明治学院高等学校 入試対策
2025年度「明治学院高等学校の国語」
攻略のための学習方法
知識
「高度な語彙力」だけではなく、「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる「明学の国語」(直接出題だけではなく、「本文読解」等でも必然的に問われる)。
「攻略」するにはいかなる「学習法」があるのか? 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。
過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「内容理解」にも不可欠だ。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。
なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」からスタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)などがオススメ。
解法
「明学の読解」で勝利するための鍵は、「問題解説」でも触れたように「解法」をいかにうまく用いるかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」(随筆)、それぞれに応じた特有の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。
そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。
速読
合計で7000~8000字程度を読解しなくてはならない。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。
「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。明学に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。
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2025年度「明治学院高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問一は「論説文」、出典は千住博「芸術とは何か――千住博が答える147の質問」(文字数約2100字)。小問は全9問(解答数10)。「選択肢」(「空所補充」、「本文内容合致」あり/マーク式)、「抜き出し」/記述式、「漢字の読み」(2問/記述式)。問題文は2分程度で読み切り、設問を11分ほどで解きたい。大問二も「論説文」、出典は桑子敏雄「何のための『教養』か」(文字数約3100字)。小問は全7問(解答数8)。「選択肢」(「空所補充」、「本文内容合致」あり/マーク式)、抜き出し」/記述式、「漢字の書きとり」(2問/記述式)。問題文は4分弱で読み切り、設問を13分強で解きたい。大問三は「小説」、出典は津村記久子「文学2023」所収の「二千回飲みに行ったあとに」(文字数約3000字)。小問は全12問(解答数14)。「選択肢」(「空所補充」、「本文内容合致」、「総合的知識問題」あり/マーク式)、「漢字の読み・書きとり」(3問/記述式)。問題文は4分弱で読み切り、設問を16分強で解きたい。
【大問一】
- 時間配分:13分
芸術とは何か? 人間とは何か? ――このストレートで根源的な問いに答えている。インターネットは芸術をどう変えたか? 芸術家は才能か技術か? 人間はなぜ絵画を描くのか? 等々、147の質問に、画家・千住博が考察し答えている。本文では、「絵画」とは何か? 「すぐれた絵画」とは何か? 等々について論じている。平易に述べられているので、内容は理解できるはずだ。本校ならではのバラエティーに富んだ小問が並んでいる。以下、いくつか検討してみよう。
[問甲] 「漢字の書きとり」/記述式。傍線部(X)・(Y)を「漢字」に改める。本校の「漢字問題」としては標準レベルだ。だからこそ、本校志望者であれば「全問正解」が必須だ。確認しよう。「内容が(X)キハクと感じさせて……」⇒「希薄」⇒もちろん、「うすい」ということだ。「(Y)クウキョな印象……」⇒「空虚」=「何もない」ことだ。
