立教池袋中学校 入試対策
2025年度「立教池袋中学校の社会」
攻略のための学習方法
分析
例年、大問3つにそれぞれ地理・歴史・政治分野が割り当てられ、3分野がほぼ等分に出題されている。
総解答数25~30で試験時間は30分なので、問題量とのバランスは良いが、2~3行ほどの短文記述が4~5問出されるので、そこで多少、時間を必要とする。それ以外は、記号選択と用語記述の問題ばかりである。内容は幅広い分野から万遍なく出題され、中学入試の基本的な事項が問われる問題がほとんどである。
また、例えば前年度が水産業と武家政治の問題だったら、今年度は伝統工芸品と平安時代について・・・というように、年度ごとに別の分野から出題されることが多くなっている。
地理分野
地形図の読み取り・気候・地勢・産業など、各単元から広く出題されている。
あるテーマに沿って関連した事項を訊くスタイルが多い。地図や統計グラフを使った問題も毎年、見られる。
この分野で、記述問題が1問出されるのが通例である。訪日外国人旅行客の特徴(2025年度)や東京を中心とした関東地方の災害対策(2024年度)など、さまざまな内容・形式の記述問題となっている。
全体としては基本事項を問う問題がほとんどなので、テキストと地図・資料集で基礎をしっかりと固めておく。
歴史分野
各時代から、政治・文化・外国との関係など、幅広く出題されている。
明治時代の文明開化を題材とした問題(2024年度)や古代~近世の外交について(2020年)というように、ある時代に範囲を絞った問題が多い。文章による説明資料がよく使われるが、資料集でよく見るような図版が使われた年度もあるので、要注意。
時代順の並べ替えの問題もあるので、年表による整理が有効である。歴史分野でも、あまりに細かい難解な知識は問われないので、人物・出来事・年代などの基本的事項を丁寧に学習しておく。
また、この分野では日記から歴史をひもとく際の注意点(2025年度)や日本古来の文化と外来文化が重層的に共存している例(2021年度)といった記述問題が出されている。
政治経済分野
日本国憲法・政治の仕組み・国際関係などの問題が出されている。同時に、環境その他の社会的な問題・時事問題も合わせて出題される。そして本校の特徴である、記述問題が2~3問、最後に出されるという形式が近年は続いている。
記述問題の内容としては、
①.グラフや統計から読み取れる事実を指摘する
②.前問①で答えた内容をふまえて、その解決策やそれに対する意見を述べさせる
というパターンが多く見られる。
社会科の学習のしかたとして、時事問題に関心を持ち、その背景や影響・結果を考えてみるということがよく言われるが、まさにそのような練習が生きる問題であろう。
統計のデータに素早く目を通し特徴をつかまえるスピードと、解答を字数にまとめる構成力も必要となる。幸い、字数はそれほど多くないので、一般的な記述対策問題集で練習するのも有効であろう。
さいごに
選択問題や用語記入の問題は、中学受験の基本的な事項を問われるものが多いので、まずは基礎力の充実に努めるべきである。
さらに副教材で知識を補っていけばよい。難問集などに時間を割く必要はない。
そして、やはり差がつくポイントであろう記述問題は、用語や出来事を説明させる単純なもの、資料の特徴を読み取らせるもの、自分で考えさせる論述問題…といったパターンで出題されるので、それぞれに慣れておかなければならない。
記述対策問題集・資料集で多くの問題やデータに触れる。
ニュースや新聞で社会的な問題についてよく考えてみる。
50~60字程度で考えを文章にしてみる。
そのような練習を繰り返して、本校の記述問題のパターンに対応できるようにしておくことが大切である。
また、全体として言葉で書かせる問題が多く、記入する分量が多くなってしまうので、書くスピードをつけ、誤字・脱字をしないように意識して練習しておくことも忘れないようにしよう。
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2025年度「立教池袋中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問3つがそれぞれ地理・歴史・現代社会に割り当てられ、総解答数は27問と、例年通りの構成である。
今年度は3分野がほぼ均等に出題されているが、政治経済分野の記述問題がやや難しい。その他の問題も言葉で答える問題が多くなっている。記述問題を含む最後の大問はやや時間がかかるので、その他の問題はテンポよく進めて記述問題に時間を残しておきたい。
【大問Ⅰ】地理分野
- 難度:標準
- 時間配分:9分
- ★必答問題
観光を主な話題として、各地の気候や人の移動などについて訊かれている。
問1 (1) 日本の太平洋側の気候としては(ア)・(イ)・(ウ)は降雨量が少ないので、(エ)が東京と考えられる。
(2) 石巻(港)
問2 国土交通(省)
問3 イ・ウ
問4 山陽(新幹線)
問5 しばらく関東平野の平坦な土地が続いたあと越後山脈を越えるというルートなので、ウが合う。
問6 ア. 距離的に近いので韓国・台湾・中国からの観光客が多くなっている。
