｢日本の高度経済成長の原動力となった工業地域の多くが臨海部にある｣ことについての｢リード文｣からの出題。｢写真｣や｢統計資料｣などから、｢地理｣単元の基礎的事項が問われている。本校としては難易度の低い大問だ。一気呵成に得点を重ねていきたい。以下、少しだけ確認してみる。

[３]　｢リード文に関連しての選択肢設問｣(複数完全解答/６択)。｢化石燃料や鉱物資源を運ぶ専用の運搬船｣として、｢正しいもの｣を示されている｢写真｣から｢三つ｣答える。｢写真｣の中で、(イ)は｢ＬＮＧ専用船｣、(オ)が｢原油｣を運ぶ｢タンカー｣だということはすぐに分かるはずだ。そして、(ア)が｢コンテナ船｣で、(ウ)は｢自動車運搬船｣、(エ)は｢クルーズ客船｣ということも判別できる。ということは、結果として｢答え｣は(イ)･(オ)･(カ)になる。ちなみに、(カ)の｢写真｣はあまりお馴染みではないだろうが、｢鉄鉱石専用の運搬船｣だ。当然ながら、｢選択肢設問｣では｢消去法｣を駆使することが求められる。

[４]　｢リード文に関連しての選択肢設問｣(５択)。｢思考問題｣の要素あり。｢セメント工場が資源の産地近くに立地する理由｣として、｢考えられるもの｣を｢一つ｣答える。各選択肢説明の｢要点｣｢キーワード｣で正誤判別していきたい。
　(ア)｢産地周辺の地域｣｢大都市周辺より働く人が多くいる｣⇒｢セメント｣の主原料は｢石灰石｣だということは誰にでも分かる⇒産地は当然｢山間部｣＝不適切。
　(イ)｢世界遺産や国立公園に指定されている産地が多い｣⇒｢石灰石｣は日本各地で産出される＝不適切｡
　(ウ)｢石灰石はセメントに比べ重い｣｢製品より原料を運ぶためにより多くの費用がかかる｣⇒｢鉱石資源｣である｢石灰石｣の方が｢セメント｣より重そうだ＝たぶん適切？
　(エ)｢セメントの需要は大都市周辺より産地周辺の方が多い｣⇒無論、あり得ない＝不適切｡
　(オ)｢高速道路の近くが有利｣⇒産地である｢山間部｣が｢高速道路の近く｣だとは考えられない＝不適切。
したがって、｢消去法｣で考えても｢答え｣は(ウ)になる。本校の｢選択肢設問｣では｢自らの知識｣に｢一般常識｣をも加味して｢思考｣することが求められることがあると心得よ。

[６]　｢リード文に関連しての選択肢設問｣(複数完全解答/５択)。｢サンゴ礁に関連した説明｣として、｢正しいもの｣を｢二つ｣答える。各選択肢説明の｢要点｣｢キーワード｣で正誤判別する。
　(ア)｢日本の東西南北の端にある四島｣｢それぞれサンゴ礁が発達｣⇒最東端は｢南鳥島｣、最西端は｢与那国島｣、最南端は｢沖ノ鳥島｣、最北端は｢択捉島｣。｢サンゴ｣は熱帯･亜熱帯の海に生息していることは常識⇒｢択捉島｣では｢サンゴ礁｣はない＝不適切。
　(イ)｢サンゴの白化現象｣｢海水温の急激な低下によって起きている｣⇒｢地球温暖化｣の影響だということは知っているはず＝不適切｡
　(ウ)｢サンゴ礁が衰えている原因｣｢開発にともなう赤土の流入がある｣⇒当然だとは思うが、断定はできない？＝保留。
　(エ)｢様々な生物の生育場所｣｢生物多様性に貢献｣⇒誰が考えても当然のこと＝適切｡
　(オ)｢アメリカ軍基地の移転先である辺野古｣｢サンゴが生育していない｣⇒建設予定地にサンゴが確認されており、移設反対の理由のひとつであることは｢時事ネタ｣としても押さえていなくてはいけない＝不適切。
よって、結果的に答えは(ウ)･(エ)だ。｢幅広い知識｣を駆使して判別したい。

｢元号の歴史｣をテーマとして５つの班が行った｢学習発表｣からの出題。
【１班】｢『令和』について｣
【２班】｢改元と一世一元の制｣
【３班】｢元号のはじまり｣
【４班】｢元号法について｣
【５班】｢江戸時代の年号の伝達｣
それぞれの｢発表内容｣に関連して、｢歴史｣のさまざまな事項が問われている。本校としては標準レベルの難易度の大問だ。以下、何問かを検討する。

