｢九州地方各地(地図上に①～⑩と記されている)を訪れたときの『３日間の行程表』及び様々な『写真』｣からの出題。各単元で｢平易と難解｣が混在するという本校の真骨頂が発揮されている大問だ。以下、いくつか確認してみる。

[問４]　｢行程表に関する説明記述設問｣(｢字数指定｣なし。｢60字ほど｣の解答欄)。｢歴史｣単元。
｢第１日目の行程表｣中の④｢福岡市｣にある｢石塁｣が築かれるきっかけとなった｢元寇｣は、｢鎌倉幕府｣に対する｢御家人｣たちの不満を高める原因の一つになったが、｢経済面での不満はどのようなものであったか｣､また、｢その不満はなぜ生じたのか｣を説明する｡本校特有の｢クセ｣がある設問。説明すべき内容は｢歴史｣の｢基礎的事項｣なのだが、問題文の中にいくつかの｢条件｣が紛れ込んでいるのだ。それらを正確に押さえなくては得点できないので､要注意。先ずは、｢御家人｣たちの｢鎌倉幕府｣に対する｢不満｣だということ、そして、その｢不満｣は｢経済面｣でのものだということ。さらに、｢不満の内容｣と｢不満が生じた理由｣の両方を｢元寇｣に関連づけて説明するということだ。以上を整理して｢過不足なく｣まとめていきたい。たとえば、｢元との戦いでの大きな負担に対し十分な恩賞が与えられなかったという不満で､それは鎌倉幕府が元寇で新たな土地を得られなかったから。｣といった｢答え｣になる。本校特有の一筋縄ではいかない設問内容、｢隠された条件｣も的確につかむことが肝要だ。
＜時間配分目安：２分半＞

[問５]　｢行程表に関連する選択肢設問｣(４択)。｢地理｣単元。
｢第２日目の行程表｣中の⑤｢大川市｣に関連して、｢上流の林産資源を利用して産業が発達した、米代川下流の都市｣を答える。これまた、本校らしい｢目くらまし｣の問題だ。｢九州地方｣とは無関係なので、一瞬とまどってしまうかも知れない。で、｢米代川｣だ。｢秋田県｣ということまでは分かるはずだ。が、選択肢には(ア)｢能代市｣と(ウ)｢秋田市｣がある。どっちだ。｢地理｣の｢深知り知識｣が定着していないとなかなか判別は難しい。｢秋田県｣には、｢男鹿半島｣の北側に｢米代川｣(河口は｢能代市｣)､南側に｢雄物川｣(河口は｢秋田市｣)が流れている。従って、｢答え｣は｢(ア)｣だ。｢河川｣については、必ず｢源流｣と｢河口｣を押さえておくこと。
＜時間配分目安：30秒＞

[問10]　｢行程表に関する事項記述設問｣。｢歴史｣単元。
｢第３日目の行程表｣中の⑨｢熊本市｣を築いた｢加藤清正｣は｢朝鮮出兵｣をしているが、｢２度目の朝鮮出兵｣の｢名称｣を答える。ほっと一息といった問題。｢文禄の役｣｢慶長の役｣はすぐに分かるはず。が､あれっ？　どっちが先だっけ？　などと混乱しては元も子もない。前者は｢1592年｣､後者が｢1597年｣だ。｢答え｣は無論、｢慶長の役｣。尚、｢元寇｣の｢文永の役｣(1274年)と｢弘安の役｣(1281年)とも混同しないようにすること。
＜時間配分目安：１分以内＞

[問11]　｢行程表に関連する事項記述及び説明記述設問｣(｢説明記述｣は｢字数指定｣なし。｢60字ほど｣の解答欄)。｢公民｣単元(｢時事的要素｣あり)。
｢第３日目の行程表｣中の⑩｢熊本空港｣に関連して、｢食料品や生活必需品にかかる消費税率を標準税率より低く抑えた税率｣の｢名称｣を答え、｢主な目的｣を説明する。本校の特色である｢平易と難解｣の混在、ここは極端に｢難解｣だ。ただ、｢消費税率の10％への引上げ｣に際して｢この税率｣が導入されることになっているので、そうした｢時事的要素｣を押さえていれば対応できる。｢答え｣としては、｢名称｣は｢軽減(税率)｣で､｢主な目的｣は｢消費税は税率が一定で所得が少ない人ほど負担が大きくなるので、食料品などの税率を軽減し低所得者の負担を小さくするという目的。｣といった説明になる。本校では、こうした｢深知り知識｣も求められるということだ。ただ、あまりに悩むようだったら無論、｢捨て問｣でも構わない。
＜時間配分目安：合わせて３分以内＞

