中学受験プロ家庭教師 弱点克服・志望校入試傾向対策
中学受験専門プロ家庭教師が語る

雙葉中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2022年度「雙葉中学校の社会」
攻略のための学習方法

スライド式学習

「雙葉対策」では「地理」「歴史」「公民」全単元・全分野と「時事問題」(単独での出題は少ないが「多角的思考」には不可欠)の「知識」を確実に定着させることが最優先。「基礎的事項」はもちろん、細部にわたる「知識」や「深い理解」も必要なので、テキストの「注」や「囲み説明」等のチェックも重要。

完璧な「知識定着」が欠かせないのだが、悲しいことに人は忘れるもの。時が経てば経つほど忘れる。ここに落とし穴がある。基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し定着させたのか、その時期が問題となる。塾では通常、本格的な受験勉強が始まる5年になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、6年の夏休み前には終える。

その後は「復習」となるが、メインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。6年で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか? 実質的に1年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。「地理」での「深い知識」が必要な雙葉では絶対に許されない。

そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での学習時期とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある5年の冬休みやその後の春休みを利用して徹底的に「地理」の「復習」をしておくことがポイントだ。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用するといい。さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習を内緒で続けておくことで、ライバルに差をつけておこう。

いもづる式学習

全ての単元に共通だが、「暗記事項」はそれぞれ単独(要は「一問一答方式」)で定着させても無意味だ。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられない。ましてや、雙葉攻略のポイントである「多角的思考」など絶対に無理だからだ。

そこで重要となるのが「いもづる式学習法」。「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習法だ。1つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。もし「言葉」としては覚えていても「内容」があいまいになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ここでも「復習」できる)。

また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。その上で、それらが結びつく背景(=「面」)をも理解するようにする。このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても、「線」で結びつけて答えられることになる。

さらに、単元もまたいでいるので、多様な問題にも対応できる。無論、「多角的思考」にも「いもづる式学習法」は力を発揮する。

手づくり式学習

特に「歴史」単元の「復習」で必要となる。塾での「歴史」の学習は通常、「政治史」を軸とした「通史」として「時代別」「時代順」になっている。しかし、雙葉などの上位校ではそうした単純なものはない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸で出題される。

それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」~「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。

さらに、その「年表」には「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」も対応させて記入しておきたい。「世紀」と「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみよう。

細部へのこだわり式学習

「攻略のポイント」でも指摘したが、「雙葉対策」で欠かせないのが「細部へのこだわり」だ。「多角的思考」をするに当たっての前提は無論、それぞれの「要素」をいかに正確に読み取るかということ。そこから「考えるヒント」を見つけ出す。そのためには「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。

当然、トレーニングが欠かせない。過去問や練習問題等を用いて、各「要素」の細かな「意味」「資料の数字」や「関連事項」などを全て材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する練習をしなくてはいけない。導き出せることについては、過去問や問題集の「解説」に示されているはずなので活用する。

こうした「細部へのこだわり学習」を続けることで、次第に様々な「要素」から着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」とつなげて考えればいい。

意識継続式学習

いついかなるときも、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。漠然と机に向っていても無駄なだけ。その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのか、具体的に「意識」し続けていることが大切。

そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。雙葉の入試本番ではたった30分という制限時間の中で、様々な「要素」を考え「条件」をクリアして答えなくてはならない。

だからこそ、「設問」を正しく理解しているか? 「要素」は全て確認したか? 「他の設問」との関連は大丈夫か?「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。

当然、「時間」も「意識」すること。入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。

志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談

お問い合わせ・資料請求はこちら

2022年度「雙葉中学校の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「公民」(「時事」と「思考問題」がそれぞれ1問混在)。「世界や日本で貧困に苦しむ人々」についての「リード文」からの出題。小問は全8問(解答数12)、「選択肢」(「不適切」、「複数完全解答」あり)、「事項記述」(「空所補充」、「漢字指定」あり)、「考察論述」(1問。「字数指定」なし)。

