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栄東中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2018年度「栄東中学校の国語」
攻略のための学習方法

知識

「栄東の国語」では、「総合知識問題」が最重要攻略ポイントのひとつ。さあどうするか?
当然、一朝一夕には身につかないので、地道な努力が必要となる。

先ず「語彙力」。日々の積み重ねあるのみ。塾での「小テスト」等を確実にこなし、もし間違ったものがあれば、必ず書き出して覚える。
「漢字の読み書き」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」や「敬語」「分かりづらい言葉の意味」等も押さえておきたい。

また、過去問や演習問題を実施する際、問題文中の語彙で「読み・書き・意味」のいずれかがあいまいなものがあったら、書き出して自分なりの「語彙ノート」を作成しておくといい。
そこには自分が分からない言葉が蓄積されていくので、折に触れ確認し定着させていく。
入試当日に持っていけば、「お守り」にもなる。
これらの「語彙」は様々な形式で出題されるし、「記述」の際にも重要だ。指定字数の中でいかに的確な「言葉」を用いるかが勝負となるからだ。
最終段階では、問題集等で何度も確認しておくこと。

そして、「文法」。塾でも学習しているはずだが、定着していない受験生が多い。
栄東では必ず直接出題されるし、「記述」にも不可欠だ。
日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ減点されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。
特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。なお、「語彙力」「文法力」強化用テキストとしては、「言葉力1200」「言葉力ドリル」(共に学研)「でる順過去問 ことわざ・語句・文法」(旺文社)等がオススメ。

速読

大学入試にも匹敵する分量の問題文を読まなくてはならない。全体で7000~8000字程度。解答時間は50分。
当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから通常の「速読術」を使うわけにはいかない。やはり文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。

「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているのでしっかりと読み、「本論」は「段落相互関係」に注目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックしつつ、「心情表現」を拾いながら素早く読んでいく。

こうした手法によって、栄東定番の「紛らわしい選択肢設問」にも的確に対処できるようになる。
これらのコツは塾でも教えてくれるはずだ。教えてくれなければ、自分から聞いてみてほしい。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。
栄東に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。
そして、最終的に分速650字以上(できれば700字近く)で「速読」できるようにしたい。

解法

前述したよう、栄東特有の「難問」に勝利するための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。
「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。
「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。
それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。

たとえば、塾での練習問題。答え合わせをして「解説」を聞いて納得した。以上終了ではダメ。必ず「考え方」の道筋をなぞっておくことが重要。特に、間違った問題は宝の山だ。
解き方の過程」のどこで誤ってしまったのか? その分かれ道をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことが、同じ間違いを繰り返さない秘訣だ。

さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方の過程」を身につけたい。それが「解法」となる。
そうして理解、習得したものを書きとめた自分なりの「解法ノート」を作成しておきたい。
解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。
繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

記述

「栄東の記述対策」は前述の通りだが、その前に前提としてなすべきことがある。
それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。
いやがらずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。
「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要がある。

では、何を「書く」か? 読解の練習問題にある「記述設問」はもちろんだが、その問題文の「要約」をするのもとてもいい方法だ。
40~50字程度で書いてみる(栄東の典型的な「記述」の練習にもなる)。
無論、内容は先生に確認してもらう。
「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一石二鳥。

次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。
書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。
だからこそ、「字数の感覚」が重要なのだ。その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。

「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。
ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要要素」を文末にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく。

意識

いついかなる状況でも、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。
ただなんとなくと机に向かっていても無駄だ。その時々、何を目的として学習しているのか、具体的に「意識」し続けていることが必要。

そうして何かを「意識」することができるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」するようにして学習したい。
「設問」を正しく理解しているか? 「条件」に合致しているか? 「細部」は大丈夫か? 「必要な要素」は満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」している必要がある。

50分という時間で解き進めていかなくてはならない栄東では、ひとつのミスが致命的になる。
入試本番では、見直しの時間はないと思った方がいい。常に「意識」しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。

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2018年度「栄東中学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「総合的知識問題」。小問なし(解答数10)。「文脈から語句を特定した上での漢字の書きとり」。3分弱で丁寧に終えたい。

