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女子学院中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2017年度「女子学院中学校の社会」
攻略のための学習方法

[スライド式学習]

「女子学院対策」では先ず、「地理」「歴史」「公民」全単元の「知識」を確実に定着させることが重要だ。
「基礎的事項」は無論、細部にわたる「詳細な知識」や「深い理解」も求められるので、テキストの「注」や「囲み説明」等のチェックもすること。だが、悲しいことに人は忘れるものだ。時が経てば経つほど忘れる。ここに落とし穴がある。

基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し定着させたのか、その時期が問題となる。

塾では通常、本格的な受験勉強が始まる5年生になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、6年生の夏休み前には終える。その後は「復習」となるが、メインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。

そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。6年生で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか? 実質的に1年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。「地理」の全分野から深く出題されるJGではなおさらだ。

そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での学習時期とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある5年生の冬休みやその後の春休みを利用して、徹底的に「地理」の「復習」をしておくことがポイントだ。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用するといい。

さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習を密かに続けておくことで、ライバルに差をつけておきたい。

 

[いもづる式学習]

全単元に共通だが、「暗記事項」はそれぞれ単独(要は「一問一答方式」)で定着させていても無意味だ。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられない。ましてや、JGで求められる「多角的思考」などできるはずがない。

そこで重要となるのが「いもづる式学習法」。「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習だ。

1つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。もし「言葉」としては覚えていても「内容」があいまいになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ここでも「復習」できる)。また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。

その上で、それらが結びつく背景(=「面」)をも理解するようにする。

このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても、「線」で結びつけて答えられることになる。

さらに、単元もまたいでいるので、JGおなじみの「単元融合問題」や「総合問題」にも対応できるようになる。無論、「多角的思考」にも「いもづる式学習法」は力を発揮する。

 

 [手づくり式学習]

特に「歴史」単元の「復習」で必要となる。
塾での「歴史」の学習は通常、「政治史」を軸とした「通史」で「時代別」「時代順」になっている。しかし、JGに限らず上位校ではそうした単純な出題はほとんどない。
特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸になっている。

それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。
「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」~「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。

さらに、その「年表」には「西暦」だけではなく「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」も対応させて記入しておきたい。「世紀」と「時代」がすぐに結びつかないと答えられないような問題が多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみたい。

 

 [細部へのこだわり式学習]

前述のように、JGでは「リード文」「設問文」「統計資料」「地図」等の「要素」と自らの「知識」を多角的に結びつけないと解けない問題が多い。考える際の前提は無論、それぞれの「要素」をいかに正確に読み取るかということだ。そこから「考えるヒント」を見つけ出すのだから、「細部」にこだわって読み取ることが重要となる。
当然、トレーニングが欠かせない。過去問や練習問題等を用いて、各「要素」の細かな「意味」や「資料の数字」「地図上の位置」、そして「関連事項」など全てを材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する練習をしなくてはいけない。
導き出せることについては、過去問や問題集の「解説」に示されているはずなので活用する。

こうした「細部へのこだわり学習」を続けることで、次第に様々な「要素」から着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。
後は自分の「知識」と結びつけて考えていけばいい。

 

[意識継続式学習]

いついかなる場合でも、常に何かを「意識」しながら学習することが必要だ。無意識に机に向っていても無意味。その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのかを具体的に「意識」し続けていることが重要だ。

そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習していきたい。

女子学院の入試では40分という制限時間の中で、様々な「要素」を考え「条件」をクリアして70もの問題に答えなくてはならない。だからこそ、「設問」を正しく理解しているか? 「要素」は全て確認したか? 「他の設問」との関連は大丈夫か?「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。当然、「時間」も「意識」すること。

入試本番では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。

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2017年度「女子学院中学校の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「地理」「歴史」(1問のみ「時事」)。                                                                                         「稲作」を中心とした「農業の発展」と「集落のありかたの変化」に関する出題。小問は全9問(解答数10)、「選択肢」(「不適切」「複数完全解答」「年代整序」あり)、「説明記述」(4問。「字数指定」なし、「30字ほど」3問と「20字ほど」1問の解答欄)。

大問は「公民」「歴史」。                                                                                                                  「さまざまな『情報』と『表現の自由』」に関連する出題。小問は全6問(解答数14)、「選択肢」(「不適切」「複数完全解答」あり)、「事項記述」(「カタカナ指定」あり)、「抜き出し」、「説明記述」(1問。「字数指定」なし、「25字ほど」の解答欄)。