大問は「地理」。「本校がある東京都千代田区と、秋田県五城目町、群馬県嬬恋村」に関する出題。小問は全9問(解答数10)、「選択肢」(「不適切」、「組み合わせ」、「複数完全解答」あり)、「説明記述」(1問。「字数指定」なし)。

大問は「歴史」。「年代順に並んでいる(一部乱れあり)、12の日本の歴史についての説明文」からの出題。小問は全12問(解答数18)、「選択肢」(「時期特定」、「位置特定」、「年代整序」、「不適切」、「組み合わせ」、「複数完全解答」あり)、「事項・語句記述」(「空所補充」、「漢字指定」あり)、「説明記述」(2問。「10字以内指定」と「字数指定なし」が各1問)。時間配分は、「説明記述」で各2分ほど、その他は1分強で2問を解くというハイペース。無論、メリハリのある「戦術」が求められる。

【大問1】「公民」(「時事」と「思考問題」が各1問混在)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:9分

「貧困問題に関しての世界や日本の課題とそれらを解決するためのさまざまな活動」についての「リード文」からの出題。「公民」単元の主に「政治分野」と「国際分野」についての基本的な事項が問われている。ただ、混在している本校初の「思考問題」はやや手強い。また、「時事」から出題もある。いくつか確認する。

[問4] 「下線部についての事項記述設問」(「漢字」指定)。

「リード文」中の下線部「世界の国々の中でも、日本は経済的に豊かな国である」について、「日本は発展途上国に対して資金援助や技術協力をしている」が、このうち「政府が中心となって行う協力」を「何というか」を「漢字」で答える。誰もが即答できなくてはいけない。「答え」は「政府開発援助」だ。この事項については「ODA」というアルファベット略称も合わせて覚えておくことが必須だ。尚、これに関連する組織として、「国際協力機構(JICA)が派遣する「青年海外協力隊」のことも押さえておきたい。

                                  <時間配分目安:30秒強>

[問5] 「下線部についての空所補充の語句記述設問」(「漢字3文字」指定)。

「リード文」中の下線部「アルバイトや派遣社員など[      ]雇用労働者として働き」の空所に「入る漢字3文字」を答える。「時事的要素」があるが、今や定番の事項であるはずだ。そう、「答え」は「非正規(雇用労働者)」。現在その割合は「約40%」にも達している(男性20%超、女性50%超)ということも理解定着させておくこと。

                                  <時間配分目安:30秒強>

[問6(2)] 「下線部に関する条件付き考察論述設問」(「字数指定」なし、「60字ほど」の解答欄)。「考察問題」。

「リード文」中の下線部「人権を脅(おびや)かす社会問題を解決し」に関して、「貧困状態で暮らさなければならない人がいることに対して、『その人の努力不足の結果であり、個人の責任の問題である』という意見がある」が、「この意見に対する反対意見を考えて論述」する。「条件」は「思想や信教の自由・教育を受ける権利・仕事に就いて働く権利・言論や集会の自由・政治に参加する権利・裁判」受ける権利以外で、日本国憲法が保障する人権を一つあげ、論じる」こと。なかなかハードルが高い問題だ。先ずは「条件」に着目して突破口を開きたい。「貧困」に関する「日本国憲法が保障する人権」⇒「生活保護」⇒「社会保障」などと結びつくはずだ。であれば、「生存権」ということになる。あげられている「人権」以外なのでOKだ。次に、「反対意見」という観点で「個人の責任の問題」を考える。「個人の責任」ではない。では、だれ(どこ)の責任なのか? 「生存権」は無論、「基本的人権」なのだから、「国民の権利」⇒「国が保障」⇒「国の責任」だと判断できるはず。あとは、こうした内容を整理して、「過不足なく」まとめていきたい。たとえば、「貧困状態によって健康で文化的な最低限度の生活ができなくなる可能性があり25条の生存権にかかわるので、個人ではなく国の責任だ。」(61字)といった「答え」になる。「条件」は重要な「手がかり・ヒント」だと心得よ。

