雙葉中学校 入試対策
2024年度「雙葉中学校の理科」
攻略のための学習方法
雙葉中理科の満点は50点。知識だけで解答可能な問題もあるが、問題文や図などを読み取った上で解き進めていく考察力や思考力が必要な問題や計算問題も含まれる。記述問題・時事問題が多いのも大きな特徴。本校受験者は、まずは塾のテキスト等で学んだ知識をしっかり固め、知識問題での失点を極力しないことが攻略への近道である。問題を解く上では、慌てて解答用紙を埋めようとするのではなく、問題文をしっかり読み取ることに時間をかけて欲しい。分野毎の学習方法は以下の通りである。
<分野毎の学習法>
生物分野 本年度は消化の働きに関する出題で、知識問題の他にだ液の実験に関する問題や記述問題も複数題含まれていた。ここ数年を見ると、外来生物と食物連鎖、植物(光合成等)、人のからだの働き、昆虫の生態などをテーマにした問題が見られた。いずれも単なる知識を問うものだけではなく、問題文を読んだ上で、各設問を考えながら解き進めていくものが多い。この分野の学習法としては、まずは植物、昆虫、動物、食物連鎖、人のからだの働きについての基本知識を確実に覚えることが第一であり、その上で、植物のはたらきや人のからだのはたらきを確認するための実験や観察の進め方についてもしっかり確認し、問題演習をしっかり行って欲しい。また、日頃から図鑑を見る、生物に関するニュースに気を配るなど、生物についての関心を持つことも大切である。
地学分野 本年度は地震と海岸段丘についての出題であった。防災の日についての時事問題も見られ、海岸段丘については思考力が必要なややレベルの高い問題も含まれていた。ここ数年では、海水温と気象、プレートと地震、月や星などの天体の動き、流水の働き、地層・岩石・化石などに関する出題が見られた。地層のボーリング調査に関する問題の出題率がやや高く、重点をおいて学習して欲しい。その他、天体・気象などの基本知識をしっかり覚えておくことも必要である。この分野に関しても、単なる丸覚えだけでは対応できないタイプの出題が中心なので、長めの問題文を読んで解き進めていくタイプの問題演習もしっかり行っておきたい。火山噴火・地震によっておこる液状化などの様々な現象、フェーン現象、地球温暖化などの気象に関するやや詳しい事柄についても興味を持って学習して頂きたい。また、今年度同様に時事的な内容の出題も考えられるので、天体・気象・地震や火山噴火などのニュースにも関心を持って頂きたい。
物理分野 本年は温度計に関する出題で、ガリレオ温度計についてのややレベルの高い問題も含まれていた。近年を見ると、振り子の運動、てこ、浮力、電気回路、電流と磁界、光の性質に関する出題などが見られた。この分野の学習としては、振り子、てこ、浮力、滑車など力学の計算練習はもちろんのこと、電気、音、光などについても幅広く知識を身につけて頂きたい。また、問題集等を使用して、問題演習もしっかり行って欲しい。
化学分野 今年度はものの溶け方に関する出題であった。雙葉中らしい実験器具に関する出題や計算問題が中心であった。ここ数年を見ると、燃焼、過酸化水素水の分解、気体の性質、水溶液と化学変化、水の三態変化、二酸化炭素の発生などに関する出題が見られた。中でも、化学変化に関する出題頻度が高い。この分野の学習方法としては、水溶液の性質や気体の性質、指示薬の色の変化などの基本知識は確実に覚えた上で、計算問題の練習もしっかり行って欲しい。「中和」「酸素の発生」「二酸化炭素の発生」「金属と水溶液の反応」「燃焼」「溶解度」などをテーマにした計算問題の練習に時間をかけたい。
また、実験の進め方や実験器具の使い方についても理解を深めておいて欲しい。
過去問の練習もしっかり行って頂きたい。過去問を進める上では時間の使い方を意識して欲しい。問題文や図を読み取ることが大きなポイントとなる出題なので、その読み取りにどの程度時間をかけてよいのかを確認しながら過去問演習に取り組んで頂きたい。また、過去問以外では、同じようなタイプの問題の演習にも取り組んで欲しい。問題の選択については、プロの家庭教師に相談して頂きたい。
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2024年度「雙葉中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は4、小問数は25題程度で50点満点。試験時間は30分で例年通りであった。
適語を答える問題、記号選択問題、記述問題、計算問題、図を描く問題と解答形式は様々である。試験時間が30分と短いが、慌てることなく落ち着いて取り組んで欲しい。問題文・図・表の読み取りや計算を丁寧に行うことが大切である。
【大問1】 生物 消化の働き
- 難度:標準
- 時間配分:7分
- ★必答問題
問1 でんぷんは「すい臓」から出されるアミラーゼによって分解された後、「小腸」から出される腸液に含まれるマルターゼよってブドウ糖に分解される。「小腸」の内側にあるじゅう毛というつくりから吸収されたブドウ糖は「肝臓」でグリコーゲンという物質に合成され蓄えられる。
問2 デンプンが麦芽糖に変化する速度は鈍くなるが、最終的にできた麦芽糖の量は変わらない。
問3 だ液との比較実験は水で行えばよい。
問4 記述問題。アミラーゼによる実験でヨウ素デンプン反応が見られた理由として、「アミラーゼの量が十分ではなかった」などが考えられる。
