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駒場東邦中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2018年度「駒場東邦中学校の理科」
攻略のための学習方法

考察問題が多いが、本年度は文章や図表の情報から思考を組み立てさせるというよりも、教科書的な知識の正確な活用によって答えを導かせる傾向が強かった。たとえば大問2の化学では、「物質が溶けるとはどういう現象なのか」が正しく理解できていなければ、正解するのは難しい。大問4の地学でも図表の読み取り問題があったが、「炭酸塩岩」が石灰岩であると見当をつけられたうえで、石灰岩が二酸化炭素を材料に殻を形成する生物の死骸から形成されるという知識がなければ、二酸化炭素量の増加が炭酸塩岩の地層形成につながるという解釈に思い至れない。参考書にも載らないような知識が問われることはほとんど無いが、知識の精度が不可欠である。

理想としては、参考書で紹介されている諸々の現象について、その解説まで含めた理解と暗記を徹底しておきたいが、最初から詳細な知識を構築しようとすると、時間や能力の限界により挫折してしまいがちである。まずは『メモリーチェック』や『出る順』など、頻出の基礎事項を扱った問題集が確実にこなせるレベルで学習を一巡させておき、その知識を下敷きに、細かい解説や原理までを参考書で再度学習するようにしていくと捗りやすい。日程的には、頻出事項の定着を6年生の夏休みまでに行い、秋以降は実戦問題の演習と並行して参考書の深読みを進めていくのが目安である。

また、本年度の生物では漂着物の写真から種の分類を特定させる問題があったが、食卓に上る機会が多い軟体動物(貝類、タコなど)や節足動物(エビ、カニなど)はまだしも、その他の動物門に属する水生の無脊椎動物については、積極的に機会を設けなければ実物像を頭に入れておくのが難しい。中学入試では馴染みの薄い生物が出題テーマとなることが少なくないので、日頃から図鑑に目を通したり、野外や動植物園、水族館での観察の機会を持ったりするようにしておきたい。少なくとも参考書や問題集で取り上げられた生物種に関しては、その都度実物の写真を確認する習慣をつけておくのが望ましい。

全体として、説明を記述させる問題が多い。本年度は大問2の記述が難しかったが、他の問題に関しては、答えそのものはすぐに見当をつけられるはずである。ただし、答えが分かるということと、それを第三者に正しく伝えるための言葉が書けるということは別の問題である。特に小学生の場合、完結された文で構造的に情報を伝達する経験や訓練が足りていないことが多い。塾や家庭での学習において、答えの根拠を述べる際に、言葉の断片やフィラーだらけの説明ではなく、まとまった文で説明を完成させる練習をしておきたい。

最後に、駒場東邦中の入試では時間の使い方がかなり重要である。選択肢の問題は考察を扱うものが多いので、知識だけで即断するのが難しく、解答から除外する選択肢についてその理由までを精緻に検討しようとすると、意外に時間を要してしまう。他方、計算や一問一答形式の問題は比較的簡単に答えが出せるものが少なくないので、如何に手早く片付けられるかが勝負になる。また、説明の記述についても、訓練を積んでおけば、余分な時間を費やさずに済む。こうした傾向を踏まえつつ、自身の能力で確実に解けそうな問題から優先的に着手し、これ以上悩んでも答えの精度が上げられそうにないという問題には早々に見切りをつけるといった判断を、過去問演習の中で意識的に訓練しておくこと。

以下、各分野の学習において特に注力すべき点を挙げておく。

【生物分野】

知識の面では生物の諸器官の名称やそのはたらき、代謝の仕組みや生物行動の意味について押さえておくことはもちろんだが、上述のように、動植物の姿かたちをきちんと写真や実物で確認しておくのも大事である。

考察・思考問題については、知識が無ければ解けないような問題が出されることは少ないが、一方で実験結果の図表から現象を正しく読み取ったり推定したりする力が必要になる。光合成と呼吸、蒸散、生態系といったテーマに関する問題では図表が頻出なので、特に注意して練習を積んでおきたい。

 

【地学分野】

地質分野では暗記する事項があまり多くない。その分、生物や化学の知識よりも学習の優先度が下げられて定着が後回しになることで、試験本番では盲点となる危険性もある。知識の穴を作らないように、問題集での定期的な復習を欠かさないこと。どちらかと言えば考察問題が多くなるのが地質分野の特徴であるが、考察には生物や化学の知識も必要となることが少なくない。