[２]　｢発表内容についての選択肢設問｣(複数完全解答/５択)。｢日本の改元の事例｣として、｢正しいもの｣を｢二つ｣答える。各選択肢説明の｢要点｣｢キーワード｣で正誤判別する。
　(ア)｢縁起のよい白い亀を朝廷に献上｣｢『神亀(じんき)』と改元｣⇒【２班】の｢発表内容｣に｢祥瑞(しょうずい＝めでたいできごと)のあとに改元が行われた｣とある⇒｢白い亀｣は確かに｢めでたい｣＝適切⇒｢神亀｣は724～29年。
　(イ)｢大きな地震が続いたので『文明』と改元｣⇒【２班】の｢発表内容｣に｢戦乱を理由に『応仁』から『文明』へと改元した事例｣とある＝不適切｡
　(ウ)｢ペリーが来航したので『天保』と改元｣⇒｢天保｣は｢天保の改革｣と結びつくはず⇒｢幕末｣以前だと知らなくてはいけない＝不適切⇒｢天保｣は1830～44年。
　(エ)｢日露戦争が始まったので『大正』と改元｣⇒｢日露戦争｣が｢明治｣時代だということは常識＝不適切⇒｢大正｣は1912～26年。
　(オ) ｢昭和天皇が亡くなり｣｢新しい天皇が即位｢『平成』と改元｣⇒｢昭和｣の次が｢平成｣だということは誰もが知っている＝適切⇒｢平成｣は1989～2019年。

したがって、結果として答えは(ア)･(オ)になる。尚、｢私が知らない｣⇒｢誰も知らない｣⇒｢知らなくても解ける｣と考えよ。

[４]　｢発表内容についての選択肢設問｣(複数完全解答/５択)。｢元号法制定後、初めての改元よりもあとの出来事｣として、｢正しいもの｣を｢二つ｣答える。【４班】の｢発表内容｣に｢1979年に元号法が制定された｣とある。｢1979年｣以降の｢初めての改元｣は｢1989年｣の｢平成｣だ。つまり、｢1989年｣よりも｢あとの出来事｣を答えることになる。各選択肢の｢出来事｣の｢年代判別｣をしていきたい。
　(ア)｢第五福竜丸事件｣⇒｢1954年｣だと知らなくてはいけない＝不適切。
　(イ)｢アメリカ｣｢同時多発テロ｣⇒｢2001年｣と定着しているはず＝適切｡
　(ウ)｢湯川秀樹が日本人初のノーベル賞受賞｣⇒年代までは未定着でも戦後すぐのことだと認識していなくてはいけない＝不適切⇒ちなみに、｢1949年｣のことだ。
　(エ)｢ソビエト連邦解体｣⇒｢冷戦終結｣後の｢1991年｣ということは常識＝適切。
　(オ)｢ソビエト連邦との国交回復｣｢日本の国連加盟｣⇒ともに｢1956年｣、必須定着事項だ＝不適切。
よって、答えは(イ)･(エ)だ。尚、｢時期判別｣や｢年代整序｣では｢うろ覚えの年代｣で判別･整序するのではなく、｢流れ｣や｢キーワード｣を確認し、特定していくことが肝要だと心得よ。

[６]　｢発表内容に関連する選択肢設問｣(複数完全解答/５択)。｢年代の表し方に関連しての説明｣として、｢正しいもの｣を｢二つ｣答える。各選択肢説明の｢要点｣｢キーワード｣で正誤判別する。
　(ア)｢西暦は、イエス･キリストが亡くなったとされる年を西暦１年としている｣⇒｢生まれたと考えられる年｣が｢西暦１年｣に決まっている＝不適切。
　(イ)｢奈良時代や室町時代という名称｣｢国の政治が行われた場所｣⇒｢飛鳥時代｣から｢江戸時代｣までの｢時代区分｣は｢政治の中心地｣があった場所だということは周知の事＝適切｡
　(ウ)｢世紀は100年ごとのまとまり｣｢西暦１年から100年までが１世紀｣⇒誰もが知っている常識＝適切⇒｢101～200年｣が｢２世紀｣……となる。
　(エ)｢関ヶ原の戦いと豊臣氏の滅亡は同じ世紀｣⇒前者は｢1600年｣＝｢16世紀｣なのに対して、豊臣氏が滅亡した｢大坂の陣｣は｢1615年｣＝｢17世紀｣になる＝不適切。
　(オ)｢承久の乱や西南戦争｣｢どちらも干支(えと)での年代にもとづく｣⇒やや判別が難しいかも⇒少なくとも後者の｢西南｣は、戦いのあった場所の東京から見た｢方位｣を表すと見当がつくはず＝不適切⇒ちなみに、｢承久｣は｢元号｣だ。｢干支｣を用いたものとしては、｢壬申の乱｣(672年)の｢壬申｣、｢戊辰戦争｣(1868～69年)の｢戊辰｣、｢甲午農民戦争｣(1894年)の｢甲午｣などがある。｢西暦｣⇔｢元号｣⇔｢世紀｣⇒｢時代｣などは相互変換できるようにしておくこと。