                                   <時間配分目安:2分半>

[問8(1)] 「下線部についての不適切選択肢設問」(4択)。「時事」単元。

「リード文」中の下線部の「国が必要な予算を配分し」について、「近年の国の予算(一般会計)や財政に関する説明」として「正しくないもの」を答える。「不適切」だということを意識して、各選択肢の「説明」の「キーワード」で正誤判別する。

(イ)「予算案の総額」「100兆円規模」⇒近年は「100兆円超」が続いていることは誰もが知っている=「適切」⇒ちなみに、2022年度は「107兆円超」。

(ロ)「歳入の8割以上が税金」⇒これまた常識。税金の割合は「5~6割程度」だ=「不適切」。

(ハ)「社会保障関係費」「歳出のうち最も大きな割合」⇒歳出のおよそ3分の1を占めていることは知らなくてはいけない=「適切」。

(ニ)「国債で補っている」⇒当然のこと。国の借金でこれまでの総額は「約1000兆円」にもなっている=「適切」。

よって、「答え」は(ロ)だ。さまざまな「統計資料」の「数字」は常に最新のものをチェックしておくこと。

                                  <時間配分目安:30秒強>

【大問2】「地理」」(「説明記述」1問あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:7分

本校がある「東京都千代田区」と、姉妹都市提携を結んでいる「秋田県五城目町」と「群馬県嬬恋村」とに関連する出題。「地理」単元のさまざまな分野からの小問で構成された大問。基礎的な事項が多いが、中には判別がやや紛らわしいものもある。それらを検討しておきたい。

[問1] 「気候についての選択肢設問」(5択)。

「東京都千代田区、秋田県五城目町、群馬県嬬恋村の気候を比べた説明」を答える。各選択肢の「説明」の「要点」で正誤判別していく。

(イ)「冬に積雪量が多い五城目町に比べ、嬬恋村と千代田区は雪があまり降らない」⇒日本海側の「秋田県」で降雪量が多いのは当然。また、「東京都」であまり雪が降らないことも分かっている。だが、「群馬県嬬恋村」はどうか? 「キャベツ」などの「高冷地野菜」で知られていることは常識、「高地」なので当然、降雪量は多い=「不適切」。

(ロ)「最も寒い月の平均気温で比べると、五城目町より嬬恋村の方が気温は低い」⇒「北」にあるといってひっかかってはいけない。「内陸」で「高地」の方が気温は低いと考えなくてはいけない=「適切」。

(ハ)「五城目町は季節による降水量の変化がほとんどない」⇒「秋田県」は「日本海側の気候」なので、「夏」と「冬」の降水(雪)量は多いが、「春」には少ない。そもそも日本の6つの「気候区分」の中で「季節による降水量の変化がほとんどない」などということはあり得ないのは常識=「不適切」。

(ニ)「五城目町は梅雨や台風の影響を受けない」⇒そのような地域は日本列島にはないに決まっている=「不適切」。

(ホ)「最も温かい月の平均気温で比べると、夏に南西の乾いた風が吹き込む千代田区が最も気温が高い」⇒「東京都」だから当然だから、「適切」? ではない。「太平洋側の気候」なので夏には「南」からの「湿った季節風」だと、しっかりと確認したい=「不適切」。

したがって、「答え」は(ロ)になる。「正誤判別説明」では、くれぐれも「細部」の「細部」にまでこだわることを忘れてはならない。

                                   <時間配分目安:1分弱>

[問5] 「秋田スギについての選択肢設問」(4択)。

「五城目町で作られている木工品の材料にも用いられている秋田スギ」だが、「秋田スギの天然林についての説明」を答える。各選択肢の「説明」の「要点」で正誤判別したい。

(イ)「秋田県から隣接する青森県にまたがり、世界自然遺産として登録されている」⇒「白神山地のブナの原生林」が「世界自然遺産」だということは誰もが知っている=「不適切」。

