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法政大学第二高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2023年度「法政大学第二高等学校の国語」
攻略のための学習方法

記述

「法二の記述対策」は「問題解説」及び「攻略ポイント」のとおりだが、その前提としてなすべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。

では、何を「書く」か? 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。100字程度で書いてみる(法二の「長文記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一挙両得。

次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。

ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく

解法

「空所補充」「脱文挿入」「選択肢」「記述」、その他の問題も含め「法二の国語」で勝利するための基本は、「解法」をいかにうまく使うかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」「随筆」、それぞれに応じた独自の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない

そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。

そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。

そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

速読

本年度こそ減少したが(来年度以降の「共学化」で再び増加することも予想される)、これまでは大学入試にも匹敵する(否、それ以上の)ボリュームの問題文を読まなくてはならなかった。全体で9000字程度。解答時間は50分。

当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。

「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める

「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。法二に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。

知識

前述のとおり「直接出題」も多いが、「本文読解」等でも必然的に問われることになる法二の「総合的知識問題」。

いかなる「攻略法」があるのか?

「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。

先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。

さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されているし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。

なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500 四訂版」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。

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2023年度「法政大学第二高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「総合的知識問題」、小問は全4問(解答数10)。「『対義語』記述」、「『単語の意味・用法』判別」(文法)、「『単語の活用』判別」(文法)、「漢字の読み」。4分ほどで終わらせたい。

大問は「論説文」、出典は内田樹「武道論  これからの心身の構え」(文字数約5600字)。小問は全9問(解答数10)。「選択肢」(「本文内容合致」、「総合的知識問題」あり)、「抜き出し」(4問)、「考察論述」(「100~150字以内」指定1問)。問題文は7分弱で読み切り、設問を20分ほどで解きたい。

大問は「小説」、出典は佐江衆一「あの頃の空」所収の「勝敗に非ず」(文字数約4400字)。小問は全10問(解答数10)。「選択肢」(「空所補充」、「不適切」、「総合的知識問題」あり)、「抜き出し」(1問)、「説明記述」(「80~100字以内」指定1問)。問題文は5分程度で読み切り、設問を15分弱で解きたい。

【大問一】

  • 時間配分:4分

「対義語の記述」・「単語の意味・用法判別」(口語文法)は5年連続、そして、昨年度、「慣用句」から転換した「漢字の読み」が本年度も続き、さらに、「単語の活用の種類判別」(口語文法)が加わった。難易度はますます上がってきている。だが、本校志望者であれば何としても失点を防ぎたい。

[問一] 「対義語の記述」(全4問/「漢字2字」指定)。

「濃密」・「閑散」・「華美」・「分析」の「対義語」をそれぞれ答える。

は平易で、「答え」=「希薄」。しかし、他は意外に曲者だ。「閑散」=「ひっそりして、ひまなこと」なので、「対義」は「仕事、用事などが多くて忙しいこと」=「繁忙」、「華美」=「派手」で、「対義」は「簡素に生活すること」=「質素」。「分析」=「複雑な事柄を一つ一つの要素や成分に分け、その構成などを明らかにすること」なので、「対義」は「さまざまのものをひとつに合わせて、まとめ上げること」=「総合」⇒「分析⇔総合」は「高校入試の定番。

尚、ひとつでも曖昧(あいまい)なものがあった諸君は確認しておくこと。

                                  <時間配分目安:1分半> 

[問二] 「単語の意味・用法判別の選択肢」(全2問/各3択)。

「口語文法」だ。示されている「①・②の傍線部の単語の中から、一つだけ文法的な説明が異なるもの」を答える。それぞれチェックしていく。

(ア)「機械の故障ではなさそうだ」・(イ)「桜の開花が早まりそうだ」・(ウ)「今年の夏は暑くなるそうだ」⇒助動詞の定番「そうだ」。「様態」と「伝聞」の「意味・用法」があることは常識。(ア)(イ)は「様態」で、(ウ)が「伝聞」だということは即判別できなくてはいけない。よって、「答え」は(ウ)⇒「伝聞」は「終止形」接続だ。

