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豊島岡女子学園中学校 入試対策

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2021年度「豊島岡女子学園中学校の算数」
攻略のための学習方法

豊島岡の算数は他の女子校と一線を画した仕上がりになっている。

ほとんどの女子校においては,ある程度の「速さ」と「正確さ」があれば合格ラインを超えることは出来る。どちらかだけでも十分,という学校もたくさんある。中堅校の場合は「どれだけ出来るか」というよりは「どれだけ間違えないで進めるか」によって勝負が決まり,初めからミスの数も計算のうちに入っている。相手よりもミスを減らせばよいのであって,ノーミスは眼中にない。

しかし豊島岡の場合,この二つの要素に加えて「深さ」-難易度の高い問題に対処し,しかも正解できるという条件が加わってくる。受験勉強を真摯に続けていれば「速さ」や「正確さ」は身についてくる。本人の学力が落ちていくと言うことはあり得ないからだ。しかし「深さ」だけは最後まで持てない可能性がある。指導の中で時間をかけて問題を解説してもらい理解したとしても,「自分で一から解く力」を身につけるのは非常に大変なことだ。ここが最後の関門となる。普通の学校であれば「ここまでできていれば必要十分」という範疇を超えて解いていかなければいけない。

豊島岡の過去問をやらせてみて,たとえばある生徒が60%くらいの得点を取ったとしよう。基本的にはほぼパーフェクトと言える。スピードも正確さも申し分ない。生徒としては勉強法をたしなめられたり,注意を受けたりする箇所はほぼないわけだ。しかしそれでも合格点には10点以上不足していることと思われる。

なぜか。豊島岡の受験生たちはそれを超えて解けてしまうからである。当たり前のことを言っているようだが,これは相当な厳しさと言える。問題作成者がたまたま手心を加え少しでも問題をやさしくしようものなら,平均点は優に80点を超えてしまう(第2回・第3回のテストを含めると今まで何度も起こっていることだ)。平均が80点と言うことは,90%を目指さなくてはいけないことになる。これはどこの学校にもあり得ないことなのだ。

ただ,算数のテストとしてみた場合,その難度というのはきわめて正統的なものだ。

奇をてらった問題もなければ,途方もなく時間のかかる作業を含む問題もない。算数の入試問題としてオーソドックスに発展した形がそこにある。中学年から真面目に問題演習を積み重ね,数え切れないほどの解法を身につけてきた生徒のみがその問題への解き方を頭に浮かべることができるだろう。たいていの問題は典型題の先にあるものであり,一部の男子上位校のように「センスがなければ解けない」とか「ひらめきが必要だ」と言うことはない。あくまでも受験算数の頂点の一つとして受験生たちの挑戦を待っているのである。

また,豊島岡の場合,その難易度は他の科目にも波及している。やはり「深さ」がどの科目でも必要となる。そんな中で,ある程度実力アップの道筋がわかりやすい算数はましな方かもしれない。

 分野別に二つほど。

「立体図形」は豊島岡克服のための重要な分野である。ここ数年は最期の大問として登場することが多く,そしてどの問題の難易度も高い。普通の学校であればいわゆる「捨て問」として処理してもいいレベルなのだ。しかし,この学校においては,「解くための」問題として存在している。

この分野の問題を手がける場合には,十分な時間をかけよう。「何分で解く」という答えだけを導く要領よりも「解くために必要な技術」を身につける時間を作りたい

具体的に言うと,与えられた図以外の作図をこなせるようになっておきたい。昨年(2020)度【大問6】・本年度【大問6】においては,さまざまな方向からの投影図や見取り図が必要だった。これは,模範解答を見て納得したからと言って次に書けるものではない。フリーハンドで図が書けるように練習しなくてはいけない。立体図形の見取り図・展開図などをササっと書けるだろうか。作図できる能力をハイスペックで自分のものにしておきたい

また,切断問題も多いことから,立体的視点もできれば養っておきたい。切断後に出来る立体のイメージを頭に浮かべて,それを手かがりに解法を考えつくということだ。これも容易ならないレベルの技術であるがいくつもの類似問題をこなしていきながらなんとか身につけてもらいたい。

さらに立体図形の問題にもかかわらず,図が書かれていないものもある。この場合は,一から自分で図を書いて問題を整理することになる。そのとき,最も適切な図を選択できるかどうか。立体図形の場合は,普通は見取り図から書くことが多いが問題によっては断面図で問題が解決するときもある。これも模範解答を見て納得,ではなくて自分自身がその図を選んで書けるよう訓練しておきたい。

