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海城中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2018年度「海城中学校の理科」
攻略のための学習方法

全般に応用〜発展レベルの出題が多いことから、本番から逆算して実践演習の時間を十分に確保できるような学習計画を立てる必要がある。知識問題に関して言えば失点しないに越したことはないが、過度に定着を重んじて実践レベルの演習に進めないという事態は避けたいところである。もちろん基礎レベルの知識に遺漏があってはならないが、細かい知識については実践演習で間違えるたびにその場で覚えていく、というぐらいの心構えで良い。

さらに言えば、知識の習得に際して「何に注意して覚えるか」という点も重要である。たとえば、化学分野では他の学校に比べ、実験器具や実験方法についての知識が問われることが多い。器具名を答えるだけならともかく、図や使用法を問う問題になってくると、丸暗記だけでなく「どうしてそのような使い方になるのか」という視点が不可欠になってくる。他の分野についても同様だが、科学的な現象については、用語だけでなく背景にある原理もしっかり覚えるようにしていきたい。

また、計算や記述など、多くの受験生が苦手意識を持ちがちな形式の問題にも習熟が必要である。小学理科の計算は、どの考え方を適用すべきかが分かってしまえば計算方法自体は難しくない場合が多いが、そうした問題では計算処理の手際を問う形で難度を上げてくる可能性がある。いつも特定のパターンで計算しようとすると時間を要することがあるため、単に「答えが出せる」だけで満足せず、「最も早く、楽に、確実に答えが出せる」計算方法を常に考えられるようにしたい。さらに、算数の特殊算との複合問題も慣れていなければ難しいので、数多くの計算問題に触れて感覚を養っておくのが望ましい。

記述に関しては、正しい内容が書けているかどうかは言うに及ばず、質問に対応した情報が全て提供されているかどうかの確認も欠かせない。たとえば、本年度の大問3の問5を例に取ると、「山の南側斜面には森林がなく、北側斜面には森林が発達して」いる理由を述べる際、日光が当たらない北側斜面では水の蒸発が少ないことを述べるだけでは、「森林形成が阻害されない」理由は説明できるが、「森林が形成される」理由の説明にはならない。森林が形成されるのに十分な水が雪解けによって供給されている点への言及が必要である。そうしたレベルのチェックは小学生にとって簡単ではない。きちんと大人が付き添って確認すべきところである。

このように、海城中の入試対策は、他の学校以上に実践面での対策が重要であり、特に過去問演習には念入りに取り組みたい。時間配分もさることながら、あっさりと答えが出せる問題がほとんど出て来ない状態での集中力の維持など、「悩む」ことへの精神的な慣れも意識しておくべきである。過去問を反復して自信をつける一方で、並行して色々な難関校の過去問に初見で挑戦していくことは、様々な出題パターンに触れておくという面からも効果がある。小学生はつい問題が解けることを重視し、解けない問題は意識的にあるいは無意識に忌避しがちである。それゆえに「基本がしっかり身についてから」と考えたくなるところだが、敢えて早い内から応用あるいは発展レベルの問題に数多く触れるような学習計画を組んでおこう。

以下、各分野の学習において特に注力すべき点を挙げておく。

【生物分野】

難関校は単純に知識の有無を問うような出題が少ないが、差がつくポイントになりがちなのが、分類に関する知識である。本年度は木本植物の分類が問われたが、花や動物、昆虫についても諸々の比較点に応じた分類を頭に入れておくこと。さらに、考察や記述の問題が多いのもこの分野の特徴である。覚えることが多いので用語の暗記に意識が向かいがちだが、参考書内に記述されている様々な生命現象の意義についての説明は、可能な限り習得するようにしておこう。

【地学分野】

天体現象は図形上の関係や光の性質によって成立する部分が大きく、必然的に総合的な思考力が求められる。演習の際には解説の文章と図を照合しながら、自分の言葉で図を描いて説明できる理解レベルまで到達することを目標にしよう。地質分野については、地層を中心とした地形の形成過程を問う問題に注意したい。特に地層の形成順序の考察や柱状図の推定に関する問題はしっかりと練習しておくこと。

