攻玉社中学校 入試対策
2025年度「攻玉社中学校の国語」
攻略のための学習方法
〇分析
本校の試験は、漢字・知識の独立問題で3題、物語文・説明的文章の読解問題が2題という形が多い。
物語文は、大正~昭和前期の近代文学からの出典が多く、2020年度は久米正雄『金魚』(1924年)が用いられた。2021年度は村山由佳『約束』・2022年度は北沢あたる『なつのかけら』といった近年の作品が使われており、今後傾向が変わるかもしれないので注意しておこう。説明的文章はかなり難度の高い言葉や概念が用いられるものがあり、問題の難易度としても物語文より難しい印象である。
2017年度では2題合わせて約12000字と最難関校をも凌ぐほどの文量であったが、2022年度は計7700字ほどで文量が抑えられた。そして2023年度では約11000字とまた増えて、2025年度ではおよそ7500字とまた減っている。傾向に注意しつつ、おそらくは7000~8000字程度を目標とした対策が必要になると思われる。
ただし、試験全体としてみれば難易度自体はそれほど高くない。偏差値相当の実力があれば無理なく答えられる難しさである。設問は、選択式問題・書き抜き問題が多く出題されている。
選択式問題は、五択であり文字数の多いものもあるため、やや手間がかかる。紛らわしい内容にはなっていないので、読解ができていればあまり迷わず選べるだろう。
書き抜き問題も、目当ての部分をすぐ見つけられるように、傍線などで目立つ工夫をしておこう。
〇記述
記述問題の数は、1、2題程度で、字数の多い時で100字ほど。2025年度では70字であった。文中の適切な部分を素にまとめられるものが多いので、ここもまずは読解力が求められるところである。
〇問題文
素材文の長さは、合計で8000~10000字程度。2017年度は特に多かったが、2022年度は7700字ほどでやや少なめだったが、2023年度では約11000字とまた増えて、2024年度は約6700字・2025年度は約7500字とまた減っている。
物語文では、現代とは異なる時代を題材にしたものも目立つ。過去や未来の社会を扱った小説などをたくさん読み、現代とは異なる社会の様子や風俗に多く触れておくと、いろいろな設定も理解しやすくなるだろう。
説明的文章は、扱う題材や出てくる用語が難しい印象を受ける。この分野については難関校向けの高レベルの教材で慣れておいたほうがよいかもしれない。もっとも、問題自体の難易度は適切に抑えられているので、難しめの文章に目を慣らしておいたほうがよい、という意味と思っていただきたい。
〇知識
漢字・言葉の知識関連の問題は、毎年出題がある。基本レベルの問題の中に、いくつか難しいものが含まれている。問題数は多くないが、失えば他と差がつく部分でもあるので、読解と同様、手を抜かず取り組んでおくことが肝要である。
〇まとめ
素材文の長さや論説文の難しさから、難しい試験という印象を持たれるかもしれないが、問題自体の難易度は適度に設定されており、合格者平均点も五割五分~六割五分といったところなので、最初の印象にとらわれなくてもよい。意地悪な試験ではない。
国語の試験対策の王道に従い、語彙を増やし読解力をつけて、試験に臨もう。
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2025年度「攻玉社中学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
漢字の読み・書き取り・熟語の知識関連・物語文・論説文という全体構成である。
長文2題で合わせて7500字ほどと、2023年の11000字からは大幅に文量が減った。試験全体としての難易度に大きな変化はないので、今後の文量の増減が注目される。
だが、総解答数37問で選択肢も五択であり、全体のボリュームは大きい。スピードは必要とされるので、過去問を多くこなして速さを身につけたい。
【大問一】漢字の読み
- 難度:標準
- 時間配分:2分
- ★必答問題
1. じちょう 2. ふっけん 3. ふんぱつ 4. ひけん 5. いさぎよ(し)
【大問二】漢字の書き取り
- 難度:標準
- 時間配分:2分
- ★必答問題
1. 均整 2. 善処 3. 刷新 4. 展望 5. 蒸(し)
【大問三】同音異字
- 難度:標準
- 時間配分:3分
- ★必答問題
1. 対象・大賞・隊商・大将→イ
2. 機器・危機・鬼気・喜々→エ
3. 異常・委譲・移乗・以上→ア
4. 換気・乾季・歓喜・喚起→オ
5. 工場・厚情・口上・恒常→エ
〔ワンポイント!――言語事項が冒頭にまとまっているのは親切である。もしわからない問題があっても気にせず先に進むこと。ここでいきなり時間を使ってしまうと焦りにつながる。〕
<時間配分目安:大問1~3 合わせて 計7分>
【大問四】小説の読解
- 難度:標準
- 時間配分:21分
- ★必答問題
模試の成績と料理のことで母と仲違いしている主人公。祖母との会話で自分の非に気づき、前向きな気持ちになる。