[７]　｢発表内容についての内容説明記述設問｣(｢10字程度｣指定)。｢思考問題｣の要素あり。｢日本では708年に『和銅』と改元｣されたが、これは｢代始めの改元であるとともに、ある祥瑞によって『銅』という漢字が選ばれた改元｣でもあった。｢どのような祥瑞があったと考えられるか｣を｢10字程度｣で説明する。｢日本で最初の流通貨幣｣として定着しているはずの｢和同開珎｣、もう少し｢深知り知識｣があればすぐに答えられるだろうが、なくても｢思考｣すればよい。武蔵国(現在の埼玉県)で｢和銅｣が産出され、それが朝廷に献上されたので｢改元｣し、｢和同開珎｣が鋳造された。したがって、たとえば、｢武蔵国から和銅が献上された｡｣(14字)といった｢答え｣になる。尚、本校の｢社会｣での｢説明記述｣は短文指定が比較的多い。｢必要要素｣を外すことなく短文で、簡潔にまとめられるようにしっかりと練習しておくことが肝要だ。

｢2021年２月、菅首相が『孤独･孤立対策担当』の特命担当大臣を任命｣という｢時事ネタ｣を切り口として、｢社会全体のつながりが希薄化する中、新型コロナウイルス感染症の社会的影響が長期におよび、深刻化している孤独･孤立の問題｣についての｢リード文｣からの出題。約2000字もある｢リード文｣で、｢公民｣｢時事｣単元および｢思考問題｣という｢総合問題｣の大問だ。なかなかの｢粒(曲者)ぞろい｣なので、心して解き進めたい。以下、何問かを検証しよう。

[１]　｢下線部についての不適切選択肢設問｣(複数完全解答/５択)。｢時事｣単元。｢リード文｣中の下線部｢新型コロナウイルス感染症の社会的影響｣についての説明として｢正しくないもの｣を｢二つ｣答える。｢不適切｣だということを意識して、各選択肢説明の｢キーワード｣｢要点｣で正誤判別していきたい。
　(ア)｢非正規雇用の労働者が大きく増えた｣⇒｢緊急事態宣言｣などによって企業の生産が大きく落ち込んだことは常識⇒当然、｢派遣切り｣等で仕事を失う非正規雇用労働者が多くなった＝不適切｡
　(イ)｢政府の歳出が大きく増えた｣⇒ワクチンの接種費用、さまざまな給付金支給などにより歳出が大きく増加したことは周知のはず＝適切｡
　(ウ)｢東京都と他府県との人口移動｣｢東京都への転入数が転出数を上回った｣⇒｢ステイホーム｣｢テレワーク(リモートワーク)｣は典型的な｢時事ネタ｣⇒どこでも仕事ができる⇒東京都から他府県への移住が増えたことは必然だ⇒｢転出数｣が上回るわけだ＝不適切｡
　(エ)｢インターネットを用いた通信販売事業の売上が伸びた｣⇒上記(ウ)の結果、｢アマゾン｣などの利用増加は経験しているに違いない＝適切｡
　(オ)｢位置情報のデータ活用｣｢データの一部を政府に提供｣⇒｢繁華街などでの人出の増減｣が毎週のように報道され、｢増減予測｣などが｢緊急事態宣言発令｣に活用されたと考えられるはずだ＝適切。
よって、答えは(ア)･(ウ)だ。｢時事ネタ｣を収集し、｢自らの体験･知識｣なども組み合わせて考えていくことが肝要。

