高校受験プロ家庭教師 弱点克服・志望校入試傾向対策
高校受験専門プロ家庭教師が語る

青稜高等学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2023年度「青稜高等学校の国語」
攻略のための学習方法

記述

「青稜の記述対策」は「問題解説」のとおりだが、その前提としてなすべきことがある。それは「文を記す」「記述する」ことに慣れることだ。最初は時間がかかってもいい。厭わずに、とにかく「書く」。そして、書いた「文」は必ず誰かに読んでもらう。「文法」など正しい日本語の「文」になっているのか、言いたいことは正確に伝わっているのかを確認する必要があるからだ。

では、何を「書く」か? 「練習問題」や「過去問」にある「記述設問」は勿論だが、その問題文の「要約」をするのがとてもいい方法だ。60~70字程度で書いてみる(青稜の典型的な「記述」の練習にもなる)。無論、内容は先生などに確認してもらう。「要約力」は文章の「理解力」にもつながるので一挙両得。

次の段階としては「字数の感覚」を身につけることだ。書きたい内容は何文字くらいになるのか? 解答欄を埋め始めてから「過不足」を後悔しても遅い。下書きしている時間もない。だからこそ、「字数の感覚」が重要。その際、20~30字程度をひとつのブロックとして考えるといい。

「記述設問」で得点を左右する「重要な要素」「必要な要素」は、それぞれその程度が目安だ。マス目のある原稿用紙を使って、自分が書こうとしている「要素」がその範囲に収まるようになるまで何度も練習すること。
ある程度「感覚」がつかめたら、「最重要な要素」を「文末」にして、他の「必要な要素」を下から積み上げていくように記述する練習をしていく。

解法

前述のとおり、「多種多様な設問内容」の「青稜の国語」で勝利するための鍵は、「現代文」の「解法」をいかにうまく用いるかということだ。「解き方」が安定しなければ、「得点力」はアップしない。「論説文」(説明文)と「小説」(随筆)、それぞれに応じた特有の「解法」。そして、全てに共通する「解法」。それらを体系的に理解して定着させ、応用できるようにしなくてはならない。

そこで肝要なのは、「復習」の仕方だ。「答え合わせ」をして「解説」を読み納得した。問題はその後だ。「考え方のプロセス」を「トレース」することが必須。万一、「トレース」できないとすれば、そのこと自体が問題になる。「解法」が定まっていない証だからだ。

そして、「間違った問題」こそ宝の山だと認識すること。「解き方のプロセス」のどこで誤ってしまったのか? その「分岐点」をしっかりと確認して頭に刻み込んでおくことこそが、同じ間違いを繰り返さない秘訣になる。さらに、いくつもの練習問題を通じて同種の設問に共通する「解き方のプロセス」を身につけたい。それが「解法」となる。そうして理解、習得したものを書き留めた自分自身の「解法ノート」を作成しておきたい。解き方に迷ったらそのノートを確認して、確実に応用できるようにしておくこと。繰り返すことで、やがて自然と「解法」を用いて解くようになるはずだ。

速読

全てで5000字程度を読解しなくてはならない。解答時間は50分。当然、「速読」が求められる。しかし、設問を解くために読むのだから一般的な「速読術」を使うわけにはいかない。やはり、文章に応じての「速読」のコツを習得しなくてはならない。

「論説文」(説明文)であれば「Nの法則」。意味段落の「序論」「結論」は「論旨」が述べられているので確実に読み、「本論」は「段落相互関係」に着目しながら「各形式段落」の「最初」と「最後」を中心に読み進める。
「小説」「随筆」は、「場面分け」をしながら新たな「登場人物」をチェックし、「心情表現」を拾って素早く読んでいく。その上で、とにかくできる限り数多くの過去問の文章を読むことだ。

青稜に限らず、他の学校の入試問題も読んでおきたい。練習あるのみ。そして、最終的には分速700字以上(できれば750字近く)で「速読」できるようにしたい。

知識

「青稜の国語」では、「高度な語彙力」だけではなく、「国語常識」も含めた多種多様な「総合的知識」が必要となる(直接出題は勿論、「本文読解」等でも必然的に問われる)。「攻略」するにはいかなる「学習法」があるのか? 「国語的知識」は幼少期からの蓄積、故に「15の春」を前にした今ではもはや手遅れ。確かに、そうした側面はある。だが、そこで思考停止してしまっては「ジ・エンド」。今からでもできることは、ある。先ずは、「己が実力」を悟ること(「己が」=「おのが」が読めなければ既にヤバイと自覚せよ)。過去問を解いてみて(少なくとも5年分以上)、「5割未満の正答率」だったら「中学入試レベル」からの再スタートだ(分かっていると思うが、「中学入試」を馬鹿にしてはいけない。上位校では「高校入試」どころか「大学入試」のレベルに達する)。「5割超の正答率」でも無論、不断の努力は欠かせない。要は、地道な努力、日々の積み重ねあるのみだ。