<時間配分目安:全問で1分弱>
[問乙] 「内容説明抜き出し」(「20字以内」指定の「始めと終わりの5字」)。傍線部①の「洞窟壁画」とは「人間にどのようなものが備わっているために発生したのか」を、「二十字以内」で探し、「始めと終わりの五字」を抜き出して答える。「抜き出し問題」では、「抜き出すべき内容」を捉えた上で「抜き出し範囲」を特定し探していく。本問の「内容」は設問どおりで、「洞窟壁画を発生させた、人間に備わっているもの」になる。「範囲」は「同一意味段落」になる(「論説文」「説明文」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)。ここでの「同一意味段落」は本文の最初から2つの形式段落だと判断できる。丁寧に探していきたい。すると、傍線部の3行前に「人間は感動をコミュニケーションしたくなる本能がある……」という部分がある。「人間は感動をコミュニケーションしたくなる本能がある」⇒「洞窟壁画」を発生させた⇒「内容」はふさわしいし、「字数」もOKだ。そして、「範囲」には他にふさわしい「候補」もない。よって、「答え」は「感動をコミ~くなる本能」となる。尚、「抜き出し問題」では「候補」はひとつとは限らない。「範囲」を網羅的に確認し、全ての「候補」を確認してみることが肝要だ。
<時間配分目安:2分ほど>
[問1] 「理由説明選択肢」(4択/マーク式)。傍線部②「絵を描き人と人が何かを伝えあおうとするということは、人間の人間たる行為と言える」について、「それはなぜか」を答える。「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。ここは「理由説明」なので、「人間の人間たる行為と言える」ことの「直接的理由」として結びつかない「説明」を「消去」したい。各選択肢の「文末」⇒「だから」⇒「人間の人間たる行為と言える」とつながるかどうかだ(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)。確認する。(A)「(絵を描くことは)保存する役割を担っているから」、(B)「(絵を描くことで)他者と共有できるから」、(C)「(絵を描くことは)知能や技術が必要とされるから」、(D)「(絵を描くことで)指示を伝えることができるから」。さあ、どうだろうか? [問乙]で確認したように、「人と人が何かを伝えあおうとするということは、人間の人間たる行為」なのだから、「他者と共有できるから」以外は「消去」できなくてはいけない。念のために、「同一意味段落」で他の部分の説明を確認しても、特に誤っていないと分かる。よって、「答え」は(B)になる。実に清々しい「一発消去」ではないか。 「原意消去」を徹底的に練習し、応用できるようにすべし。
<時間配分目安:1分強>
[問2] 「空所補充の表現選択肢」(4択/マーク式)。本文中の空所【 あ 】に「あてはまる内容」を答える。空所前後は「つまり、【 あ 】です」となっている。つまり、その前の部分の「換言内容」ということになる。読み取ると、「絵画は人と人がコミュニケーションをするために生まれた」「絵画を見て、見ず知らずの人と人の間にコミュニケーションが生まれることもある」ということになる。各選択肢は、(A)「絵画とは意志疎通のベース」・(B)「絵画とは知的活動のエネルギー」・(C)「絵画とは情報伝達のツール」・(D)「絵画とは芸術のエッセンス」。無論、「答え」は(C)の「絵画とは情報伝達のツール」だ。
<時間配分目安:30秒>