(ア)「もう夕方のに」・(イ)「さわやか朝」・(ウ)「有名ので」⇒「な」の判別。「断定の助動詞」・「形容動詞の活用語尾」・「単語の一部」の3つだ。無論、(イ)(ウ)は「形容動詞の活用語尾」で、(ア)が「断定の助動詞」の「連体形」なので、「答え」は(ア)だと判別できるはず、

本校では「口語文法」の習得が必須だ。

                                   <時間配分目安:1分弱>

[問三] 「単語の活用の種類判別の選択肢」(3択)。

「口語文法」。示されている「(ア)~(ウ)の傍線部の単語の中から、一つだけ活用の種類が異なるもの」を答える。各単語を確認したい。

(ア)「親に苦労をかけないよう、倹約を心がける」⇒「カ行下一段活用」の動詞「かける」の未然形。

(イ)「主力選手が欠け、戦力が著しく低下した」⇒「カ行下一段活用」の動詞「欠ける」の連用形。

(ウ)「その事実を書けば、世間が騒然とするに違いない」⇒「カ行五段活用」の動詞「書く」の仮定形。

したがって、「答え」は(ウ)になる。「活用の種類」と「活用形」は完璧に判別できるようしておくことが不可欠。

                                   <時間配分目安:30秒>

[問四] 「漢字の読み」(全3問/「ひらがな」指定)。

示されている①~③の傍線部の「漢字の読み」を「ひらがな」で答える。本校としては標準レベルの良問だ。確認しよう。

「自らを卑下する」=「ひげ」⇒流石(さすが)に知っているはず⇒「自分をあえて低い位置に引き下げてへりくだること」という意味も必須定着。

「格別の恩恵をる」=「こうむ(る)」⇒これは高校入試の十八番⇒「かぶ(る)」という「読み」もある。

「品位を保つため自重する」=「じちょう」⇒「言動を慎んで、軽はずみなことをしないこと」という意味も知っているはずだ。

尚、本校志望者は、「漢字の読み・書き」だけではなく、「慣用句」「故事成語」「ことわざ」「四字熟語」なども確実に習得しておくこと。

                                   <時間配分目安:1分強>

【大問二】

  • 時間配分:20分

人間の心身は無限の深みと広がりを持つ――武道の教えを解きほぐしながら、危機の時代に人はどう生きるべきか、社会システムはどうあるべきかを縦横無尽に論じている。

本文では、「真の才能」とは「世界のありようを根源的にとらえ、生き方を指南し、生きる活力を与える言葉を語りうる才能」だと定義し、「閉塞感漂う現代社会」には「真の才能の人々」が求められていると指摘している。

「教育論」ではあるがさほど難解な語句はなく、内容は理解できるはず。本校としての「定番メニュー」が並んでいる。無論、最後には「長文説明記述(考察論述)」が控えている。以下、いくつかの「設問」を検討してみたい。

[問一] 「換言語句選択肢」(4択)。「総合的知識問題」。

二重傍線部(a)イノベーティブ」の「言い換えとして適切な語句」を答える。「イノベーティブ」は当然知っているはずの「語句」だ(「イノベーション」とともに)。「革新的な」という意味だ。

各選択肢は、(ア)「普遍的」・(イ)「革新的」・(ウ)「保守的」・(エ)「功利的」。

もちろん、「答え」は(イ)だ。

ちなみに、各語句についてひとつでも未定着のものがあった諸君は猛省し、「知識事項」を徹底習得せよ。

                                   <時間配分目安:1分弱>

[問三] 「理由説明選択肢」(4択)。

傍線部「いささかも懸念するには及ばない」について、「なぜか」を答える。「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」をしたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。

ここは「理由説明」なので、「懸念するには及ばない」ことの「直接的理由」として結びつかない「説明」を「消去」することになるが、その前に、何を「懸念するには及ばない」のか「傍線部一文一部の法則」で確認しておきたい(「傍線部が一文の一部分だった場合、傍線部以外が重要」という読解の基本となる解法)。

直前から、「『大輪と咲くはずだった才能が開花せずに終わった』というような悲劇が起きること」だと分かるはずだ。ここで、各選択肢の「文末」と照合する(「選択肢」の説明で最も重要な要素は「文末」に記されている)。

(ア)「年寄りの説教に耳を貸す必要がないから」、(イ)「(悲劇は)大ぶりな若者には起きそうにもないから」、(ウ)「大ぶりな若者がいることもあるから」、(エ)「適正なレベルまで下方修正する習慣があるから」。さあ、どうだろうか?

