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開智中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2018年度「開智中学校の理科」
攻略のための学習方法

まず、知識面では極端に細かい用語や事象まで学習しなくても良い。標準的な参考書や塾のテキストの内容が頭に入っていれば問題には答えられる。ただし、難関校ならではの知識問題の出し方として、曖昧で不十分な理解に留まりがちな知識を狙ってくるという点が挙げられる。本年度であれば、大問3問4(2)と、大問4問1が相当する。前者については、植物が子孫を残すには受粉が必要であることや、親世代の持つ形質は子世代に受け継がれることはある程度知っていても、違う品種の花粉を受粉させてしまうと子世代で発現する性質も変わってしまうという点まで押さえられていなければ答えを考えにくい。また、後者についても「活断層」という言葉は聞いたことがあっても、その意味を問われた際、正しく答えられる小学生はそう多くはないと思われる。

したがって、知識面の学習で言えば、単に説明に対応する用語を答えるだけでなく、用語についての説明がある程度出来るレベルまで理解を深めておきたい。これは知識そのものを問う問題、あるいは知識の活用を求める問題への対策として有意義であるほか、記述問題の対策にもなり得る。

そうは言っても、この種の入試問題でより重要になってくるのは、問題文を分析する力である。文章や図から必要な情報を読み取らせる問題では、特定の記述表現や事象を教科書的な知識に読み換えたり、ルールをその場で見抜いて適用する能力が問われている。たとえば大問1における光の三原色の問題では、光源とスクリーンの組み合わせから「吸収されるスペクトル」と「反射されるスペクトル」とを仕分ける作業が必要になるが、このように一見複雑な情報を単純化することができるかどうかが重要になる。大問2の質量保存の法則に関する問題についても、天秤にかかる力を物体の重さと気体の重さに分別して追うという発想が即座に組み立てられなければならない。

こうした力が直接鍛えられる教材を用意することは難しいので、実践のレベルでは過去問の演習を積むのが良いだろう。知識は要さないが、与えられた条件に対応した即興思考を要するといった問題は汎用性が低いため、一般の問題集では扱われにくい。難関校の理科は多かれ少なかれ同様の傾向を持つので、中学入学試験問題集(通称:銀本)など実際の入試問題が丸ごと掲載されているものを用いるのが良い。

また、問題演習以上に重要なのが思考過程の確認である。考え方のどこに不合理が生じたのか、何を見落としていたのかを丁寧に分析していくことでしか、この種の問題への対応力は鍛えられない。問題集の解説だけではそこまでのフォローアップが難しい、というより不可能に近いので、最低限身近な大人が側について思考過程の確認だけでも行うのが望ましい。可能であれば、塾の先生を自習時間に捕まえて、最大限活用すること。

以下、各分野の学習において特に注力すべき点を挙げておく。

 

【生物分野】

最も失点に結びつきやすいのが、本年度出題されたような生物種の分類に関する設問である。特に、同じ科に属する種に共通する特徴は頭に入れておくべきである。植物で言えば単子葉/双子葉、有胚乳/無胚乳、両性花/単性花など頻出の知識から、余裕があれば代表的な花のおしべの本数、花弁の枚数あたりまで押さえておけると安心である。昆虫についても変態の有無、口や触覚の形状、冬越しの形態などは覚えておきたい。いずれも、ただ字面上で覚えるのではなく、写真や実物の観察を通じて視覚的な記憶を形成しておくべきである。

【地学分野】

比較的難度が高い問題を出題してくるのが特徴である。地層に関しては本年のように、地殻変動の間隔を判断させる問題や、侵食を受ける前の地層を推定させる問題が思考問題として出題されやすい。対策の優先度が下がりがちな分野だが、問題集や過去問でしっかりと練習しておくこと。天体については、天体間の距離や公転の周期に関する計算問題に要注意。基本的には相似あるいは旅人算の問題になるので、ある程度パターンを把握しておきたい。また、星座の見える季節や一等星の名称、色についても落とし穴になりがちなので知識問題の対策も忘れずに。

【物理分野】

一般的な問題集では題材になりにくいような出題が多いが、仕組みの理解を求める傾向が強いため、ほとんどの場合、文章や図をきちんと解釈して考えれば答えを出すことが出来る。計算問題の印象が強い分野だが、それ以上に基本的な原理や物理法則についての知識を固めておきたい。そのうえで、身近な機器や物理現象について、そのメカニズムを多少なりとも知っておくと役に立つはずである。ただし、試験本番では未知の事象について問われる可能性が高いため、単に本やインターネットで調べるだけでなく、知識を総動員して自分なりの仮説立てを行ったうえで情報にアクセスするようにしておくと、試験のための良いトレーニングになる。