[問7] 「本文内容合致選択肢」(4択/マーク式)。「本文の内容に合致するもの」を答える。本文は「論説文」なので、「本文内容合致」=「論旨内容合致」となる。本文は明らかに「双括型」なので、「論旨」は「序論部分」+「結論部分」で述べられていることになる。本文の場合、「序論部分」は最初から4つの形式段落、「結論部分」は最後の5つの形式段落だと判断できる。各選択肢の「説明」と照合し、正誤判別したい。(A)「筆者は人間と他の動物の性質を比較した上で、絵画発展の必然性を解いている……」⇒「比較」はしていない=不適切。(B)「絵が描かれてきたのは言葉によるコミュニケーションに限界があったため……」⇒「絵画」は「人間の、感動をコミュニケーションしたくなる本能」から生まれた=不適切。(C)「すぐれた絵画を描くための手法は、結果として人間性の向上につながる……」⇒「技術」だけが優れていても「すぐれた絵画」とはならない=不適切。(D)「絵の本質は人間の内部にある……」⇒「自分の内面」を磨いて、しかるべき技術によって表現したものが「すぐれた絵画」だ=適切。よって、「答え」は(D)になる。尚、「小説」の「本文内容合致」の場合は、本文全ての内容と照合する必要があり、とても「手間ひま」がかかる。よって、「あとまわし」にすべきだ。無論、「捨て問」でも構わない。
<時間配分目安:2分>
【大問二】
- 時間配分:17分
教養とは何か? 教養を身につけるとはどういうことか?――古今東西繰り返されてきた問いに、教養の力で人々の合意形成を図ってきた「地を這(は)う哲学者」が真正面から取り組んでいる。本文では、教養とは自発的かつ主体的に学ぶことによって身についたもののことであり、自らの身を守る力になると指摘している。内容は難なく理解できるはずだ。【大問一】と比べるとオーソドックスな小問構成。いくつかの「設問」を考えてみたい。
[問丙] 「漢字の書きとり」/記述式。傍線部(Ⅰ)・(Ⅱ)を「漢字」に改める。【大問一】よりさらに平易だ。無論、「全問正解」が必須だ。確認する。「(Ⅰ)フユウな家庭……」⇒「富裕」⇒も問題なし。「(Ⅱ)ヒンコンな家庭……」⇒「貧困」。
<時間配分目安:全問で30秒>
[問9] 「比喩換言選択肢」(4択/マーク式)。傍線部②「この場合の『誤る』は、数学の解答を誤るという意味ではない」について、「『数学』とは何をたとえたものか」を答える。ここは「比喩換言」なので、流石(さすが)に「原意消去」は難しい。「同一意味段落」から「比喩内容」を読み取っていきたい。傍線部の直後に「正しい答えを出せなかったということではない」という一文がある。つまり、「唯一の正しい答え」があるのが「数学」というものだと考えられる。各選択肢の「文末」を確認する。(A)「ただ一つの正解があるもの」、(B)「問題の解き方に個性が出るもの」、(C)「簡単に正答を導き出せるようになるもの」、(D)「教養を身につけた人だけが正解できるもの」。当然ながら、「ただ一つの正解」以外は「消去」できるはずだ。念のために、「同一意味段落」で他の部分の説明を確認しても、特に誤っていないと判断できる。よって、「答え」は(A)だ。改めての「一発消去」! やはり、「原意消去」は本校合格のためのショートカットだ。練習と応用は必須だ。
<時間配分目安:1分強>
[問10] 「内容説明選択肢」(4択/マーク式)。傍線部③「人生には、所与でもなく、選択でもない広大な領域が広がっている。遭遇という領域である」について、「『所与』『選択』『遭遇』の関係」を答える。「これら三者の関係」を「同一意味段落」から読み解いていく。人間は、「所与としての人生」の中で「さまざまな人々や出来事に遭遇」し、その「遭遇」によって「さまざまな選択肢が生まれ」、その「選択」によって出会う「さまざまな人や出来事や風景」が「人生の彩り」となるといった関係性がわかるはずだ。したがって、「所与のもとで何かと遭遇することによって選択が生じ、その結果が人生を豊かにする」と説明されている選択肢(B)が「答え」だと判別できなくてはいけない。本校では、本問のような単純な「原意消去」では解けない問題もあるということだ。覚悟せよ。
<時間配分目安:2分強>
[問11] 「換言説明選択肢」(4択/マーク式)。傍線部④の「生きるための底力」とは「何を指しているか」を答える。最初に「原意消去」を試みたい。ここは「換言説明」なので、「底力」の「原意」と結びつかない「換言」を「消去」する。各選択肢の「文末」と照合する。(A)「正しい選択をするための教養」、(B)「希望としての教養」、(C)「確かな力となる教養」、(D)「命綱としての教養」。「底力」なので、「確かな力」以外は「消去」すべきだ。念のために、「同一意味段落」で他の部分の説明を確認しても、特に誤っていない。よって、「答え」は(C)だ。ここも「一発消去」ではないか。 「原意消去」を用いないわけにはいかない。