大問も「総合的知識問題」。小問は全3問(解答数5)。「文法」(「文節分け」と「品詞判別」)、「四字熟語」「慣用的表現」などの「意味・用法」。4分弱で解きたい。

大問は「説明文」、出典は岡田節人「生命科学の現場から」(文字数約3700字)。小問は全7問(解答数9)。「選択肢」(「空所補充」「総合的知識問題」あり)、「説明記述」(1問。「30~40字以内」指定)、「具体例自由記述」(1問。「字数指定」なし、「100字ほど」の解答欄)。問題文は5分弱で読み切り、設問を16~17分で解きたい。

大問は「小説」、出典は伊集院静「少年譜」所収の「親方と神様」(文字数約5500字)。小問は全9問(解答数9)。「選択肢」、「抜き出し」、「説明記述」(4問。「30~40字以内」指定2問、「10~15字以内」指定1問、「字数指定」なしで「60字ほど」の解答欄1問)。問題文は7分ほどで読み、設問を15分程度で解きたい。

【大問一】総合的知識問題(「語句特定」後の「漢字書きとり」)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:3分

「総合的知識問題」。「語句の選択と漢字の書きとり」(全10問/10択)。

示されている文中の空所( ① )~( ⑩ )に「入る言葉」を【語群】から選び「漢字」に直す。

「文脈」から「適切な語句」を選ぶ必要がある(馴染みのない表現も多く、なかなか厄介だ)。「慣用表現」としてあまり馴染みのなさそうなものだけ確認しておく。

・「好景気の( 1 )を示し始めた」(⇒「ヨウソウ」=「様相」) 
・「事業に新たな問題が( 4 )する」(⇒「ハセイ」=「派生」) 
・「雑誌の( 5 )の文章を考える」(⇒「カントウ」=「巻頭」) 
・「首相に式典へのご( 7 )をたまわる」(⇒「リンセキ」=「臨席」) 
・「戦いに向けて( 8 )をめぐらす」(⇒「サクリャク」=「策略」) 
・「他人を( 10 )する言葉をつつしむ」(⇒「チュウショウ」=「中傷」)。

ひとつでもあやしいものがあった諸君は、徹底して復習しておくこと。

<時間配分目安:全問で3分弱>

【大問二】総合的知識問題(「文法」「慣用表現等意味・用法」)

  • 難度:
  • 時間配分:4分

「総合的知識問題」。「文法」(「文節分け」と「品詞判別」)と、「四字熟語」「慣用的表現」などの「意味・用法」の「正誤判別」。

本校の十八番(おはこ)なので志望者は十分に準備をしているはずだが、それでもなかなか手強いものがある。例年以上に難関かも知れない。
それらをチェックしてみたい。

「問一」 「文節数の数字記入」(1問)。「文法」。

示されている「文」の「文節数」を答える。

「文節」は単に「~ネ」を入れて分けるのではなく、「自立語」「付属語」の判別をして正確を期すこと。

「/新品の/くつを/さっそく/はいて/出かけたら/、/まわりから/注目を/浴びて/しまった/。」
という「文節分け」になる。

よって、「答え」は「9」。

「しまった」=「しまう」(動詞)+「た」(助動詞)⇒「補助動詞」を見逃さないこと。
「文節分け」は「文法」の基礎中の基礎だ。徹底して練習を繰り返すこと。

<時間配分目安:30秒弱>

「問二(1)」 「品詞判別の選択肢」(5択)。

例文の傍線部と「同じ種類の語が使われている文」を、示されている(ア)~(オ)から答える。

例文は「クリスマスにはプレゼントがほしい。」⇒「自立語」で「活用」がある⇒「文末」なので「終止形」はそのままで「ほしい」(「~」)=「形容詞」。

各選択肢は、
(ア)「この映画はおもしろくて……」⇒「自立語」で「活用」がある⇒「終止形」は「おもしろい」(「~」)=「形容詞」、
(イ)「部屋がきれいになっている」⇒「自立語」で「活用」がある⇒「終止形」は「きれいだ」(「~」)=「形容動詞」、
(ウ)「私の弟らしい」⇒「付属語」で「活用」がある=「助動詞」、
(エ)遠くがよく見える」⇒「自立語」で「活用」がない⇒「主語」になっている(体言)=「名詞」、
(オ)大いに楽しんでくれ」⇒「自立語」で「活用」がない⇒「修飾部(修飾語)」で「楽しんで」という「用言」を修飾している=「副詞」。