(ロ)「植林を行うなどして天然林を保護」⇒「保護」している。そうだよね=「適切」、とはいかない⇒しっかりとチェックしてほしい⇒「植林」しては「天然林」ではなく「人工林」だ=「不適切」。

(ハ)「秋田スギは青森のヒバ、木曽のヒノキとともに日本の三大天然美林」⇒これは知っているはず=「適切」⇒ちなみに、「三大人工美林」は「天竜スギ」・「吉野スギ」・「尾鷲ヒノキ」。(ニ)「枝打ちや間伐などの手入れを行う」⇒もちろん、「天然林」ではなく「人工林」での作業=「不適切」。よって、「答え」は(ハ)。「秋田スギ」だけに目を奪われていると判別できないので要注意だ。

                                  <時間配分目安:30秒強>

[問7] 「利根川についての選択肢設問」(4択)。

「嬬恋村がある群馬県には、利根川の水源がある」が、「利根川についての説明」を答える。各選択肢の「説明」の「キーワード」で正誤判別する。

(イ)「日本で2番目に長い河川で、流域面積も石狩川に次いで広い」⇒「長さ」は正しいが、「流域面積」はどうか? 曖昧(あいまい)ではないか? 「利根川」がトップだ=「不適切」⇒尚、「長さ」の1位「信濃川」・2位「利根川」・3位「石狩川」、「流域面積」は1位「利根川」・2位「石狩川」・3位「信濃川」なので混同しないこと。

(ロ)「群馬県、福島県、栃木県、茨城県、東京都、千葉県など複数の都県をまたいで流れている」⇒細部に注意。「福島県」は流れていない=「不適切」⇒ちなみに、「福島県」は「阿武隈川」だ。

(ハ)「河口付近の銚子港近海は、プランクトン豊富な好漁場⇒「好漁場」だとは知っている⇒であれば「プランクトン」が「豊富」なはず=「適切」。

(ニ)「流路を西に変えられて現在の流れになった」⇒「利根川」が江戸時代に大きく流路を変更したことは知らなくてはいけないこと。「適切」? ではない。もともと「東京湾」に注いでいたのだから、「西」ではなく「東」へと変えられたに決まっている=「不適切」。したがって、「答え」は(ハ)。ここでも「細部への目配せ」が正否を分けることになる。

                                  <時間配分目安:30秒強>

[問9] 「郷土料理についての不選択肢設問」(4択)。

「東京都、秋田県、群馬県のいずれに郷土料理」にも「あてはまらないもの」を答える。「郷土料理」、よく知らないな。確かに皆がそうであろう。だが、ビビっているわけにはいかない。何はともあれ、各選択肢の「説明」の「キーワード」で正誤判別していく。

(イ)「特産品のこんにゃく」「田楽」⇒「群馬県」の特産品で間違いないし、「田楽」は「こんにゃく料理」に決まっている=「適切」。

(ロ)「温かく湿気の多い地方」「魚のすり身に豆腐などを混ぜ油であげる」⇒何? 知るわけがない。ただ、「温かく湿気の多い地方」というのはどうかな? よく分からない=「保留」。(ハ)「うるち米をつぶして棒に塗りつけ焼いたもの」「鶏ガラ出汁(だし)で煮込む」⇒「うるち米」は「もち米」、「棒に塗りつけ焼いたもの」といえば「きりたんぽ」と結びつく。「秋田名物」だ=「適切」。

(ニ)「かつて豊富にとれたあさりなどを味噌で煮込む」「ご飯にかける」⇒「東京湾」で「あさり」はとれる。なんかそんな料理があったはず=「適切」だろう。

「保留」もあり自信はないが、「消去法」でいっても「答え」は(ロ)しかない。ちなみに、(ロ)は「宮崎県」の「おび天」の説明で、(ニ)は「深川めし」だ。「郷土料理」については以前にも出題されている。いかにも本校らしい問題だった。尚、「私が知らない」⇒「誰も知らない」⇒「知らなくても解ける」と考えよ。