繰り返すことになるが,ここでいう最後の大問「立体図形」は通常であれば「捨て問」といえる水準のものなのだ。しかしここを落とすと,他の問題をほぼ正解しない限り合格ラインに届かなくなる。では,他の分野が簡単かというとそんなことはないわけで,最後の設問ひとつに至るまでしっかり目を通して解き方またそのための技術を確認しておきたい。

 

「しらべる問題(場合の数ふくむ)」ではそつのない手順を繰り出せるかどうか。

しかし2017年度【大問5】では,すべての場合において調べておくという作業が必要とされ、ただただそつなく問題をこなしさえすればよいというものでもない。ときには愚直とも思える作業も必要となり、まさに臨機応変,その場での対応力が合否を分ける結果となる

他にも「速さの問題」「割合と比」など重要な分野ではあるが,十分に解ける範囲であると言うことで割愛したい。

豊島岡の算数ではこれ以外にも,標準的難易度をもつ前半の一行問題を2・3分で完璧にこなしていかなくてはならないというスピード養成が必要となる。問題を解く速さに関しては,自覚的にスピードを上げるよう心がけることだ。マイペース,という耳あたりのよい言葉は捨ててもらいたい。鉛筆を動かす筋肉さえ早く動かすよう脳に伝達し,無駄のない思考で正解に到達できるよう鍛えていくしかない。姿勢を正して問題に相対し,問題文を読み終わったときにはもう正解までの道筋がたっていて,すでに手は作図や立式に入っているくらいに,イメージで言えば陸上の短距離の選手のような切れ味で問題にあたっていってもらいたい。

 

豊島岡の算数は確かに難しいものである。しかし受験生の相手は大学生や大人ではない。同じ小学6年生の女子なのだ。小学6年生として成熟した学力を持てるよう,残された時間を有効に使っていけば必ず合格までの道が見えてくる。

こころざしを高く持ち,豊島岡の校門をくぐる日を夢見て,難問に挑戦してもらいたい。

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2021年度「豊島岡女子学園中学校の算数」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

50分で大問が6,小問が18。この分量は本年度もまた変わらなかった。

テスト形式は前半の小問(大問1・2)は基礎的なものまたは標準レベルまでのもの、中盤(大問3・4)は標準からやや難しめの問題、後半(大問5・6)は難易度の高い問題と整然とした構成になっている。分量も時間に対して適切である。

【大問3】以降の応用問題は設問によって難易度が大きく異なるが、最後の【大問6】以外は当校の受験生にとってはさほどの難問には思えなかっただろう。大問では少なくとも(1)は確実に正解しておきたい

【大問1】計算・逆算・数の性質・場合の数

  • 難度:
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

(1)(2)は分数・小数の混合四則計算・逆算で、小数を何も考えないで分数に変えるのではなく、臨機応変に対応できるよう心がけたい。

(3)は倍数の問題で、あまりも不足も一致しないタイプである。それぞれの条件にあう整数を書き並べてはじめの1つを見つけ、あとは最小公倍数ごとに…という定番の問題。平易ではないが当校の受験生にとっては赤子の手をひねるようなもの。

(4)は基礎的と言える「場合の数」。あせらずに数の組み合わせを探すこと。

【大問2】消去算・速さと比・平面図形の求積・平面図形と比

  • 難度:標準
  • 時間配分:12分
  • ★必答問題

本年度の【大問2】はそれほど手のかかる問題はなかったので、合格するためには全問正解しておきたい。もしくは悪くても1問不正解にとどめたい。

 

(1)は4つの整数を使った消去算だが、出された4つの式を加えてA+B+C+Dの値を求めればよい簡単なもの。

(2)をじょうずに処理したい。豊子さんと花子さんは往復で480mの差がつくので、片道つまり豊子さんがB地点に着いたときにはその半分の240mの差がついていることになる。その距離を向かい合って進むことによって速さの比が求まる、というもの。標準的。

(3)では円周上の点と中心を結び、求められる形にしてから面積を出す、という王道パタンーで。おうぎ形の半径は求まらないがではどうすればよいか、という技法も今や基本レベルといえよう。

あえて優劣をつければ、【大問2】の中ではこの(4)が一番レベルが高い。既視感のある図形だが頻出の設問ではなく多少とまどう可能性がある。なぜ三角形DEFの面積比が出されているかを考えると解き方も決まってくる。AとEを線分で結び三角形ADEを作ると三角形BDE:三角形ADE=2:3(底辺の長さから)となる。よって三角形ADEと三角形DEFの面積は等しいことになるが、この2つの三角形は底辺DEが共通なので高さが等しいことになり、このことから辺DEと辺ACは平行で、三角形ABCと三角形BDEは相似の関係にあることがわかる。あとはそれを手がかりにして答えを出せばよい。