 「悲劇が起きること」に関する「理由」なのだから、「(悲劇は)……起きそうにもないから」以外は「消去」できると判別できるはずだ。「同一意味段落」で他の部分を確認しても特に誤っていない(「論説文」「説明文」「随筆」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)。

したがって、「答え」は(イ)だ。変則的ではあったが、結果として「一発消去」だ。畏るべし! 「原意消去」。しっかりと使えるようにして大いに活用すべし。

                                  <時間配分目安:2分程度>

[問四] 「換言説明選択肢」(4択)。

傍線部の「富貴の人は根源的になることがない」とは「どういうことか」を答える。先ずは「原意消去」から。ここは「換言説明」なので、「根源的になることがない」の「原意」と結びつかない「換言」を「消去」したい。各選択肢の「文末」をチェックする。

(ア)「存在価値は認められないということ」、(イ)「ロールモデルにはなりえないということ」、(ウ)「根源的に追究することがないということ」、(エ)「深く考察することがないということ」。当然ながら、(ア)(イ)は即「消去」。残りは「2択」だ。

「同一意味段落」に次なる「手がかり」を求める。6行前に「『富貴の人』はこの世界の仕組みについて根源的な考察をする必要を感じない」とある。

よって、「身体を(根源的に追究することがない)」と説明されている(ウ)は「消去」で、「この世の中や人間のあり方を(深く考察することがない)」となっている(エ)が残る。「同一意味段落」から他の部分の説明も特に誤っていないことが分かる。故に、「答え」は(エ)になる。本問は「2段階消去」だったが、最優先はやはり「原意消去」になると心得よ。

                                   <時間配分目安:2分半>

[問五] 「指示内容抜き出し」(「15字」指定)。

傍線部の「そういう時」の「指示する内容」を、「時」に続く形で「十五字」で抜き出して答える。「抜き出し問題」では、「抜き出すべき内容」を捉えた上で「抜き出し範囲」を特定し探していく。本問の「内容」はまさに「指示語換言」だ。「範囲」は「同一意味段落」だが、「指示語」なので基本的に「直前」が最優先となる。

確認すると、形式段落の最初の部分だと分かる。これは要注意だ。「段落冒頭の指示語は前段落全ての内容を指し示す」という重要な「解法」を意識したい。確認すると、「この世のシステムがいずれ崩壊する(時)」が「抜き出し内容」だと読み取れるが、「条件」に合致しない。そこで、「同一意味段落」の他の部分から同内容を探すことになる。丁寧にチェックしていくと、3つ前の形式段落に「この世の中の今の仕組みが崩れるというのは、……」という部分がある。内容は完璧だ、「字数」もOKそうだ。「範囲」には他にふさわしい「候補」もない。よって、「答え」は「この世の中の今の仕組みが崩れる(時)」(15字)となる。

尚、「抜き出し問題」では「候補」はひとつとは限らない。「範囲」を網羅的に確認し、全ての「候補」を確認してみることが肝要だ。

                                  <時間配分目安:2分ほど>

[問九] 「条件付き内容考察論述」(「100~150字以内」指定)。

波線部X「真の才能」について、「『閉塞感漂う現代社会』における『真の才能』とはどのようなものだと考えられるか」を「百字以上百五十字以内」で論述する。「条件」は、「『閉塞感漂う現代社会』に相当する具体的な社会状況を少なくとも一つは例として挙げて論述する」こと。先ずは、本文において筆者が述べている「真の才能」とは何かを、「同一意味段落」から読み解いておく。波線部の2つ前の形式段落から、「真の才能」とは「世界のありようを根源的にとらえ、人々に生き方を指南し、一人ひとりの生きる力に活力を与えるような言葉を語りうる才能」だと分かるはずだ。次に「条件」を考えていく。

