芝中学校 入試対策
2025年度「芝中学校の理科」
攻略のための学習方法
芝中理科の満点は75点、今年度の合格者平均点は42.3点で、昨年より易化している。塾などのテキストで学習してきたことを使えば解くことができる標準レベルの問題が中心であるが、ややレベルの高い問題も含まれている。各単元の基本知識を早い段階で固めた上で、物理・化学の計算問題を中心に、レベルの高いものまでしっかり練習しておくべきであろう。
芝中学合格へ向けての理科の学習法としては、まず各分野の基本事項を早い段階でしっかり固めることが第一である。分野、単元にこだわることなく、テキストに書かれてある基礎知識を、夏休みを目途にしっかり身につけてもらいたい。覚えたかどうかのチェックもしっかりと行うこと。最終的な知識の確認を行うためには、塾のテキストやご家庭でこれまでに解いたことのある問題集を用いればよい。その際、過去問に出ている単元だけに的を絞って覚えることは危険であり、どの単元が出題されても大丈夫なように、まんべんなく学習して欲しい。実験や観察の進め方、実験器具の使い方なども過去に何度か出題されており、覚えておくべき重要なポイントとなる。化学分野の実験、光合成など植物に関する実験、上皿天秤・顕微鏡等の使い方なども理解し、覚えて欲しい。どの分野の出題についても言えることとして、実験や観察の結果(表・グラフなど)をもとに考察させる問題の比率が高い。同様のタイプの問題演習をしっかり行いたい。
計算問題については、化学分野では溶解度と濃さ・中和反応・気体の発生・金属の燃焼など、特に比を用いて解く問題の練習をしっかり行うこと。物理分野ではてこ・滑車・浮力など力のつりあいに関する計算問題は演習を積み重ねることにより早めに定着させておきたい。その他の単元では、出題頻度の高い「電気」「天体」についての学習に時間をかけること。電気に関しては、豆電球の明るさの他に、電熱線の発熱、電流と磁界などについても演習を十分行うこと。
天体に関しては、単なる丸覚えではなく、地球の自転と公転、月の公転などを理解した上で、問題演習に取り組むこと。9月以降は総合的な問題の演習を通じて、実戦力を上げていく時期になる。(そのためにも夏休みまでの基本の定着が必要)芝中過去問の演習はもちろんのこと、他校の過去問であっても同じような傾向の問題には取り組んで欲しい。取り組むべき問題の選択に関しては、家庭教師も有効に利用して欲しい。
過去問・模試・その他の問題演習で大切なことは間違えた問題に対しての取り組みである。間違えた問題のやり直しはもちろんのこと、なぜ間違えたのかを分析し、その後の学習にしっかりつなげて欲しい。苦手分野の分析やその対策については家庭教師を有効的に使って欲しい。
最後に時間の使い方だが、各大問における実験・観察の説明が長く、40分で5つの大問を解き切ることは決して楽ではない。しかし慌てることなく、「問題文をしっかり読み理解する」という時間はしっかり確保したい。わからない問題はいったん後回し、できる問題は確実に、計算問題は冷静で丁寧にという気持ちで。空欄が一つ二つあっても慌てることは禁物である。日頃の問題演習、模試、過去問においても、落ち着いて取り組むことをこころがけてもらいたい。
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2025年度「芝中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問数は5、小問数は33、試験時間は40分で例年通りであった。記号選択問題が中心で、計算問題、グラフを完成させる問題も見られた。問題数が多く、長めの文章や図、データを読み取って答える問題が中心であるために、40分はかなり短く感じられるであろう。できる問題から解答欄を埋めていくという意識が必要である。過去問などを使って時間を意識した問題演習もしっかり行って欲しい。
【大問1】小問集合
- 難度:標準
- 時間配分:5分
- ★必答問題
大問1は毎年恒例、芝太郎君が登場する総合問題。長めの会話文を読んだ上で答えるタイプの小問集合。
(1)園芸用土の名前と説明を結びつける問題。赤玉土⇒関東ロームの赤土 鹿沼土・たくさんの穴⇒軽石 腐葉土⇒発こうして土になった バーミキュライ・平たい破片⇒黒雲母 と結びつけること。
(2)
(a)虹の色の並びは、赤⇒黄⇒緑⇒紫