｢『紙』を手がかりとして､縄文時代から現在までの日本の歴史をふりかえっての様々なことがらや『写真』｣に関する出題。｢歴史｣の基礎的事項が主に問われているが、中には例によって｢難問｣が紛れ込んでいる(｢年代整序｣など)。また、｢不適切選択肢｣もあるので､要注意｡以下、いくつか検証してみよう。

[問２(２)]　｢正誤判別の選択肢設問｣(４択)。
｢６世紀の終わりごろから７世紀初めにかけて｣の｢できごと｣を答える。この問題文を素直に読めば、｢時期特定｣の判別となる。ところが、各選択肢の｢できごと｣は全て｢６世紀の終わりごろから７世紀初めにかけて｣のものなのだ。なんと意地悪なことか。まあ、ここは冷静に｢内容｣の｢正誤判別｣だととらえたい。だが､それはまだ｢第一関門｣に過ぎない。その｢正誤判別｣で悩むこと必至なのだ。選択肢の｢キーワード｣を確認する。(イ)の｢冠位十二階｣で｢一族全体に冠位｣⇒｢一族全体｣ではなく｢能力のある者｣＝｢不適切｣､(ウ)の｢持統天皇と聖徳太子｣が｢法隆寺を建てた｣⇒｢持統天皇｣は｢７世紀末に藤原京を築いた｣＝｢不適切｣､(エ)の｢蘇我馬子｣が｢推古天皇の摂政｣⇒｢蘇我馬子｣ではなく｢聖徳太子｣＝｢不適切｣と、ここまではすぐに判別可能のはずだが、(ア)の｢十七条憲法｣では｢仏教や儒教を大切にすることが定められた｣については、悩ましいのではないか？　｢第二条｣の｢三宝を敬え｣(｢仏教｣を敬え)は誰でも知っているが、｢儒教｣は入っていない。では誤りなのか？　すると｢答え｣がなくなってしまう。実は､これまた有名な｢第一条｣､おなじみの｢和をもって貴しとなす｣の後に､｢君父に従え｣という趣旨が記されているのだ。｢君父に従え｣＝｢儒教の教え｣｡よって、(ア)は正しいので｢答え｣となる。ここでも相当な｢深知り知識｣が必要となるが､｢選択肢｣なので｢消去法｣を活用し、自らを信じることが大切だ。
＜時間配分目安：１分以内＞

[問５(２)]　｢時代特定の事項記述設問｣。
｢戦国時代｣に｢特に三河で盛んに栽培されるようになった、朝鮮半島からもたらされた作物｣を答える。比較的平易な問題だ。｢室町時代後半｣に朝鮮半島から｢木綿｣がさかんに輸入されたということは知らなくてはいけない。そこから結びつければいいのだが、｢作物｣だということには注意する必要がある。無論、｢木綿｣は｢作物｣ではない。従って、｢答え｣は｢綿花｣になる。｢三河地方｣(愛知県東部)の｢特産物｣としても覚えておきたい。
＜時間配分目安：30秒＞

[問６(１)]　｢時代判別の選択肢設問｣(複数完全解答/４択)。
｢江戸時代の社会｣に関する説明で、｢正しいもの｣を｢全て｣答える。各選択肢の｢キーワード｣で判別していく。(ア)｢株仲間結成｣⇒何の問題もないはず＝｢適切｣､(イ)｢宋銭･元銭･明銭の三貨｣⇒｢江戸時代｣の｢三貨｣とは｢金･銀･銭｣＝｢不適切｣､(ウ)｢備中ぐわという新しい農具｣⇒誰でも知っている＝｢適切｣､(エ)｢五街道が整備｣⇒とても分かりやすい＝｢適切｣｡なので、｢答え｣は｢(ア)(ウ)(エ)｣だ。ここでは平易な問題だったが、｢複数完全解答｣では｢細部｣にまで十分着目する必要があると心得よ。
＜時間配分目安：１分以内＞