問一 弟から素直に料理をほめられて、嬉しいが照れくさく、おどけた口調で返したのだと思われる。
問二 仲違いしている母が自分の作ったそばをほめている声が聞こえ、わざと聞こえるように言ったのか独り言なのかはわからない(→選択肢ウは当たらない)が、素直に嬉しいと感じている→オ。
問三 はっきりとはわからない程度に調味料を使い味に深みを出す方法を「かくしあじ(隠し味)」という。
問四 エ
問五 料理が好きな様子である主人公がその好きなもののことで思い悩んでいるので、話をして気落ちをほぐしてあげられないかと考えているのだろう。
問六 「食べ物は身体と同時に心も育てる」「身体だけが丈夫でも心が育っていなければだめである」といった祖母の考えから、選択肢アを選べる。
問七 祖母の言葉の中で、とくに「お母さんのこと」を素直に考えてみる……の部分が心に響いたようである。後の段落で「母が悪い、そう決めつけて耳を塞いだのもただのわがままだ」と気づいたことが独白されている。祖母の言葉は今まで考えていなかった自分の非に気づかせてくれたのである。
問八 問七の答えと合わせて考えると、気づいたことで母に謝ろうと思えて、行き詰まった現状を前に進められるかもしれないという希望が感じられたのであろう。
問九 オ
〔ワンポイント!――本校の試験は選択肢問題が中心である。五択であるため読む量が多くなり、消去法で消しても残り二つで迷う場面が多いだろう。一語一語しっかり吟味して、本文との一致点・相違点を見分けよう。〕
問十
1. 祖母との会話をきっかけに、主人公は精神的に成長できたので、「殻を破る」が合う。
2. 愛情を包み込んだ出汁巻き卵・祖母の愛情で包み込まれた主人公など、「包み込む」イメージが読み取れる。卵料理が主なモチーフになっているので、卵を巻くイメージも「包み込む」につながっているとも考えられる。
<時間配分目安:21分>
【大問五】論説文の読解
- 難度:やや難
- 時間配分:22分
- ★必答問題
龍というイメージの起源が、農耕・治水・為政者の権力と蛇との関わりをもとに語られている。
問一
A. 「西方の龍」との対比で、「ただし」中国の龍は……敵対者とはみなされない。
B. 敵対者どころか「むしろ」聖なる動物であった。
C. 聖なる動物であり、「しかも」水の神・王権のシンボルでもあった。
D. 禹の甲骨文は蛇で構成されている。「したがって」、禹も蛇あるいは龍の王と考えられていた。
問二 Ⅲの段落群を要約すると、インドとエジプトで「龍らしい龍」が出現しなかったのは、コブラという強力なヘビが存在したので「特別な怪獣」を創造する必要がなかったから、ということである→選択肢ウ。
問三 インダス文明にも蛇の信仰はあったが、それを龍らしい龍にかえることは「なかった。」すでにインダス文明(まだ蛇)とメソポタミア文明(すでに龍)との交流があったはずなのにである……、と言う流れでうまくつながる。
問四 禹が帝に即位できた経緯が水を治めた具体例として挙げられる→選択肢ア。
問五 治水に成功した者が権力を握れることから、水の神とあがめられる蛇、さらに強大なイメージをもつ龍へと、王権のイメージを強化していったのだと考えられる。
問六 「二匹の蛇から構成される」とあるので、選択肢アが当てはまる。
問七 「自然を人間に敵対するものとはみない」「治水という人為を否定するものではないが」「征服よりも自然に従うことを理想とする」「自然との一体化=無為自然を求めた」といった哲学であるから、選択肢イとオが合う。
問八 蛇をさらに特別な存在=龍として王権の象徴にしていった→選択肢エ。
問九 問二(段落群Ⅲ)を参照のこと。
問十 オ
問十一 「龍らしい龍」が生まれた理由として、メソポタミア文明圏や黄河流域にはコブラのような絶対的強者(無敵な存在)が存在しなかったことが挙げられる。為政者の権力の象徴とするには蛇をさらに強大なイメージである龍に昇格させる必要があったのである。絶対的な蛇がいなかったことが、架空の存在=龍を生み出す想像力をもたらしたということであろう……と内容としてはこんな感じでまとめられるが、「龍・蛇・コブラ」を使うなと言う指定があるので、それぞれを「架空の生物・現存の生物・無敵な存在」などと言い換えて記述すればよいだろう。
〔ワンポイント!――使えない語があることで困ってしまったかもしれないが、その語さえ使わなければいいわけで、同じ内容の別の表現なりで言い替えてしまえばよいのである。〕
<時間配分目安:22分>
攻略のポイント
最新年度は文章量が昨年より少なかったが、難易度自体には大きな変化は無い。合格者平均点は年度により多少の上下があるようである。
物語文と比べて論説文は難解な傾向があるので、説明的文章が苦手な人は十分に練習しておくこと。
また、物語文は現代と異なる時代が題材になることが多いので、その点も留意しておかれたい。
漢字・言語事項も難しいものが含まれるので、そのつもりで学習に取り組むように。
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