天体分野では星の動きや見え方を、図を用いて幾何学的に捉える力が必要である。日周・年周運動、太陽系の惑星運行など、様々な視点やスケールにおいて天体の動きが作図できるように練習しておくこと。

 

【物理分野】

光や音の分野は、電流や力学の分野と比べて入試における存在感が希薄だが、背景には問題の作りづらさもあるだろう。本年度のように作図さえ出来てしまえば簡単に解ける問題ばかりになってしまい、大問を構成しにくい。出題のパターンも概ね似通っているので、基本さえ身につけておけば、出題された際には確実に得点できる。取りこぼさないように。

力学分野は計算に目が行きがちだが、難関校の入試で難解な計算を求められる機会は多くない。むしろ、原理的な理解とその応用が重要である。たとえば、包丁や船といったお馴染みの道具について、力学的に説明できるような力を養っておきたい。

電気分野については、並列回路が組み込まれた直列回路における電流の大きさの計算ぐらいまでは、楽々とこなせるようにしておきたい。ここでも、電流による発熱や電磁石の原理を利用した器具について、しっかりと学習しておくと役に立つはずである。

 

【化学分野】

計算問題は頻出だが、難関校の入試ではむしろ、得点しやすい問題に属する場合が多い。化学反応の計算では反応物が過不足なく反応する際の量的関係、溶解の計算では再結晶する溶質の重さがスムーズに計算出来るよう、訓練を積んでおくのが望ましい。

穴になりやすいのは、知識および知識を応用した考察の問題である。特に、実験で用いられる器具や手順については学習がおろそかになりやすい。それらを採用する理由も含めて、参考書でしっかり学習しておくこと。もちろん、物質の結晶の形や性質を押さえておくのは基本である。

また、溶解や状態変化といった「当たり前」に思われる現象についても、物質を構成する粒子の動態といった観点から理解しておくと良い。小学校の理科では原子や分子について詳しく学ぶことはないが、本年度の問題のように、「粒子」という用語を用いて実質的に分子の動きを考えさせるような問題は少なくない。

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2018年度「駒場東邦中学校の理科」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

5つの大問に対して制限時間は40分。解答箇所は全33箇所で、前年度よりも7つ減少した。その分、即答できる問題が少なくなる一方で配点が高くなり、より精度良く解答を作成していく思考力が求められる。特に冒頭の小問集合から考えさせられる問題が散見されるため、ここで不用意に時間を費やしてしまうと後半が苦しくなる。

【大問1】小問集合

  • 難度:やや難
  • 時間配分:9分
  • ★必答問題

生物、地学、化学、物理の4分野からの出題。小問集合にしては数字の扱いが多いが、「この程度のレベルは計算問題と呼ぶに値しない」、と言えるだけの力が欲しい。選択肢の問題に「すべて選べ」形式が含まれているのは厄介。

(1) 冒頭から思考力が試される。図1ではA〜C間、図2ではB〜C間が対流によって温められていくと見当はつけられるはず。問題はその過程における温度変化をどう捉えるかだが、この装置が試験管に入っている少量の水を加熱している点、及び時間軸が分単位で刻まれている点に注目しよう。加熱部から上方への熱移動までに時間差が生じるのは確かだが、温度が均一になるのに1分という長い時間がかかるとは考えられない。よって、対流が生じている部分の温度がほぼ同じまま推移しているグラフを選べば良い。

(2) 暖かい空気が上昇した所に空気が流れ込む、というのが風の発生原理。日中の海岸では海よりも温度が上がりやすい砂浜からの熱で上昇気流が発生し、海側から空気が流れ込む「海風」が発生する。

(3) 植物の栄養器官の部位は頻出。「種子に見えて種子でないもの」、「果実に見えて果実でないもの」、「根に見えて根でないもの」は特に代表例を覚えておくこと。ヒマワリの(本当の)種はスーパーのナッツ売り場などで売られているミックスシードに入っているので見てみよう。梅干しの(本当の)種は、硬い殻に包まれた「仁」と呼ばれる部分であるが、殻を噛み砕くなどして食べる人もいる。間違いなく、歯には良くない。