【化学分野】

本年度の問題は比較的易しかったが、炭素を中心とする有機物と金属との燃焼反応の違いやその理由について、知識が不十分だと答えられない。物質の性質や、その性質から生じる現象を確認するための試験方法などは知識として整理しておくべきである。また、年度によっては、当然計算問題の出題が予想される分野である。単なる比例計算に留まらず、つるかめ算の応用など、やや高度な処理を要求されることもあるので、色々な単元の計算問題を発展的なレベルまでこなしておきたい。

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2018年度「開智中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

29個の解答箇所に対して時間は30分。

前年度と同程度の分量だが、扱われている内容が多少易しかった点、計算問題が少なかった点を考えると、時間的な厳しさは幾分緩和されていると言える。

ただ、大問1と4に解きごたえのある問題が配置されており、冒頭で躓いて最後まで解き終えられないという失敗が起こりやすいため、時間配分には要注意。

【大問1】物理分野:光の三原色

  • 難度:やや難
  • 時間配分: 9分
  • ★必答問題

「赤、青、緑3色の光が合わさると白色光になる」、「光を構成する波長のうち、物体に吸収されず反射したものが目に見える彩りを与える」という要点を手早く掴みたい。この手の問題は条件を整理していく手際が重要なので、反射される色をどんどん図に書き込んでいくこと。

問2 赤い色紙は赤色光以外を吸収してしまうので、光に赤色が含まれていれば赤色に、含まれていなければ暗く見える。青色の光は水色の場合と同じく、反射される赤色光を含まないため、暗く見える。

問3 黄色は赤と緑の組み合わせであることから、黄色い色紙は青色光のみを吸収し、赤色光と緑色光を反射させると考えられる。各色の光について吸収される色を除いていくと、反射される色は以下のように整理される。

紫色 = (青色) + 赤色 → 赤色
黄色 = 緑色 + 赤色 → 黄色
水色 = (青色) + 緑色 → 緑色

問4 人の体は全ての色の光を吸収し、白色スクリーンはすべての色の光を反射させる。よって、Aの影では赤色LEDの光が遮られる一方で青色LEDの光が反射され、Bの影では青色LEDの光が遮られる一方で赤色LEDの光が反射されることになる。

問5 水色のスクリーンは赤色光を吸収し、青色光、緑色光を反射させる。問3と同様、それぞれの影に照射される光の色からスクリーンに吸収される色を除き、反射される色を整理していくと、以下のようになる。

影C = 青色 + 緑色 → 水色
影D = 青色 + (赤色) → 青色
影E = (赤色) + 緑色 → 緑色

【大問2】化学分野:燃焼と質量保存の法則

  • 難度:
  • 時間配分:6分

質量保存の法則のほか、化学分野で頻出の知識が問われている。いずれにせよ、同じような設定がよく見られる問題であるから、実践練習が十分であれば、すんなりと突破出来るはず。

問1 天秤の両側にかかる力は、「集気ビンの重さ+物体の重さ+ビン内の気体の重さ」である。物体を燃焼させると物体の重さとビン内の気体の重さは変化するが、質量保存の法則により、重さの合計は変わらない。よって、天秤は釣り合ったままである。

問2 木片は燃焼後の方が軽くなっていることは、分銅との比較から明らか。あとは、問1で述べたように「物体の重さ+気体の重さ」が一定でなければならないから、その分気体の質量が増えていたことになると分かる。具体的には、木片に含まれる炭素と酸素が結合して二酸化炭素が発生するので、木片の重さは発生した二酸化炭素に相当する分だけ軽くなる。一方、二酸化炭素は炭素が結びついた分だけ酸素よりも重くなるため、気体の質量は大きくなる。

問5 石灰水が白く濁るのは二酸化炭素と反応したからであるが、スチールウールのような金属は炭素を含まないため、燃焼させても二酸化炭素が発生しない。よって、ビン内の気体の重さはスチールウールと結びついた酸素の分だけ軽くなり、石灰水も白濁しない。

問6 スチールウールの成分は鉄である。よって、酸素と結びついて酸化鉄に変わる。金属を燃焼させて出来る物質の名称は、原則として「酸化◯◯(金属名)」になると考えておけば良い。

【大問3】生物分野:植物の分類

  • 難度:標準
  • 時間配分:6分
  • ★必答問題

会話文が長いが、述べられていることは難しくない。キク科やウリ科植物の花の特徴を覚えておく必要はあるが、定番の植物なので問題ないだろう。問4が解けるかどうかが勝負。