さらに、「口語文法」も侮ってはいけない。直接出題されることがあるし、「記述」にも不可欠だ。日本語として「文法」的に「正しい文」でなければ「減点」されるし、そもそも内容が正確に伝わらない。特に、「文節の相互関係」や「付属語」(「助詞」「助動詞」)の「意味・用法」は確実に定着させておくことが重要だ。

なお、「知識」強化用のテキストとしては、「高校入試 でる順ターゲット 中学漢字・語句・文法1500 四訂版」(旺文社)などが推薦できる。また、残念ながら「中学入試レベル」から再スタートの場合は、「四谷大塚」の「四科のまとめ『国語』」(HPから購入可能)等がオススメ。

古典

「公立中学」の「国語」でも「古典」は扱う。「古文」「漢文」は必修カリキュラムだ。しかし、「指導要領」上はほんの導入部分だけで、本格的な学習はしない。「文語文法」等を体系的に学ぶこともない。が、青稜などの「中高一貫校」ではそれらを中学時点で学び始めている。

従って、「高校入試」で出題されることになる。明らかに「ハンディ」だが、仕方がない。塾での学習ないし「独習」をする他ない。最重要な「古文単語」(200語程度)を定着させ、基礎的な「文語文法」は「敬語」も含めて理解しておかなくてはならない。そして、できるだけ多くの「古典作品」に触れて慣れておくことが重要だ。
なお、「古文」強化用のテキストとしては、「古文完全攻略63選——入試頻出問題厳選」(東京学参)や、「古文単語」定着用として「マドンナ古文単語230」(学研)などが推薦できる。

志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談

お問い合わせ・資料請求はこちら

2023年度「青稜高等学校の国語」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「随筆」、出典はリービ英雄「日本語を書く部屋」(文字数約3000字)。小問は全14問(解答数25)。全て「マーク方式」の「選択肢」(「空所補充」「複数解答」「内容合致」「段落判別」、「総合的知識問題」あり)。問題文は3分程度で読み切り、設問を18分強で解きたい。

大問は「小説」、出典は竹西寛子「市」(文字数約6400字)。小問は全11問(解答数13)。全て「マーク方式」の「選択肢」(「不適切」「空所補充」「複数解答」「内容合致」あり)。問題文は7分強で読み切り、設問を13~14分で解きたい。

大問は「古文」、出典は作者未詳「今昔物語集」(文字数約520字)。小問は全9問(解答数14)。全て「マーク方式」の「選択肢」(「空所補充」、「主語特定」「内容解釈」「語句原意」「現代語訳」「文語文法」等あり)。7~8分で解きたい。

【大問一】

  • 時間配分:18分強

「日本語」は日本人として生まれた者たちの独占的所有物ではない。「コトバ=民族」という単一のイデオロギーに反して外国人が「日本語を書く」ということは「越境」行為だ――「日本語」を母国語としない西洋出身者で「日本語」による作家としてデビューした筆者が、「体験的日本語論」と「越境」について語っている。本文では、「日本語」を書くということは、書く人の国籍に関係なく、その屈指の歴史に自ら参加することを意味していると述べている。平易な文章で内容はすぐに理解できる。多種多様な小問が並び、解答数は25もある。ただし、難易度は標準レベルなので、とにかく手際よく、即断即決して解き進めていきたい大問だ。以下、いくつか確認してみたい。

