本校の｢学校行事｣である｢カナダ修学旅行｣･｢利根川ウォークラリー｣を切り口にした、｢カナダの地理についてのリード文｣および｢ヨーロッパの地図｣｢利根川の地形図｣からの出題｡

｢世界地理｣が４問もあり難問ぞろいだ(中でも｢トーテムポール｣に関する[問６]は｢超難問｣で｢捨て問｣で構わない)｡

また、｢時差｣と｢縮尺｣の｢計算問題｣も侮れない。手強い｢地理｣に比べて１問だけある｢時事問題｣は平易。尚、[問７]の｢地形図の読み取り｣では｢地図記号｣などを正確に読み取ること。

その他のいくつかの｢設問｣を確認する。

[問１]　｢下線部についての不適切選択肢設問｣(４択)。｢地理｣単元(世界地理)｡｢リード文｣中の下線部①｢カナダ｣についての説明で、｢誤っているもの｣を答える。

｢深知り知識｣が求められている。なかなかの｢難問｣だ。各選択肢の｢キーワード｣に着目して｢正誤判別｣していきたい。

(ア)｢国土面積｣｢世界第２位｣⇒｢国土面積｣は｢ロシア｣｢カナダ｣｢中国｣｢アメリカ｣｢ブラジル｣の順だということは、さすがに押さえているはず＝｢適切｣

(イ)｢国土の90%以上｣｢寒帯｣⇒｢世界の気候区分｣､知らなくても不思議ないが、｢アメリカ｣の隣国であると考えると｢90%以上が寒帯｣とは判断できないはず＝｢不適切｣⇒｢北部｣の一部分は｢寒帯｣だが、ほとんどは｢冷帯(亜寒帯)｣

(ウ)｢西部｣｢大きな山脈｣⇒｢アメリカ｣から連なっている｢ロッキー山脈｣は知っていて当然＝｢適切｣

(エ)｢首都｣｢オタワ｣⇒これまた常識＝｢適切｣

よって、｢答え｣は(イ)だ。｢選択肢設問｣では｢消去法｣も駆使していきたい。いずれにしても、本校では｢世界地理｣に要注意だ。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問２]　｢時差計算の時刻記述設問｣(｢数字｣指定)。｢地理｣単元｡示されている｢成田発･バンクーバー行き｣の｢時刻表｣の｢到着時刻(現地時間/24時間表記)｣を、｢○月○日○時○分｣の形で答える。※｢バンクーバーの経度は西経120度。サマータイムは考慮しない｣｡

｢時差問題｣では、先ず｢両地点間の距離｣を｢経度｣で出す。｢出発地点｣の｢成田｣の｢標準時子午線｣(日本)は｢東経135度｣(これは知っていなくてはいけない)､｢到着地点｣の｢バンクーバー｣は｢西経120度｣と示されているので、その間の｢距離｣は｢135度＋120度＝255度｣となる｡

次に｢両地点間の時差｣を出す。｢経度15度｣で｢時差１時間｣なので(これも知っているはず)､｢255度÷15度＝17時間｣になる。｢17時間｣の｢時差｣､早いのか？　遅いのか？　｢より東の方｣が早いのだから｢バンクーバー｣は｢日本｣より｢17時間｣遅いことになる(｢日本｣は｢東経｣なので当然)｡

｢所要時間｣は｢８時間35分｣とあるので、｢成田｣の｢出発時刻｣である｢５月９日17:00｣＋｢８時間35分｣－｢17時間｣＝｢５月９日８:35｣となる。

したがって、｢答え｣は｢５(月)９(日)８(時)35(分)｣になる。｢時差問題｣では、｢両地点間の距離｣は｢同じ東経(西経)どうし｣では｢引き算｣､｢異なる東経(西経)どうし｣では｢足し算｣となることがポイントだ。

＜時間配分目安：１分半＞

[問５]　｢下線部に関連する理由説明記述設問｣(｢字数指定｣なし、｢60字ほど｣の解答欄)。｢地理｣単元(世界地理)。下線部⑤｢言語を越えた交流｣に関連して、｢カナダ｣では｢なぜ英語とフランス語を公用語に定めたのか｣を説明する。

