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豊島岡女子学園中学校 入試対策

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2022年度「豊島岡女子学園中学校の算数」
攻略のための学習方法

豊島岡の算数は他の女子校と一線を画した仕上がりになっている。

ほとんどの女子校においては,ある程度の「速さ」と「正確さ」があれば合格ラインを超えることは出来る。どちらかだけでも十分,という学校もたくさんある。中堅校の場合は「どれだけ出来るか」というよりは「どれだけ間違えないで進めるか」によって勝負が決まり,初めからミスの数も計算のうちに入っている。相手よりもミスを減らせばよいのであって,ノーミスは眼中にない。

しかし豊島岡の場合,この二つの要素に加えて「深さ」-難易度の高い問題に対処し,しかも正解できるという条件が加わってくる。受験勉強を真摯に続けていれば「速さ」や「正確さ」は身についてくる。本人の学力が落ちていくと言うことはあり得ないからだ。しかし「深さ」だけは最後まで持てない可能性がある。指導の中で時間をかけて問題を解説してもらい理解したとしても,「自分で一から解く力」を身につけるのは非常に大変なことだ。ここが最後の関門となる。普通の学校であれば「ここまでできていれば必要十分」という範疇を超えて解いていかなければいけない。

豊島岡の過去問をやらせてみて,たとえばある生徒が60%くらいの得点を取ったとしよう。基本的にはほぼパーフェクトと言える。スピードも正確さも申し分ない。生徒としては勉強法をたしなめられたり,注意を受けたりする箇所はほぼないわけだ。しかしそれでも合格点には10点以上不足していることと思われる。

なぜか。豊島岡の受験生たちはそれを超えて解けてしまうからである。当たり前のことを言っているようだが,これは相当な厳しさと言える。問題作成者がたまたま手心を加え少しでも問題をやさしくしようものなら,平均点は優に80点を超えてしまう(第2回・第3回のテストを含めると今まで何度も起こっていることだ)。平均が80点と言うことは,90%を目指さなくてはいけないことになる。これはどこの学校にもあり得ないことなのだ。

ただ,算数のテストとしてみた場合,その難度というのはきわめて正統的なものだ。

奇をてらった問題もなければ,途方もなく時間のかかる作業を含む問題もない。算数の入試問題としてオーソドックスに発展した形がそこにある。中学年から真面目に問題演習を積み重ね,数え切れないほどの解法を身につけてきた生徒のみがその問題への解き方を頭に浮かべることができるだろう。たいていの問題は典型題の先にあるものであり,一部の男子上位校のように「センスがなければ解けない」とか「ひらめきが必要だ」と言うことはない。あくまでも受験算数の頂点の一つとして受験生たちの挑戦を待っているのである。

また,豊島岡の場合,その難易度は他の科目にも波及している。やはり「深さ」がどの科目でも必要となる。そんな中で,ある程度実力アップの道筋がわかりやすい算数はましな方かもしれない。

分野別に二つほど。

「立体図形」は豊島岡克服のための重要な分野である。ここ数年は最期の大問として登場することが多く,そしてどの問題の難易度も高い。普通の学校であればいわゆる「捨て問」として処理してもいいレベルなのだ。しかし,この学校においては,「解くための」問題として存在している。

この分野の問題を手がける場合には,十分な時間をかけよう。「何分で解く」という答えだけを導く要領よりも「解くために必要な技術」を身につける時間を作りたい。

具体的に言うと,与えられた図以外の作図をこなせるようになっておきたい。一昨年(2020)度【大問6】・昨年度【大問6】また本年度【大問2】(4)・【大問6】においては,さまざまな方向からの投影図や見取り図が必要だった。これは,模範解答を見て納得したからと言って次に書けるものではない。フリーハンドで図が書けるように練習しなくてはいけない。立体図形の見取り図・展開図などをササっと書けるだろうか。作図できる能力をハイスペックで自分のものにしておきたい。

また,立体図形の切断問題も多いことから,立体的視点もできれば養っておきたい。切断後に出来る立体のイメージを頭に浮かべて,それを手かがりに解法を考えつくということだ。これも容易ならないレベルの技術であるがいくつもの類似問題をこなしていきながらなんとか身につけてもらいたい

さらに立体図形の問題にもかかわらず,図が書かれていないものもある。この場合は,一から自分で図を書いて問題を整理することになる。そのとき,最も適切な図を選択できるかどうか。立体図形の場合は,普通は見取り図から書くことが多いが問題によっては断面図で問題が解決するときもある。これも模範解答を見て納得,ではなくて自分自身がその図を選んで書けるよう訓練しておきたい。

繰り返すことになるが,ここでいう最後の大問「立体図形」は通常であれば「捨て問」といえる水準のものなのだ。しかしここを落とすと,他の問題をほぼ正解しない限り合格ラインに届かなくなる。では,他の分野が簡単かというとそんなことはないわけで,最後の設問ひとつに至るまでしっかり目を通して解き方またそのための技術を確認しておきたい。