【大問3】売買損益

  • 難度:標準
  • 時間配分:6分
  • ★必答問題

それほど新味のある問題ではないので、両設問ともしっかりと正解したい。

(1)は平均の面積図を使うと、1日目と2日目に売れた個数の比が求まる。

(2)では仕入れ値をとして、式を立てて解くのが普通だろう。やや複雑な等式ができあがるが解けないレベルではない。

【大問4】点の移動

  • 難度:標準
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

本年度のテスト構成でいくと、この【大問4】(2)からいよいよ点差がつき始めると思われる。豊島岡に頻出の点の移動・周期算であるが、三角形の辺の長さが点の速さの倍数になっていて答えも整数で求まるので(1)だけではなく、なんとか(2)も正解にこぎ着けたい。

(1)では2つの点が辺BC上にある時間を調べて初めて重なる時間の見当をつける。すると点Pが35~70秒、点Qが56~70秒のときに辺BC上にあり、その途中で2点が重なることがわかる。

(2)三角形を1周するのに、点Pは105秒、点Qは42秒かかるので、その最小公倍数210秒ごとに同時に出発点にもどることがわかる。そしてその210秒間に何回重なるかを調べるわけだが、この作業が意外とやさしく、10回目に重なる時間なのであとは周期算を用いて解けばよい。

両問とも考え方に迷いはないだろうが、手際よく作業を進めてあまり時間がかからないようにしたい。8分以内におさめること。

【大問5】数列(数の性質)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:8分

問題の形式は数列だが、考え方は数の性質のそれである。
あまりお目にかかったことのない問題だろうから、問題文をよく読んでそのきまりをつかみ、少なくても(1)だけは正解を手にしたい。

(1)まずはきまりを見つけるために20のあとに数を書きたしていこう。15番目の数はそれで求めればよい。
(2)ここで突然最も小さい47の倍数は?と聞かれて狼狽するが、数列によくある何番目、と聞かれていないところがポイントである。つまり何番目かと言うことは重要ではなく、47という素数の倍数を聞かれていることが重要なのだ。15番目まで書いた数列を改めて見直してみると、はじめて3の倍数が見られるのは6,5の倍数は15,7の倍数は35,11の倍数は77で、これらはいずれも2×3、3×5、5×7、7×11と積で表せ、このことから最も小さい47の倍数は「47の1つ前の素数43と47の積」で表すことがわかる。まさに2021年度にふさわしい問いではないか。

(3)こちらも同じように素数どうしの積から近いものを探していけばよいが、(2)よりは作業に時間がかかる。もし時間に余裕がないときは深追いせずに先に進もう。

【大問6】立体図形(立体の切断)

  • 難度:
  • 時間配分:8分

『大問全体の難易度として「難」をつけたが、厳密には(1)は「標準」、(2)・(3)は「難」という水準だろう。よって、(1)は必ず正解しておきたい。(2)(3)は他の問題に自信があって、作図が得意・空間把握能力が高いという生徒は挑戦してもらいたい。難易度はかなり高いので一般的におすすめしにくいものの本年度の算数ではこの問題がベストの問題と言えるだろう。今後模倣する問題が出現する可能性は大、である。』
と2020年度問題の【大問6】についてはコメントした。最後の文はまさしく的を射ていたといえるだろう。本年度の【大問6】においても同意見であるからここにくり返したが、【大問5】までをそつなくこなせた生徒は(2)以降の難問に挑戦してもらいたい。

攻略のポイント

テスト時間は50分で100点満点。

受験者平均は60.2%,合格者平均は72.3%とやや高めの数値であり、この平均点から見て合格にはやはり70点前後の得点が必要とされる。ただし、本年度に限って言えば、本当の難問は【大問6】(2)以降だけと言える構成だったので、標準レベルの問題を外さなければ例年よりは取り組みやすかったと思える。
1問5点ないし6点の点数配分から見て,18問中12問の正解が必要となる。

【大問1】・【大問2】はできるだけ速く正確に解いて全問正解を目指したい。

【大問3】・【大問4】も同様に全問正解を目指したい。
最も思考力を必要とした【大問5】の数列(数の性質)で、(1)は解けると思うが(2)(3)ははたしてどうか。
【大問6】(1)は「標準」レベルの設問で、難度の高さは(2)(3)に集約される。現実問題として、捨て問として処理しても合否には関係ないだろう。

豊島岡の入試問題を攻略するための方法としては、

・女子校全体に必要とされる「速読即解」の力は当然身につけた上で、標準問題まではつねに100%の正解率を目指し、実現すること。

・さらに余裕の持てる生徒は質の高い設問に対応できるよう、「立体図形」の難問にも果敢に挑戦してみること。

・また勉強量は算数だけに偏らず,どの科目にもまんべんなく時間を注いで苦手科目を作らないことである。

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