海城中学校 入試対策
2025年度「海城中学校の国語」
攻略のための学習方法
〇問題構成
文学的文章1題と説明的文章1題で大問2題という構成が定形となっている。文量は計7000~9000字ほど。2025年度では10000字ほどであった。漢字も含めた総解答数は25問前後。
50~100字超ほどの記述問題が2問出題されるのもここ数年の通例となっている。選択肢の問題数が多いのも特徴である。選択肢ひとつひとつが長めであるのも特色で、全体として読む分量が多くなっている点、留意して準備する必要がある。
〇長文読解
近年、文量が多くなる傾向にある。意識して読むスピードを上げる訓練をしておこう。素材文の内容は読みやすいものが多い。文学的文章は、人物の設定が受験生にも理解しやすい年齢や境遇となっているものが使われ、難易度が配慮されている。説明的文章も学生に向けて語りかける随筆のようなものが多いが、社会科学など分野的にやや高度な内容のものも見られる。全体としては難しすぎるということはない。
読解力が十分にあれば正解できる問題が多いので、国語の基本力をまずは充実させたい。文学的文章であれば、場面分けを的確にする。時間・場所・人物の移動などに着目し、場面の変わり目をマークする。人物の言動や情景などにも注意しながら、心情を読み取る。予断を持たず、あくまで文中の手がかりに沿って考える。そして全体を通して作者の描きたかったこと・主題を考える。
説明的文章であれば、段落の整理。形式段落を意味段落にまとめる。意味段落の大まかな内容を小見出しとしてつけておくとわかりやすい。要点の抽出。段落の最初と最後が大事とはよく言われることである。あとで見つけやすくまとめやすいように傍線などで目立つようにしておくと楽である。要点をまとめて要旨・要約へといたる。記述問題で使える部分もここに含まれることが多い。
〇選択肢問題・記述問題
選択肢問題は数が多く、ひとつひとつの文も長い。ただし、各選択肢の違いが明確で、無理に迷わせるような意地悪なものではない。読解がしっかり出来ていれば正解できる、実力が正確に現れる問題となっている。選択肢の中の正誤のポイントを見落とさないよう、類似問題を多くこなして十分に練習し、注意力を養っておこう。
記述問題は設問の条件をよく見ることが大事である。条件自体が文中の大事なポイントを見つける手がかりになっている場合が多い。使えそうな部分の見当が付いていれば、それを条件に合うように整えれば良い形でまとめられるようになっている。
いずれにしろ、まずは素材文をしっかり読解できていることが大事なので、国語力をつけた上で、なるべく多くの過去問をこなし、試験の特徴に慣れておいていただきたい。
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2025年度「海城中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
総解答数は26問。文量は10000字ほどあり、選択肢ひとつひとつの文も長い。全体として読む分量がかなり多いので、スピードはつけておこう。
記号選択問題が20問あるが、選択肢はポイントがはっきりしていて本文の読解ができていれば迷わず選べるので、ここでなるべく時間と得点を稼ぎたい。
2題の記述問題も、条件に沿って書く部分を的確に選べればまとめるのはそれほど難しくない。配点が高い部分なので、なるべく時間を多く割り当てて高得点を狙いたい。
【大問一】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:24分
- ★必答問題
新しく担任になった須磨先生は荒れたクラスを短期間で立て直し生徒からも好かれているが、彼が導入したシステムとクラスメイトの変化に主人公は違和感を覚える。
問一 新任で経験が少ないであろうことに加え、最初のあいさつで生徒たちを白けさせてしまった須磨は主人公には頼りなく思えただろう。そんな彼が、怖い前任教師でも対処できなかった荒れたクラスをコントロールできるとは思えなかったのであろう。
問二 通常なら、クラスの問題児である真島と唐沢に直接働きかけると考えられるが、須磨は二人には関わらず好きなようにさせ、他の生徒に働きかけることでクラスの意識を変えようとしている。それがいずれ二人をも変えることになると考えているのである。
問三 先生をあだ名で呼ぶようになったということは、親しみを感じつつ担任として認められるようになったことの表れである。授業の進め方や生徒への丁寧な接し方が受け入れられたのであろう。
問四 荒れたクラスを立て直し生徒からも慕われている須磨に、新しい仕組みの最初の係に指名され、指名された理由は分からないものの嬉しく誇らしい気持ちも感じている。
問五 褒められた人を表彰するシステムの導入で、褒められたいがために露骨に人助けをするような「白々しい雰囲気」が生じ、主人公と森島はそんなクラスの空気感がとても嫌だったようである。
問六 本音を隠して「ホメ」や「感謝」を稼ごうとする生徒たちに偽善や虚飾を感じて、そこまでして褒められたいのかとあさましく思っている。それなら、悪いことをして正直に怒られた方が潔いと、主人公は考えているのだろう。