<時間配分目安:1分強>
【大問三】
- 時間配分:20分
定年退職する「丸岡さん」の送別会をどこでやるか。「丸岡さん」は会社員をやりながらもう二千回くらい飲んでいるので、もう飲み会に気を遣うことがいやになっているのだということが分かる……、最終出勤日の昼に、有志で行ったカフェでのいとしい様子が描かれている。「内容読解問題」にはさまれいくつもの「総合的知識問題」があるといった大問だ。以下、いくつかの「設問」を確認する。
[問戊] 「漢字の読み書き」/記述式。傍線部①・③を「漢字」に改め、②の「読み」を記す。他の大問と比してやや難解だ。確認したい。「①カジョウに興味を示し……」⇒「過剰」⇒これは書けるはず。「②無下に断る……」⇒「むげ」⇒これは難解か?⇒「そっけなく。むやみに」という意味⇒「無下に断る」という用法が多い。「③シレンを与える……」=「試練」⇒これは問題なく書けなくてはいけない。
<時間配分目安:全問で1分>
[問14] 「理由説明選択肢」(4択/マーク式)。傍線部(2)の「コミュニケーションについて諦める部分が多くて楽だ」のように「思った理由」を答える。「原意消去」を先ずは試みたい。ここは「理由説明」なので、「諦める部分が多くて楽だ」の「直接的理由」として結びつかない「理由」を「消去」する。各選択肢の「文末」⇒「だから」⇒「諦める部分が多くて楽だ」とつながるかどうかだ。「選択肢説明」の「文末」を確認する。(A)「理解しようと努める必要がないだろうから」、(B)「いちいち説明しなくてもよいだろうから」、(C)「気を遣わずに済むだろうから」、(D)「指示通りに動いていればよいだろうから」。「諦める部分が多く」て「楽」ということは、「理解しようと努める必要がない」以外は「消去」できると判別できなくてはいけない。念のために、「同一場面」で他の部分の説明を確認しても、特に誤っていないと判断できる(「小説」では「同一場面の直前直後」に「ヒント・手がかり」がある)。よって、「答え」は(A)だ。「小説」でも「一発消去」できた。 やはり、「原意消去」を徹底的に練習し、応用できるようにしなくてはならない。
<時間配分目安:1分強>
[問15] 「空所補充の語句選択肢」(4択/マーク式)。「総合的知識問題」。「慣用句」。本文中の空所[ 1 ]に入る「適切な語句」を答える。空所前後の「文脈」から、「失望」という意味になると分かるはずだ。各選択肢は、(A)「胸をなでおろした」・(B)「手をこまねいた」・(C)「腹をくくった」・(D)「肩を落とした」。無論、「答え」は(D)の「肩を落とした」になる。「肩を落とす」は必須定着慣用句のひとつだ。「がっかりして力が抜けて肩が垂れ下がる様子」を表し、「落胆する」「気落ちする」といった意味。尚、他の「慣用句」についても怪しいものがある諸君は、しっかりと確認しておくこと。
<時間配分目安:30秒>
[問17・18] 「空所補充の語句選択肢」(全2問。4択/マーク式)。「総合的知識問題」。「外来語」。本文中の空所[ 2 ]・[ 3 ]に入る「適切な語句」をそれぞれ答える。空所前後の「文脈」から、[ 2 ]は「考え方」・[ 3 ]は「需要」という意味になると判断できる。各選択肢は、(A)「ポテンシャル」・(B)「ニーズ」・(C)「コンセプト」・(D)「サプライズ」。「答え」は、[ 2 ]=(C)の「コンセプト」(物事の基本的な考え方や方向性を表す「概念」「構想」のこと)・[ 3 ]=(B)の「ニーズ」(必要とするもの)だ。ちなみに、(A)の「ポテンシャル」=「可能性」、(D)の「サプライズ」=「驚き」「思いがけないこと」。確認しておこう。
<時間配分目安:全問で1分弱>
