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駒場東邦中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2017年度「駒場東邦中学校の理科」
攻略のための学習方法

単純に知識を問う問題は少ないが、現象の背景にある仕組みをふまえて考えさせる問題が目立つ。

たとえば大問3における「月から見た地球の見え方」などは、基礎知識である「月の見え方」について図で原理を把握していないと答えられない。また、大問4、大問5ではそれぞれ「濃度」と「比例・反比例」の定義について正確な理解が問われていた。

これらは「問題」として問われれば難なく答えられても、本校の問題のように応用を要求された際、定義や原理が基礎として身についていなければ対応できない。簡単に解ける問題であったとしても、「なぜそのように考えられるのか」まで深く押さえていく学習習慣が欠かせない。

また、考察問題が多いのも特徴である。                                基本的には選択肢の記述文と実験結果の図表を見比べるだけなのだが、リード文の長さと相まって、慣れていないと混乱して不必要に時間をかけてしまう。まずは、選択肢形式の問題であれば「図表を見てあっさりと正解できてしまう」という事実を体験しておくことが役に立つ。

一方、考察を記述する問題は「1行」というあっさりした分量だが、要求されている着想のレベルが高い。  対策として考察問題を集中的に練習するのも良いが、より望ましいのは「求められなくても考察する」という習慣をつけることである。

教科書でも演習問題でも良いが、現象や実験の説明に目を通していく中で、「その後に書かれるべき内容を予測する」視点を持つようにすると良い。たとえば、大問4では「酢Aにゼラチンを加えてもゼリーは固まらなかったが、10倍にうすめた酢Bにゼラチンを加えると固まった」ことが書かれている。設問の対象にはなっていないが、「なぜうすめる前の酢だとゼリーは固まらなかったのか?」という疑問を持つことはできただろうか。

まずは自分の知識を総動員して仮説を立ててみると良い。そのうえで、指導者に聞くなり本で調べるなりして確認すれば、考察力だけでなく生きた知識まで身につけられるはずである。

上に述べたような傾向を踏まえ、以下に各分野の学習において特に注力すべき点を挙げておく。

 

【生物分野】

知識に関しては標準的なテキストに載っているレベルを押さえておけば十分である。ただし、植物のつくりや昆虫の冬越しなど、学習初期に登場する地味な暗記事項は軽視されがちである。満遍なく復習する機会を直前まで定期的に設けるべきだろう。

過去問演習へと入るのと同じくらいのタイミングで、考察問題の練習に着手できると良い。呼吸と光合成、植物の花芽形成、消化酵素のはたらき、生態系などが実験問題のテーマになりやすい。

 

【地学分野】

本年度の問題のように、天体の見え方を原理として押さえておくことは重要。月の満ち欠けの周期と公転周期の違い、季節ごとの太陽の南中高度、南半球における天体の見え方などは作図によって理解できるようにしておくこと。

地質に関する問題は、本学の出題傾向を考えると「火山」や「地震」といった単独テーマで出題されるのではなく、色々なテーマとの組み合わせで作問される可能性が高い。関連しそうな他分野、他教科(社会など)との横断的な関わりや現象の類似性を意識しながら取り組もう。

 

【物理分野】

本年度の出題は電流であったが、受験生の多くが苦手とするような計算を含む問題は出題されなかった。計算の実戦演習以上に、回路を流れる電流の大きさの決定要因、電流が流れる場合と流れない場合、電熱線の発熱量に影響する要素など、問題を解くうえでふまえるべきポイントを押さえておくのが良い。

力学についても同様である。たとえば滑車について言えば、計算練習よりも「滑車の原理を用いた身の回りのもの」といった知識と合わせて、計算の背景にある原理を説明できるようにしておく、といった対策が有効だろう。

 

【化学分野】

本年度に出題された「寒天とゼラチンの固まり方」というテーマはあまり見られない作問である。問題を解くのに特別な知識や計算力がほとんど要求されていないことから、化学で学習する現象の根本的な理解やものの見方を問いたいのだという印象を受ける。たとえば「食塩が水に解ける量はなぜ温度上昇にしたがって増えるのか」など、計算問題として出題されがちな現象について、背景にある原理にまで気配りして欲しい。

それと関連するが、物質を原子や分子の集まりとして捉えるという視点を学んでおくと、化学変化や状態変化の原理を理解しやすくなる。必要ではないが、余裕があれば取り組んでみると良い。

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2017年度「駒場東邦中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問数は5題に対して制限時間は40分。