                                  <時間配分目安:30秒強>

【大問3】「歴史」(「説明記述」2問あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:14分
  • ★必答問題

「年代順に並んでいる(一部乱れあり)、古墳時代から平成時代までの12の日本の歴史についての説明文」からの出題。「歴史」単元の多種多様な事項が問われているが、おしなべて平易なので、一気呵成に解き進め、得点を重ねたい大問だ。ただし、中には若干悩みそうな問題もある。注意したい設問だけを検証する。

[問3(1)] 「説明文についての時期判別および年代整序選択肢設問」(6択。複数完全解答)。

「説明文(律令政治)」について、「7世紀の出来事を3つ選び、起こった順に並べて」答える。「時期」と「年代整序」、2段階の「判別」が必要になる。丁寧に解き進めたい。先ずは、各選択肢の「出来事」の「時期」を特定したい。

(イ)「中大兄皇子が蘇我氏を倒す」⇒「大化の改新」のきっかけとなった「乙巳(いっし)の変」=「645年」は周知の事実⇒「7世紀」だ。

(ロ)「平城京に都が移される」⇒「平城京遷都(せんと)」=「710年」、必須定着事項だ⇒「8世紀」になる。

(ハ)「東大寺の大仏完成」⇒具体的な「年代」は出てこなくても、「奈良時代」「聖武天皇」と結びつくはず⇒「8世紀」になる。

(ニ)「藤原京が築かれる」⇒「平城京」の前の都で、「持統天皇」とつながらなくてはいけない⇒たぶん「7世紀」。

(ホ)「小野妹子が隋に派遣される」⇒「遣隋使」「聖徳太子」と結びつく⇒であれば「7世紀」で決定、

(ヘ)「唐が滅亡」⇒「894年」の「遣唐使廃止」の後だと判断できて当然⇒絶対に「7世紀」ではない。というわけで、「7世紀の出来事」は(イ)・(ニ)・(ホ)。次は「年代整序」だが、上記のとおり、「聖徳太子」→「中大兄皇子」→「持統天皇」と整序できて当然なので、「答え」は(ホ)→(イ)→(ニ)になる。尚。「年代整序」は「うろ覚えの年代」で整序するのではなく、「流れ」や「キーワード」を確認し、特定していくことが重要だ。

                                   <時間配分目安:1分半>

[問3(3)] 「説明文についての条件付き内容説明記述設問」(「字数指定」なし、「50字ほど」の解答欄)。

「説明文(律令政治)」について、「律令政治はやがて税や労働力、兵士が集められなくなり、行きづまった」が、「その原因となった、重い負担にたえられなくなった人々がとった行動」について説明する。「条件」は「『戸籍』という語句を使って説明する」こと。先ずは「律令政治」における「税や労働力、兵士」などの「重い負担」について確認したい。無論、「租」「庸」「調」「労役」「兵役」ということになる。そうした「重い負担にたえられなくなった人々がとった行動」を説明するわけだが、ここで「条件」である「戸籍」に着目すると、何かに気づくはずだ。律令制度での負担は「戸籍」にもとづいて課されていたことは知っている。そして、「租」「庸」「調」「労役」「兵役」のうち、「租」以外は「男性」にのみ課されていたことも知っていて当然。であれば、それらの「負担」を逃れるためには⇒「男子」を「女子」と偽って「戸籍」に登録と結びつけられる。あとは、整理して「過不足なく」まとめていけばいい。たとえば、「庸、調、労役、兵役は男性のみの負担だったので、それらを逃れるために男子を女子と偽って戸籍に登録した。」(50字)といった「答え」だ。与えられている「情報」を的確に「自らの知識」につなげることが肝要だ。