大問は「歴史」「地理」(1問のみ「公民」)。                                                                                            「関所についてのリード文」からの出題。小問は全9問(解答数11)、「選択肢」(「年代整序」あり)、「事項記述」(「人物名」「県名」あり)、「説明記述」(3問。「25字ほど」2問と「30字ほど」1問の解答欄)。

大問は「公民」「時事」(1問のみ「歴史」)。                                                                                          「難民についてのリード文」からの出題。全9問(解答数11)、「選択肢」(「不適切」「複数完全解答」「年代整序」あり)、「事項記述」(「漢字指定」あり)。時間配分は、「説明記述」に10分強、他は2分強で3問をこなすペースとなる。無論、メリハリのある「戦術」が求められる。

【大問Ⅰ】「地理」「歴史」(1問のみ「時事」)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:11分
  • ★必答問題

「水田での稲作が広がり、その後農業が発展するとともに、集落のありかたも変化していった」ことに関連しての「地理」「歴史」(1問のみ「時事」)からの出題。「意表を衝く問題」や「統計資料の読み取り」、「紛らわしい選択肢」などに本校らしさが遺憾なく発揮されている。

以下、いくつか確認をしてみる。

 

[問1] 「理由説明記述設問」(字数指定なし、「30字ほど」の解答欄)。                  「地理」単元。「水田は土地を平らに整えることが必要」だが、「なぜ水平にする必要があるのか」を説明する。

はぁ? なんじゃこりゃ。「水田」だって「畑」だって、「平ら」に決まってるじゃん。当然のことを問われているようで、戸惑うに違いない。確かに当たり前のことなのだが、それがあえて問われているわけで、ここは冷静に考えていきたい。

「水田」には「水を張る」、それは「稲の生育」に不可欠だからだ。もし「水平」でなければ、隅々まで「水」が行き渡らずに「稲の生育」に支障をきたすことになる。といったことを「過不足なく」まとめていきたい。たとえば、「稲の生育に不可欠な水を隅々にまで行き渡らせる必要があるから。」といった「答え」となる。

本校では「意表を衝く問題」があり得ると心に留めおき、落ち着いて対処すること。

<時間配分目安:1分強>

 

[問3] 「年代整序設問」。                                     「歴史」単元。「稲作」について、示されている「説明文」を「古い順」に並びかえる。

「キーワード」から「時代」を判別していく。選択肢(ア)「干歯こき」⇒「江戸時代~」、(エ)「牛馬耕」⇒「鎌倉時代~」はすぐに特定可能のはず。他はどうか? 

(イ)「臼や杵の使用」=「銅鐸に描かれていた」(何とか結びつけたい)⇒「弥生時代~」            (ウ)「化学肥料」=「19世紀末から化学肥料生産開始」(「近代」以降だと類推したい)⇒「明治時代~」

となる。したがって、「答え」は「(イ)→(エ)→(ア)→(ウ)」。

「農業」での「時代を特定するキーワード」としては、「二毛作が西日本で広まる」⇒「鎌倉時代~」、「二毛作が全国で広まる」⇒「室町時代~」、「牛馬糞の肥料」⇒「鎌倉時代~」、「下肥(人糞)」「金肥」⇒「江戸時代~」なども覚えておきたい。

<時間配分目安:1分弱>

 

[問5] 「説明内容不適切選択肢設問」(4択)。                            「歴史」単元。「各時代の集落・都市」について、「まちがっているもの」を答える。

ここも各選択肢の「キーワード」で正誤判別していく。      

(ア)「室町時代の自治都市は商工業が活発」⇒「堺・博多など」=「適切」                  (イ)「縄文時代の集落は山の中腹」⇒「貝塚」「漁労・採集」=「不適切」                   (ウ)「江戸時代の城下町には街道」⇒「参勤交代」=「適切」                        (エ)「弥生時代の水田耕作の場所は水を引きやすい土地」⇒「当然」=「適切」。

よって、「答え」は(イ)だ。本問はさほど難解ではないが、「正誤判別」では「細部」にまで配慮することが肝要。

<時間配分目安:30秒>

 

[問7(1)] 「統計資料の空所補充選択肢設問」(全3問/6択)。                     「地理」単元。示されている「東京都中央卸売市場に入るキャベツ(数量)の、月別産地1位~3位」の「表」の中の、(A)(B)(C)にあてはまる「県名」を答える。