(b)東の空に虹が見えるのは、夕方太陽が西に沈むころ。太陽と虹の見える方角は逆になる。
(3)植物のどの部分を食用にしているかの選択問題。ラッカセイ・トウモロコシ・コメはいずれも種子を食べている。
(4)高温の油に水が入ると、瞬時に水が水蒸気になり、このとき油がはねのけられる。
(5)スイカとメロンの断面を選択する問題。種子の位置に注目すること。
大問1は例年通り各分野からの小問を集めた総合問題。(3)の植物のどの部分を食用としているかについての問いは、中学入試でしばしば見受けられる。果実を食用としているもの、葉を食用としているものなど、これを機会に整理してみよう。
【時間配分目安:5分】
【大問2】地学分野 天体の観察
- 難度:標準
- 時間配分:6分
- ★必答問題
(1)360度を12等分しているので、1目盛り分が30度。星が1目盛り半の45度動いて見えるので、45÷15より3時間。
(2)5本の線の端を結ぶとW字となるので、「カシオペヤ座」。
(3)北の空の星は、1時間に15度、同じ時間に観察すると、1か月に30度反時計回りに動いて見える。従って、1か月後2時間前に同じ星空が見える。
(4)カメラについた水滴と窓ガラスについた霜は空気中の水蒸気、霜柱は地面の中にあった水が変化したもの。
(5)問題文より、星の観察をしていたのは冬。冬には北西から季節風が吹く。
(6)半年前に見たのは夏の大三角。夏の大三角は、はくちょう座のデネブ・こと座のベガ・わし座のアルタイル。
(7)惑星は太陽の周りを公転している8つの星である。恒星は太陽系外のはるか遠くにある。選択肢アの「恒星は自分から光を出している」は事実だが、惑星に含まれない理由ではないことに注意。
(8)新月の日は、地球上のどこで見ても新月である。また、地球の自転の向き・月の公転の向き、いずれも反時計回りである。
星の動きを中心とした天体の観察に関する出題。難問は含まれていないが、幅広い知識が問われる内容。天体の動きに関しては、地球の自転と公転および月の公転と結びつけて、なぜそのように見えるのかを理解することが大切である。
【時間配分目安:6分】
【大問3】物理分野 力のつり合い
- 難度:標準
- 時間配分:12分
- ★必答問題
(1)グラフより、ばねは10gで1㎝伸びるので、60gでは6㎝伸びる。
(2)60×2より、おもりの重さは120g。
(3)棒のつりあいを考えると、2つのおもりの重さは等しいことがわかる。おもり2つ分の重さが、60×6の360gになるので、360÷2より180g。
(4)ばねばかりに表示された重さとおもりの重さの比は、ばねばかりを動かした長さとおもりが動いた長さの逆比になる。従って、60÷6より10㎝。
(5)おもりDの重さは、60×6-90より、270g。
(6)棒の中心から15㎝の位置に90gのおもりをさげたので、棒のつり合いを考えると、棒の中心から10㎝、左端の動滑車の中心から50㎝のところに取り付ければよい。
(7)滑車の重さも含めた重さの合計が450gになるので、ばねばかりにかかる重さは450÷6より75g。従って、ばねの伸びは7.5㎝。
次に、おもりFを取り付ける位置を求める。左端の滑車の中心に50gの重さがあると考える。棒の中心を支点としてつり合いの計算をすると、反時計まわりの回転力は10×250+40×50より4500。従って、4500÷150より、棒の中心から30㎝の位置となる。
(8)おもりFには90gの浮力が働く。ばねの伸びが2㎝になったことから、20×6より糸にかかる重さの合計は120g。120-(150-90)-50より、おもりGは10g。
次に棒の中心を支点としてつりあいの計算をすると、滑車の重さによる反時計回りの回転力は40×50より2000。水に入ったおもりFによる時計回りの回転力は、30×60より1800。2000-1800より時計回りの回転力が200足りないので、200÷10より、おもりGを取り付ける位置は棒の中心から右に20㎝、左端の滑車の中心からでは60㎝となる。
力のつり合いに関する出題。てこ・滑車・浮力・ばねの伸びといろいろな要素が盛り込まれており、力のつり合いに関する総合力が求められる。(7)はやや難しく、(8)は難度が高い。(6)までを確実に計算し、(7)以降はすべての大問を考えた後に戻って取り組む、といった作戦も考えたい。
【時間配分目安:12分】
【大問4】化学分野 水溶液
- 難度:標準
