたい。
そこで見聞した細かい知識は暗記しなくてもよい。
ただ、その原理や発見の過程について学び、理解する試みを重ねることが、「科学的センス」を磨くことに繋がっていく。

その意味では、科学史に触れることもお薦めしたい。
歴史上の発見に至る試行錯誤の過程は、科学的思考の実例の宝庫である。

また、生物と化学に関しては中学・高校レベルの学習内容を小学生向けにアレンジして出題する傾向も目立つので、遺伝や細胞、原子や分子などの話題にも触れておいて損はない。
また、過去問演習において意識したいのが問題の取捨選択である。
読み込むべき文章や図表の分量、および要求される設問理解や思考のレベルを考えると、50分という制限時間はかなり厳しい。

下記【攻略のポイント】で述べた3段階の設問レベルを意識しながら演習に取り組むと同時に、解き終わった後で必ず、解説を読みながら各設問を3段階に分類して欲しい。

そして、その際に重視すべきなのが「2. 考えれば確実に正解へとたどり着ける問題」の正答率である。これを飛ばした一方で「3. 考えても確証を持てる答えが出し難い問題」に時間をかけ過ぎていたようなら、問題の取捨選択に改善の余地があるということである。

以下、各分野について注目すべきテーマや学習に際して意識しておくべきことを挙げておく。

生物分野

基礎的な知識問題を除けば、生物分野はその場で文章を読んで答えを推論する問題が多い。近年は種の多様性や進化に関する話題が目立つので、遺伝や生態系に関する話題は高校生物レベルの内容まで軽く触れておくと、役に立つ可能性はある。

地学分野

昨年に続き、天体の出題が見られた。難関校入試における天体の問題は、本質的に図形と速さの問題である。天体現象の見え方は必ず作図によって説明できるようにしておくと同時に、天体運動の周期は実際の計算を通じてテキスト通りの値が算出されることを確認しておこう。

物理分野

身近な電気製品の仕組みをテーマとする出題が目立つ。問題文の説明を読んで答えを出すことが前提となってはいるが、知識があれば解きやすいのは間違いない。各単元の学習時、物理現象が応用された器具の例をしっかり学んでおくと良い。

化学分野

定番かつ本格的な化学の問題はあまり出題されず、対策が難しい。強いて言えば、各単元で学習する知識の下敷きとなる実験の手法や器具の使い方について、原理や理由と共に学習しておくと役に立つ。
たとえば、実験の際に「やってはいけないこと」は、日常生活や各種製品への応用においても、同じ理由で避けられているものである。

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2019年度「麻布中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

設問数と文章量が毎年増加する傾向にある。本年度は遂に解答箇所の個数が40に達し、整数値で点数を配分するなら各問1点にしか相当しない。
更に、記述解答を求める問題も多く、簡単に答えられる問題は前年よりも減少した。
確実に得点を稼ぐため、50分の時間内に取り組む設問の取捨選択も重要となる。

【大問1】生殖と多様性

  • 難度:標準
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

生物分野

訊かれている知識は難しくないが、問1や問3で適切な言葉が想起できるかどうかは意外に重要なポイントである。

むしろ、問5〜問8の思考問題の方が、麻布レベルの学校を狙う受験生にとっては答えやすいかもしれない。

問1
各空所を単独で考えると色々な候補が生じてしまう。( あ )〜( う )の内容を総体的に踏まえると、「あ:生物」「い:二酸化炭素」「う:植物」としなければ文章が成立しないことがポイント。

特に、「あ:植物」、「う:光合成」と書いてしまわないように注意すること。
まず、( あ )については動物が食べたり、栄養を奪い合って蓄えたりするのは植物に限らない点を考えると、動植物を含む概念語を答えなければならない。

また、「それは( う )です」という文の「それ」は明らかに( あ )の内容を指示していなければならないが、光合成は生物の機能であって、生物そのものとイコールの関係にはないので不可。
知識的には非常に易しいことしか訊かれていないが、正解するためには正確な言語処理能力が必要である。

問3
「有性生殖」・「無性生殖」という用語を知っていれば出題者の意図はすぐに掴めるが、そうでない場合、生殖についてきちんと勉強していなければ、小学生が「オス・メスの違い=性別」という概念語をこの文脈から引き出してくるのは難しいかもしれない。
人間だけでなく、カエルやミジンコにも性別は存在するのである。

【大問2】コーヒーの科学

  • 難度:
  • 時間配分:15分

化学分野

完全に科学的センスと読解力だけで解かなければならない問題。
記述問題も多く、すぐに答えが分かりそうなら考えても良いが、見当がつかなければ一旦飛ばしておくべき。

問1 金網で加熱すると、底の部分の豆は長時間コンロの近くで加熱される一方、上部の豆は加熱されにくいというムラが生じてしまう。
また、底にある豆は空気とも触れにくいため、酸化が効果的に行われないという問題も考えられる。
十分な酸素に触れさせながら均等に火を通すには、金網を振って、空中で豆の上下を入れ替える必要がある。
この動きを技量によらず、装置として実現するためのものがドラムである。