[問８(１)]　｢時期特定の年代整序設問｣(４項目)。
｢アジア･太平洋戦争中｣の｢できごと｣を｢古い順｣に並べて答える。｢年代整序｣では、覚えているであろう｢年代｣で無理やり｢整序｣しようとすると、｢数字｣を取り違えて誤ってしまう可能性があるので、必ず｢流れ｣で考えてつないでいくこと。また、ここでは｢時期の範囲｣が限定されているので注意したい。特に､項目(ア)以外は全て｢1945年｣の｢できごと｣なので慎重に整序すること。各項目の｢流れ｣を確認する。(ア)｢アメリカが日本への本土空襲開始｣→｢学童疎開｣(1944年)→｢東京大空襲｣(1945年３月)→(エ)｢ドイツが降伏｣(同５月)→｢ポツダム宣言発表｣(同７月26日)→(イ)｢広島に原爆投下｣(同８月６日)→｢ソ連が日ソ中立条約破棄｣(同８月８日)→(ウ)｢ソ連が日本への攻撃開始｣(同８月９日)→｢長崎に原爆投下｣(同８月９日)→｢ポツダム宣言受諾｣(同８月14日)→｢終戦の玉音放送｣(同８月15日)という｢流れ｣だ。従って、｢答え｣は｢(ア)→(エ)→(イ)→(ウ)｣｡｢歴史的事項｣は必ず｢背景｣｢流れ｣を理解し、定着させておくこと。
＜時間配分目安：１分以内＞

｢人間の生活に必要不可欠な『水』の利用に関連する様々な地理的事項｣からの出題。平易なものは少なく、｢地理｣の各分野についての｢微に入り細をうがつ｣ような問題が多く､超難問が目白押しだ。以下、いくつか検討する。

[問１]　｢地域特定の選択肢設問｣(４択)。
｢人工の三大美林｣として知られる｢尾鷲地域｣の｢木の種類｣を答える。いきなり意表をつく｢細をうがつ｣問題だ。｢天然｣の｢三大美林｣＝｢木曽ひのき(長野県)｣｢秋田すぎ｣｢津軽ひば(青森県)｣は押さえていても、｢人工｣の方はどうか？　あまりにも｢細部｣になので習得していない可能性がある。｢天竜すぎ(静岡県)｣｢尾鷲ひのき(三重県)｣｢吉野すぎ(奈良県)｣だ。よって、｢答え｣は選択肢｢(エ)｣(＝｢ひのき｣)だ。やはり、テキストの隅の記されているような｢参考知識事項｣までも習得しておく必要があるということだ。
＜時間配分目安：30秒＞

[問３]　｢自然地名の選択肢設問｣(４択)。
｢四国三郎と呼ばれる吉野川がつくっている渓谷｣を答える。よほどの｢自然地名マニア｣でなければ、これまた｢微に入る｣難解な問題。各選択肢は、(ア)｢瀞八丁｣､(イ)｢高千穂峡｣､(ウ)｢大歩危小歩危｣､(エ)｢黒部峡谷｣｡(エ)⇒｢黒部ダム｣⇒｢黒部川上流｣(富山県)はすぐに結びつくはずだ。他は知らなくても不思議ない。｢答え｣は｢(ウ)｣＝｢大歩危小歩危｣(高知県と徳島県の県境)｡尚、(ア)の｢瀞(どろ)八丁｣は｢熊野川水系北山川上流｣(奈良県と和歌山県の県境)､(イ)の｢高千穂峡｣は｢五ヶ瀬川上流｣(宮崎県)｡｢自然地名｣はできるだけ習得しておきたい。その際、｢地図上の位置｣も確認することが肝要だ。尚、定着していない問題であれば、｢捨て問｣でいい。
＜時間配分目安：１分以内＞