したがって、「答え」は(ア)だ。

「品詞判別」では「品詞分類表」に従って段階的に特定していくことが肝要。

<時間配分目安:30秒>

「問二(2)」 「品詞判別の選択肢」(5択)。

例文の傍線部と「同じ種類の語が使われている文」を、示されている(ア)~(オ)から答える。

例文は「もう二度と心変わりはしないという覚悟」⇒「付属語」で「活用」がある=「助動詞」。

各選択肢は、
(ア)「その本はもう読ん」⇒「付属語」で「活用」がある=「助動詞」、
(イ)「この道を進むのは危険」⇒「付属語」ではない⇒危険」は「危険」という「活用形」が成立する⇒「活用」がある⇒「危険だ」(終止形)で一単語⇒「自立語」で「終止形」が「~だ」=「形容動詞」、
(ウ)「努力をすることが大切」⇒(イ)同様に「大切」という「活用形」が成立し、「終止形」が「~だ」=「形容動詞」、
(エ)「海で泳い」⇒「付属語」で「活用」がある=「助動詞」、
(オ)「強引なやり方は問題」⇒「付属語」で「活用」がある=「助動詞」。

(ア)(エ)(オ)は全て「助動詞」だ。次なる「判別」はどうする? 
ここで思い出したい。「助動詞」の「だ」には、「名詞(体言)」に接続する「断定」の「助動詞」の「だ」と、「動詞」に接続する「過去」の「助動詞」の「た」が音便化した「だ」とがある。

例文は、「覚悟」=「名詞」+「だ」。
(ア)は「読む」=「動詞」+「だ」、(エ)は「泳ぐ」=「動詞」+「だ」、(オ)は「問題」=「名詞」+「だ」となっている。

よって、「答え」は(オ)だ。

「~」は頻出。「形容動詞」の「活用語尾」、「断定」の「助動詞」、「過去」の「助動詞」、3つの判別が的確にできるようにしておくこと。

<時間配分目安:30秒強>

「問三」 「言葉の意味・用法判別の選択肢」(5択)。

示されている(ア)~(オ)の文の傍線部の、「言葉の使い方」が「正しいもの」を答える。

難化した昨年度よりさらに厄介。超難問だ。正誤判別をしていく。
(ア)「彼女がかもし出す美しさには、いつも明鏡止水のきらびやかさがある」⇒「明鏡止水」は「心にやましい点がなく、澄みきっている」こと=不適切、
(イ)「試験が終了した後……間違いに気づき、二の足を踏んで悔しがった」⇒「二の足を踏む」は「思い切れずに迷う。ためらう」こと=不適切、
(ウ)「親友と……けんかをしたため、再会したときには互いに相好を崩した」⇒「相好(そうごう)を崩す」は「にこやかな表情になる。顔をほころばせる」こと=不適切⇒「読み」にも注意、
(エ)「……職を追われる例は枚挙にいとまがない」⇒「枚挙に暇(いとま)がない」は「たくさんありすぎて、いちいち数えきれない」こと=適切⇒「漢字」も覚えておきたい、
(オ)「彼とはそりが合わなかったが、今でも気の置けない間柄だ」⇒「気の(が)置けない」は「遠慮したり気をつかったりする必要がなく、心から打ち解けることができる」のこと=不適切⇒真逆の「気配りや遠慮をしなくてはならないこと」だと捉えている人がとても多いので要注意。

したがって、「答え」は(エ)。

本校志望者には、完璧な「語彙力」が求められていると心得よ。

<時間配分目安:1分半>

【大問三】説明文の読解(「具体例の自由説明記述」あり)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:21分

「クローン技術」などが話題にもなっていなかった30年以上前に、「細胞の発生関係」や「IP細胞」などについての基本的なアイデアを紹介し、「生物学」の本質を述べている。

本文では、「生きものの管理」には「医療」と「育種」があると指摘し、「生物工学」と「遺伝子工学」との相違について「カイコ」を例に挙げて説明している。

「生物学」の専門用語が多々あるが、「*注」を活用して内容を理解したい。
本校特有の「紛らわしい選択肢」や「総合的知識問題」などだけではなく、新機軸の「具体例自由記述」の出題がある。
いくつかの「設問」を検討しよう。