「しらべる問題(場合の数ふくむ)」ではそつのない手順を繰り出せるかどうか。

しかし2017年度【大問5では,すべての場合において調べておくという作業が必要とされ、ただただそつなく問題をこなしさえすればよいというものでもない。ときには愚直とも思える作業も必要となり、まさに臨機応変,その場での対応力が合否を分ける結果となる。

他にも「速さの問題」「割合と比」など重要な分野ではあるが,十分に解ける範囲であると言うことで割愛したい。

豊島岡の算数ではこれ以外にも,標準的難易度をもつ前半の一行問題を2・3分で完璧にこなしていかなくてはならないというスピード養成が必要となる。問題を解く速さに関しては,自覚的にスピードを上げるよう心がけることだ。マイペース,という耳あたりのよい言葉は捨ててもらいたい。鉛筆を動かす筋肉さえ早く動かすよう脳に伝達し,無駄のない思考で正解に到達できるよう鍛えていくしかない。姿勢を正して問題に相対し,問題文を読み終わったときにはもう正解までの道筋がたっていて,すでに手は作図や立式に入っているくらいに,イメージで言えば陸上の短距離の選手のような切れ味で問題にあたっていってもらいたい。

豊島岡の算数は確かに難しいものである。しかし受験生の相手は大学生や大人ではない。同じ小学6年生の女子なのだ。小学6年生として成熟した学力を持てるよう,残された時間を有効に使っていけば必ず合格までの道が見えてくる。

こころざしを高く持ち,豊島岡の校門をくぐる日を夢見て,難問に挑戦してもらいたい。

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2022年度「豊島岡女子学園中学校の算数」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

50分で大問が6,小問が18。この分量は不動の数であり来年度以降も同量である可能性が高い。

テスト形式は前半の小問(大問1・2)は基礎的なものまたは標準レベルまでのもの、中盤(大問3・4)は標準からやや難しめの問題、後半(大問5・6)は難易度の高い問題と整然とした構成になっている。したがって受験生にとってはやりやすい構成であり、分量も時間に対して適切である。

【大問4】以降の応用問題は設問によって難易度が大きく異なるもののいずれも(1)は標準的な水準で、【大問6】でさえ立体図形の切断に十分用意が出来ていた生徒は少なくとも(1)は解けたのではないか。
問題の質も例年あまり変わらず分量は不変、時間配分も適切に行いやすい学校であることは確かだ、算数の地力が十分あればの話だが。

【大問1】計算・公約数・食塩水・円の半径比

  • 難度:
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

本年度は計算問題は(1)のみ。小数を分数に直して計算すれば問題なし。

(2)は約数の問題で、216を素因数分解するところから始まる。216=2×2×2×3×3×3となるので、216との公約数が1以外にあるのは2の倍数または3の倍数と言うことになる。こうなると定番の問題になり、1から216まで整数のうち、2または3の倍数を除けば良いことになる。もちろん、2と3の公倍数つまり6の倍数が重複することもお忘れなく。
(3)は食塩水の問題だが迷うところはなにもない。5%と10%の食塩水の重さが同じところも問題を平易にしている。面積図を用いるか、溶けている食塩の重さに注目して求めれば良い。
(4)は円周の比が半径の比と同じになることを使えば良い。
本年度も【大問1は「易」レベルに統一されていた。瞬殺して先に進みたい。

【大問2】売買損益・仕事算・平面図形と比・立体図形

  • 難度:標準
  • 時間配分:12分
  • ★必答問題

本年度の【大問2は若干難易度が上がっている。が、少なくとも合格するためには(4)以外は正解したい。ポイントはどれだけスピーディーに正答を出していくかだ。

(1)は売買損益の典型的問題。定価(800×1.2)を求め仕入れた個数をとすると、
960×(0.95)-800×①=17920よりを求めれば良い。
(2)は仕事算の解き方に従い、ABの仕事量の比を1日あたりの仕事量の比が等しいことから求めれば良い。これもまだ困る代物ではないだろう。
(3)は正方形の中に三角形があるという点以外はやはり典型題で、中にある三角形BEFから目をつけると、BEFから三角形BGH・三角形GFK・三角形EIJの割合を引けば良いことになる。たとえば、三角形BGHであれば、三角形BGH:三角形BEF=(2×1):(4×2)と行った具合で、あとは色のついた部分(五角形)が三角形BEFの何分のいくつになり、さらに正方形ABCDとの比較を考えれば良い。難しい設問ではないが、ここまでに比べると少し時間がかかるのはやむを得ない。
(4)ははじめて点差がつきそうな問題であり、立体図形の見取り図から三角形DBCを手前に据えた投影図を書く必要がある。また、正三角形を2等分した直角三角形の辺の比2:1を使うなどなかなかレベルが高い。立体図形が不得手な生徒はスルーして進むのもよい。

