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栄東中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2025年度「栄東中学校の国語」
攻略のための学習方法

知識

「栄東の国語」では、「総合知識問題」が最重要攻略ポイントのひとつ。さあどうするか?
当然、一朝一夕には身につかないので、地道な努力が必要となる。

先ず「語彙力」。日々の積み重ねあるのみ。塾での「小テスト」等を確実にこなし、もし間違ったものがあれば、必ず書き出して覚える。
「漢字の読み書き」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」や「敬語」「分かりづらい言葉の意味」等も押さえておきたい。

また、過去問や演習問題を実施する際、問題文中の語彙で「読み・書き・意味」のいずれかがあいまいなものがあったら、書き出して自分なりの「語彙ノート」を作成しておくといい。
そこには自分が分からない言葉が蓄積されていくので、折に触れ確認し定着させていく。
入試当日に持っていけば、「お守り」にもなる。
これらの「語彙」は様々な形式で出題されるし、「記述」の際にも重要だ。指定字数の中でいかに的確な「言葉」を用いるかが勝負となるからだ。
最終段階では、問題集等で何度も確認しておくこと。

そして、「文法」。塾でも学習しているはずだが、定着していない受験生が多い。
栄東では必ず直接出題されるし、「記述」にも不可欠だ。
日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ減点されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。
特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。なお、「語彙力」「文法力」強化用テキストとしては、「言葉力1200」「言葉力ドリル」(共に学研)「でる順過去問 ことわざ・語句・文法」(旺文社)等がオススメ。

速読

大学入試にも匹敵する分量の問題文を読まなくてはならない。全体で7000~8000字程度。解答時間は50分。
当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから通常の「速読術」を使うわけにはいかない。やはり文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。

「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているのでしっかりと読み、「本論」は「段落相互関係」に注目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックしつつ、「心情表現」を拾いながら素早く読んでいく。

こうした手法によって、栄東定番の「紛らわしい選択肢設問」にも的確に対処できるようになる。
これらのコツは塾でも教えてくれるはずだ。教えてくれなければ、自分から聞いてみてほしい。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。
栄東に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。
そして、最終的に分速650字以上(できれば700字近く)で「速読」できるようにしたい。

解法

前述したよう、栄東特有の「難問」に勝利するための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。
「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。
「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。
それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。

たとえば、塾での練習問題。答え合わせをして「解説」を聞いて納得した。以上終了ではダメ。必ず「考え方」の道筋をなぞっておくことが重要。特に、間違った問題は宝の山だ。
解き方の過程」のどこで誤ってしまったのか? その分かれ道をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことが、同じ間違いを繰り返さない秘訣だ。

さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方の過程」を身につけたい。それが「解法」となる。
そうして理解、習得したものを書きとめた自分なりの「解法ノート」を作成しておきたい。
解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。
繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

記述

「栄東の記述対策」は前述の通りだが、その前に前提としてなすべきことがある。
それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。
いやがらずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。
「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要がある。

では、何を「書く」か? 読解の練習問題にある「記述設問」はもちろんだが、その問題文の「要約」をするのもとてもいい方法だ。
40~50字程度で書いてみる(栄東の典型的な「記述」の練習にもなる)。
無論、内容は先生に確認してもらう。
「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一石二鳥。

次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。
書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。
だからこそ、「字数の感覚」が重要なのだ。その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。

「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。
ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要要素」を文末にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく。

意識

いついかなる状況でも、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。
ただなんとなくと机に向かっていても無駄だ。その時々、何を目的として学習しているのか、具体的に「意識」し続けていることが必要。

そうして何かを「意識」することができるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」するようにして学習したい。
「設問」を正しく理解しているか? 「条件」に合致しているか? 「細部」は大丈夫か? 「必要な要素」は満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」している必要がある。

50分という時間で解き進めていかなくてはならない栄東では、ひとつのミスが致命的になる。
入試本番では、見直しの時間はないと思った方がいい。常に「意識」しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。

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2025年度「栄東中学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問一は「総合的知識問題」。小問なし(解答数8)。「空所補充の語句選択および漢字変換」。3分ほどで終えたい。