[問一] 「語句の意味の選択肢」(全3問/各5択)。「総合的知識問題」。

「語句の意味」だ。二重傍線部(A)「金輪際」、(B)「しつらえた」、(C)「あげくのはては」の「言葉の意味」をそれぞれ答える。

(C)以外は「はっ?」という感じか。そもそも、(A)などは正しく読めない諸君が多いかも知れない。「答え」を確認していきたい。
(A)「金輪際」=「こんりんざい」と読む=元来は仏教用語で「大地の果て」を表すが、転じて「(後に打消しを伴って)絶対に、断じて(~ない)」という意味で用いられる⇒「答え」は選択肢(イ)「どうしても」、
(B)「しつらえた」=「設え(た)」と書く⇒「設える」=「ある目的のための設備をある場所に設ける」こと⇒「答え」は(エ)「きちんとととのえた」、
(C)「あげくのはては」=「挙句の果て(は)」と書く=「最後の最後には。とどのつまり」ということ⇒「答え」は(ア)「最後の最後は」。

何度も言うが、本校ではこうした「ハイレベルな語彙力」が求められていると心得よ。

<時間配分目安:1分強>

[問二] 「語句の空所補充選択肢」(5択)。「総合的知識問題」。

「慣用句」などの「意味・用法」だ。本文中の空所     に「あてはまる言葉」を答える。

各選択肢は、(ア)「折り紙つき」、(イ)「机上の空論」、(ウ)「宝のもちぐされ」、(エ)「あとの祭り」、(オ)「立て板に水」。

空所前後は「絹糸腺という器官以外の細胞では、この情報は     で、カイコの一生を通じて解読されることはありません」となっている。
「この」という「指示語」があるので開く(「指示語」はすぐに開くこと)。「この情報」=「絹の遺伝情報」だと分かる。つまり、「絹糸腺」という器官以外で、「絹の遺伝情報」は「解読」されることがないというわけだ。

「解読」されない「情報」⇒「役に立つものなのに使われない」ので、「役に立つものを持ちながら、使わないでしまっておくこと」を表す(ウ)が「答え」になる。

尚、「折り紙つき」=「絶対に間違いないと保証できること」、「机上の空論」=「頭の中だけで考え出した、実際には役に立たない理論や考え」、「あとの祭り」=「時機遅れで、むだなこと」、「立て板に水」=「よどみなく、すらすらと話すこと」、これらについても、しっかりと定着していなくてはいけない。

本校では、このように「知識」と「文脈」とを組み合わせて考える問題が必出なので、確実に練習しておくことが肝要だ。

<時間配分目安:1分半>

[問三] 「内容説明選択肢」(5択)。

傍線部(1)「育種は、人間が生物の遺伝ということをある程度操作すること」について、「これにより、何がどのように変わったのか」を答える。

「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。だが、ここは傍線部の「結果」を問われているので、さすがに無理だ。
そこで、「傍線部(空所部)一文一部の法則」(「傍線部(空所部)が一文の一部分だった場合、傍線部(空所部)以外が重要」という「重要解法」)で「文脈」を確認する。

直後に「(ある程度操作すること)に成功した結果」とある。「育種」は「成功した結果」だ。であれば、その「結果」が「どのように変わったのか」と結びついているはず。
次に、「同一意味段落」に「手がかり」を求める(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)。

直前に「われわれが日常食べているものの大部分は、育種の成功による産物」とある。つまり、「育種」が成功した「結果」=「日常食べているもの」だと分かるはずだ。
各選択肢を確認すると、「食べているもの」を説明しているのは(エ)の「われわれの食べ物がおいしくなった」以外にはない。

したがって、「答え」は(エ)だ。

ここでは無理だったが、時間短縮のためにも、先ずは「原意消去」を試みること。その上で的確に「解法」を用いて「段階的に消去」していくことが肝要。

<時間配分目安:2分半>

[問五] 「理由説明選択肢」(5択)。

傍線部(3)「自然にはどこにも棲息していません」について、「それはなぜか」を答える。

先ずは「原意消去」だ。ここは「理由説明」なので、「自然にはどこにも棲息していない」ことの「直接的理由」として、各選択肢の「文末」が結びつくかどうかで「消去」していく(選択肢説明で「最重要要素」は「文末」に記されている)。確認する。