【物理分野】

本年度の浮力の問題が比重計算までを要求していたことからも分かるように、表面的な理解だけでは太刀打ちできない問題が多い。このような問題への対策においてこそ、最も基礎的な原理や考え方の精髄をシンプルに掴んでおくことが肝要である。一般的な問題集の演習だけでは本質的な理解が要求されるレベルの練習が不足するので、特に実際の入試問題に数多く触れる機会が重要になる。電流と発熱の問題でも、オームの法則やジュールの法則まで頭に入れておいた方が良い。

【化学分野】

実験器具に関する問題は差がつくポイントである。代表的な化学反応に関わる知識を頭に入れる際、どのような実験器具と手順によって反応を実現しているか、なぜそのような手法を用いるのかも合わせて学習しておくこと。特に実験器具については絵に描かれているのみで、その機能や意義についての言及が少ない場合もある。そういったものは、学校や塾の指導者に積極的に質問するように。また、計算問題への習熟が必要なのは論を俟たない。特に、過不足のない反応が起こる点の検出や、再結晶によって析出する溶質の質量計算などはスムーズに行えるようにしておくこと。

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2018年度「海城中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

44個の解答箇所に対して時間は45分。
前年度よりも若干分量が増えたが、考え込むような問題は少ないので、答えられる設問に手早く答え、熟考を要する設問に時間を集中投下すること。大問1は慣れていないともたつくので、その場合は最後に回すべき。取り組む大問の順番も十分に考えて取り組もう。

【大問1】物理分野:浮力

  • 難度:やや難
  • 時間配分:13分
  • ★必答問題

液体の比重を考慮した浮力の計算にまで習熟できていないと苦労する。問1、問2までは定番の問題なので軽く突破したい。問3は浮力に関する理解と思考力が必要。

問1
(2)
アルミニウムの密度からおもりの重さを求めて浮力を引く。計算は初歩的だが、表の存在に気付かなければならない。情報処理力を問う問題。

(4) 浮力の減少分、台はかりの示す値も小さくなる。円錐型のおもりでは、同じ高さだけ引き上げた際に水から出る部分の体積はどんどん大きくなっていくので、引き上げられた高さとともに台はかりの値の減少幅が増加していくグラフを選択する。

問2
(1)
密度から計算される氷の重さ0.9×100=90[g]を支えるのに必要な液体の体積を考える。水の比重は1であるから90÷1=90[cm3]、食塩水の比重は1.2であるから90÷1.2=75[cm3]であり、氷はそれぞれの体積分液中に沈むことになる。氷が沈む体積は食塩水の場合の方が90−75=15[cm3]小さいので、逆に液面の上に出ている体積が15cm3大きくなる。

(2) よく訊かれる問題なので、知っていれば計算せずに即答すべき。但し、計算が出来なければ(3)で立ち往生する。考え方としては、90gの氷を取り出すと、(1)で考えた通り、90cm3分液面が低下することになる。そこに90gの氷を溶かして加えると、90gの水は90cm3に相当するので、液面は再び90cm3分上昇する。つまり、氷が溶ける前後で液面の高さは変わらない。

(3) 食塩水の場合、氷を取り出すと液面は75cm3分しか低下しない。しかし、氷が溶けて出来る水は90cm3に相当するので、液面は90−75=15[cm3]分だけ上昇することになる。

問3
(1)
文中に考え方が明記されているので、その通りに考えれば良い。氷の重さは0.9×2000=1800[g]なので、おもりの重さとの合計は1800+135=1935[g]である。つまり、1935[g]を支える浮力が発生していなければならない。ここで、アルミニウムのおもりの体積は135÷2.7=50[cm3]であるから、おもりには50×1=50[g]の浮力がかかっている。よって、氷にかかる浮力は1935−50=1885[g]となるので、水に沈んでいる部分の体積は1885÷1=1885[cm3]となる。これを2000cm3から引けば答えが求められる。

(2) 浮力の合計と重さの合計がつり合っている状態を考えるが、浮力(すなわち、おもりと氷の体積の和)およびおもりと氷の重さの和をそれぞれ線分図に描くと分かりやすい。浮力の線分は「50+氷の体積」、重さの線分は「135+氷の重さ」で表され、両線分の長さは等しくなる。ここで氷の体積を1とおくと、氷の重さは0.9で表されるので、135と50の差分が氷の体積の0.1に相当することが分かる。よって、氷の体積が(135−50)÷(1−0.9)=850[cm3]であるとき、氷がちょうど全て沈んだところでつり合い、これよりも体積が小さいとおもりは沈んでいくことになる。