大問二も「総合的知識問題」。小問なし(解答数10)。「空所補充の語句判別選択肢」。3分程度で解きたい。

大問は「説明文」、出典は小林朋道「モフモフはなぜ可愛いのか――動物行動学でヒトを解き明かす」(文字数約4100字)。小問は全10問(解答数12)。「選択肢」(「総合的知識問題」あり)、「抜き出し」(1問)、「説明記述」(3問。「20字以内」2問と「30~40字以内」1問)、「自由考察論述」(1問。「字数指定」なし、「50字ほど」の解答欄)。問題文は5分程度で読み切り、設問を15分ほどで解きたい。

大問は「小説」、出典は青山美智子「リカバリー・カバヒコ」所収の「奏斗のアタマ」(文字数約4800字)。小問は全10問(解答数10)。「選択肢」(「総合的知識問題」、「乱文整序」あり)、「説明記述」(3問。「20~30字以内」と「30~40字以内」、「60~80字以内」指定各1問)問題文は6分ほどで読み、設問を18分ほどで解きたい。

【大問一】

  • 難度:標準
  • 時間配分:3分
  • ★必答問題

「総合的知識問題」。

「空所補充の語句選択および漢字変換」(全8問。8択)。

示されている8つの文中の空所(1)~(8)に「当てはまる適切な言葉を『語群』から選び、漢字に直して」それぞれ答える。「語群」は、「エンダイ」・「セイカ」・「マッセツ」・「イッコウ」・「エンゲイ」・「キゾク」・「フキョウ」・「タヨウ」だ。「語句の意味判別」と「漢字の書きとり」が同時に問われているハイブリッドな問題だ。本校の十八番であり、求められる「高度な語彙力」の一端を垣間見ることができる。難易度は昨年度ほどではないが、本年度も手強い。可能な限り、「失点」は避けたい。「答え」を確認する。

・「余計なことを言って(1)を買う」⇒「不興」⇒「不興を買う」という慣用表現で覚えておくこと=「相手を不機嫌にさせる、自分のせいで相手が機嫌を損ねる」という意味だ。

・「秋だというのに(2)を思わせる日差しの強さだ」⇒「盛夏」=「文脈」をしっかりと押さえること。

・「その言葉には(3)する価値がある」⇒「一考」⇒「一度考えてみる」こと。

・「将来を見すえた(4)な計画を立てる」⇒「エンダイ」=「遠大」⇒これは知っているはず。

・「(5)を見るために浅草の寄席へ行った」⇒「エンゲイ」=「演芸」⇒「寄席」(落語や漫才、講談などの古典芸能を上演する大衆演芸場)から結びつけたい。

・「この本の著作権は、出版社に(6)します」⇒「キゾク」=「帰属」⇒「財産や権利などが、特定の人や国のものになること」、これもできなくてはいけない。

・「気に入ったフレーズを(7)する」⇒「タヨウ」=「多用」⇒「文脈」を読み取れば、流石(さすが)に分かるはずだ。

・「(8)にばかりこだわるのはいいことではない」⇒「マッセツ」=「末節」⇒「枝葉末節」という「四字熟語」も押さえておくこと。

さあ、どうだったか? 未定着や曖昧(あいまい)な語句はしっかりと確認しておくこと。 

【大問二】

  • 難度:標準
  • 時間配分:3分
  • ★必答問題

「総合的知識問題」。

「空所補充の語句判別選択肢」(全10問。10択)。

示されている例文中の空所( 1 )~( 10 )に「当てはまる適切な言葉」を「語群」から選びそれぞれ答える。「語群」は、(ア)「手心」・(イ)「薄氷(はくひょう)」・(ウ)「一翼(いちよく)」・(エ)「天びん」・(オ)「おおなた」・(カ)「十指」・(キ)「活路」・(ク)「馬脚(ばきゃく)」・(ケ)「こけん」・(コ)「大向こう」。昨年度よりはやや平易になった。それでも、未知の「語句」もあるはず(3つ? 4つ?……)。なかなかの曲者だ。特に厄介なものを確認しておく。

・「投打に活躍する彼の姿は( 3 )をうならせるものだ」=「答え」は(コ)の「大向こう」⇒馴染みがないに決まっている⇒「役者が、うまい芸で大向こうの観客を感嘆させる。また、すぐれた技巧で多くの人々の人気を博する」という2つの意味がある。ここでは後者の用法。