[問19] 「理由説明選択肢」(4択/マーク式)。傍線部(4)で「手強い」と言っている「理由」を答える。「原意消去」から。本問は「理由説明」なので、「手強い」の「直接的理由」として結びつかない「理由」を「消去」する。各選択肢の「文末」⇒「だから」⇒「手強い」とつながるかどうかだ。「選択肢説明」の「文末」と照合する。(A)「本心を推し量ることができないから」、(B)「全くイメージが浮かばなかったからから」、(C)「店選びが容易ではなさそうだから」、(D)「非常に苦痛だったから」。「同一場面の直前直後」から、「理由」を読み取りたい。「私」が、「存在は知っているけれども行ったことはない店」まで提案したにもかかわらず、どれも「丸岡さん」がすでに行ったことのある店だったということが分かる。よって、(C)の「店選びが容易ではなさそう」以外は「消去」できると判別できると分かる。念のために、「同一場面」で他の部分の説明を確認しても、特に誤っていないと判断できるので、「答え」は(C)になる。「小説」では「同一場面」を正確に読み解くことが肝要だと心得よ。
<時間配分目安:1分強>
[問21] 「換言説明選択肢」(4択/マーク式)。「総合的知識問題」。「語句の意味」。傍線部(6)の「『既視感があ』る」とは「どういうことか」を答える。「既視感」とは「一度も体験したことがないことや見たことがないものなのに、すでに経験したことや見たことがあるように感じてしまう」ことだと知っているはずだ。各選択肢は、(A)「見慣れていて親近感があること」・(B)「奇抜で強く印象に残っていること」・(C)「見覚えがあって目新しさがないこと」・(D)「過去の記憶が鮮明によみがえること」。当然ながら、「答え」は(C)の「見覚えがあって」になる。ちなみに、「既視感」はフランス語の「déjà-vu(デジャヴ)」の日本語訳であり、「デジャブ」「デジャヴィ」などとも呼ばれる。
<時間配分目安:30秒>
[問22] 「心情説明選択肢」(4択/マーク式)。傍線部(7)「後一年ぐらい会社にいてくださいよ、と呟(つぶや)いた」と呟いた「角山君」の「気持ち」を答える。本問は「心情説明」なので、「後一年ぐらい会社にいてくださいよ」という「呟き」の「原意」と結びつかない「心情」を「消去」する。「選択肢説明」の「文末」をチェックしたい。(A)「いなくなることが急に寂しくなった」、(B)「責任を果たしたかった」、(C)「(丸岡さんに)もう少しいてほしいという気持」、(D)「(丸岡さんが退職することが)名残惜しい」。「後一年ぐらい会社にいてください」と「呟いた」のであれば、「急に寂しくなった」以外は「消去」できると判断できる。念のために、「同一場面」で他の部分の説明を確認しても、特に誤っていないと判断できるので、「答え」は(A)だ。尚、「小説」での定番である「心情把握」は、「セリフ」⇔「ト書き」⇔「動作」⇔「情景」の連関で捉(とら)えるのが定石だ。
<時間配分目安:1分強>
攻略ポイント
●あらゆることが問われる「総合的知識問題」。出題数が多く、難問も多い。しかも、直接的な出題だけではなく、問題文の内容理解でも「高度な語彙力」等が問われる。いかに「攻略」するか? 本校を志望したその時点から、独自に「幅広い知識」を常に習得していくことが重要だ。学校や塾での学習だけでは全く不十分。「独習」は欠かせない。本校の「合格ライン」は7割強(男女合計の過去5年間の「3科目合計合格最低得点率」は72.7%、本年度は上昇して77.5%)。「知識」での失点は致命的になると心得よ。
●なかなか一筋縄ではいかない「読解問題」。どうするか? 「選択肢」「空所補充」「抜き出し」などの「形式」で、「換言説明」「理由説明」「指示語説明」「文脈」などの「内容」が問われる。とにかく、「設問内容」を正確に捉え、それぞれに応じた「解法」を的確に用いることが最優先。そのためには、基本的「解法」を完全に習得して、自分自身の「ツール」としておくことが重要だ。「読解問題」での「失点」を防ぎ、「得点力」を安定させなくてはならない。
●「解答形式」にも注意する必要がある。「マーク式」と「記述式」が混在しているので、「解答」する際には確認が欠かせない。また、「マークミス」が往々にしてあるので、十分に「マークシート」に慣れておくこと。
●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意をすること。問題文は従前の7000~8000字ほどが、4年前、唐突に増加して10000字超となったが、本年度は落ち着いて約8200字(揺れ動いているので要注意だ)。当然、速く正確に読み取ることが求められる。分速800字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。