(3) 問2(2)で考えたように、浮かんでいるのが氷だけであれば、(液中に沈んでいる氷の体積)=(氷と等しい重さの水の体積)となり、氷が溶けても液面の高さは変化しない。ところが、本問ではアルミニウムが下向きに引かれる力、すなわち135−50=85[g]分だけ、氷が余計な浮力を発生させなければならない。その結果、液中に沈んでいる氷の体積は、氷だけの場合と比べて85cm3大きくなるが、氷が溶けることで増える水の体積は、氷の重さにのみ従うため変化しない。よって、氷が溶けた後の液面は、85cm3相当分だけ低くなる。

【大問2】化学分野:水溶液の性質

  • 難度:やや難
  • 時間配分:11分

実験装置に関する問題、特に描図は普段練習する機会が少ないので差がつくポイントである。物質の性質に関する問題は、扱われている内容自体難しくないが、設問要求の正確な把握が必要である。 

問2
(1) 食酢は酢酸という物質を水に溶かしたもので、酸性の水溶液であるからBTB液を混ぜると黄色くなる。また、鼻を刺すような強い匂いは全般に刺激臭と定義されるので、悪臭とは言えない食酢の香りも刺激臭に分類される点に注意。

(3) 塩化水素がAの性質に含まれることに注意。塩化水素自体は気体であって水溶液ではないが、「水に溶かすことで」酸性の水溶液となる。つまり、Aの性質とは「水に溶かしてBTB溶液を混ぜると黄色くなる性質」だと解釈しなければならない。同様にホウ酸は固体であるが、水に溶かすと酸性の水溶液となるため、やはりAの内部に分類される。

問3
(2) 石灰水を「物質」の名称として扱うべきかどうか迷うところだが、問2(1)の「食酢」が物質名として挙げられていることから、ここでは混合物の名称を挙げるべきだと判断する。

(3) 実際の反応に関与する物質ではなく、その混合物の名称で答えなければならないという要求から、「アンモニア」ではなく「アンモニア水」または「アンモニア水溶液」と答えるべきである。

問4
(1) ふたまた試験管は固体と液体の反応による生成物を得るのに用いられる。それぞれの試料を別々の先端に入れておき、試験管を傾けて液体試料を固体試料へと注ぎ込むが、固体試料をくぼみがある側に入れておくことで、反応を途中で停止させたいときに、試験管を逆側に傾けて固体試料をくぼみに引っ掛け、液体試料だけを元の管へと流し出すことが可能になる。

(3) 実験装置の目的が二酸化炭素の収集ではなく、発生量の測定である点に注意。二酸化炭素は水上置換法でも収集される気体だが、実際には水にある程度溶けてしまう。よって、直接目減りした水の体積を調べるのではなく、Yの装置を使って間接的に測定する。具体的には、空気より重い二酸化炭素を三角フラスコの底に溜めることで、発生分と同体積の空気をフラスコ外へ追い出し、水で満たされたメスシリンダー内に放出する。空気は水に溶けにくいため、押し下げられた部分の水の体積を測定すれば、二酸化炭素を直接放出した場合に比べて発生量がより正確に求められる。

【大問3】生物分野:植生

  • 難度:やや難
  • 時間配分:11分
  • ★必答問題

考察問題が多いが、解答の方向性を見当付けるのは難しくない。寧ろ、落葉広葉樹などの代表例をきちんと覚えているかどうかがポイントになる。

問3 ア〜ウは環境の差異を述べていることから、そもそも「樹木の生活形に関係がない」理由の説明になり得ない。また、下線部②に「樹木の生活形は主に年平均気温によって決まり」と書かれているので、気温の影響の小ささを窺わせるオの選択肢も不適である。消去法でエしか選べないが、この選択肢も「森林が形成されるかどうか」に対する答えであって、森林形成を前提としたうえで「樹木の生活形」が年降水量ではなく年平均気温によって決まる理由を説明できていない。本問を正しく検討するためには、本来樹木の生活形と年平均気温、および年降水量との関係が示されていなければならない。

問4 問題文の中に、「樹木は…一定量の『液体』としての水の存在が不可欠です」と書かれている。気温が高い地域では水が蒸発して気体になりやすく、植物の生存維持にはより多量の降水が要求される。