(6) 台風の進路は気流や高気圧の勢力によって左右される。一般的には、日本列島の南東から張り出して台風の行く手を阻む太平洋高気圧が8月から弱まり始めるため、夏から秋にかけて台風の進路はどんどん東へと移動していく。

(7) てんびんや滑車の組み合わせを考えるポイントは、「糸にかかる力をおもりに置き換えて考える」点にある。最上段のてんびんを水平にしようと思うと、右端には50×100÷10=500[g]のおもりが吊り下げられていなければならない。このおもりの重さに相当するのが、2段目のてんびんを支えるひもにかかる力である。つまり、2段目のてんびんの両端には合計で500gの力がかかっていることになる。支点からの距離が2:3であるとき、モーメントを等しくするのに必要な力はその逆比となるから、左端には300gの力がかかっていなければならない。3段目も同様に考えて、300gを1:4に振り分ければ、丸いおもりの重さが求められる。

(8) ①は計算結果をグラフにするだけなので難しくない。ここから、(ばねののび)×(ばねののび)の値と平均の高さとがほぼ比例の関係にあると予想される。あとは、縦軸と横軸の値が読み取りやすい点を見つけて、横軸の値が7×7=49となるときの縦軸の値を計算すれば良い。

<時間配分目安:9分>

【大問2】物質の溶け方

  • 難度:
  • 時間配分:8分

(1)以外で難しいことは訊かれていないが、知識を正しく運用できるかどうかが問われている。(4)は絶対に正解しなければならない。

(1) 溶解や化学反応の速さを左右する要因としてよく訊かれるのが「表面積」。しかし、本問では「砂糖粒子の並び方と関連させて」という条件が与えられているので、単に「表面積が小さいから」と答えてはいけない。砂糖が水に溶けるということは、結晶を形作っていた「砂糖粒子」が水と引き合う力で解体され、目に見えない粒となって水の粒の中に拡散していくということを意味する。氷砂糖のように粒子が規則正しく配列して結晶が大きくなると、水と接する粒子の割合が少ない並び方となり、水に引っ張られて結晶から溶け出す粒子の個数が少なくなる。つまり、溶け切るまでに長い時間がかかることになる。

(3) 砂糖が水に溶けた際には、元の結晶の大きさや形にかかわらず、同じく20g相当の砂糖粒子が散らばっている状態になっている。よって、それぞれの水溶液で生じる体積変化にも違いはない。

(4) 水溶液の量が体積で与えられている点を除けば、算数でもおなじみの問題。50mLの水の重さが50gであると示されているので、蒸発させる前の水溶液の重さは30+50=80[g]と計算できる。30gの砂糖が60%を占めるような水溶液の重さは30÷0.6=50[g]と計算されるので、80−50=30[g]の水を蒸発させれば良いと分かる。

<時間配分目安:8分>

【大問3】海の生物

  • 難度:
  • 時間配分:6分
  • ★必答問題

(1)(2)は「間違えたら仕方がない」という問題。(3)の解答を正しく考察し、記述できるかどうかが勝負。

(1) bが甲殻類だというのが写真だと若干分かりにくい。cもタコノマクラなのかカシパンなのか分かりづらいが、いずれにせよ、こちらは形状から何となくウニやヒトデの仲間だと推測がつけられたのではないだろうか。いずれにせよ、理科の学習は「実物を知っていること」が大きな武器になると肝に銘じておこう。

(3) f1種、f2種のそれぞれについて、図2からは個体数が、図3からは開口部の直径が読み取れるので、この2点について中等潮位からの高さとの関係をまとめていくのが基本路線。f1は主に中等潮位よりも上方に分布し、高い位置ほど個体数が増えると共に開口部の直径も大きくなる傾向にある。他方、f2は主に中等潮位よりも下方に分布するが、−40cm近辺を除いて個体数はあまり増加せず、開口部の直径の傾向もほとんどが1mm未満のままで変化しない。

<時間配分目安:6分>

【大問4】地球の全球凍結

  • 難度:
  • 時間配分:9分

若干の思考力や考察力を求められるが、考えるポイントを的確に押さえられれば正解できるはずの問題がほとんどである。

(2) れきや砂といったお馴染みの堆積物の粒が均一の大きさで丸みを帯びているのは、川の流れの中で岩石同士がぶつかり合い、削れるからである。氷河による運搬では、岩石は氷の中に固定され、お互いにぶつかることがない。よって、氷河に削り取られた際の大きさと形を保ったまま、落下して堆積していく。