誰も｢知識｣としては押さえているはずもない｢未知なる問題｣だ。｢誰も知らない｣ことが｢設問｣になるということは、｢知らなくても解ける｣と考えたい。｢知っていること｣を結びつけていけば何とかなるはずだ。

｢公用語｣⇒｢その国の正式な言葉｣だと見当がつく⇒当然、｢その国の多くの人々が使っている｣はず⇒要は｢国語(母語)｣ということ⇒｢国語(母語)｣は｢その国｣の｢言葉｣なので、｢英語｣と｢フランス語｣ということは､｢カナダ｣はもともと｢イギリス｣と｢フランス｣だった？　どういうことか？⇒｢植民地｣？……｡という具合に結びつけていきたい。

そう、｢カナダ｣は両国の｢植民地｣だったのだ。こうしたことをまとめていけばいい。たとえば、｢もともと、イギリスとフランスの植民地に分かれていたため、英語とフランス語のそれぞれを国語として使っていた国民がいたから｡｣といった｢答え｣だ。

無論｢難問｣なのだが、本校ではこうした出題があると覚悟せよ。｢自らの知識｣を総動員して果敢に挑むことが肝要だ。

＜時間配分目安：２分＞

｢紀元前１世紀ごろ｣～｢20世紀｣までの様々な時代における｢日本と中国との外交関係についてのリード文｣からの出題。｢説明記述設問｣でやや厄介なものがあるが、ほとんどは｢歴史｣の｢基礎的事項｣を問うものばかりだ。一気呵成に得点を重ねていきたい大問。

念のために､いくつかを検討する。

[問６]　｢下線部についての理由説明記述設問｣(｢字数指定｣なし、｢30字ほど｣の解答欄)。｢歴史｣単元。｢リード文｣中の下線部④｢遣唐使｣について、｢中国へ渡航するルートは当初は朝鮮半島を経由する北路を通っていたが、後に東シナ海を通る南路に変わった｣が、｢その理由｣を説明する。

８世紀以降、比較的安全な｢北路｣から危険な｢南路｣に変わったことは周知の事実(｢遣唐使廃止｣のひとつの要因)｡なぜ、わざわざ｢危険なルート｣にしたのか？　

当然、そうせざるを得なかったということだ。つまり、｢朝鮮半島を経由すること｣ができなくなったということ。であれば、当時の｢朝鮮半島の国｣との｢関係悪化｣という｢理由｣になるはずだ。

当時、｢日本｣との関係が良好だった｢百済｣が滅び、｢新羅｣が｢朝鮮半島｣を統一したことは知っているはずだ(｢白村江の戦い｣もあった)｡

無論、｢新羅｣は｢日本｣と敵対関係にあったわけだ。したがって、たとえば、｢敵対していた新羅が朝鮮半島を統一し沿岸を通れなくなったから｡｣といった｢答え｣だ。｢解答欄｣に応じて、簡潔にまとめること。

＜時間配分目安：２分＞

[問10]　｢下線部に関連しての事項記述設問｣(｢漢字｣指定)。｢歴史｣単元｡｢リード文｣中の下線部⑧｢足利義満｣に関連して、｢室町幕府で将軍を補佐する役職｣を｢漢字｣で答える。

｢基礎的問題｣なのだが、あれ､何だっけ？　となってしまった諸君はいないか？　｢鎌倉幕府で将軍を補佐する役職｣なら即座に｢執権｣となるのだが……。｢答え｣は｢管領｣(｢かんれい｣という｢読み｣にも注意)だ。｢基礎的知識｣の中にも｢エアポケット｣となりかねない事項があるので注意したい。

＜時間配分目安：30秒＞

[問13]　｢下線部についての選択肢設問｣(４択)。｢歴史｣単元｡｢リード文｣中の下線部⑨｢共産党｣について、｢指導者｣を答える。

単に｢共産党｣の｢指導者｣ということでは判断できないので、下線部前後の｢文脈｣を確認する(この点では｢国語｣と同じ)｡｢このとき(＝｢日中戦争時｣)の中国では国民党と共産党の２つの勢力が争っていた｣となっている。つまり、｢日中戦争時｣の｢共産党指導者｣だ。

