明治大学付属中野高等学校 入試対策
2023年度「明治大学付属中野高等学校の国語」
攻略のための学習方法
合格のための答案力、国語力について何が必要なのか。出題傾向を見てみると、「読解力」と「記述力」である。読解力と記述力とは、一見相異なるもののように思っている受験生も少なくないかもしれないが、実はこの2つの「力」は根っこの部分では繋がっているのである。言葉を換えれば、車の両輪のごとく、互いに互いを補完し合いながら、車が勢いよく前進するように国語の合格力が飛躍的に向上するのである。それでは、以下にその仕組みについて確認してみよう。
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①記述力は何によって養成されるか
国語力を向上させるための対策として、大概は「読解力」の養成を第一番目に挙げるのではないだろうか。確かにそのような考え方にも、合理的な根拠はあるであろう。しかし、ここで考えて欲しいのは「高校入試における合格のための国語読解力」である。
「合格のための国語読解力」とは具体的には何を意味するのであろうか。
一言でいうならば、「客観的な思考力で設問の問題を読み込めるかどうか」であり、この「客観的思考」の確実な養成には、自身の考え方をいかに説得力を持って外部発信できるかどうかである。そして、「外部発信」のツールはいうまでもないが「自身の考え方の吐露」であり、より自分の考え方や主張を他者に理解してもらおうとすれば、その内実は文字通り「記述力」である。
ある人曰く「自分の頭の中にある思想が全部で100だとすれば、文章化できるのはそのうちの10(1割)である」。これは極めて興味深い話である。
したがって、一見全く関係性がないように思える「読解力」と「記述力」とは、無関係なものではなく、密接不可分な関係にあるのである。読解力を高めたければ、記述力をしっかり習得することである。自分の考えを自分の言葉でまとめきれないのであれば、真の意味での「説得力ある文章」を書くこともできないであろう。
論理的な文章を書けるということは、それだけ自身の中で思考が組み立てられていることであり、そのような「組み立て」は論理を追いかける「力」、「読解力」がベースになっているからである。
つまり、記述力を安定し明確に文章を書けるようになれば、必ずそれに伴ってより実効性の高い読解力は身に付くのである。したがって、入試に対応した読解力を高めるために、自身がしっかりとした「記述力」に裏付けられた自己表現力の向上ができれば、「読解力」は確実に上昇する。
「読解力」を飛躍的に高める「記述力」をより効率的に深める一つの具体的方法としては、一日10分程度で構わないので「文章を書く」ということである。内容は何でもよい。その日に自分の身の回りで起きたこと、社会の出来事などに対する感想を100~150字でまとめる練習を積めば、3ヶ月後には自身の「読解力」と「記述力」は間違いなく向上する。
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2023年度「明治大学付属中野高等学校の国語」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
【大問1】は、コミュニケーションに関する社会学的論説文の読解問題である。<37分>
内容把握問題、記述問題(20、40字)、要旨選択肢問題、抜き出し問題などあらゆる角度からの設問である。特に、記述問題対策はしっかり行っておくこと。
【大問2】は、文章要点まとめに関する問題である。<3分>
説明文を読んで要点をまとめる問題である。
【大問3】は、知識に関する問題である。<4分>
指示された言葉の定義に従って、選択肢を正しい順番に並び変える問題である。
【大問4】は、漢字の書き取り・読み取り問題である。<6分>
出題数は10題であるが、標準的問題であるので完答を目指したい。
【大問1】 社会学的分野(コミュニケーション)に関する論説文の長文読解問題
- 時間配分:37分
出典は、『共に生きるための演劇』(平田オリザ著)。日本は言葉で多くを説明しなくても互いに理解しあえるハイコンテクストな社会だといえるが、つねに「ずれ」が生じていることに留意する必要がある。その「ずれ」を修正するために必要なものが「対話」である、と論じている。