問3 「物質を粉末状にすると表面積が大きくなり、酸素と反応しやすくなる」というのは物質の燃焼でもよく問われる定番の考え方。
加えて、酸化によって苦味と酸味が増すという情報が本文中に記載されていることから、答えの見当がつけられる。

問4 本文中に手がかりとなる情報が乏しく、答えられなくても仕方がない問題。
悩んで時間を浪費するくらいなら、飛ばしてしまった方が良い。
加えられた余分な運動エネルギーが摩擦を通じて熱エネルギーに転化されることで加熱と同じ効果が生まれ、酸化が進行する点がポイントとなる。

問5 直後に書かれている記述がヒントになる。
豆に含まれる味の成分を抽出するには、少量の液体を数回に分けて行った方が良いということは、抽出にはある程度の時間がかかることを意味している。
フィルターにかかったお湯はそのまま下の容器へと流れ込むため、豆から十分に味の成分を引き出すことが出来ない。
すなわち、コーヒーの味が薄まってしまう。

問6 「深く考えたら負け」というタイプの問題。
単純に考えれば、豆に残る味の成分と抽出される味の成分の比は熱湯1gで9:1、熱湯2gで9:2なのだから、熱湯9gだと9:9=1:1になると直感的に考えられる。
そして、本問ではそのような思考が求められているが、よく考えるとその根拠は不明確である。

問7 熱湯の重さと、抽出される味の成分の割合とが比例しないというのがこの問題の肝であり、美味しいコーヒーを作るための勘所ともなっている。
問6と同様に考えれば、27gの熱湯を用いた場合、豆に残る味の成分と抽出される味の成分の比は9:27=1:3である。
つまり、全体の3/4の成分が抽出される。

一方、9gの熱湯を用いた場合、抽出ごとに味の成分の半分が抽出されていくことが問6の結果から示される。
すると、1回目の抽出では全体の1/2、2回目には残った1/2のさらに1/2、すなわち最初に存在した成分の1/2×1/2=1/4が抽出される。

さらに、3回目には2回目で残った1/4のさらに1/2、すなわち1/4×1/2=1/8が抽出される。

これらを合計すると、3回の抽出で元の成分の1/2+1/4+1/8=7/8が抽出されると分かる。よって、27gの熱湯1回と9gの熱湯3回で抽出される成分の比は3/4:7/8=6:7である。

【大問3】金属と温度計

  • 難度:
  • 時間配分:15分
  • ★必答問題

物理分野

ここも知識ではなく、文章中の記述や実験結果との整合性に基いて答えを考えていく設問が中心になっている。
白金抵抗温度計の問題は情報処理に怯みそうになるが、分かってしまえば難しくない。

問2 良問。まず、与えられた回路に電流を流すと何が起こるかを考えたい。
金属は抵抗としての役割を果たし、電流が流れると発熱を伴う。
それによってバイメタルPが屈曲し、金属Qとの接点から離れて電流が流れなくなるというのが「起こること」である。

次に、この現象の意義であるが、このような回路が使われている例としてドライヤーやこたつが挙げられていることに注目しよう。

これらの製品が「加温」の機能を共有していることに気がつけば、発熱による接点の解離が「過熱防止」の役割を果たしていることに思い至るはずである。
一方、回路に電流が流れなくなるとバイメタルPは冷却され、元の形状へと戻る。
すると、再びPQが接点で触れるようになり、電流が流れ始める。

問5 はすぐに理解できないので一旦放置し、表に注意を集中することがポイント。には、一定の温度のもとでは直列に繋いだ抵抗の数と電流の大きさが反比例するというスタンダードな結果が記されている。
よって、0℃と125℃の条件下で白金を1つだけ繋いだ回路における電流の大きさに注目すれば、白金の個数に応じて電流の大きさを計算することができると分かる。

そこで、改めて表1を参照する。0℃の白金1つの場合は120mA、125℃の白金1つの場合は80mAの電流が流れることから、それぞれの温度の白金を繋いだ回路で等しい大きさの電流が流れるようにするには、120:80=3:2の個数で白金を直列に繋げば良いと分かる。

問6 このような問題で重要な考え方として、「既に分かっている尺度に換算する」というものがある。
350℃の白金を繋いだ際に流れる電流の大きさについての情報は未提示であるが、0℃の白金については問5と同様、反比例の関係から導くことができる。

すなわち、350℃の白金10個を繋ぐのと同じ大きさの抵抗を示す0℃の白金24個の場合、120×1/24=5[mA]の電流が流れると分かる。

すると、350℃の白金を10個繋いだ際に流れる電流も5mAだと分かるため、同じく反比例の関係から、350℃の白金1個の場合に流れる電流の大きさは5×10=50[mA]と計算できる。