各大問が6〜10題の小問を含み、本年度の解答箇所は全40箇所であった。知識問題だけでなく実験問題、考察問題、説明を記述する問題も含まれることから、知識だけを問うような設問には即答し、問題文も素早く読んでいかなければ時間が足りなくなってしまう可能性がある。

【大問1】小問集合

  • 難度:
  • 時間配分:6分
  • ★必答問題

生物、地学、化学、物理の4分野からの出題。ほとんどが定番の問題であるから、さっさと突破して大問2以降へと進みたい。

(1) 水蒸気は目に見えないが、冷やされた水が集まって小さな粒を作ることで白く見えるようになる。湯気や結露ができる仕組みである。

(2) ①「止まっている=位置が変わらない」②「だんだん速くなる=位置の変わり方がだんだん大きくなっていく」ことを押さえる。③「最も速い」グラフ上の区間は、「位置の変わり方が最も大きい区間」である。

(3) 知識問題ではあるが、顕微鏡の操作は「その順番であるべき理由」まで理解しておく。

(4) ①光合成を行なう植物プランクトンはクンショウモのみ。②動物プランクトンに食べられるクンショウモが最小であると考えられれば、最も高い倍率で観察しなければならないと分かる。

(5) ①台風を定義する風速は覚えておくべき知識だが、ア、イ、エのどれもがあり得ないのは実体験に照らせば判断できるだろう。②「津波」は地震などによって海全体が底から持ち上げられる現象である。本問では選択肢に含まれなかったが、低気圧や強風によって海面が高くなる「高潮」は台風がもたらす災害として覚えておこう。

(6) 鏡の角度がAだけ変わるのに伴い、「法線が同じ向きにA傾く」、「入射角=反射角もA大きくなる」という効果が合わさり、反射光の進む角度はAの2つ分変わることになる。鏡の傾きや反射角に具体的な値を当てはめて考えてみよう!

(7) 侵食の影響は流れが速いほど大きいことから、カーブの外側を答えれば良い。

<時間配分目安:6分>

【大問2】カタバミの生態

  • 難度:やや難
  • 時間配分:9分

(1)と(2)は知識問題。分からなければ悩むのに時間をかけず、(3)以降のグラフ読み取り・考察問題に注力したい。

(1) はじけるのは、「小さな種が収まっているさやの形」をした実。

(2) 消去法で解くのは難しい。カタバミとツユクサはこういう育ち方をするのだと割り切って覚える。

(3) 問題文に記された開閉度が読み取れる時刻を上段のグラフから、その時刻と日当たりに対応する照度を下段のグラフからそれぞれ読み取れば良い。

(4) 上段のグラフだけでも設問の開閉度に対応する時刻はおよそ読み取れる。リード文にある日の出・日の入の時刻情報を見落とさないことが大事。

(5) 小学生には難しい問題。植物の環境応答は、光の強さなどの刺激を受けて植物の体内で物質の合成・変化・移動が起こることで実現される。それらの物質は急激に消費されたり移動したりはしないので、環境が変わってしばらくの間は効果が持続することがある。

<時間配分目安:9分>

【大問3】月と地球の見え方

  • 難度:標準
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

月の見え方についての考え方と原理とが押さえられていれば難しくない。なるべく全問正解で突破したい。

(1) 明け方、南東の空に見える月は、(3)の図で言えばウとエの間に位置する「二十七日の月」である。傾きは、「両極点を結ぶ直径の延長が地平線上の真南の点と交わる」ように考えると良い。

(3) 地球が太陽に照らされる部分が月から見て右側となるのは、月がウの位置にあるときである。

(4) 月はウの位置からエの位置へと反時計回りに公転する。エの位置からは地球が照らされる面を全て見ることができるので、右半分が照らされた状態から満ちていくと考えられる。

(5) 地球の方が月よりも大きい。よって、月から見た地球の方が大きく見える。東京タワーを眺めている人が、東京タワーから見れば同じくらい巨大に見えるということなどありえない!