問5 記述問題。まずデンプン溶液を氷水で十分に冷やしてから、だ液がしみこんだ綿棒を入れればよい。
だ液の働きに関する問題。記述問題が2題含まれている。だ液だけでなくその他の消化液も含め、消化の働きに関する基本知識が必須。中学入試における人の体の働きについての出題では、だ液の働きは最も取り上げられる可能性が高い内容。実験の進め方なども含め、しっかり押さえておきたい。
【大問2】 地学 地震と海岸段丘
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
問1 防災の日(関東大震災発生日)は9月1日。
問2 写真だけではなかなかわかりにくいが、波によって浸食を受けた海底にあった地形が、隆起して出てきたものと考えられる。
問3 海岸段丘の形成にについて、順番に並べかえる問題。海面下に平らな地形ができる→地震の発生→地盤が持ち上がる の順番。使われない選択肢が2つあることに注意。
問4 問3より、最も高い位置にあるⅢが最も古く、Ⅰが最も新しい。一番上の層はⅠ・Ⅱ・Ⅲで同じであり、Ⅱの二番目の層はⅢの二番目の層と同じでⅠの層には見られず、Ⅲの一番下の層はⅠとⅡでは見られない。
問5 記述問題。海底の隆起以外の要因として、海面の低下が考えられる。海面の低下の原因は地球全体の温度の低下(氷河期)である。
地震と海岸段丘に関する出題。雙葉中では頻出の時事問題が含まれている。問3以降の海岸段丘ができるメカニズムに関する問題は、知識だけでなく思考力が必要なややレベルの高い出題。
【大問3】 化学 ものの溶け方
- 難度:標準
- 時間配分:7分
- ★必答問題
問1 ろ過に必要な実験器具を選び、図を完成させる問題。ろ液をガラス棒に伝わらせてろ紙の上に注ぐことがポイント。
問2 ろ過の後固体がろ紙のどの部分に残るかを図に描く問題。
問3 記述問題。塩化ナトリウム(食塩)は温度による溶解度の変化が小さいので、水温を下げるは不正解となる。「加熱して水を蒸発させる」という内容にすること。
問4 溶解度は100gに対して溶ける最大量(重さ)なので、水200gに対しては溶解度の2倍溶け、再結晶で取り出せる固体も2倍になる。(82-32)×2より、100g。
問5 水100gではなく、水溶液100gであることに注意が必要。(169-20)×100÷269より、四捨五入して55g。
問6 塩化カリウムの10℃における溶解度が31gであることより、200gで10℃の水に塩化カリウムは62g溶ける。10℃における硝酸カリウムの溶解度は20gなので、水200gに対しては40g溶ける。106-40より、66gの結晶が出てくる。
前半はろ過の実験の進め方、後半は溶解度を利用する計算問題が中心となる出題。実験の進め方や実験器具の使い方の学習は雙葉中対策では必須であり、今回も雙葉中らしい出題。後半の計算問題は決して難しくないので、落ち着いて取り組むこと。
【大問4】 物理 温度計
- 難度:やや難
- 時間配分:8分
問1 棒状温度計は、液体は温度が高くなると膨張する性質を利用したもの。
問2 0℃~100℃まで測定するためには、この温度範囲で液体でなければいけない。また、温度変化に対する体積の変化が常に一定である必要がある。
問3 バイメタル温度計についての記述問題。問題に示された図において、金属Aの方が金属Bよりも熱による膨張率が大きいため、温度が上がると針が右回りに動く。
問4 問4以降はガリレオ温度計についての出題。温度が上がると水槽内の液体の体積が増え、結果として密度が小さくなる。浮きの密度は変わらないとすると、浮きの密度の方が大きくなるので、浮きは沈む。逆に温度が下がると、浮きは浮く。
問5 図4:すべての浮きが沈んでいるので、26℃よりも高い
図5:1つだけ浮いているのは26℃と書かれた浮き、沈んでいるのは22℃と書かれた浮きと18℃と書かれた浮き。 従って温度は26℃と22℃の間になる。
問6 3種類の浮きは密度が異なっている。つまり、体積・重さのいずれかが異なっている。そして、温度が変わってもそれぞれの密度が変化しないことが条件。
棒状温度計・バイメタル温度計・ガリレオ温度計、3種の温度計についての出題。特に、ガリレオ温度計については温度変化と密度の変化について考えさせる内容で、知識と思考力が要求される。
攻略のポイント
標準レベルの出題が中心であり、知識があれば正答できる問題も多い。ただし、知識の丸暗記だけでは答えられない思考力を必要とする問題も含まれる。
本校理科の問題の特徴として、記述問題が多いことがあげられる。事象の本質をしっかり理解していないと書けない問いも多い。
もう一つの特徴として、実験や観察などに関する問題文、図、表を正確に読み取る力を必要とする出題が多いこともあげられる。
問題文の読み取りや記述が多い中で試験時間の30分は短く、素早い処理も要求される。
本校の攻略のポイントとしては、まずは苦手分野を作ることなく、基本レベルの知識を身につけること。その上で、過去問や問題集を使って、問題文や図・グラフなどを読み取って解くタイプの問題演習を数多く行って欲しい。さらに、記述問題の練習にも時間をかけたい。さらに、時事問題対策や実験器具の使い方・実験の進め方など対策しておくべきことは多い。
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