[問2] 「内容説明選択肢」(4択)。
傍線部の「喋(しゃべ)れるようになるまでじっと日本語に耳を傾け、書けるようになるまでひたすら日本語を読んだ」という「筆者の日本語習得の訓練法」からは「どのような意味が読みとれるか」を答える。
「選択肢設問」は「消去法」が原則。先ずは「原意消去」を試みたい(「原意絶対優位の原則」=「設問」「傍線部」等の「原意」、要は「本来の意味」を最優先に考えること)。
ここは「内容説明」なので、「じっと耳を傾け」「ひたすら読んだ」の「原意」と結びつかない「内容」を「消去」することになる。
各選択肢の「文末」と照合していきたい(「選択肢の説明」で最も重要な要素は「文末」に記されている)。(ア)「膨大な量の地道なインプットが必要だということ」、(イ)「バランスの良い学習が大切だということ」、(ウ)「アクティブな学習法が発達していなかったということ」、(エ)「欲求不満が募ったということ」。さあ、どうか? 
「じっと」「ひたすら」なのだから、「膨大な量」「地道なインプット」とある(ア)以外は即「消去」できなくてはいけない。「同一意味段落」で他の部分の説明を確認する(「論説文」「随筆」では「同一意味段落」に「根拠・手がかり」がある)。特に誤っている部分はない。よって、「答え」は(ア)になる。見事な「一発消去」だ。
「選択肢消去」では「原意消去」が最優先だと心得よ。
<時間配分目安:1分以内>

[問7] 「空所補充の語の異同選択肢」(5択)。
本文中の空所 (ⅰ)(ⅴ) に、「内」・「外」のいずれかをあてはめたとき、「一つだけ他と異なるもの」を答える。何やら奇妙な設問だが、冷静に考えたい。空所部をチェックして何かに気づきたい。そう、(ⅱ) (ⅲ) だけが「ペア」で、しかも「(ⅱ) から (ⅲ) へ」となっているのだ。「内」⇔「外」の関係なのだから、どちらかが「答え」に決まっている。そこで、「同一意味段落」を読み取っていくと、全ての空所が「日本語においての『外から内へ』の『越境』の動き」について述べている部分だと分かる。したがって、 (ⅱ) =「外」、 (ⅲ) =「内」だと特定できる。さらに、他の空所には全て「外」があてはまると判別できるので、「答え」は(ⅲ) ということになる。どれほどユニークな設問内容であっても、「解法」に則して考えていけば解けると心得よ。
<時間配分目安:1分半>

[問9] 「理由説明文の空所補充語句選択肢」(全3問/9択)。
一部に「総合的知識問題」含む。傍線部「技術的にはるかに進んだ強大な大陸帝国と接触した際、その防衛手段として発明されたのが、平仮名だった」について、「『強大な大陸帝国』の文字である漢字を『崩し』て作った『平仮名』が日本文化の『防衛手段』になった理由を説明した文」の中に含まれている空所 (Ⅰ)(Ⅲ) に「あてはまる言葉」をそれぞれ答える。説明文は「……日本語はもともと音声 (Ⅰ) であり(仮名発生以前の万葉仮名は漢字を音[おん]として用いたものである)、例えば和歌の修辞法の (Ⅱ) や現代に残るダジャレなど、日本語固有の言語文化は音声 (Ⅰ) であることに由来する。この日本語の固有性は、表 (Ⅲ) 文字である仮名文字によって保たれたのであり、……」となっている。各選択肢は、(ア)「意」・(イ)「音」・(ウ)「文字」・(エ)「言語」・(オ)「習慣」・(カ)「枕詞」・(キ)「序詞」・(ク)「掛詞」・(ケ)「縁語」。各空所前後の「文脈」などから、「答え」を特定していく。
(Ⅰ) ⇒「日本語はもともと」「漢字を音(おん)として用いた」「言語文化は」などから⇒選択肢の「言語」があてはまると判別可能。
(Ⅱ) については、「和歌の修辞法」⇒「枕詞」・「序詞」・「掛詞」・「縁語」のどれかだ⇒「音声」との結びつき⇒「掛詞」で決定。
(Ⅲ) ⇒「仮名文字」は無論、「音」を表している⇒「表 文字」だ。
したがって、整理すると「答え」は (Ⅰ) (エ)(Ⅱ) (ク)(Ⅲ) (イ)になる。もちろん、傍線部の「同一意味段落」の内容からも特定できるが、空所前後の「文脈」や「文法」などでも判別できるということを押さえておきたい。大幅なショートカットになる。 尚、本問は「現代文」だが、結果として「古文」の「知識」も問われていたことになる。
<時間配分目安:全問で1分半>