(6) 太陽、月、地球の位置関係は(3)と同じであるから照らされる部分に変わりはない。時刻については赤道上で地球が「水平線近くに」見える時刻、つまり月の上での「正午」または「真夜中」となる位置に相当する。「正午」であれば地球は東の空にイの形で見え、「真夜中」であれば西の空に、下側が光る形で見える。正確にはどちらの時刻か分からないが、「真夜中」に対応する選択肢がない以上、イを答えとするしかない。

<時間配分目安:8分>

【大問4】ゼラチンと寒天の固まり方

  • 難度:やや難
  • 時間配分:9分
  • ★必答問題

大部分が考察問題。記述問題が若干難しいが、選択肢形式のものはよく読めば分かる。リード文が長いが、問題を考えるのに必要となる情報が含まれているので丁寧に目を通すこと。

(1) 「分解」は不可。「吸収できる状態まで」食物を分解する作用のことを特に「消化」と呼ぶ。分解したからと言って、吸収できるとは限らない。

(2) ウで引っかからないように注意!「どんな温度でも」などと書かれていれば、マグマだまりの中に寒天を投入しても固まらなければならないということになる。

(3) リード文の内容から、「かたまる=網ができる」「とける=網がほどける」であることを理解する。また、【実験2】の設定から、【実験1】の「ゼラチン3g」に対応する結果を押さえる。【実験1】はゼラチンが固まるのが20℃〜2℃の間であることを示し、【実験2】はゼラチンがとけるのが20℃〜40℃の間であることを示しているので、エが正解。

(4) 口の中の温度に最も近いのが40℃である点を押さえれば【実験2】の結果から簡単に答えを導ける。

(5) 「食塩がとける=水が動く」ことを意味している点を押さえる。ゼラチンの方が多くの食塩をとかしているため、水が動きやすいと判断できる。

(6) [酢A]100gから10gを取り出し、水90gを加えて100gの水溶液を作れば、溶質が1/10つまり10倍にうすめられた酢を作ることができる。[酢A]100gに水900gを加えて10倍にうすめてから100gを取り出すという答えでも良い。なお、メスシリンダーは体積をはかる器具なので不可。

(7) 「ゼリーはとけることなく、色が変化した」ことから、ゼリーに保持された水に酢がとけ込んだと考えられる。

(8) 自由に動く液体の水が保持されたゼラチンの場合と違って、氷は水そのものが自由に動けない。そして、その隙間が狭いために物質は氷にとけ込むことができない。つまり、氷そのものの色は緑色のまま変わることがない。

<時間配分目安:9分>

【大問5】電流

  • 難度:やや難
  • 時間配分:8分

(1)と(2)は電流に関する知識問題だが、以降の小問ではむしろ比例と反比例についての正確な理解が問われている。

(1) 50mAの端子につなぐと50mAよりも大きな電流が流れた際、針が振り切れて計器が壊れてしまう。したがって、電流の大きさが分かっていない場合はまず5Aの端子につなぎ、電流の大きさを見積もったうえで適切な端子へとつなぎ直す…という説明もできるようにしておくこと!

(2) リード文の論理から「小さくなる」という答えは書ける。ただ、抵抗の部分の長さが電流の大きさに反比例するという知識が無いと、後の問題が解けない…

(3) 表の値に対応する点をとり、「全体が滑らかな曲線になるように」結ぶ。くれぐれも2点間を直線で結ぶような描き方をしないように!

(4) 比例・反比例の定義に立ち返ろう。左端からのつまみの位置が電流の大きさに反比例するならば、左端からのつまみの距離が2倍、3倍…になったとき、電流の大きさは1/2倍、1/3倍…になる。その時、電流の大きさの逆数は2倍、3倍…になるから、つまみの位置は電流の大きさの逆数に正比例する。そして、正比例の関係が成り立つのであれば、そのグラフは必ず縦軸・横軸が共に0となる点を通らなければならない。

(5) 「図2と図3との違い、および図4と図5との違いに注目」しても、つまみの位置に1cm加えた値が電流の大きさと反比例するということが分かるだけで、「1cm加えることで反比例するようになる理由」を説明する材料は存在しない。

つまり、本問では「抵抗部分の長さと電流の大きさが反比例する」という知識を踏み台に、「抵抗部分の長さ=つまみの位置+1cm」である、つまり「左端につまみがあるときでも、抵抗部分が1cm分存在する機器設計になっている」と考えることが求められている。図は無視!

<時間配分目安:8分>

攻略のポイント

40分の時間に対して40個の解答箇所は決して少なくないうえに、読まなければならない文章や図表が多く、スピードを意識しなければ時間が足りなくなる。

難しい記述の問題は受験者全体の正答率も高くないと思われるため、選択肢形式の考察問題でいかにミス無く正答できるかが勝負。基礎を押さえられていれば答えられる問題は即答し、注意深く考察に取り組む時間を確保したい。

また、一見知識を問われているように思われる問題であっても、注意深く選択肢を比較すると答えの推測がつけられるものがある。純粋な知識問題は少ないので、「分からない」と感じてもあきらめず、少しでも可能性の高い答えを考える姿勢で臨むこと!

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