人間を含め｢動物の世界認識｣は､｢固有の主体が客観的世界から抽出･抽象した主観的なものである｣ということを動物行動学から論じている。
本文では、ドイツの動物学者ユクスキュルの｢環世界論｣を紹介し、考察している。何やら｢科学用語｣｢哲学用語｣などの難解な語句が多く、内容は理解しづらいかも知れないが､｢*注｣をしっかりと活用すること(本校のお約束だ)。特徴的な｢選択肢設問｣などが並んでいる。
以下、いくつかの｢設問｣を確認してみたい。

[問１]　｢漢字の読み記述｣(全２問/｢ひらがな｣指定)
二重傍線部(ａ)｢次｣､(b)｢極地｣の｢読み｣を｢ひらがな｣で答える。
(ｂ)＝｢きょくち｣は問題ないはず。が、(ａ)はどうか？　｢文脈｣に応じて｢音読み｣｢訓読み｣を判断しなくてはいけない。前後は｢まず光、次いで匂い｣となっている。であれば、｢答え｣は｢つ(いで)｣だと分かるはずだ。
本校では、｢音読み｣｢訓読み｣を定着させた上で、｢文脈｣に応じた判別が求められる。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問２]　｢語句の空所補充組み合わせ選択肢｣(５択)
本文中の空所 　Ａ　～　Ｄ　 に入る｢言葉の組み合わせ｣を答える。
｢言葉｣は､｢そして｣｢ところで｣｢しかし｣｢あるいは｣｢つまり｣｢また｣｢たとえば｣｢ところが｣｡
これらを４カ所の空所にあてはめる。全て、｢接続詞｣だ。本校に限らず、｢接続詞｣｢副詞｣などの｢空所補充問題｣は定番だ。｢接続詞｣では｢逆説｣はともかく、｢順接｣には特に注意すること。しっかりと確認しないと、どれもがあてはまってしまう可能性があるのだ。
ここでは、
　Ａ　 には｢換言｣の｢つまり｣
　Ｂ　 には｢例示｣の｢たとえば｣
　Ｃ　 には｢逆説｣の｢しかし｣か｢ところが｣
　Ｄ　 には｢選択｣の｢あるいは｣
があてはまることが分からなくてはいけない。
従って、｢組み合わせ｣の｢答え｣は、選択肢｢(エ)｣となる。
こうした｢空所補充問題｣では、｢候補｣がひとつとは限らないので、必ず全ての｢候補｣を｢代入確認｣すること。

＜時間配分目安：２分＞

[問３]　｢内容説明選択肢｣(５択)
傍線部①の｢こういう認識｣について、それは｢どういう考え方か｣を答える。
｢選択肢設問｣は｢消去法｣が原則｡ここでは、｢こういう｣という｢指示語｣の｢内容｣で｢原意消去｣(｢原意絶対優位の原則｣＝｢設問｣｢傍線部｣等の｢原意｣、要は｢本来の意味｣を最優先に考えること)したい｡直前から､｢こういう｣＝｢動物が住んでいる環境、客観的な環境を全て記述できるはずだ｣ということだと分かる。各選択肢の｢文末｣と照合し｢消去｣する(｢選択肢｣の説明で最も重要な要素は｢文末｣に記されている)｡
(ア)｢空気や植物を中心とするもの｣
(イ)｢様々な言語に言い換えられるもの｣
(ウ)｢すべて数字や言葉で言い表せるもの｣
(エ)｢種類が多くて特定できないもの｣
(オ)｢一定の温度や湿度が保たれているもの｣
｢全て記述できる｣のだから当然､(ウ)以外は｢消去｣できるはずだ。(ウ)は｢文末｣以外の部分の説明も特に誤ってはいない。従って、｢答え｣は｢(ウ)｣になる。｢一発消去｣だ。
｢原意消去｣､活用すべし。尚、｢指示語｣については、必ず｢すぐに開く｣ことが重要だ。

＜時間配分目安：１分半＞

[問５]　｢語句の空所補充選択肢｣(５択)
本文中の空所　３　に入る｢最も適当な言葉｣を答える。
空所前後の｢文脈｣を確認する。｢ダニが生きていくためには、　３　より確実さのほうが大切なのだ｣となっている。さらに、前文には｢ダニの世界のこのみすぼらしさこそ、ダニの行動の確実さを約束する｣とある。｢この｣という｢指示語｣を開くと、｢取り囲んでいる巨大な環境の中で、ダニにとっての世界は、哺乳類の体から発する匂いとその体温と皮膚の接触刺激という三つだけで構成されている｣ことが｢みすぼらしさ｣だと分かるはずだ。つまり、｢確実さ｣＝｢みすぼらしさ｣＝｢三つだけで構成されている世界｣であり、
そうした｢みすぼらしさ｣⇔　３　という関係だと理解したい。
各選択肢を確認する。
(ア)｢美しさ｣､(イ)｢豊かさ｣､(ウ)｢明るさ｣､(エ)｢危うさ｣､(オ)｢広大さ｣｡
無論、｢答え｣は｢(イ)｣だ。｢文脈｣を正確にたどっていくことが肝要だ。

＜時間配分目安：２分＞

深作日都子は小学５年生の時、教師から金魚を殺したと誤解され、いじめの対象となったときから､誰にも心を閉ざし、｢みんな｣には加わらない｢ヒトリコ｣として生きていく決心をする――。本文では、中学３年生になった｢日都子｣のクラスが文化祭での合唱コンクールに向けて進める練習の様子が描かれている。難しい言葉もなく、内容も理解しやすい。ただ、｢小説｣特有の｢比喩表現｣や、｢心情｣の読み取りには細心の注意を払うこと。
以下、いくつかの｢設問｣を検証してみる。