[問10] 「理由説明選択肢」(4択)。
傍線部「日本では、そういった普遍的な問題が、文字を通して、ほかの国よりもはっきりと浮かび上がっている」について、「それはなぜか」を答える。「指示語」があるので真っ先に開いておく(「指示語」が出たら即開くこと)。直前から、「そういった普遍的な問題」=「自分の言葉に異邦人として対する意識をもたなければならないといった普遍的な問題」だと読み取れる。で、「原意消去」だ。ここは「理由説明」なので、「そういった普遍的な問題」が「文字を通して」「はっきりと浮かび上がっている」ことの「直接的理由」として結びつかない「理由」を「消去」する。各選択肢の「文末」⇒「だから」⇒「そういった普遍的な問題」が「文字を通して」「はっきりと浮かび上がっている」とつながるかどうかだ。確認する。
(ア)「地球レベルで表現することの重要性を示せるから」、
(イ)「文字の多様な変化に対応する必要があったから」、
(ウ)「ネガティブな経験があるから」、
(エ)「必然的に外部性に立脚しているから」。「異邦人として対する意識」を持つのだから、「外部性に立脚」以外は「消去」だと判別できるはずだ。「同一意味段落」を確認して、他の部分の説明も特には誤っていないと分かる。したがって、「答え」は(エ)だ。
やや変則的ではあったが、結果的には「一発消去」だ。やはり、「原意消去」は本校合格への必須ツール。尚、本問は「浮かび上がっている」と「現在形」で問われているので、「過去形」で説明している(イ)「あったから」は内容とは無関係に「消去」可能だということも押さえておきたい。で
<時間配分目安:1分強>

[問12] 「換言説明選択肢」(4択)。
傍線部の「日本語の長い歴史」とは「何を指すか」を答える。無論、「原意消去」から。本問は「換言説明」なので、「日本語の長い歴史」の「原意」として結びつかない「換言」を「消去」していく。各選択肢はとても短いので、ここでは「換言」全体と照合する。
(ア)「日本語の独自性」、(イ)「ズレとしての言葉の伝統」、(ウ)「屈辱的な屈折を強いられた経緯」、(エ)「日本人にだけ日本語が占有されてきたこと」。「長い歴史」の「換言」なのだから、瞬時に「伝統」以外は「消去」すべきと判別できなければいけない。「同一意味段落」を確認して、他の部分の説明も特には誤っていないと分かる。よって、「答え」は(イ)。「原意消去」で拍子抜けするほど平易になるではないか。
<時間配分目安:30秒>

[問13] 「語句の意味の選択肢」(全2問/各4択)。
「総合的知識問題」。波線部(ア)「焚(た)き付けて」・(イ)「テリトリー」の「文中における意味」を答える。ともに知っていなくてはいけない語句だ。
それぞれの「原意」で特定していく。「焚き付ける」=「火をつけて燃やしはじめる」「人をそそのかして何かをさせる」⇒ここではもちろん後者⇒(ア)の「答え」は選択肢(a)の「けしかけて」だ。そして、「テリトリー」=「領分。領域。(動物の)なわばり」のこと⇒(イ)の「答え」=(d)「縄張り」になる。出題された「語句」の「原意」を仮に知らなくても、本問のような「本文中における意味」の場合、前後の「文脈」からも類推できると心得よ。
ただし、「文脈」にこだわり過ぎると,「原意」からかけ離れてしまって誤答となる場合があるので、要注意。
<時間配分目安:全問で1分>

[問14] 「漢字の同音(訓)異字判別選択肢」(全7問/各4択)。
本文中の(a)~(g)の二重傍線部の「カタカナ」と「同じ漢字」を答える。本文の「文脈」から熟語を特定し、各選択肢の「同じ漢字」を判別する。厄介だ。本校恒例なので仕方がない。ただし、本年度は例年よりやや平易だ。
注意すべきものだけを確認する。(b)オク面もなく彼らは言った」⇒これはできて当然⇒「答え」は選択肢(イ)「臆」⇒「臆面」=「気おくれした様子」のことだ⇒「臆面もなく」で押さえておきたい。(d)「大学などで教ベンをとる」⇒分かりづらいか?⇒「答え」は(ウ)「鞭」⇒「教鞭をとる」=「教師として生徒を教えること」⇒「鞭」=「むち」だ。(f)「半日の間に往カンする」⇒難解だ⇒「答え」は(ウ)「還」⇒「往還」=「往来。往復」という意味、覚えておきたい。(g)オオい隠されてしまった」⇒覚えているか?⇒「答え」は(ウ)「覆(い)」⇒「おお(う)・くつがえ(す)」という2つの「訓読み」⇒「音読み」は「フク」⇒「覆水盆に返らず」は知っているはず⇒ちなみに、この漢字は昨年度も出題された。
本校では、「同音異字」だけでなく「同訓異字」「同音異義語」なども、しっかりと定着させておくことが必須。
<時間配分目安:全問で2分以内>