・「この問題が解けなくては教師としての( 5 )に関わる」=「答え」は(ケ)の「こけん」⇒「こけん」=「沽券」⇒「沽券に関わる」=「人の品位や体面、信用に関わる、つまり、その人の価値や評判を損なうような事態」を指す。

・「彼のこれまでの悪事を数え上げると( 7 )に余る」=「答え」は(カ)の「十指」⇒「十指に余る」=「10本の指で数えきれない。10を超える」ということだ。

・「( 6 )を決めこむ」=「答え」は(イ)の「日和見」⇒「有利な方につこうと、形勢をうかがうこと」のことだ⇒「日和見主義」という表現も覚えておきたい。

・「そろそろ( 9 )を現して恥をかくに違いない」=「答え」は(ク)の「馬脚」⇒「馬脚を現す」=「包み隠していた悪いことが発覚すること」のたとえ⇒この慣用表現は「中学入試」の定番だ。

「語群」の中の知らない「語句」は、確実に習得し定着させておきたい

【大問三】

  • 難度:やや難
  • 時間配分:20分
  • ★必答問題

ヒトはなぜモフモフしたものを可愛いと感じるのか? 血のつながりと自爆テロとの関連は?――長年、さまざまな野生動物の行動と習性を研究してきた著者が、動物行動学の知見をもとに、ホモサピエンスに特異的な行動の数々から、人間の本性を解き明かしている。

本文では、動物行動学の観点から見て、「音楽」というものは「ヒトの繁殖・生存、集団の維持などに役立ってきたと指摘している。やや難解な語句があるが、「*注」を活用すれば内容は理解できる。本校らしい、ひねりのある「総合的知識問題」や「選択肢設問」が並んでいる。いくつかの小問を検討しよう。

[問二] 「内容換言抜き出し」(「10字」指定)。

傍線部(1)の「ホモサピエンス」が「『危険に満ちた地域』を生き延びられた要因」を「十字」で抜き出して答える。「抜き出し」では、「抜き出し内容」を特定した上で「抜き出し範囲」を絞り込んでいくのが鉄則だ。ここでの「内容」は設問そのままで、「ホモサピエンスが生き延びられた要因」ということになる。「範囲」は「同一意味段落」だ(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「根拠・手かがかり」がある)。

ここでは、傍線部(1)から2つの形式段落だと分かる。丁寧に探していくと、傍線部(1)の3行後に「ホモサピエンスの繁栄を支える力になった特製の一つは、何と言っても、『群れ内の個体間の協力』である」という部分がある。「内容」も「字数」もOKだ。「範囲内」に他に候補はない。よって、「答え」は「群れ内の個体間の協力」(10字)になる。

尚、「抜き出し」では「候補」はひとつとは限らないので、必ず「抜き出し範囲」の全てを確認することが肝要だ。

<時間配分目安:2分>

[問三] 「空所補充の語句組み合わせ選択肢」(5択)。

本文中の空所  ①    ④  に「入れるのに適切な接続語」の「組み合わせ」を答える。候補は「接続詞」と「副詞」だ。本校に限らず、「接続詞」や「副詞」などの「空所補充問題」は定番だ。「接続詞」では「逆接」以外には十分に注意する必要がある。しっかりと確認しないと、どれもがあてはまってしまう可能性があるのだ。前後の「文脈」をしっかりと確認することが肝要だ。では、「答え」をチェックしていく。空所  ①  には「順接」の「接続詞」である「そこで」、  ②  には「換言」の「接続詞」である「つまり」、  ③  には「限定」の「接続詞」である「ただし」、  ④  には「例示」の「副詞」である(ウ)「たとえば」がそれぞれあてはまると分からなくてはいけない。よって、その「組み合わせ」になっている選択肢(ア)が「答え」になる。