問七 「システムの象徴となったあるもの」とは、「感謝の木」であると思われる。この掲示板について主人公は「偽善と虚飾に満ちたカラフルな塊(十五字)」と批判的な表現を用いている。
問八 本来はありがとうと素直に思うことであったはずが、「感謝」が取引きされたり買収されたりする事態に及び、果たしてそれは「感謝」なのかと、意味が分からなくなってしまったのである。
問九 皆が求める善意で満たされた社会は、一応は理想的に見える。しかしそれが打算や利己心に基づくものだとしたら、社会の真実を表現することをひとつの役割とする小説家にできることは何だろうかという疑問が、主人公に生じてしまったのである。
問十 皆が褒め合い感謝し合うクラスの雰囲気に、生徒たちは幸せを感じていた。しかしその裏には思ってもいないことをする欺瞞や見返りを求める打算が隠れており、主人公はその白々しさに嫌悪感を覚えている。
〔ワンポイント!――100字ほどの長文記述だが、「自分の考えを述べよ」といった論述タイプではない。小説であれば主人公の心情や小説のテーマ、論説文であれば要旨や筆者の意見をまとめさせるパターンが多いので、読解がしっかりできていれば答えられる問題である。ただ、100字の文章をまとめるのは簡単ではないので、同じくらいの字数での練習を積んでおくべきである。〕
<時間配分目安:24分>
【大問二】論説的随筆文の読解
- 難度:標準
- 時間配分:23分
- ★必答問題
共感が大事とされる社会で、本心を押し隠して生きる人々に自分の本当の気持ちを考えてみてほしいと望むとともに、その背景には自分の「内側から溢れみなぎる力」への恐れもあるのではないかと分析している。
問一 a. 知識 b. 規制 c. 働(かせる) d. 尊厳 e. 委(ねて) f. 人並(み)
問二 食べてみて自分が感じた事を素直に相手に伝えることだろう→選択肢イ。
問三 相手のおいしいから食べてみてという推奨に対して、自分には辛すぎると本当のことを言うと相手が気を悪くして今後の付き合いに支障が出ると考えて、本音を言わず同意するということ。
問四 友人との関係に「リスク」という経済について用いられるような無機質な言葉を生徒が使ったので、驚いたのであろう。
問五 この生徒は「このカレーは辛すぎて自分には合わない」と本当のことを言う「リスク」と、この先ずっと友人でいられる「メリット」を比較して、本音は言わずに共感して相手の気を損ねないようにする方を選ぶということであろう。
問六 次の段落で「問い詰めて鼻を明かしたいわけじゃない」「自分が滑らかに口にできることが、自分にとってどういう意味を持っているのか」「自分の内側」を知ることも大事だ、と述べている。生徒により深く考えてほしかったのである→選択肢ア。
問七 相手が何かを薦めてきたら本音は言わずに表面的に同意しておく、というのがこの生徒のあたりまえの行動なのだろう。そこに筆者からもっとよく考えてみてほしいと求められて、戸惑ってしまったのだと考えられる→選択肢エ。
問八 高校生も社会人も本音は隠して、さまざまな関係を維持するために周囲に合わせて生きているという点では同じなのである。
問九 「共感」が美徳、ともすればマナーとまで思われている社会の風潮のせいで、周りと異なる本心を口に出すことが悪いことであるかのように委縮してしまう現状が昨今見られるわけである。
問十 共感されやすい「生きづらい」という言葉を使うと、本来は自分だけの特別な経験であったはずのつらさや苦しさなどの個人的な感覚が、本物の経験として十分に感得されなくなってしまうのではないか、と筆者は危惧しているのであろう。
問十一 直後に書いてある。「あの怒りや悲しみや……力が自分には備わっていること」「自分が力を持っていると知ること」を恐れているんじゃないか、とある。同じことを前段落で「内側から溢れみなぎる力」とも表現している。そんな内面を表に出してしまうと社会から逸脱してしまうと、「自分に内在した力」そのものをも恐れるようになってしまったのではないか、というのである。しかし、そのような力を感じるときこそ、人は自分の経験を本物の体験として生き、人生を全うしているのである。だから、「共感」にばかりとらわれず、自分が感じたことは恐れずに発言し、それに従って行動するべきだと筆者は言いたいのである。
〔ワンポイント!――論説的随筆文の記述問題である。読みながら、各段落の要点、全体の要旨と思える箇所には目印をつけておこう。記述問題で使える部分がそこに多く含まれているはずである。〕
<時間配分目安:26分>
攻略のポイント
素材文と設問(選択肢)の文量の多さには注意が必要である。本文と設問の細部にまで注意を途切らせずに、とにかく全ての問題に目を通すスピードを身につけたい。
出題数の多い選択肢問題は得点しやすい問題も多いので類似問題で十分に練習し、その上で記述問題でも得点を積み上げられるよう、過去問・類似問題で経験値を上げておこう。
全体としては極端に難しい文章や問題ではないので、読解力があれば合格点に到達できる。試験対策のみにとらわれず、国語の地力といったものを十分に高めておこう。
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