                                    <時間配分目安:2分>

[問5(1)] 「説明文についての空所補充の内容語句記述設問」(「10字以内」指定)。

「説明文(身分制度)」について、「江戸幕府が定めた身分制度は豊臣秀吉の政策を発展させたもの」だが、「身分の区別や固定化を進めた秀吉の政策にある刀狩令の内容」に「ふさわしい語句」を、示されている「説明文」の空所[        ]に「10字以内」で答える。「説明文」は「武器を所有し、年貢を出ししぶり、[        ]者は処罰される」となっている。さて、「刀狩令」の内容を正確に理解し定着させている諸君はどれほどいるだろうか? 「大仏をつくるためとして武器を没収(没収)した」とだけ覚えていても本問には対応できないかも。そもそも「刀狩令」を出した「目的」は何だったのかを思い出したい。そう、「一揆を防ぐ目的」があったではないか。ということは、たとえば、「一揆をくわだてた(者は処罰される)」(8字)といった「答え」になる。尚、「刀狩令」によって「兵農分離」が進んだことは理解しておきたい。本校では、「深知り知識」が求められる問題もあると心得よ。

                                   <時間配分目安:1分半>

攻略のポイント

  • ●最大のポイントは「選択肢設問」の攻略だ。特に、「正誤判別」では「適切」「不適切」が入り乱れ、「複数完全解答」も多いのでとにかく紛らわしい。どうするか? 重要なことは、「多角的思考」と「細部へのこだわり」だ。前者は、「リード文」「設問文」「統計資料」「歴史史料」「図版」等から読み取れる「要素」と「自らの知識」を多角的に結びつけて考察するということ。そのために欠かせない「条件」が「細部へのこだわり」だ。考察する「要素」を読み違えていては元も子もない。いかに「要素」を正しく「読解」するかが重要になる。過去問演習等を通じて、「細部」にこだわった「要素」の「読み取り」を繰り返し練習する。そして、どのような「要素」を組み合わせるのかを「解説」で必ず確認し、自分でも「多角的思考」ができるよう、十分に訓練しておきたい。

    ●「社会」の合格ラインは非公表だが、70%程度は目指したい(過去13年間の「4科合計の合格最低得点率」は66.1%、本年度はやや下がって64.7%)。「試験時間」を考えれば「戦術」は不可欠。基本は「取れる問題を確実に押さえる」こと。「取れそうにない問題は潔く捨てる」という覚悟も求められる。無論「単純ミス」は絶対にダメだ。「基本的知識」を確実に押さえることで、基礎点(6割強)は獲得可能だ。あとは「本校対策」の結果として勝ち取る

    ●本年度、本校としては初めて新たな大学入試制度を意識したと思われる「考察問題」の出題があった。「思考力・判断力・表現力」がより重視されるので、意識して練習することが肝要。来年度以降に向けても要警戒だ

    「地理」では「地図」「統計資料」などが必ず出題されるので(本年度は「統計資料」と「写真」)、確実に読み取れるようにしておくこと(「地図上の位置」「地形図」「地図記号」の確認は必須)。また、「統計資料」は必ず最新版を使いたい。テキストとしては「日本のすがた」(矢野恒太記念会編集)が分かりやすくてオススメだ。

志望校への最短距離を
プロ家庭教師相談

お問い合わせ・資料請求はこちら

雙葉中学校の科目別
入試対策一覧

中学受験のために
家庭でできること

インタビュー=学力が伸びる子と伸び悩む子の特徴とは

リーダーズブレインの合格実績豊富な現役家庭教師が、プロならではの視点でポイントをお話ししています。どのようなタイプの子供が伸びるのか、家庭でのサポートで親が気を付けるべき事は何か。勉強のサポートの仕方から親子の関係性など…ぜひ参考にしてください。

TOP

創業以来、
最高峰のプロ教師陣を輩出

TRADITION
SINCE 1985

1985年法人設立以来、プロ家庭教師のクオリティーにこだわり続け、現役プロ教師の中でもトッププロと呼ばれる真の実力を兼ね備えた合格実績豊富な家庭教師のプロだけをご紹介しています。
特に中学受験·大学受験·医学部受験専門のプロ教師のクオリティーに自信があります。