尚、こうした「空所補充問題」では「候補」がひとつとは限らないので、必ず全ての「候補」を「代入確認」せよ。

<時間配分目安:全問で1分半>

[問四] 「内容説明記述」(「30~40字以内」指定)。

傍線部(2)「この説」の「内容」を「三十字以上四十字以内」で説明する。

「この」という「指示語」があるので先ずは開きたい(「指示語」が出たら即開くこと)。「指示語」は「前を見よ」が鉄則。

確認すると、「この説」=3段落前の「ダンパーの仮説」だと判断できる。「音楽」と「ホモサピエンスの繁栄」に関するもので、「音楽に合わせて、そろって発声したり語ったりすること」が「群れ内の個体同士の繋がり」を保ち、「生存・繁殖」に役立つというものだ。こうした内容を整理して、「指定字数」に応じて的確にまとめていきたい。たとえば、「音楽が個体間の繋がりを守ることでホモサピエンスの生存・繁殖は有利になるという説。」(40字)といった「答え」になる。

「論説文」「説明文」では「同一意味段落」を的確に読み解くことが肝要だ。

<時間配分目安:3分>

[問七] 「空所補充の語句選択肢」(5択)。

本文中の空所  B  に「入れるのに適切な語句」を答える。

空所前後は「美しいメロディーは、音の変化の仕方に  B  があり、把握しやすく記憶にも残りやすい」となっている。「メロディー」の「音の変化の仕方」を「同一意味段落」から読み取っていきたい。直前から、「美しいメロディー」では「和音の規則的な構成が把握のしやすさにつながる」ということが分かる。

各選択肢は、(ア)「風情」・(イ)「不足」・(ウ)「秩序」・(エ)「余裕」・(オ)「義務」。「和音の規則的な構成」なのだから、「答え」は当然、(ウ)の「秩序」になる。

各選択肢の「語句」、ひとつでも曖昧(あいまい)なものがある諸君は確実に復習をしておくこと。

<時間配分目安:1分弱>

[問九] 「内容説明の空所補充説明記述」(全2問。「20字以内」と「15字以内」指定)。

二重傍線部「リズムを感じたり、それに合わせて踊ったりしたとき、なぜ、快感化学物質エンドルフィンが放出されるのか」に対する「筆者の説明」をまとめた文中の  X     Y  に入る表現」を説明する。

「リズムは外部の空間・時間の状態を把握するための単位の一つであり、ヒトの脳は、    X:20字以内   ときに『快』を感じさせ、    Y:15字以内   性質があるから。」が説明文だ。

「同一意味段落」から、「リズムとヒトの脳との関係」を読み解いていきたい。「ヒトの脳」が「快」を感じるのは、「リズムで対象をうまく把握した」とき、つまり、「生存・繁殖に有利になることを達成した」ときであり、そして、「脳」が「快」を感じると、「その行いのさらなる継続を促される」といった説明を読み取れるはずだ。

したがって、空所の     X   には「生存・繁殖に有利になることを達成した(とき)」(18字)、   Y  には「その行動のさらなる継続を促す(性質)」(14字)といった「答え」になる。

尚、「空所補充説明記述」では、くれぐれも「文脈」にこだわり、「代入確認」をすることは忘れてはならない。

<時間配分目安:全問で2分半>

【大問四】

  • 難度:やや難
  • 時間配分:24分
  • ★必答問題

新築分譲マンション「アドヴァンス・ヒル」、近くの日の出公園には古くから設置されているカバのアニマルライドがあり、自分の治したい部分と同じ部分を触ると回復するという都市伝説がある。人呼んで「リカバリー・カバヒコ」――「アドヴァンス・ヒル」に住まう人々は、それぞれの悩みを「カバヒコ」に打ち明ける。誰もが抱く小さな痛みにやさしく寄り添う物語。本文では、自分と友人の成績を比べて卑屈になり、いら立ちをぶつけて落ち込んでいた高校生の「僕」(=「奏斗(かなと)」)が、父親の大きな愛情にふれる姿が描かれている。難解な語句はなく、すぐに内容は理解できるはずだ。本校ならではのバラエティーに富んだ設問内容の小問が並んでいる。以下、いくつかの設問を確認する。