筆者が指摘している「閉塞感」とは、傍線部の直前2つの形式段落から「システムがすでに順調に機能しなくなり始めていること」だと読み取れる。したがって、「現代社会」でのそうした「状況」の「具体例」を何かひとつ挙げることになる。たとえば、「少子高齢化による労働人口減少でこれまでの経済システムでは成長が見込めそうにない状況」、「過疎化の極端な進行により従来のやり方での地域共同体の存続が危うくなっている状況」などが思いつくはずだ。何かそうした「具体例」を挙げた上で、「新たなシステム構築のために求められている」「世界のありようを根源的にとらえ、人々に生き方を指南し、一人ひとりの生きる力に活力を与えるような言葉を語りうる才能」といった具合に論述していけばいい。

尚、「条件」は「手がかり・ヒント」でもあると捉えることが肝要だ。

                                   <時間配分目安:4分半>

【大問三】

  • 時間配分:15分弱

定年を迎えたあの頃、忙しかった30代のあの頃、楽しかった少年時代のあの頃、そして、いつか訪れる終(つい)の瞬間……。昭和のノスタルジー溢れる追憶の日々。読めば励みになる人生の短篇全8篇のひとつ。本文では、定年を間近に控え「久保道場」に入門した「雄吉」が、剣道の稽古に励むと同時に老師とのやりとりを通じて人生を見つめ直していく姿が描かれている。歴史上の人物名などが分かりづらいが、 [※注]を用いれば内容は理解できる。「地の文」と「会話」の結びつきの読み取りにやや厄介さがある大問だ。以下、いくつかを検証する。

[問一] 「空所補充の比喩表現選択肢」(4択)本文中の空所     A     に「入る表現」を答える。空所部分を確認する。

「雄吉自身、稽古に熱中して全身からしぼるほど汗を流すたびに、それまでの自分が削ぎ落とされて、      A     ような気がした」となっている。直後に「ような」とあるので、空所は「比喩表現」になる。

各選択肢は、(ア)「厳寒の荒野に一人静かにたたずんでいる」、(イ)「ライバルと道場で修行に切磋琢磨する」、(ウ)「秋の夕暮れに一人で虫の音に耳を傾ける」、(エ)「清流の岸辺に立って風に吹かれている」。「汗を流す」「自分が削ぎ落とされて」の「比喩」なのだから、「清流」「風に吹かれている」以外はふさわしくないと判別できなくてはいけない。よって、「答え」は(エ)だ。

「比喩表現」はさまざまな形式で問われるので、練習を重ねておくこと。

                                    <時間配分目安:1分>

[問三] 「換言説明選択肢」(4択)。

傍線部の「人格」とは「どういうことか」を答える。無論、先ずは「原意消去」から。ここは「換言説明」なので、「人格」の「原意」と結びつかない「換言」を「消去」することになる。各選択肢の「文末」と照合する。

(ア)「(人柄が)にじみ出ている姿」・(イ)「孤独な姿」・(ウ)「自身の姿」・(エ)「無私の姿」。「人格」=「その人固有の人間としてのありかた」ということは知っているはず。であれば、「自身の姿」以外は即「消去」に決まっている。

念のために「同一場面」で他の部分の説明も確認する(「小説」「随筆」では「同一場面」に「手がかり・ヒント」がある)。特には誤っていないと判断できる。よって、「答え」は(ウ)になる。「原意消去」で見事な「一発消去」だった。ただ、「人格」の意味が未定着だと厄介なことになる。こうしたことからも、「語彙力」が重要だと分かるはずだ。

                                   <時間配分目安:1分強>

[問八] 「経緯説明選択肢」(4択)。

傍線部「剣道は二度とやるまいと誓いました」について、「先生はどのような経緯から決意したのか」を答える。「原意消去」といきたいが、ここは傍線部の「経緯」を問われているので、この段階では流石(さすが)に無理だ。「傍線部一文一部の法則」に「手がかり」を求めたい。直前に「戦死もせずに生き残って復員した私は」とある。では、「戦死もせずに生き残っ」た「経緯」は何か? 「同一場面」を読み取りたい。すると、「私」(先生)は、「剣道四段の腕前のために斬り込み隊長をさせられ、命令する立場だった」ので「生き残った」ことが分かるはずだ。ここで、各選択肢の「説明」と照合したい。「文末」は全て「剣道を辞める決意をした」なので、その直前をチェックする。