問7 歴史的建造物が多い京都は外国人観光客に人気があり(う)、また、北海道の自然や海産物を目当てに訪れる人も多い(あ)と考えられるので、残る(い)が神奈川県となる。
問8 グラフを上部3地域と下部3地域に分けて比べると特徴がはっきりする。上部3地域は三大都市圏と地方部の両方で、多くの都市を訪れていることがわかる。これらの地域は日本から距離があり、せっかく来たのだから多くの地域を回ろうと考えている傾向の表れであると思われ、旅行期間も長い傾向があると予想される。一方、下部3地域は1回の旅行で1~2都市を訪れる人が多い。距離も近いので、短期間で再訪できる利便性があるためであろう。
〔ワンポイント!――統計・グラフなどから考えられることを答える問題が多い。資料集などで多くのデータに触れ、比較・検討するコツをつかんでおきたい。〕
【大問Ⅱ】歴史分野
- 難度:やや難
- 時間配分:11分
- ★必答問題
平安時代に書かれた日記を題材とした問題。
問1 土佐日記は紀貫之が国司の任務を終えて平安京へ帰る際の紀行文である。紹介され
ている和歌は唐の官吏として生涯を終えた阿倍仲麻呂が故郷を想って詠んだ歌である。
問2 平安京
問3 Aの人物は藤原道長である。自分の娘を天皇に嫁がせ、生まれた子どもを天皇にし、一族を補佐役である摂政・関白につけて政治の実権を握った(摂関政治)。
問4 宮廷での季節行事・儀式や人事などに関する記述が多く見られる。
問5 ア. 清少納言が書いたものは示されていない。
イ. 自分の孫が天皇の子として生まれたことが、道長の権力基盤となった→④
ウ. 紀貫之のことである→①
問6 「これがいつものやり方である」とあることから、後世の人や子孫に政務の進め方などを伝える目的があったと考えられる。
問7 資料②と③は同日の日記であるが、道長の日記には「定子が子どもを産んだ」ことは書かれていない。彰子の子供を天皇にしたいと考える道長にとって、記したくない情報だったからと考えられる。日記は筆者の恣意が書く内容に反映されることがあるので、他の人物の発言や資料と照らし合わせ、事実かどうかを確認する必要がある。
〔ワンポイント!――歴史分野は問題の出し方も含め、他分野より難しい印象である。わからないと思ったらあまり時間をかけず他の問題に進んで、時間が余ったら改めて考えよう。〕
【大問Ⅲ】政治経済分野
- 難度:やや難
- 時間配分:10分
- ★必答問題
高校生の市議会への陳情を題材に、主に地方自治について訊かれている。
問1 (1) 議長は議事機関(議会)の長であり、首相は国の執行機関(政府)の長である。
(2) 拒否権は議会の決定に対して首長が行使できる権利である。
(3) 地方公共団体の長は住民の直接「選挙」によって選ばれるため、議会に対して強い権限を与えられているのである。
問2 (1) 直接請求(権)
(2) 百条委員会の設置は議会の権限、自衛隊は国の機関、比例代表で選出されるのは国会議員、法人税は国税である……ということで、住民の署名でできるのは選択肢Dの1つだけである。
問3 市としては市内の学校の生徒数が減って定数割れしてしまうのは問題であり、他の地域の進学校やスポーツの強豪校に通うための通学費を負担するのは避けたいところであろう→選択肢ア・ウ
問4 1. 生徒Aはかねてから市政や市のまちづくりに関心を持っていたと述べられている。まずは政治に関心を持って調べてみることが第一歩となる。
2. 生徒Aは問題について学校の同学年の署名を集めている。その際に、問題の詳細を説明した上で、協力を仰いだはずである。問題意識を他の生徒たちと共有したということであろう。
問5 1例として自転車による通行を考えてみよう。2026年度から自転車は軽車両として車道を走るのが原則となる。やむを得ず歩道を走る場合は徐行が義務付けられ、違反者は罰金を科される可能性がある。しかし、そもそもこれまでの日本の道路の整備状況から考えると、自転車が安全に車道を走れる環境が整っているとは言いづらい。罰則を決める前に、安全に走れる自転車ゾーンの整備や道幅の拡張、自転車の運転者に対してもルールの周知徹底を行う、などの施策を行政に訴えたい人は多いだろうと考えられるのである。
〔ワンポイント!――現代社会の問題について考えさせる問題が多く、記述問題も思考力を要する。普段から社会の出来事に関心を持ち、その背景や解決策を調べたり、自分でも案を出したりして、考える習慣を養おう。〕
攻略のポイント
用語記入・記号選択は基礎的な問題が多いので、ここを取りこぼすようだと厳しい戦いになる。まずは基本事項の徹底を図る。記述問題は統計や文書資料を読み取り、そこから考えられることを答えさせるというパターンが多いので、資料が示している先を推理できる思考力が身につくよう、訓練を積んでおきたい。
また、今回は記述問題が5問出題されているが、時間との兼ね合いも考え、自分の苦手な分野や特に難しいと感じる問題は諦めるというのも、現実的な選択かもしれない。
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