問一は、内容把握問題<2分>。
「ずれ」の原因は、「自分が『ちゃぶ台』と呼んでいるものはみんなも当然そう呼んでいると考えてしまうこと」なのである。
問二は、内容把握問題<2分>。
本文に「『ずれ』をすり合わせていくとき」に何が必要かは、明確に記載している。
問三は、適語選択問題<2分>。
Aは、プロの俳優に求められていることは何かを考える。Bは、「自明な事ではあるが」と言う意味の言葉を選択する。
問四は、内容把握問題<2分>。
傍線③の直後にある「演じるというのは」に続く文章をじっくり読もう。
問五は、内容把握適語選択問題<2分>。
手掛かりとなる文章は空欄④の直前にある。「自分のコンテクストを少しずつ押し広げてその役割に近づいていく」ということ。
問六は、適語抽出問題<1分>。
「コミュニティー」とは「共同体」という意味である。
問七は、品詞問題<1分>。
「ある」「それ」「ここ」「どちら」の中で品詞の異なるものを選択する。
問八は、指示語把握問題<2分>。
傍線⑥の直前にある「交替で住民がゴミ収集の場に立ち会ってきちんと分別されているかを確認している」がヒントになる。
問九は、内容把握抜き出し問題<2分>。
直後に「対話する場を持ち続けることが大事」とある。
問十は、内容把握選択問題<1分>。
「拙速」とは、決断や行動は早いのだがそのやり方がまずい、ということである。
問十一は、内容把握選択問題<1分>。
「『正解』がない」ということは、「正しいという答えがあるわけではない」のである。
問十二は、内容把握問題<2分>。
直前に「部下に指示するかのように意見してしまう場面」のことである。
問十三は、適語抜き出し問題<1分>。
「劇団の多く」は「同志的な集団から出発すること」が多いのである。「同志的な集団」では「対等」な関係が基本である。
問十四は、内容把握抜き出し問題<2分>。
本文には「対話することで『新しい答え』が導き出されます」とある。
問十五は、内容把握記述問題<3分>。
傍線⑬を含む段落の冒頭に「自分以外の人のコンテクストを理解しようとする姿勢」とある。
問十六は、内容把握抜出し問題<2分>。
後段に「つまりそれは・・・違う価値観への想像力の欠如」とある。
問十七は、内容把握抜き出し問題<2分>。
このような「幻想」の中で生きていると、異なる価値観を持つ人の言動を「理解しようとすることすら難しい」のである。
問十八は、内容把握不適切選択問題<1分>。
「自らが弱者となり、『私だけが我慢している。・・・』他者への攻撃に転化」したのである。
問十九は、内容把握抜き出し問題<1分>。
「異なる他者を理解するための、行動、態度、あるいは想像力」とある。
問二十は、文脈把握問題<2分>。
「同様の努力」とは「どうすれば演劇を続けることができるかを赤字覚悟で考え続けて」きたことである。
問二十一は、要旨把握問題<3分>。
本文で述べていることは、「『対話』するということは」「それぞれが持つコンテクストをすり合わせていくこと」なのである。
【大問2】説明文要点問題
- 時間配分:3分
①「ニチニチソウ」は毒にも薬にもなる「不思議な性質」を持つ。
②日曜日には用事があることをしっかり理解する。
③「日本の仏教」は「影響を与えられた」のである。
④「ここの住人たち」は「降雪が珍しくない」と思うのである。
⑤この5人は全員が背が「高い」のである。
【大問3】国語の知識に関する問題
- 時間配分:4分
時刻に関する古語の知識。「冬至」や「七夕」などの言葉に関する問題であり、知識問題として事前にしっかり習得しよう。
【大問4】漢字書取り・読取り問題
- 時間配分:6分
10題の漢字はどれも標準的な漢字である。完答を目指したい。漢字の読みとしては「鶏卵」は「けいらん」と読む。
攻略のポイント
攻略のポイントは、正確で迅速な文章読解力であることはいうまでもない。さらに求められる力は「記述力」である。この記述力に関しては、事前にしっかり演習を行っておくこと大事である。その際には、頭の中で考えてそれで済ませるのではなく、実際に60~80字の記述を行うことが大事である。
また、ことわざや漢字書取り・読取り問題は必ず出題されると考え、手を抜くことなく確実に知識の習得を行って欲しい。その際にも、漢字は実際に手を動かして「書く」ことである。目で眺めているだけでは漢字の定着は決して図れない。