問7 からどのように規則性を読み取るかが鍵になる。
この問題で比例関係にあるのは温度と0℃の白金の個数ではなく、温度と0℃の白金の個数の「変化量」である。
本質的に、ばねの「全長=自然長+伸び」と同じ要領で考えると良い。
白金の温度が50℃上がると、流れる電流の大きさが等しくなる0℃の白金の個数は2個増加し、75℃上がれば3個増加、300℃上がれば12個増加……といった結果から、白金の温度を25℃上げるごとに、必要な0℃の白金は1個ずつ増加するという規則が見て取れる。

さて、同じ個数を繋いで電流の大きさが半分になるということは、抵抗が2倍になるということである。
つまり、10個繋いだときに流れる電流の大きさが、0℃の白金20個を繋いだときと等しくなるような白金の温度を考えれば良い。
すると、25℃上げるごとに0℃の白金を1つ増やすのと同じ効果が得られることから、0℃10個を出発点として、25×(20−10)=250[℃]まで加温すれば、0℃の白金を20個繋ぐ場合と同じ抵抗が得られると分かる。

問9 ここでもまずは表に換算して考える。
ある温度の白金1個を繋いで流れる電流が300mAということは、10個繋いだ場合に流れる電流は30mAである。
1から、これは0℃の白金4個を直列に繋いだ場合と同じ抵抗に相当する。
問7で考えたように、温度25℃の差は0℃の白金1つの差に相当するため、0℃10個を出発点として0℃の白金の個数を10−4=6[個]減らすには、温度を25×6=150[℃]下げる必要がある。

つまり、マイナス150℃の白金10個と0℃の白金4個が回路に生じさせる抵抗が等しくなると分かる。
既に述べたように、0℃の白金4個の場合に流れる電流は30mAであるから、マイナス150℃の白金10個の場合に流れる電流も30mAである。

したがって、マイナス150℃の白金1個の場合には300mAが流れることになるので、白金に300mAの電流が流れた際、温度計はマイナス150℃を指すと考えられる。

【大問4】日食・月食と暦

  • 難度:やや難
  • 時間配分:12分
  • ★必答問題

地学分野

社会科で問われるような知識もあって総合問題的だが、そちらは恐れるに足りない。むしろ、日食や月食の本質的な理解と思考力を問う問2〜7をきちんと解くことが大事。

問3 絵が分かりにくいが、まず月の公転軌道を地球の公転軌道と同じ平面上に描き、その後4箇所の月の公転軌道面を5°ずつ、すべて手前に傾けたものを前提として考える。

すると、A・Cにおいては新月・満月の位置に相当する月が地球の公転軌道と同一平面上に位置するのに対し、B・Dにおいてはそれらが地球の公転軌道面から上下にずれた位置に来るのが分かる。このような場合、地球や月が完全に太陽の光を遮断することができず、日食や月食は生じない。

問4 公転軌道面が傾いていても、月が太陽から光を受ける方向は同じである。したがって、5°の傾きが無いものとして考えてみるとよい。月の公転軌道を地球の公転軌道と同じ面に位置づけると、Aにおけるhは上弦の月、Dにおけるfは新月に相当すると分かる。

問7 最初に考えるべきことは、たとえばAの位置で皆既日食が起こってから18年11日の間に、Cの位置で必ず皆既日食が起こると言えるかどうかである。
これがいつ起こるかを明確にするのは難しいが、論理として必ず起こるということは説明できる。

まず、Cの位置で皆既日食が起こった場合、次にCの位置で再び皆既日食が起こるのはやはり18年11日後となるはずである。
仮にAで皆既日食が起こってから18年11日の間にCの位置で皆既日食が起こらないとすると、Cで皆既日食が起こる間隔は18年11日を超過してしまう。

これは条件と矛盾するため、Aで次の皆既日食が起こるまでに、Cでも1度皆既日食が起こらなければならないはずである。

すると、Aで皆既日食が起こってからの18年11日で、最低2回は皆既日食が起こることになる。

さらに、図4のように、月の公転軌道面が地球の公転軌道面と厳格に一致しない配置における新月の際にも皆既日食が起こり得ることを考えれば、2回より多くの皆既日食が観測されると推測される。

問10 伊能忠敬は東西の距離を日食・月食の見える時刻差によって決めていたと書かれており、日食・月食が常に観測される現象ではないことを考えると、容易に答えは推測される。

ここで重要なのが、を選ばないこと。
問題文から、伊能忠敬が測量を開始する以前に、日食などの天文現象が正確に予測されるようになっていたと読み取らなければならない。

攻略のポイント

大問2〜4は文章の理解力や思考力が問われ、分量も少なくない。
時間内での得点を最大化しようと思えば、難しい問題で必要以上に悩まないことが重要になる。

設問を「1. 大して考えなくてもすぐに答えが出る問題」、「2. 考えれば確実に正解へとたどり着ける問題」、「3. 考えても確証を持てる答えが出し難い問題」に分類し、1および2の問題で手堅く点数を稼いでいくのが合格への早道である。

科目別の平均点は公表されていないが、最高得点者でも4科合計で7割しか取れていないことを考えると、理科も7割取れれば上等である。
つまり、3の問題が40問中12問に留まるようなら十分勝負できる。

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