無論、｢答え｣は｢毛沢東｣の選択肢(イ)になる。

当時、｢毛沢東｣の｢共産党｣と｢蔣介石｣の｢国民党｣は内戦状態だったが、日本に対抗するための｢国共合作｣(抗日民族統一戦線)があったことは覚えておくべき事柄だ。

尚、選択肢(ア)｢李鴻章｣は｢下関条約｣での全権大使､(ウ)｢孫文｣は｢三民主義｣を唱え｢辛亥革命｣で清を滅ぼし｢中華民国｣を建国､(エ)｢安重根｣は｢前韓国統監｣の｢伊藤博文｣を暗殺した人物だ。合わせて定着させておきたい。

＜時間配分目安：30秒＞

｢日本銀行が行う金融政策が日本経済に及ぼす影響を、具体例を挙げつつ説明したリード文｣からの出題。

｢公民｣の｢経済分野｣に関する｢基本的事項｣を問うものがほとんどだが、｢時事｣の｢説明記述設問｣は難解だ。２問だけ検証してみたい。

[問７]　｢下線部に関連しての不適切選択肢設問｣(４択)。｢公民｣単元｡｢リード文｣中の下線部⑤｢それ(＝｢1991年のバブル経済崩壊｣｡尚、｢バブル｣は[問６]の｢答え｣)以降、日本経済は長期低迷期に入っている｣に関連して、｢安倍晋三内閣｣の｢アベノミクス｣と呼ばれる経済政策として｢誤っているもの｣を答える。

｢アベノミクス｣とは、｢2012年12月｣に誕生した｢安倍晋三内閣｣の経済政策で､いわゆる｢３本の矢｣(｢財政出動｣｢金融緩和｣｢成長戦略｣)がその柱だ。

したがって、選択肢(イ)｢機動的な財政政策｣､(ウ)｢大胆な金融緩和｣､(エ)｢民間投資を喚起する成長戦略｣がそれに相当する。よって、(ア)｢聖域なき構造改革｣が｢答え｣となる。これは｢小泉純一郎内閣｣が掲げた政策。

本問のように、｢時事問題｣としては｢過去のもの｣だが、｢公民｣のテキストにはまだ反映されていない可能性のある｢数年前の事項｣には要注意だ。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問８]　｢リード文に関連しての目的説明記述設問｣(｢字数指定｣なし、｢60字ほど｣の解答欄)。｢時事｣単元。｢リード文｣全体に関連して、｢2016年１月、日本銀行が行った『マイナス金利政策』｣の｢目的｣を説明する。

｢本年度の時事問題｣として｢マイナス金利｣という名称は押さえているだろうが、その｢内容｣となるとなかなかの至難の業だ。が、ここは｢設問内容｣自体に｢手がかり･ヒント｣を求めていきたい。

｢マイナス金利政策｣＝｢日本銀行が一般の銀行から一定額を超える預金に対して利子を支払う状況をつくり出す｣と説明されている。｢預金に対して利子を支払う｣⇒通常とは逆(｢預金｣に対しては｢利子を受け取る｣のが｢常識｣)⇒｢一般の銀行｣は｢日本銀行｣に預けたくなくなる⇒｢資金｣を企業や個人への｢貸し出し｣に回すはず⇒市中に出回る｢資金｣が増える⇒｢景気｣が良くなると、結びつくはずだ。

こうした｢説明｣をまとめていく。たとえば、｢一般の銀行が余裕のある資金を日本銀行に預けるのではなく、企業や個人への貸し出しに回すことで景気を回復させるという目的｡｣といった｢答え｣だ。

｢設問｣そのものが｢手がかり･ヒント｣だと心得よ。

＜時間配分目安：２分＞

｢国際経済｣｢日本の政治｣｢国際政治･社会｣｢基本的人権｣｢国の三権｣という、｢公民｣の５つの分野からの｢説明文｣についての｢正誤判別問題｣だ。

さほど難しいものはないのだが、細部に注意しないと足をすくわれたり、｢時事的要素｣の判別に苦労したりする問題がある。それらを考えてみる。

[問３]　｢国際政治･社会に関する選択肢設問｣(４択)。｢時事的要素｣あり｡各選択肢の｢キーワード｣に着目して、｢正誤判別｣していく。

(ア)｢『ＡＰＥＣ』の正式名称は『アジア太平洋経済協力会議』｣｢関税の引き下げだけではなく、投資も自由に認めようとしている｣⇒前者は｢適切｣だと判断できるはずだが、後者は｢？｣に違いない＝｢保留｣｡