【大問二】

  • 時間配分:13~14分

サーカス小屋のような天幕で覆われた、川沿いの長い大きな「市」。そこは「少女」にとって期待と不安を感じさせ、「なにがしかの驚きと、新たなよろこび、新たなかなしみ」を感じる場所であった――「海の物」「山の物」「畑の物」などさまざまな商店が並ぶ「市」に、「母親」とともに通いながら、「少女」が次第に人生の機微を知っていく姿が描かれている。幻想文学的味わいがある作品だ。馴染みのない語句もあろうが、「語注」を活用してなんとか内容を理解したい。「状況」や「心情」の読み取りで厄介なものがある。以下、いくつかを検証したい。

[問1] 「比喩内容説明選択肢」(4択)。
傍線部「その市は、サーカス小屋のように天幕でおおわれていた」について、「これは『市』が『少女』にとってどのようなものであることの比喩となっているか」を答える。無論、「原意消去」が最優先。ここは「比喩内容説明」なので、「サーカス小屋のように」という「比喩表現」の「原意」と結びつかない「説明」を「消去」する。
各選択肢説明の「文末」を確認する。(ア)「少女を惹(ひ)きつけるものであること」、(イ)「娯楽として機能するものであること」、(ウ)「もの悲しさを感じさせるものであること」、(エ)「薄気味悪さと一致するものであること」。「少女」にとっての「サーカス小屋」であり「比喩」なのだから、「少女を惹きつけるもの」以外はそのまま「消去」できるはず。
念のために、「同一場面」を確認する(「小説」では「同一場面の直前直後」に「手がかり・ヒント」がある)。他の部分の説明も特に誤ってはいないと判断できる。
したがって、「答え」は(ア)になる。「小説」でも「原意消去」は絶対に必須な解法だ。
<時間配分目安:1分>

[問5] 「心情説明選択肢」(4択)。
傍線部「母親は、少女の顔を探るように見ていたが、ああ、と思い当たったらしく」について、「この部分における『母親』の心の動き」を答える。先ずは「原意消去」。ここは「心情説明」なので、「ああ、と思い当った」の「原意」と結びつかない「心情」を「消去」していきたい。各選択肢の「文末」と照合する。(ア)「気が付いたということ」。(イ)「わかったということ」。(ウ)「合点したということ」。(エ)「信じられたということ」。「思い当たる」=「納得がいく」ということは誰もが知っているはず。したがって、「合点した」以外は「消去」できなくてはいけない。「同一場面」から、他の部分の説明も特に誤ってはいないと判断できる。よって、「答え」は(ウ)だ。いま再びの「一発消去」。
やはり、「合格」へは「原意消去」が不可欠だと心得よ。
尚、「小説」での定番である「心情把握」は、「セリフ」⇔「ト書き」⇔「動作」⇔「情景」の連関で捉えるのが定石だ。
<時間配分目安:1分強>

[問7] 「内容説明選択肢」(4択)。
傍線部に「わたしも、いんがの子、ね、そうなんでしょう? この時の少女は、九官鳥にちょっとだけ似ていた」とあるが、「その直後で否定されていることの説明」を答える。傍線部が直接問われているわけではないので、流石(さすが)にこの段階での「原意消去」は無理だ。
とにもかくにも、「直後」を読み解いていく。「少女」は、大人の語った「因果」(いんが)という言葉を九官鳥のように単に繰り返したのではなく、「人は、生まれた時からすでに自分ではどうにもならないものを背負わされているらしい」ということを「考えさせられている」ことが分かる。
各選択肢説明の「文末」と照合する。(ア)「自身の生と照らして言葉の意味を探っている」、(イ)「人間存在の不条理について考えている」、(ウ)「奇跡の壮大さに心を震わせている」、(エ)「自身の不憫な境遇を嘆いて母を糾弾している」。「自分ではどうにもならないものを背負わされている」「考えさせられている」⇒「人間存在の不条理」「考えている」以外は「消去」で構わないはずだ。「同一場面」から他の部分の説明も特に誤ってはいないと判断できるので、「答え」は(イ)でOK。
本問のように「原意消去」が使えない設問もあり得るのは仕方がない。
<時間配分目安:2分半>