[問一] 「空所補充の語句記述」(「ひらがな4字」指定)。

「総合的知識問題」。「慣用句」。本校の定番だ。本文中の空所      に「当てはまる言葉」を示されている説明を参考にして「ひらがな四字」で答える。説明は「      とは、焼いて物に押す、鉄などで作った印、またその印のあとのこと。『      を押される』という慣用句は『消し去ることのできない悪い評価を受ける』という意味を表す」となっている。ややマニアックな「慣用句」だが、「烙印(らくいん)を押される」は知っておきたい。よって、「答え」は「らくいん」だ。

尚、本校では「慣用句」はもちろん、「故事成語」「ことわざ」「四字熟語」などについても完璧にしておく必要がある。

<時間配分目安:1分弱>

[問三] 「内容説明選択肢」(5択)。

傍線部(2)「(クラスメイトの)雫田(しずくだ)さんみたいな友達がいれば、けっこう楽しく過ごせるかもしれない」について、ここから「『僕』は『雫田さん』をどのような人物として見ていると考えられるか」を答える。「選択肢設問」は「消去法」が原則。

先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。ここは「内容説明」なので、「楽しく過ごせる(人物)」の「内容」と結びつかない「説明」を「消去」する。

各選択肢の「文末」と照合する(「選択肢説明」での最重要ポイントは「文末」だ)。

(ア)「毎日を無為に過ごしている人物」、(イ)「その時を楽しもうとする人物」、(ウ)「打算的な人物」、(エ)「中途半端になっている人物」、(オ)「高校生活を満喫できているかどうかでその人を判断するような人物」。

どうだろうか? 「楽しく過ごせる(人物)」なのだから、(イ)以外は「消去」だと判別したい。念のために「同一場面」を確認する(「小説」では「同一場面」に「手がかり・ヒント」がある)。他の部分の説明も特に誤っていないと分かる。よって、「答え」は(イ)でOK。なんと「一発消去」だ。

「原意消去」は必須ツールだ。十分に活用できるように練習することが肝要。

<時間配分目安:1分弱>

[問四] 「条件付き理由説明記述」(「30~40字以内」指定)。

傍線部(3)「笑えない。あの公園のときみたいに接することができない」について、「このような反応になったのはなぜか」を「三十字以上四十字以内」で説明する。「条件」は「『僕』の心情をふまえて説明する」こと。先ずは「あの公園のとき」はどのように接したのか、その「状況」を「同一場面」から読み取る。

テストの点数が悪くて気落ちしていた「僕」は、「雫田さん」も自分と同じように勉強ができないと思いこみ、そのような友達として接していたという「状況」が読み取れるはずだ。

では、なぜそのような接し方ができなくなったのか? 直前で「地理のテストで、『雫田さん』が2位の『95点』だった」ことが判明している。だからこそ、「笑えない」し、あの公園のときみたいに接することができないのだ。

こうした「状況」を踏まえて、過不足なくまとめていくことになる。たとえば、「雫田さんが本当は勉強ができる人だとわかって、自分に引け目を感じたから。」(35字)といった「答え」だ。

尚、「説明記述」では必ず「最重要要素」(「理由説明」では「直接的理由」)を「文末」にすること。

<時間配分目安:3分>

[問五] 「乱文整序選択肢」(7択)。

本文中の「1」~「7」には、示されている(ア)~(キ)のいずれかがあてはまるが、「4」に「あてはまるもの」を答える。「1」~「7」は「雫田さん」と「僕」との「セリフのやりとり」だ。「3」だけが単独で、「1」「2」、「4」「5」、「6」「7」は、それぞれ連続している。

「乱文(セリフ)整序」では先ず、「乱文(セリフ)」どうしで「順序」が特定できる組み合わせを探すことで「選択肢」を減らしておきたい。その際は無論、「接続詞」や「指示語」などが重要な「手がかり」になる。だが、本問では「根拠」にならないと判明するので、「内容」で「整序」していく。

「1」の前と「2」の後から、(ア)「あれ? どうした?」→(イ)「……いや」、「3」の後と「4」の前から「3」(エ)の「頭よかったんだなと思って」で、「5」の跡から、(カ)「95点なんて、すごいじゃん。訂正しないで黙ってれば1位だったのに」→(ア)「ああ、そのこと」と続き、「6」のまえと「7」の後から、(キ)「地理、めっちゃ苦手って言ってたじゃないか」→(ウ)「苦手だよ」とつながっていると判断できなくてはいけない。したがって、「答え」は(カ)になる。