(イ)｢アメリカは保守党と労働党による２大政党制｣⇒これだけで｢不適切｣だと判別できなくてはいけない。アメリカは｢民主党｣と｢共和党｣だ。｢保守党｣と｢労働党｣は｢イギリス｣だということも覚えておきたい。

(ウ)｢2016年の台湾総統選挙で国民党の蔡英文さんが選ばれた｣⇒典型的な｢時事問題｣､即座に｢蔡英文さん｣は｢民進党｣だと分かるはず(分からないと困る)＝｢不適切｣｡

(エ)｢2014年､アメリカのオバマ大統領はキューバとの国交断絶を発表｣⇒これまた｢時事問題｣､アメリカは1961年からキューバと国交断絶していたが、2015年に｢国交回復｣したことは誰もが知っている＝｢不適切｣｡

となると、結果的に｢保留｣とした(ア)が｢答え｣となる。

｢時事問題｣は直接的に問われるだけではなく、こうした問題でも必要となると心得よ。尚、｢選択肢設問｣では前述のように｢消去法｣も十分に活用したい。

＜時間配分目安：１分＞

[問４]　｢基本的人権についての不適切選択肢設問｣(４択)。各選択肢の｢キーワード｣に着目して、｢正誤判別｣する。

(ア)｢1989年に国際連合で採択された『子ども(児童)の権利条約』｣｢日本は1994年に批准｣⇒｢適切｣だ｡具体的な｢年代の数字｣は誰もが知っているもの以外は｢正しい｣と判断していい。

(イ)｢部落差別は、同和問題ともいう｣｢江戸時代のえた、ひにんという差別された身分は明治時代に廃止｣｢その後も差別は続いた｣⇒これは無論、｢適切｣｡

(ウ)｢1985年に男女雇用機会均等法が、1999年には男女共同参画社会基本法が制定された｣⇒(ア)と同様に｢年代の数字｣は正しい＝｢適切｣｡

(エ)｢労働基本権は、団結権と団体交渉権、団体行動権の３つの権利｣｢公務員を含めたすべての労働者に等しく権利が認められている｣⇒前者は何の問題もなく｢適切｣と判断できるが、後者は微妙か。一般の公務員には｢団体行動権｣が認められておらず、｢警察官｣｢消防士｣｢自衛官｣などには｢三権全て｣が認められていない＝｢不適切｣｡

したがって、｢答え｣は(エ)｡本校では、微妙な｢深知り知識｣も問われるということだ。

＜時間配分目安：１分＞

[問５]　｢国の三権についての不適切選択肢設問｣(４択)。各選択肢の｢キーワード｣に着目して、｢正誤判別｣していきたい。

(ア)｢国会は国民が直接選んだ代表者によって構成｣｢国権の最高機関で唯一の立法機関｣⇒誰もが覚えている｢日本国憲法第41条｣＝｢適切｣｡

(イ)｢国会は国の予算を審議し議決する｣｢必ず衆議院から予算の審議が始められる決まり｣⇒｢衆議院の優越｣のひとつである｢予算先議権｣＝｢適切｣｡

(ウ)｢衆議院は内閣不信任決議を行うことができる｣｢内閣不信任決議が可決されると、内閣は10日以内に必ず総辞職をしなければならない｣⇒前者は｢適切｣だが、後者はどうか？　｢日本国憲法第69条｣の規定では｢内閣不信任決議が可決されると、10日以内に衆議院が解散されない限り、内閣は総辞職しなければならない｣＝｢不適切｣｡

(エ)｢『司法権の独立』が原則｣｢裁判官は､心身の故障、国会議員による弾劾裁判、最高裁判所の裁判官に対する国民審査による罷免の場合を除いて、在任中の身分が保障されている｣⇒いわゆる｢裁判官の身分保障｣＝｢適切｣｡

よって、｢答え｣は(ウ)｡

｢細部｣までしっかりと確認して｢正誤判別｣することが求められることを改めて肝銘すること。

＜時間配分目安：１分＞