[問9] 「理由説明選択肢」(4択)。
傍線部「雪の日に出船を見ていた少女が、突然、あれに乗って、どこか遠い国へ行きたい。と言った時には、母親はさすがにぎくりとした」について、「それはなぜか」を答える。「原意消去」を試みる。ここは「理由説明」なので、「ぎくりとした」ことの「直接的理由」として結びつかない「理由」を「消去」していく。各選択肢の「文末」⇒「だから」⇒「ぎくりとした」とつながるかどうかだ。チェックしたい。
(ア)「記憶が呼び起こされたから」、(イ)「悟らざるをえなかったから」、(ウ)「運命が見えたから」、(エ)「狼狽したから」。「ぎくりとする」=「動揺してうろたえる」、これは常識だ。よって、「狼狽したから」以外は「消去」だと判別したい。「同一場面」を確認して、他の部分の説明も特には誤っていないと分かる。したがって、「答え」は(エ)になる。
徹底的に「原意消去」を繰り返すことにより大幅なショートカットが可能になると心得よ。尚、本問で「狼狽」の「原意」が未定着の場合、とても手間ひまがかかってしまう。「原意消去」では当然ながら、「語彙力」がものを言うということになる。
ちなみに、「狼狽」=「ろうばい」=「狼狽(うろた)えること」だ。
<時間配分目安:1分強>

※尚、[問11]は「本文内容合致(特徴説明)の選択肢設問」だ。「論説文」であれば「本文内容合致」=「論旨合致」と捉え、「序論部」および「結論部」と照合すればいいが、「小説」では「本文全ての内容」と照合する必要があり、とても手間がかかる。そこで時間をとられるよりは、他の小問をしっかりと確認し、確実に得点していく方が得策だ。したがって、戦術的には「あとまわし」にすること。無論、「捨て問」でも構わない。

【大問三】

  • 時間配分:7~8分

「古今著聞集」「宇治拾遺物語」とともに「日本三大説話集」のひとつで、平安時代末期に成立した「今昔物語集」。「今ハ昔」という書き出しで、「天竺」(インド)・「震旦」(中国)・「本朝」(日本)の仏教説話が紹介され、そのあとに諸々の物話が続いている(全31巻。1059話)。本文は巻第三十ノ第一「平定文、本院の侍従に懸想せし語」。本校としてはオーソドックスな「単語の意味」「現代語訳」「内容解釈」「主語特定」等、多様な小問が並んでいる。本年度の難易度は標準レベル。以下、いくつか検討してみよう。

[問1-A・B] 「単語の意味判別選択肢」(全2問。各4択)。
傍線部(A)「いやしからず」・(B)「をかしかり」の「文中の意味」をそれぞれ答える。「文中の意味」」とあるが、「現代文」同様に先ずは「古文単語」の「原意」を捉えることが肝要。(A)の「いやしからず」⇒シク活用の形容詞「いやし」の未然形+「打消し」の助動詞「ず」の連用形⇒最重要古文単語のひとつ⇒だが、「卑し」(=身分が低い。地位が低い)と「賤し」(=粗末だ。意地汚い。下品だ)があるので要注意⇒ここでは前者だと分かるはず⇒「答え」は選択肢(ウ)「身分が低くなく」。(B)の「をかしかり」⇒これまた最重要古文単語⇒シク活用の形容詞「をかし」の連用形⇒「をかし」には実に多くの意味があるので、再確認しておくこと⇒ここでは「美しい。優美だ」という意味での用法⇒「答え」は(ア)「うつくしく」。本問のように「多義語」は頻出なので確実に定着させておくこと。
尚、「最重要古文単語」は必ず習得するとともに、「助動詞」「助詞」の「意味・用法」も定着させたい。
<時間配分目安:全問で1分強>