[４]　｢下線部に関する選択肢設問｣(５択)。｢思考問題｣。｢リード文｣で説明されている下線部｢社会的包摂｣の考え方を｢具体化した政策｣として｢最も適切なもの｣を答える。先ず、｢リード文｣でどのように説明されているかを確認したい。下線部直後に｢社会的包摂とは、多様な困難を抱える人たちを、社会のメンバーとして包み込んで共に生きていくことをめざす理念｣｢社会から取り残されがちな人たちが、単にお金や物資の支援を受けるだけではなく、社会の中に自分の居場所と出番を確保することを求めるもの｣と説明されている。この内容を判断基準として｢思考｣していく。各選択肢説明の｢キーワード｣｢要点｣で正誤判別する。
　(ア)｢生活保護制度によって生活費を給付｣⇒｢生活保護｣は｢社会保障制度｣のひとつの柱として以前から実施されている⇒しかも、｢単にお金や物資の支援を受けるだけ｣ではないのだから＝不適切｡
　(イ)｢全国民に対して一律に10万円分の商品クーポン券給付｣⇒｢全国民｣が｢社会から取り残されがちな人たち｣ではないし、｢商品クーポン券｣は｢お金｣と同じだと考えられる＝不適切｡
　(ウ)｢ホームレスの人を保護｣｢無償または安価で賃貸住宅を提供｣⇒一読すると｢適切｣そうだが、｢社会の中に自分の居場所と出番を確保することを求める｣とすれば、こうした支援だけでは不十分だと考えられなくてはいけない＝不適切｡
　(エ)｢震災被災者を近隣自治体で受け入れ｣｢仮設住宅や生活用品を提供｣⇒これらは｢震災｣等の災害時における｢緊急対策｣であって、｢社会的包摂｣の理念とは一致しないと判断できるはず＝不適切｡
　(オ)｢障がいのある人がやりがいを感じられる仕事に就けるよう支援｣⇒｢困難を抱える人｣｢社会のメンバーとして包み込んで共に生きていく｣｢社会の中に自分の居場所と出番を確保する｣という理念に合致していると考えられる＝適切。
したがって、答えは(オ)になる。｢与えられた情報｣に基づき、｢自らの知識｣や｢一般常識｣なども加味して｢思考｣し判断することが求められると心得よ。

[５]　｢下線部に関連する選択肢設問｣(複数完全解答/５択)。｢公民｣単元(｢時事的要素｣あり)。｢リード文｣中の下線部｢災害への備えや対応｣に関連する説明として｢正しいもの｣を｢すべて｣答える。各選択肢説明の｢キーワード｣｢要点｣で正誤判別していきたい。
　(ア)｢豪雨災害の際｣｢行政が防災情報を発信しても、住民の避難行動につながりにくい｣⇒このことが大きな課題となっており、そのために｢避難指示｣で新たなレベルの警報を発するようになったことは｢時事ネタ｣として知らなくてはいけない＝適切｡
　(イ)｢被災地の自治体の長は災害ボランティアを組織して派遣｣⇒｢ボランティア｣であれば、｢自治体の長｣(行政)が組織することはあり得ないのは｢公民｣としても常識のはず＝不適切｡
　(ウ)｢被災地域に自衛隊が出動｣｢救助や支援活動｣⇒｢自衛隊｣の主要任務として定着していて当然＝適切｡
　(エ)｢東日本大震災の復興｣｢復興庁設立｣⇒これまた｢公民｣での必須定着事項＝適切⇒当初は震災発生から10年となる2021年に廃止されることになっていたが、更に10年延長し2031年までになった｡(オ)｢東日本大震災復興財源確保を目的｣｢２度にわたって消費税率引き上げ｣⇒確かに、東日本大震災の後、2014年に｢８%｣、19年に｢10%｣と引き上げられたが、その最大の目的は｢社会保障費増大の財源確保｣だということは常識＝不適切。
よって、答えは(ア)･(ウ)･(エ)になる。｢すべて｣を答える｢複数完全解答選択肢設問｣では、いつも以上に細部にこだわり慎重に判別する必要がある。

※尚、[６]は｢下線部に関連する選択肢設問｣(｢２つ選択｣の複数完全解答/６択/｢時事的要素｣ありの｢公民｣単元)で、一見難解そうに思えるが、｢リード文｣のあちらこちらに｢手がかり･ヒント｣が散らばっている。的確に読み取れば確実に正解できるので、チャレンジしてほしい。ただ、時間はかかるので、戦術的には臨機応変に｢捨て問｣にしても構わない。