(ア)「交配によっていなくなったから」⇒「自然にはどこにも棲息していない」、
(イ)「珍重されてきたから」⇒「自然にはどこにも棲息していない」、
(ウ)「人間の手によって改良されたものだから」⇒「自然にはどこにも棲息していない」、
(エ)「病気にかかっても治せないから」⇒「自然にはどこにも棲息していない」、
(オ)「人口繊維が普及したから」⇒「自然にはどこにも棲息していない」。

すぐに(ア)(ウ)以外は「消去」だと判別できなくてはいけない。
次に、「傍線部(空所部)一文一部の法則」から、「自然にはどこにも棲息していない」のは「この蛾」であり、「指示語」を開いて、「カイコ」のことだと分かる。
さらに、「同一意味段落」の直後には「カイコは、人間の手によって交配が繰り返され、……野生種からつくりだされてきたもの」だと説明されている。

であれば、「答え」は(ウ)だと判断できる。

「直接的理由」での「消去」、しっかりと練習しておくこと。

<時間配分目安:2分半>

[問七]  「自由具体例の理由説明記述」(「字数指定」なし、「100字ほど」の解答欄)。

本文を読んで、「あなたの身の回りの中で、一見、『天然自然のもの』と思われているが、実はそうとは言い切れないものの例を一つあげ」、「なぜ『天然自然のもの』と言い切れないのか」を説明する。

「自由に具体例をあげる」という本校としては新機軸の「説明記述」だ。一瞬戸惑うかも知れないが、「問題文」に即して考えていけばいい。
本文では、「『天然自然のもの』と言い切れない」ものとして「カイコ」を例にあげていた。何か他に身近なもので、「具体例」を思い浮かべたい。

たとえば、「種なしブドウ」だ。「天然自然のもの」で「種がない」ということはあり得ないわけで、当然、私たちが食べやすいように「品種改良」されている。そうしたものを「理由説明」という趣旨に沿って「過不足なく」まとめていきたい。

たとえば、[具体例]「種なしブドウ」、[理由説明]「現在ある種なしブドウは、品種改良されることによって、私たちが食べやすいように種がなくなっているが、『天然自然のもの』では当然、子孫を残す必要があるので、種がないというものはあり得ないはずだから。」といった「答え」だ。

来年度以降も、こうした新傾向の出題が考えられるので、本校対策の新たな課題として意識することが肝要だ。

<時間配分目安:3分半>

【大問四】小説の読解(「説明記述」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:22分
  • ★必答問題

少年の純真さを忘れて生きている大人たちに、その「忘れ物」を物語にして残し、願いや哀しさを伝えていく――決して欲や権力で動くものでない、尊い少年の頃の夢や希望を瑞々(みずみず)しい筆致で描いた掌編小説集の一篇。

本文では、12歳の少年「浩太」が弟子になりたいと、鍛冶職人の「六郎」のもとを訪れる。当初は真意を測りかねていた「六郎」も、「浩太」の真剣な姿勢に動かされ、親方として鍛冶の仕事を教えるようになる様子が描かれている。

「昭和23年」が舞台となっていて、「状況描写」でやや分かりづらい部分はあるが、内容は理解できるはず。「心情説明」の「選択肢設問」で判別に悩みそうなものがある。それを含め、以下、3問だけ検証したい。

[問一] 「心情説明選択肢」(5択)。

傍線部(1)「母親は少し口ごもってから話し出した」について、「この時の母親の気持ち」を答える。

先ずは「原意消去」。「口ごもる」=「言葉や声が口の中にこもってはっきりしない」「言うのをためらう」こと。当然知っているはずだ。ここでは、「口ごもってから話し出した」のだから、後者の「原意」になる。
各選択肢の「文末」と照合する。