(ア)「部下への罪を償おうと」、(イ)「世の中に反抗する手段として」、(ウ)「(斬り込みを命じる立場に立つ)原因となった」、(エ)「自分の心の傷を癒すために」。

「剣道の腕前のために命令する立場だった」のだから、(ウ)以外は「消去」できるはずだ。「同一場面」から、他の部分の説明も特には誤っていないと判断できる。したがって、「答え」は(ウ)だ。本問のように、単純な「原意消去」が適用できない場合もあるということだ。

                                   <時間配分目安:2分半>

[問十] 「条件付き換言説明記述」(「80~100字以内」指定)。

傍線部の「方便として、相手を前に置く」とは「どういうことか」を「八十字以上百字以内」で説明する。「条件」は「剣道における『方便』が何を意味するのかを明らかにした上で説明する」こと。「条件」から「剣道における『方便』の意味」が前提となるので、「同一場面」で確認したい。直前に「先生の言葉」として、「剣道とは剣を手にし、方便として相手を前に置き、仮に勝負を論じ、精一杯の力を尽して、今かぎり此処かぎり真の自己を鍛錬し、新しい自己を創造することである」と述べられている。つまり、「剣道における『方便』」とは「相手と仮に剣道の勝負をすること」だと分かる。

そして、傍線部はどういうことかを「同一場面」から読み解いていくと、「方便」とは「便宜的な手段」であり、「竹刀を交える相手」は「勝負を決する敵ではなく、おのれである」と読み取れるはずだ。以上が説明すべき「要素」になる。

あとは、内容を整理して「過不足なく」まとめていけばいい。たとえば、「剣道における『方便』とは対戦相手と仮に剣道の勝負をするという便宜的な手段であり、竹刀を交える相手は勝負を決する敵としてではなく、己を鍛錬して新しい自己を創造するために目の前に存在しているということ。」(99字)といった「答え」になる。

順を追って「解法」を活用していき、「指定字数」に応じて「必要要素」を確定していくことが肝要だと心得よ。

                                    <時間配分目安:4分>

※尚、[問五]は「内容説明不適切選択肢設問」(4択)で、「会話」の中の「語句」と「地の文」を照合させる問題になっている。丁寧に確認していけば解けるのだが、とても手間ひまがかかる。よって、戦術的には「あとまわし」にしたい。無論、「捨て問」にしても構わない。

攻略のポイント

●「共学化」によって「国語」は問題が難化したにもかかわらず、「受験者平均得点率」がアップしている(2016年度61.8%→22年度66.9%)。「共学化」以降の3科目合計の「合格最低得点率」は、本年度までの7年間の平均で61.9%(本年度はやや下がって59.7%)。多少の上下はあるとしても、来年度以降も合格ラインの高止まり傾向は続くと思われるので、とにかく「高得点」を目指し「得点力」を安定させるように万全の準備が不可欠だ。

●多彩で複雑な「選択肢設問」に代表される多様な「設問」はどう「攻略」するか? それは、いかに「解法」を的確に用いるかがポイントになる。「設問内容」に応じた「解法」に則して段階的に解いていくことが必要だ。そのためにも、基本的「解法」を完全に習得して、適切に応用できるようにしておくこと(特に「原意消去」は必須ツールだ)。

「説明記述」の対策も不可欠だ。実直に「説明記述」の「練習」を続ける他はない。正否の分かれ目となる「最重要要素」を「文末」として他の「必要要素」を積み上げていくという手法を完璧にマスターすること。「内容」から優先順位を特定し、高いものから積み上げていく。それぞれの「要素」を「20~30字程度」でまとめられるように徹底的に練習すること。また、「100字前後の長文説明記述(考察論述)」にも慣れておきたい。何としても「減点」は最小限に抑えたい。

●「高度な語彙力」が問われる多種多様な「総合的知識問題」も侮れない。「漢字」だけではなく、「同音異義語」「同訓異字」「類義語」「対義語」、また、「四字熟語」「ことわざ」「慣用句」「故事成語」や「語句の意味」、そして、「口語文法」までをも確実に定着させること。

●試験時間は50分。時間配分にも細心の注意が必要。問題文は従前7000字程度だったが、近年は増加傾向で、本年度は昨年度の約8900字からさらに増えて約10000字。当然、速く正確に読み取ることが求められる。分速750字以上を目標に「読む練習」を常にすることが重要だ。

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