[問４]　｢人文地名の事項記述設問｣。
｢利根川の洪水防止と足尾銅山の鉱毒対策｣を目的につくられた｢日本最大の遊水地｣の｢名称｣を答える。｢日本最大の遊水地｣など誰も知らなくても不思議ない。だが、ここでは｢手がかり｣がある。｢足尾銅山の鉱毒対策｣だ。｢足尾銅山鉱毒事件｣⇒栃木県の｢渡良瀬川流域｣⇒｢渡良瀬｣という｢名称｣とつなげていきたい。｢答え｣は｢渡良瀬遊水地｣となる。尚、この遊水地は｢群馬｣｢栃木｣｢埼玉｣｢茨城｣の４県にまたがっており、｢ラムサール条約｣にも登録されている。たとえ｢知らないこと｣だと思われても、何らかの｢手がかり｣があるのではないかと貪欲になること。
＜時間配分目安：１分以内＞

[問５]　｢人文地名の事項記述設問｣。
｢木曽川の中流から取水し、農業用水や工業用水などに利用する目的で知多半島まで引かれた用水｣の｢名称｣を答える。ここで一安心か。｢愛知県三大用水｣のひとつだ。が、決して油断してはいけない。３つを明確に区別しているかどうかが問題だ。｢愛知用水｣＝｢木曽川｣→｢知多半島｣､｢明治用水｣＝｢矢作川｣→｢岡崎平野｣､｢豊川用水｣＝｢天竜川｣→｢豊川｣→｢渥美半島｣ということを明確に判別しておきたい。よって、｢答え｣は｢愛知用水｣だ。さまざまな｢地理的事項｣を混同せずに正確に定着させておくことが求められる。
＜時間配分目安：１分以内＞

｢マザー･テレサ｣｢マララ･ユスフザイ｣｢平塚らいてう｣という､様々な活躍をした３人の女性に関する｢それぞれの説明文｣からの出題。｢公民｣の｢基本的事項｣に関するものがほとんどだか、最後に｢えっ？｣という問題が控えている。それを含めて、２問だけ確認してみたい。

[問２]　｢マザー･テレサに関連する空所補充不適切選択肢設問｣(６つの｢空所｣に対して７択)。
｢マザーがつくった医療施設や児童養護施設｣に関連して、示されている選択肢の中で｢日本国憲法第25条｣の｢条文｣中の｢空所｣(①～⑥)に｢入らないもの｣を答える。｢第25条｣＝｢生存権｣は｢公民｣の｢政治分野｣の定番中の定番。｢すべて国民は健康(＝空所①)で文化(＝空所②)的な最低限度(＝空所③)の生活を営む権利を有する｣､誰もが暗記しているに違いない。が、これは｢第１項｣だ。問題は｢第２項｣にも｢空所｣があるということ。｢国は、すべての生活部面について、(　④　)､(　⑤　)及び(　⑥　)の向上及び増進に努めなければならない｣となっている。さすがに、暗唱できる諸君はいないだろう。が、現在の｢日本の社会保障制度｣は｢日本国憲法第25条｣に基づいて、｢４つの柱｣があるということに気づきたい。｢公的扶助(生活保護)｣｢社会保険｣｢社会福祉｣｢公衆衛生｣だ。で、選択肢で残っているのは、(ア)｢社会福祉｣､(イ)｢公衆衛生｣､(ウ)｢社会保障｣､(カ)｢幸福追求｣｡ということは、｢④｣＝｢社会福祉｣､｢⑤｣＝｢社会保障｣､｢⑥｣＝｢公衆衛生｣とあてはめることができるはずだ。従って、｢答え｣は｢(カ)｣だ。｢私が知らない｣→｢誰もが知らない｣→｢知らなくとも解ける｣ととらえ、｢知っていること｣に結びつけることが肝要だ。
＜時間配分目安：１分半＞

[問９]　｢３人の人物に関連する空所補充事項記述設問｣(カタカナ指定)。
｢３人の活動｣に関連して、示されている｢核廃絶を訴える、ある会議｣の説明文について、文中の２つの｢空所｣に｢入る同じ語句｣を答える。これは完全に｢エアポケット｣に違いない。難問だ。ただ、若干の｢時事的要素｣があるので習得した人もいるかも知れない。｢ある会議｣は、｢ラッセル･アインシュタイン宣言｣の精神を受け継ぎ、2015年に｢第61回大会｣が日本で開かれ､名称は｢科学と世界の諸問題に関する(　　　　)会議｣だが、｢(　　　　)会議｣といわれることが多い、となっている。｢答え｣は｢パグウォッシュ会議｣だ。無論､｢捨て問｣でいいが、この機会に覚えておこう。
＜時間配分目安：１分以内＞