【大問3】速さと比

  • 難度:標準
  • 時間配分:6分
  • ★必答問題

豊島岡に出題される速さの問題はあまり難易度が高くないのが特徴であるが本年度もそれを踏襲した。ぜひとも正解して先に進みたい。

(1)は車が(4÷2=)2分で進む距離を豊子さんが何分で進んだかを求めれば良い。基本レベルのもの。
(2)では(1)で求めた速さの比を用いて、学校から家までの距離を整数で表した上で、学校から342mの地点までの割合を求めれば良い。

【大問4】不定方程式

  • 難度:やや難
  • 時間配分:8分

本年度のテスト構成では、【大問2】(4)のあとは、この【大問4】(2)から点差が開くと考えられる。ただし(2)は3種類にわたる不定方程式でかなり手数がかかるので(1)だけは最低限正解しておければ良いだろう。
(1)は部品AでもBでもよいのでどちらかに目をつけて使われた個数から製品X,Y,Zの個数にそろうようにあてはめればよい。製品X,Y,Zの個数が分かれば。使われた部品Cの個数も分かるというもの。
(2)は製品X,Y,Zの3種類の個数しか書かれていないので(1)に比べるとはるかに手間がかかる。たとえば部品A120個は製品Xに4個、製品Zに2個使われることから製品Xと製品Zの個数の組み合わせが複数見つけることが出来る。これを部品Bの個数がうまくあうような組み合わせを見つけていくことになる。【大問6をのぞけば最も難易度が高く、しかも時間を食う問題になっている。

【大問5】数列(素数の積 )

  • 難度:標準
  • 時間配分:8分
  • ★必答問題

2または5の積のみで作られている数を並べて…という数列の問題で、あまりお目にかかったことがない問題である。が、(2)までは解きやすいのではないか。
(1)ア~オの数が2と5の積で表されれば正解なのでこれは易しかっただろう。【大問1】(2)に引き続き素因数分解が活躍する。
(2)では、2だけの積が作られる数、5だけの積で作られる数、2と5との両方の積で作られる数に分けて調べていけば良い。特に2と5の積で作られた数さえ間違わなければ解けるはずである。
(3)A-Bが2となるのは、Aが2だけから作られた数であることが分かる。5だけで作られた数、または2と5の両方から作られる数は1の位が0または5になるからだ。その場合Bの1の位は3にならなけれならず、そういう数はこの数列には存在しない。Aの1の位は2,Bの1の位は0つということで調べていけば良い。

【大問6】立体図形(立体の切断)

  • 難度:
  • 時間配分:8分

『大問全体の難易度として「難」をつけたが、厳密には(1)は「標準」、(2)・(3)は「難」という水準だろう。よって、(1)は必ず正解しておきたい。(2)(3)は他の問題に自信があって、作図が得意・空間把握能力が高いという生徒は挑戦してもらいたい。難易度はかなり高いので一般的におすすめしにくいものの本年度の算数ではこの問題がベストの問題と言えるだろう。今後模倣する問題が出現する可能性は大、である。』
と一昨年、2020年度問題の【大問6についてはコメントした。2021年度の問題にもそのコメントは残した。本年度も同じコメントを残して終わることとなる。

豊島岡は最後の大問に立体図形の切断を配置する可能性が高い。必ずしも出来なくてもかまわないレベルではあるものの対策は十分に行って1問でも2問でもとけるようになっていきたい。

攻略のポイント

テスト時間は50分で100点満点。

受験者平均は59.0%,合格者平均は70.0%とやや高めの数値であり、この平均点から見て合格にはやはり65~70点程度の得点が必要とされる。本年度に限って言えば、本当の難問は【大問4から【大問6(2)以降だけと言える構成だったので、標準レベルの問題を外さなければ例年よりは取り組みやすかったと思える。
1問5点ないし6点の点数配分から見て,18問中12・3問の正解が必要となる。

【大問1】・【大問2はできるだけ速く正確に解いて全問正解を目指したい。【大問2】(4)のみがポイントになるか。

【大問3】・【大問4も同様に全問正解を目指したい。【大問4】(2)は手間がかかるのでスルーしても良いかもしれない。
【大問5では(1)は解けると思うので、(2)(3)ははたしてどうか。(2)はなんとかあてておきたい
【大問6の立体の切断は難易度が例年高く、受験前までによほどの準備が必要である。しかし豊島岡を受験する生徒は他校を受ける生徒の数倍の時間をかけて切断に賭けているはずであるから1問は裁定でも正解しておきたい。

さて、この学校の攻略法としては、

女子校全体に必要とされる「速読即解」の力は当然身につけた上で、標準問題まではつねに100%の正解率を目指し、実現すること

・さらに余裕の持てる生徒は質の高い設問に対応できるよう、「立体図形」の難問にも果敢に挑戦してみること

・また勉強量は算数だけに偏らず,どの科目にもまんべんなく時間を注いで苦手科目を作らないことである。

以上である。

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