問2 会話文を読めば、キャベツやアブラナと似た花を持つ植物を選べば良いと分かる。

問4
(1)
表を参考に出来れば推測は難しくない。おしべが0本、花びらが35枚という特異的な数字に注目すれば、おしべが花びらに変化したことは見当がつく。「そんなの知らない」とパニックに陥って表が目に入らない、ということが無いように。

(2) 漠然とでも遺伝についての理解が無いと、答えづらい問題である。おしべが0本であることから、花粉が作れないという所までは分かるだろうが、そこから子孫の世代で形質が失われるという話に結びつけるには、多くの遺伝形質が両性の持つ遺伝子の組み合わせによって決定されるということを知っておかねばならない。本問の場合、突然変異によって生じた遺伝子が両性の受精を通じて組み合わせられなければ子世代で同じ形質が生じないと予想されるが、花粉は変異形質を持たない品種から受け取らなければならない以上、そのような事態は生じさせられない。なお、形質によっては必ずしも両性の遺伝子を必要とせず、片方の性が持つ遺伝子によってのみ決定され得る場合もある。 

【大問4】地学分野:地層の形成

  • 難度:やや難
  • 時間配分:9分
  • ★必答問題

地層の問題で難しい知識が問われることは少ないが、考察問題が多いため、地層形成のシステムはしっかりと理解しておく必要がある。このレベルの問題で正解できる実力があると安心。

問1 言葉として聞いたことがあっても、理解しているとは限らない用語の一つが「活断層」だろう。地震は、地表を覆う岩盤であるプレートがぶつかったり離れたりして起こるものだが、プレート全体がひずみを解放して大きく振動するプレート境界性地震のほか、プレートにかかる力がプレート内の特定箇所に伝播して地層を破壊し、断層を生じるプレート内地震が存在する。いわば、断層とはプレートのひずみが生む力が集中しやすい場所を示すサインであり、プレートにかかる力に変化が生じない限り、断層上では繰り返し地震が発生しやすい。このような断層を活断層と呼ぶのである。

問2
(1) 答えは直感的に選べるかもしれないが、(2)を解くための鍵になる重要な問題。海底で流水の堆積作用によって地層が形成される場合、常に高い方から低い方へと流れる力を受けることから、堆積物は段差の低い方に押しやられていく。一方、火山灰の堆積の場合、火山灰は上方から積もっていくため、高さにかかわらず均一に堆積していくと考えられる。

(2) 「地層Dが堆積している途中で断層が動いた」と書かれている点に注意。つまり、断層の発生後も地層Dの堆積が続き、その後地層Cの堆積が始まったということである。まず、地層Dは流水による堆積で形成されることから、断層の低い方により堆積物が集積されていなければならない。この時点で、答えはウ、エのいずれかに絞られる。また、地層Cは火山灰層であるため、段差にかかわらず均等に堆積していなければならない。よって、答えはウであると判断できる。

問3
(2) 文章読解の問題。「北伊豆地震によって、丹那断層は当時の地表まで達しました」という表現から、北伊豆地震が起こった1930年時点の地表が図の第2層と第3層との間に相当することが分かる。また、「『伊豆国の大地震』は第5層が堆積を始める直前に起きた」という表現から、「伊豆国の大地震」が起こった841年時点の地表が図の第6層と第5層との間に相当することが分かる。R地点においては、両者の幅が38+13+104=155[cm]=1550[mm]であるから、これを2つの地震の間隔、すなわち1930−841=1089[年]で割れば良い。

(3) 「1回の地震で丹那断層がずれ動く長さとずれる方向は北伊豆地震のときと変わらないものとし」という記述から、(1)の答えを使わなければならないと考えられたかどうかがポイント。(1)では北伊豆地震の際、水平方向に2mのずれが生じたと考えたので、1.2km、すなわち1200mのずれが生じるまでに1200÷2=600[回]の地震が起こったと推計される。地震の間隔は平均1000年とされていることから、所要年数は600×1000=600000[年]と計算出来る。

攻略ポイント

本年度の問題は、特に小問間の繋がりの把握が強く意識されており、文章や図表を読み込む力は勿論のこと、設問の意図をしっかりと捉える力が鍵になる。
知識面で難しいことはあまり訊かれない傾向にあるので、「何のことだか分からない」という設問に直面した際には、本文や前の小問に手掛かりが無いかどうかを確認するといった気構えで臨めるようにしたい。

また、問題の配置も曲者である。今回は大問1と大問4で思考力や情報処理力を問う設問が目立ち、大問1で悩み過ぎると大問4で十分に考える時間が取れなくなるという事態が予想される。比較的余裕のある時間設定ではあるが、少し考えて分からなかった問題は後回しにして、解けるものから解いていくというアプローチが重要である。

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