「乱文(セリフ)整序」では、「乱文(セリフ)」どうしの「順序特定」が最大のカギとなると心得よ。

<時間配分目安:2分>

[問七] 「心情変化の理由説明記述」(「60~80字以内」指定)。

傍線部(4)の「どうかまた頭のいい自分にもどしてくれと願を掛けたかった」が、傍線部(6)の「『頭脳修復』なんて、軽々しくカバヒコにお願いする気持ちになれなかった」というように「心情が変化したのはなぜか」を「六十字以上八十字以内」で説明する。「心情変化」の「きっかけ」と前後の「状況」を「同一場面」から読み解いていきたい。

「きっかけ」は「クリーニング店で聞いた話」で、「兄弟姉妹が多く、高校で必要なお金をアルバイトでカバーし、ひとりの部屋もない環境で必死に勉強している「雫田さん」への「敬意と嫉妬」、自分への「苛立ちと保身」で「僕」は「ぐちゃぐちゃな気持ち」になっている。テストの点数が悪くても「この程度でいい」と守りに入り、人と比べて「ひがんで八つ当たりし」、そのうえ「神頼みしようとした自分」が、「雫田さん」の事情を知って、「情なくなった」といった「状況」が読み取れる。

こうした「状況」を整理して。「心情変化の理由」として適切にまとめていけばいい。たとえば、「恵まれない環境の中でも精一杯の努力をしている雫田さんのことを知って、自分に見切りをつけて努力もせず、ただ都合のよいことを願うだけの自分がみじめに思えたから。」(78字)といった「答え」になる。

尚、「心情変化説明記述」では、「変化前後の違い」と「変化のきっかけ」がポイントになると心得よ。

<時間配分目安:4分>

[問八] 「換言部位の漢字記述」(「漢字1字」指定)。

「総合的知識問題」。傍線部(7)の「かぶり」とは「からだの一部を表す言葉」だが、「その部分とはどこか」、「漢字一字」で答える。「答え」は「頭」だと知っていなければならない。「かぶりをふる」が「頭を左右に振って否定する」ことだということも当然定着していなくてはならない。

尚、本校ではあらゆる「語彙力」が問われると覚悟せよ。

<時間配分目安:1分弱>

攻略のポイント

●本校の特徴のひとつである「紛らわしい選択肢設問」をどう攻略するか?

残念ながら「裏ワザ」はない。「設問内容」に対応した「解法」を的確に用いて、段階を踏んで「消去」するほかない。したがって、「基本的解法」を完全に習得して適切に応用できるようにしておくことが重要だ。特に、「原意消去」は完璧にマスターすること。それによって「得点力」も安定する。合格ラインは60%台半ば(過去10年間の「受験者平均得点率」は59.7%。本年度はやや低く58.1%。ちなみに、本年度、4教科合計の「3年間特待合格基準点」は69.3%)。「得点力の安定」は、近年難化が著しい「合格」への近道となる。

●「総合的知識問題」にはどう対処するか?

特に「落とし穴」となりそうなのが頻出の「文法問題」だ(本年度は未出だったが、油断禁物)。全分野から、細部にわたって出題される。塾での学習だけでは全く不十分なので、独自に完全習得し定着させること。5年前には「文学史」なども出題されたので、無論、「文法」以外も抜かりなく。尚、一昨年度出題された「一般常識」、本年度は3年連続で未出だったが、来年度以降に向けて引き続き要注意だ。

「説明記述対策」も肝要正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要な要素」を積み上げていく手法をマスターすること。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習する。本校では「指定字数」の幅が狭いので、細かな「字数調整」ができるようにもしておく必要がある。

7年連続で新傾向の「自由考察論述・記述」の出題があった。「思考力・判断力・表現力」が徹底して重視されるようになった新たな大学入試制度を意識していることは間違いない。当然、来年度以降もこうした出題が予想されるので、入念な準備が求められる。

●試験時間は50分。問題文のボリュームは全体で7000~8000字程度(近年は増加傾向で、本年度は昨年度より減少して約8900字)。いかに速く読み取れるかが勝負だ。分速800字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。

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