[問2] 「現代語訳の判別選択肢」(4択)。
傍線部「物いはれぬはなくぞありける」の「現代語訳」を答える。短いが、「現代語訳」では「品詞分解」が必須だ。「物/いは/れ/ぬ/は/なく/ぞ/あり/ける」⇒名詞「物」(=古文単語の「もの(物)」は口語の「もの」ではなく、「何か」の「何」を表す)+四段動詞「いふ」(言ふ)の未然形+「受身」の助動詞「る」の未然形+「打消し」の助動詞「ず」の連体形(「形式名詞」が省略されている)+係助詞「は」(=直前の単語に対して「主格」になる)+ク活用の形容詞「なし」の連用形+係助詞「ぞ」(=「強意」で訳出しなくてもいい)+ラ行変格活用の動詞「あり」の連用形+「間接(伝聞)過去」の助動詞「けり」の連体形(「ぞ」の「係り結び」)⇒直訳すると「何も言われないことはないのであったという」⇒各選択肢は、(ア)「話しかけたが無視されてしまった」・(イ)「誰もがみんな声をかけられた」・(ウ)「話しかけたが無駄に終わった」・(エ)「誰も声をかけるものがいなかった」⇒無論、「答え」は(イ)だ。
「文脈」からも判別できるが、このレベルの「現代語訳」があやしい諸君がいたら、「古文」はまだまだ勉強不足だと心得よ。
<時間配分目安:1分強>

[問8] 「文語文法の判別選択肢」(3択)。本文中の <span style=”text-decoration:underline double”></span> ~ <span style=”text-decoration:underline double”></span> のうち「文法的に他の二つとは違うもの」を答える。それぞれを文法的に判別していく。<span style=”text-decoration:underline double”></span> =「世に<span style=”text-decoration:underline double”>無かりけり」⇒ク活用の形容詞「無し」の連用形。<span style=”text-decoration:underline double”> </span>=「<span style=”text-decoration:underline double”>なくぞありける」⇒[問2]で確認したとおり⇒ク活用の形容詞「なし」の連用形。<span style=”text-decoration:underline double”> </span>=「わびしきこと限り<span style=”text-decoration:underline double”>なし。」⇒ク活用の形容詞「限りなし」の終止形の一部。ということで、「答え」は <span style=”text-decoration:underline double”></span> になる。
本校では「品詞分解」を完璧にこなせるように十分な練習を重ねることが肝要だ。
<時間配分目安:1分>

攻略のポイント

「時間との闘い」が最優先課題だということは、これまで以上に意識したい(「解答数」が増加している)。どう「攻略」するか? 要は「戦術」だ。中でも「解答順」が最重要。「時間切れ」での「失点」は最悪だからだ。大問では、「知識」中心の「古文」を優先する。「現代文」で、「論説文」と「小説」(あるいは「随筆」)のどちらを先に解くかは、自分自身で事前に決めておくこと。また、「小問」は「知識問題」からこなすのが原則。文章量は従前5000字超程度だったが、近年は増加傾向で、本年度はなんと約9900字。それだけの「文章」を「読解」することになる(速く正確に読み取るために、分速800字以上を目標に「読む練習」をすること)。本年度の「解答数」は52。当然、全て丹念に答えることは物理的に難しい。
したがって、「取れる問題を確実に押さえる」ことが最優先で、「取れそうにない問題は潔く捨てる」という覚悟も求められる。無論、「単純ミス」は絶対にしてはいけない。
「合格ライン」は6割台前半(過去10年間の3科目合計の「合格最低得点率」は62.7%。本年度は下降して60.0%)。
「戦術ミス」は致命的になると心得よ。

●「多種多様な設問内容」に「攻略法」はあるのか? 「設問内容」を的確に捉え、それぞれに応じた「解法」を適切に用いることが最重要。そのためには、基本的「解法」を完全習得し、自分自身の「ツール」にすることが必須だ。切迫する「時間」の中で、いかに的確に「解法」を用いて解いていくかが合否を分ける。

●「高度な語彙力」が問われる「総合的知識問題」も決して侮れない。独自に「幅広い知識」を常に習得していくこと。学校や塾での学習だけでは全く不十分、「独習」は不可欠だ。

●「古文」については、 重要な「古文単語」の定着はもちろんだが、「内容解釈」も求められるので、「基礎的文語文法」は押さえておきたい。また、「古典常識」も「日本史」を含めて馴染んでおくことが必要だ。

志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談

お問い合わせ・資料請求はこちら

青稜高等学校の科目別
入試対策一覧

TOP

創業以来、
最高峰のプロ教師陣を輩出

TRADITION
SINCE 1985

1985年法人設立以来、プロ家庭教師のクオリティーにこだわり続け、現役プロ教師の中でもトッププロと呼ばれる真の実力を兼ね備えた合格実績豊富な家庭教師のプロだけをご紹介しています。
特に中学受験·大学受験·医学部受験専門のプロ教師のクオリティーに自信があります。