(ア)「とまどう気持ち」、(イ)「あせる気持ち」、(ウ)「恥ずかしい気持ち」、(エ)「ためらう気持ち」、(オ)「申し訳ない気持ち」。

もちろん、(エ)以外は即「消去」でいい。
他の部分の説明も特に誤っていないので、「答え」は(エ)になる。

見事! 「一発消去」だ。やはり、「原意消去」は徹底的に活用すべき。

<時間配分目安:30秒強>

[問三] 「心情説明選択肢」(5択)。

傍線部(3)「浩太は肩を震わせて泣いていた」について、「この時の浩太の気持ち」を答える。

無論、「原意消去」から。「泣いていた」の「原意」はそのままなので、「泣く」という「動作」と結びつかない「心情」を「消去」することになる。
各選択肢の「文末」は、

(ア)「怒りを感じている」、(イ)「情けなさを感じている」、(ウ)「悔しさを感じている」、(エ)「恐れを感じている」、(オ)「悲しみを感じている」。

さあ、どうだろうか? 「泣くときの気持ち」だ。普通に考えれば、(ウ)(オ)以外は「消去」できるはずだ。
次に、傍線部は一文の全てなので、「同一場面」から「状況」を読み解いていく(「小説」では「同一場面の直前直後」に「手がかり・ヒント」がある)。直前から、「六郎」が「そいつ(浩太)を仕事場に入れるんじゃない。……。二度とここにくるんじゃない」と「怒鳴り声を上げ」ていることが分かる。

したがって、「六郎が母親の言うままを受け入れ、鍛冶屋の道をあきらめさせようとしていることがわかって」と説明されている(ウ)ではなくて、「自分の鍛冶屋への思いを六郎に伝えることさえ許されず、尊敬する親方に受け入れてもらえない」とある(オ)が「答え」だと判別できる。

尚、「心情」の読み取りは、「セリフ」「ト書き」「動作」「情景」などから多角的に行うことを忘れてはならない。そして、「心情」はひとつだけとは限らないので要注意だ。

<時間配分目安:2分半>

[問八] 「条件付き心情説明記述」(「字数指定」なし、「60字ほど」の解答欄)。

傍線部(8)「そん時は誰かを連れて行って、あの滝を見せてやれ」について、「この表現には六郎のどのような思いがこめられているか」を説明する。

「条件」は「本文中の   線部(波線部)に注目する」こと。
前後から、この言葉は「浩太」に向けたものだと分かる。そして、「そん時」と「あの滝」は、それぞれ「指示語」を開いて、前者は「浩太が大人になってこの山(=鉄鉱石の採れる山)をもう一度登る時」、後者は「砂鉄の採れる滝」だと判明する。

そして、「条件」である「波線部」は、「どんなに大変そうに見えるもんでも、今はすぐにできんでもひとつひとつ丁寧に集めていけばいつか必ずできるようになる。わしの親方がそう言うた」という「六郎」の言葉だ。無論、この言葉は、「わしの親方」から聞いた「六郎」自身が「親方」として、「弟子」の「浩太」に伝えているものだ。
これらの「要素」を多角的に組み合わせていけば、「六郎の思い」はおのずから明らかになるはずだ。適切にまとめていこう。

たとえば、「自分が親方から受けついだ、地道で丁寧な努力が大切だという職人の心得を、浩太も自身のものとし、次に伝えてほしいという思い。」といった「答え」になる。

「条件」などから読み解いたさまざまな「要素」を、必要に応じて的確に組み合わせていけるように練習することが肝要だ。

<時間配分目安:3分>

攻略ポイント

●本校の特徴のひとつである「紛らわしい選択肢設問」をどう攻略するか? 残念ながら「裏ワザ」はない。「設問内容」に対応した「解法」を的確に用いて、段階を踏んで「消去」する他ない。従って、基本的「解法」を完全に習得して適切に応用できるようにしておくことが重要だ。特に、「原意消去」は完璧にマスターすること。それによって「得点力」も安定する。
合格ラインは60%弱(過去4年間の「受験者平均得点率」は53.3%。本年度は昨年度よりは若干上がって50.9%)。「得点力の安定」は「合格への近道」となる。

●「総合的知識問題」にはどう対処するか? 特に「落とし穴」となりそうなのが必出の「文法問題」だ。全分野から、細部にわたって出題される。塾での学習だけでは全く不十分なので、独自に完全習得し定着させること。無論、「文法」以外も抜かりなく。

●「説明記述対策」も肝要。正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要な要素」を積み上げていく手法をマスターすること。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習する。本校では「指定字数」の幅が狭いので、細かな「字数調整」ができるようにもしておく必要がある。

●本年度は、これまでになかった「自由記述」に近い出題があった。「思考力・判断力・表現力」が徹底して重視されるようになる新たな大学入試制度を意識していることは間違いない。当然、来年度以降もこうした出題が予想されるので、入念な準備が求められる。

●試験時間は50分。問題文のボリュームは全体で7000~8000字程度(ここ数年は増加傾向で、本年度は約9200字)。いかに速く読み取れるかが勝負だ。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。

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