[問１]　｢漢字の書きとり｣(全２問)
二重傍線部(ａ)｢ア｣､(ｂ)｢ユウショウ｣を｢漢字｣で書く。
前後の｢文脈｣を確認する。最初は、｢春の日をアびる｣なので、(ａ)＝｢浴(びる)｣｡
次は、｢コンクールでユウショウする｣で、(ｂ)＝｢優勝｣｡
ここは平易だが、｢同音異義語｣や｢同訓異字｣などについては十分に注意すること。

＜時間配分目安：１分以内＞

[問２]　｢語句の空所補充選択肢｣(全４問/５択)
本文中の空所　①　～　④　に入る｢最も適当な言葉｣を答える。
各選択肢は、
(ア)｢偉そうに｣､(イ)｢気まずそうに｣､(ウ)｢真面目に｣､(エ)｢激しく｣､(オ)｢さりげなく｣｡それぞれの｢言葉｣の意味は特に難しくない。各空所の前後の｢文脈｣を的確にとらえて特定していきたい。
｢男子も女子も､　①　俯(うつむ)いたり｣⇒｢俯く｣のだから、　①　＝｢(イ)｣､｢やる気がないなら帰っていいですよ｣という｢合唱委員の言葉｣についてのト書きで、｢淡々と、怒る。そして　②　相手を切りつけるような酷(ひど)い単語を口にする｣⇒｢淡々と｣とあり｢そして｣なので、　②　＝｢(オ)｣､続いての｢合唱委員の言葉｣として｢　③　歌わないのに帰りたくないっていうのは……｣⇒最初の｢言葉｣を考え合わせれば､　③　＝｢(ウ)｣､｢彼女(合唱委員)は椅子に腰掛ける。　④　足を組んだ｣⇒上記のような｢合唱委員｣が｢足を組む｣のだから、　④　＝｢(ア)｣｡判別しやすいものから特定していくといい。

＜時間配分目安：２分半＞

[問３]　｢理由説明選択肢｣(５択)
傍線部(１)｢普段、限りなくゼロに近くしている心のスイッチを、切る｣について、｢ここで日都子がこのようにしたのはなぜか｣を答える。本校の真骨頂､長～い｢選択肢説明｣が待ち構えている。｢選択肢説明｣を｢ブロック分け｣をして､分かりやすい部分で単純に｢消去｣したい。傍線部は｢比喩表現｣なので、その｢原意｣で｢消去｣する。｢普段からほとんど閉ざしている心を完全に閉じる｣という｢原意｣だということは分かるはずだ。で、各選択肢に注目すると、すべてに共通して｢この場ではいつも以上に～｣とある。｢普段｣＝｢いつも｣なのだから、その後の｢部分｣が傍線部に対応していることになる。｢いつも以上に｣の後に着目する｡
(ア)｢片岡さんに対する不平や不満をかくして｣
(イ)｢自分の考えをいうのはよそう｣
(ウ)｢自分の本当の気持ちをかくして｣
(エ)｢クラスの様子に関しては無関心なふりを通そう｣
(オ)｢片岡さんを怒らせるような態度をとって困らせてやろう｣
｢自分自身の心を閉ざす｣のだから無論、(ウ)以外は｢消去｣できなくてはいけない。他の部分の説明も特に不適切でなはないので、｢答え｣は｢(ウ)｣だ。
長い｢選択肢説明｣では、｢ブロック分け消去｣を心がけよ。

＜時間配分目安：２分半＞

[問７]　｢理由説明記述｣(｢40字以内｣指定)
傍線部(４)｢気まずさ｣について、｢日都子はなぜ片岡さんが『気まずさ』を感じたと思っているのか｣を説明する。何がきっかけで、｢片岡さん｣は｢気まずさ｣を感じたのか？
その｢きっかけ｣が｢直接的理由｣につながるはずだ。
｢小説｣では、｢同一場面の直前直後に根拠･手がかり｣がある。｢きっかけ｣なので｢直前｣を確認する。｢日都子｣が｢さあ｡私、ヒトリコだし｣と言ったことだと分かる。さらに、いつも｢日都子｣のことを陰で｢ヒトリコ｣と呼んでいる｢片岡さん｣にとって、｢当の本人の口からヒトリコという単語が出てきたこと｣は｢予想外だったようだ｣とも説明されている。以上のことを、｢直接的理由｣(｢理由説明｣の｢最重要要素｣)を｢文末｣として｢過不足なく｣まとめていけばいい。たとえば、｢片岡さんが陰で呼んでいるヒトリコという呼び方を日都子がしたのは予想外だったから｡｣といった｢答え｣になる。
｢説明記述｣では､｢最重要要素｣を｢文末｣とすること。

＜時間配分目安：３分＞

｢同音異字の漢字の選択肢｣(全４問/各４択)。
示されている(Ａ)～(Ｄ)各文の｢傍線部と同じ漢字を使うもの｣を答える。基礎的なものが多いので、本校志望者であれば全問正解が当然。
ただ、若干注意したいものとしては、
(Ａ)｢呼吸器カン｣＝｢官｣⇒｢答え｣は選択肢(ア)｢カン製はがき｣⇒｢呼吸器管｣ではないので要注意､(Ｃ)｢春のようなヨウ気｣＝｢陽｣⇒｢答え｣は選択肢(イ)｢太ヨウの光｣⇒｢陽気｣には｢時候｣と｢明るい性格｣の２つの意味があることは押さえておきたい。
｢漢字｣に関しては、どのような形式で出題されてもいいように準備をしておくこと。

＜時間配分目安：１分半＞