(4) 文章中にある「真っ白な地球」という表現がヒント。色が白く見えるのは、氷によって全ての光が反射されるためである。大気の温度は日照によって直接上昇するのではなく、太陽からの放射で温められた地面から熱を受けることで上昇する。よって、地表を覆った氷によって光が反射され、地面が温められない状況では、大気の温度も上昇しなくなってしまう。ア、イ、カは全くの見当違いであるとすぐに判断できるはずである。ウについては、実際には逆の現象が見られる。すなわち、水溶液の濃度が上がると氷がとけ始める温度は降下する。凍結防止のために塩化カルシウムなどを散布するのは、この原理の応用である。オは一見正しそうに思えるが、呼吸によって排出される二酸化炭素はすべて光合成によって合成された有機物に由来するため、長期的にはその量が光合成による二酸化炭素の吸収量を上回ることはない。つまり、大気中の二酸化炭素量の収支は、食物網だけを考えれば、光合成を行う生物の存在下では原則としてマイナスになる。よって、全生物が死滅し、光合成量、呼吸量ともにゼロになると、光合成による二酸化炭素の減少が生じなくなり、どちらかと言えば、生命活動が継続された場合との比較では、大気中の二酸化炭素の量は多くなるはずである。

(6) 炭酸塩岩層の存在の解釈が分かりにくかったかもしれない。炭酸塩岩の代表例は炭酸カルシウムを主成分とする石灰岩であるが、これは二酸化炭素を取り込んで硬い殻を形成する生物の死骸が堆積したものである。氷成堆積物層の上に形成された炭酸塩岩層の存在は、全球凍結の終了後、大気中に存在する大量の二酸化炭素が炭酸塩として固定されたことを窺わせる。理由としては、温度上昇によって海水への二酸化炭素の溶解度が小さくなり、溶け切れなくなった二酸化炭素が放出されたことや、全球凍結時に死滅したまま分解されずに残っていた生物遺体が、微生物活動の活発化によって一斉に分解されたことなどが考えられるだろう。

<時間配分目安:9分>

【大問5】光

  • 難度:標準
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

単なる作図の問題で、設問のレベルも参考書で見られるような程度である。分野別の大問の中では最も取っ付きやすいのではないか。

(1) 算数でよく見られる影の問題とは逆のパターン。直角二等辺三角形の穴の縁を通った光がスクリーン上に到達する点の集合を考え、その内部が明るくなると考えれば良い。明るくなる部分のサイズを相似比から計算しておくのも忘れないように。

(2) ついたてを点光源から遠ざけることで、光源〜ついたて間の三角錐に対する光源〜スクリーン間の三角錐の相似比が小さくなることは、(1)の作図ができていれば容易に判断できる。すなわち、スクリーン上には穴と相似な直角二等辺三角形が(1)よりも縮小されて形成される。

(4) (3)の状態に、最初の点光源から2cm下の点光源をさらに追加し、同様にスクリーン上にできる図形を考える。(3)とは違って、光源が3つの点を通る直線光源となっているため、スクリーン上にできた直角二等辺三角形の対応する頂点間を直線で繋いで出来る図形の内部は、全て明るくなると考えられる。

<時間配分目安:8分>

攻略のポイント

前年度よりも問題数は減ったが、文章や図表を見れば即答できるような問題も減り、依然として時間的な余裕の少ない出題になっている。特に説明の記述を求める設問が多いため、問題の理解と合わせて、的確な説明を手早くまとめ切る国語力も必要になる。また、問題の配置も曲者で、先頭の小問集合にやや思考力を要する問題が組み込まれている一方、最後の大問は決して難しくない。前半に時間を費やし過ぎることで後半に取りこぼしが生じないよう、時間配分にも気を配りたい。本年度の問題は合格者平均点ですら、半分をようやく少し上回る程度である。2問に1問落としても良いくらいなのだから、むやみに迷って時間を浪費するぐらいなら、その問題は思い切って答えを早々に確定し、確実に得点出来そうな問題に時間を投資する心構えで良い。

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