- 時間配分:10分
- ★必答問題
(1)固体を溶かしたアルカリ性の水溶液を選択すると、重曹水・水酸化ナトリウム水溶液・石灰水が該当する。
(2)上方置換法で集めるのは、空気より軽い気体が溶けているアンモニア水。
(3)96%のアルコール水溶液100gには96gのアルコールが溶けている。96÷0.8より、水溶液の重さを120gにすればよいので、加える水の重さは20g。
(4)
①10%で200gのホウ酸水には、20gのホウ酸が溶けている。水の重さは180g。20℃で100gの水にホウ酸は5g溶けるので、180gの水には、5×1.8より、9gのホウ酸が溶ける。従って、20-9より、11gのホウ酸が結晶として出てくる。
②200gで40℃の水には18gのホウ酸が溶ける。従って、18+6より、24g。
(5)A~Dの各固体が、50℃と0℃で何gまで溶けるかを確認すると、Bが30g、Aが10gのとき、Bだけが約23g結晶として出てくる。
(6)実験結果のグラフより、塩酸50㎤と水酸化ナトリウム水溶液50㎤で過不足なく反応して、6gの食塩ができることがわかる。また、水酸化ナトリウム水溶液50㎤の中に4gの水酸化ナトリウムが溶けていることもわかる。以上のことを利用してグラフを完成させる問題。
①水酸化ナトリウム水溶液50㎤の中に塩酸を加えていくので、塩酸を加えていないときも、水を蒸発させると4gの固体が出てくる。塩酸を50㎤加えると、出てくる固体(食塩)は6gとなり、その後は塩酸を加えていっても固体の重さは増えない。
②塩酸が0㎤、水酸化ナトリウムが100㎤のとき、出てくる固体は8g。いずれも50㎤のとき、出てくる固体は6g。塩酸が100㎤、水酸化ナトリウム水溶液が0㎤のとき、固体は出てこない。
水溶液に関する出題。水溶液の性質、濃さ、溶解度に関する問題、中和反応のグラフと、多くの内容が詰め込まれており、水溶液に関する総合力が問われる内容になっている。(6)で出題されたグラフの形状について、2つのグラフの形の違いを理解することが、中和反応を理解する最大のポイントである。
【時間配分目安:10分】
【大問5】生物分野 ヒトの血液
- 難度:やや難
- 時間配分:7分
- ★必答問題
(1) Xは赤血球で、酸素を運ぶ働き。Yは白血球で、細菌を殺す働き。
(2)赤血球と白血球の個数に関する問題。知らないと解けない問題だが、問題文中の「血球Xはとても数が多くて・・・・血球Yは、視野の中にだいたい1個しかないね」がヒントになる。
(3)赤血球の色は赤血球の中の「ヘモグロビン」による。
(4)赤血球は中央がへこんだ形状をしている。
(5)
Ⅰ ユウトの血液は構造BだけをもっているのでB型。ナツミは構造A・構造Bいずれも持っていないのでO型。
Ⅱ A型またはB型は34人、B型またはAB型は20人、AB型またはO型は20人となる。これより、A型とB型の人数の和は30人、差は14人となるので、(30+14)÷2よりA型は22人、B型は8人となる。
ヒトの血液に関する出題。(4)までは知識問題が中心であり、(2)以外は確実に正答して欲しい。(5)は血液型に関する問題で、問題文に書かれてある内容の理解が必須。その上で、実際の計算は算数の集合算であり、ベン図や線分図に整理して考えればよいであろう。
【時間配分目安7分】
攻略のポイント
例年通り各分野からからの出題であった。全体的に知識だけで解ける問題も見られるが、思考力・計算力を必要とする問題も見られる。大問1の総合問題は例年通り、大問2以降は実験や観察についての長めのリード文や図・グラフ等を読み取った上で答えるタイプの問題が中心になっている。
ここ数年の出題傾向を見ると、力のつり合い・天体など出題頻度が高い単元もあるが、過度の固定観念は危険であり、どの分野から出題されても大丈夫なように、しっかり準備をして欲しい。
まずは各分野の基本をしっかりと固めた上で、計算問題、実験や観察の結果・データ・表・グラフなどについて考えるタイプの問題の演習に時間をかけて欲しい。
試験時間は40分と十分な時間があるとは言え、問題数が多い。過去問等試験時間を意識した問題演習も必須である。
志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談
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