問5 考え方は概ね問4と同様。日射を受ける南側斜面は水の蒸発量が大きいのに対し、日射が遮られる北側斜面では水の蒸発が起こりにくい。注意すべき点として、雪解けが森林形成に十分な水分を供給している点を述べ忘れないように。

【大問4】地学分野:大気と日食

  • 難度:やや難
  • 時間配分:10分
  • ★必答問題

主題は日食だが、大気についての知識を問う問題が交ぜられている。また、日食に関する問題も実のところは光の進み方に関する理解を問うものであり、総合問題の色合いが濃い。難しくはないが、実力が問われる。

問3 上空でペットボトルを閉めた時点では、容器が内外から受ける圧力はつり合った状態にある。着陸時には機内、すなわち容器外の圧力が大きくなる分、内側から受ける圧力の方が小さくなり、ペットボトルはつぶれてしまう。気温については、上昇して気圧が低下するにつれ、空気が膨張して温度が低くなることが分かっていれば良い。

問4 天体の直径比と距離の比の関係を問う問題は頻出である。実際の太陽の直径および地球から観察される太陽の直径をそれぞれ底辺とする相似な三角形を考え、目からの距離をそれぞれの高さとすると、「相似比=底辺(直径)の比=高さ(距離)の比」の関係が成立する。つまり、本問では1億5000万km:□km=50cm:4.6mmの比例式を解けば良い。問題はむしろ、この計算を手早く行う技術にある。全て単位を合わせて考えると桁数の処理が大変なので、50cm(=500mm)と4.6mmの比の値で考えると良い。すなわち、1億5000万÷□=500÷4.6であるから、□=1億5000万×4.6/500の式が求められる。ここで、まず1億5000万と500を約分すると、1億5000万=15000×1万より、1億5000万÷500=30万という結果が容易に得られる。これを4.6倍すると、30万×4.6=138万という計算が楽にできる。

問5
(1) 太陽光は平行光線なので、観測する位置にかかわらず、同じ形状がそのまま地面に投影される。

(2) ピンホールを通過して投影される像は、実物と上下左右が反転する。注意しなければならないのは、観測者が太陽を見る方向と、太陽が映された白い紙を見る方向とが逆向きになっている点である。上下左右の反転を捉える際には、同じ方向の軸上で考えなければならない。たとえば、白い紙の裏側から像を観察すれば、太陽とその像とを同じ方向に見ることができる。このとき、図1で右上が光って見える部分日食は、紙の裏側から見ると左下に見えるはずである。これを表面から見ると、さらに左右が反転するので、右下が光っているように見える。つまり、図1の絵から水平方向の直径を対称軸として、線対称の位置に移動すれば良い。

(3) 皆既日食が起こるには、地球上で見える太陽の大きさと月の大きさとが等しい状態で重なり合わなければならない。目視される天体の直径と実際の天体の直径との比は地球からの距離によって決まってくるので、太陽と月の直径が不変である以上、目視される天体の直径が等しくなる場合、地球からの距離の比も特定の値をとる必要がある。ところで、金環日食は目視される太陽の直径が月の直径を上回り、外縁が月を僅かにはみ出してしまうことによって起こる現象である。このように目視される天体の大きさが皆既日食時と異なる関係を生じるということは、地球からの距離に変化が生じていることを示唆している。実際には、皆既日食時よりも地球と月との距離が遠くなることで、目視される月の直径が小さくなり、金環日食が発生している。

攻略のポイント

目をつぶっていても解けるような易問はほぼ存在しない一方で、難問と呼ぶべき問題も少ない。地力が忠実に反映されやすい出題だと言えるので、月並みだが、答えや考え方が分かるものから優先的に解いていくことが大事である。

本年度の合格者平均点は前年度から大幅に上昇したが、それでも62%程度であり、合格者最低点も4科総合で6割に満たない。自信を持って答えられる問題が少ないと感じるかもしれないが、怯まずに集中力を持続させて挑む姿勢を意識しよう。

一方、じっくり考えれば解けるはずの問題での失点あるいは減点は徹底して避けなければならない。特に計算ミスには気をつけるほか、記述解答に内容の不足や誤字は無いか、設問の要求を見落としていないか、慎重に確認しながら解き進めること。

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