「表」を確認する。

(A)は「1~3月」と「12月」、(B)は「5・6月」と「11月」、(C)は「7~10月」がそれぞれ「1位」になっている。  各選択肢は、(ア)「宮城」、(イ)「千葉」、(ウ)「愛知」、(エ)「栃木」、(オ)「群馬」、(カ)「新潟」だ。

「キャベツ」の「都道府県ランキング」は、1位=「愛知」、2位=「群馬」、3位=「千葉」だということは知っているはず。「群馬」=「嬬恋」などでの「高冷地農業」⇒「夏に出荷」なので、(C)の「答え」は(オ)だとすぐに特定できる。   そして、「愛知」「千葉」はともに「近郊農業」だが、「表」での「1位」が多い(A)が(ウ)で、(B)は(イ)だと判別したい。

「農産物」の「都道府県ランキング」は本校に限らず頻出なので、主要品目は「3位」まで押さえておくこと。

<時間配分目安:1分>

 

[問9] 「理由説明選択肢設問」(4択)。                               「地理」単元。「国内市場に年間を通して国産のリンゴが出回っている理由」を答える。

「直接的な知識」としては誰も知らないはずだ。「間接的な知識」を組み合わせて各選択肢を「消去」していきたい。

「リンゴ栽培には冷涼な気候が適している」+「国内での生産量は青森県と長野県で約8割」⇒選択肢(イ)「多品種の栽培」と(エ)「生産地の拡大」は「消去」できるはず。

また、(ウ)の「肥料の改良」と「年間を通しての栽培」は無関係。残っている(ア)の「貯蔵技術の発達」は十分にあり得る。よって、「答え」となる。

ちなみに、現在は「CA貯蔵(空気調整貯蔵)」が行われている。                      これは、もともとリンゴの貯蔵のために開発されたもので(今では他の果物でも用いている)、外気を遮断して庫内の空気組成を調整し(酸素を減らして二酸化炭素を増やす)、低温にすることで青果物の呼吸を最小限に抑制して新鮮さを長期間保つことができる貯蔵方法。

尚、「知らないこと」が問われることは当然ある。その際は、「自らの知識」を多角的に組み合わせて考察していくこと。

<時間配分目安:1分以内>

【大問Ⅱ】「歴史」「公民」

  • 難度:やや難
  • 時間配分:11分

「わたしたちは日ごろ、さまざまな情報に接しながら、物事を判断して生活している」ことについての「公民」「歴史」からの出題。「漫画」や「史料」「資料」に関連しての多様な小問が並んでいる。分かりづらい「説明記述」もある。

以下、いくつかの「設問」を検討する。

 

[問2] 「確認内容選択肢設問」(複数完全解答/4択)。                         「公民」単元。「社会科である事がらを書物で調べる場合、その書物のどのようなことを確認することが重要か」を「2つ」答える。

「情報」を得る上で重要な確認事項とは何かということだ。単なる「知識」ではなく「思考力」が求められる問題だ。

各選択肢は、(ア)「価格はいくらか」、(イ)「出版年はいつか」、(ウ)「ページ数はどれくらいか」、(エ)「著者はどんな人か」。さて、どうだろうか?

「情報」というものは、それを発信した人の「立場」「考え方」や「目的」、また、発信された「時期」「背景」などを踏まえた上で、自分なりに捉え直して解釈する必要がある(いわゆる「メディアリテラシー」)ということは考えられるはず。

よって、「答え」は(イ)と(エ)だ。まさに、設問で与えられている「情報」を的確に把握し直すということになる。

<時間配分目安:1分以内>

 

[問3(1)] 「史料読み取りの選択肢設問」(複数完全解答/5択)。                    「歴史」単元。示されている「アメリカの新聞『ニューヨークタイムズ』1937年11月21日発行」に掲載された「漫画A」について、そこに描かれている人物(「JAPAN」と書かれた帽子をかぶり、出っ歯で刀を持っている)の左目には「世界を無視」と記されているが、それは「アメリカから見て日本のどのような行為を指しているか」を「2つ」答える。

大きく描かれているその人物、「出っ歯」と「刀(軍刀)」は当時のアメリカ人にとっての典型的な「日本軍人」の特徴だ。

で、各選択肢は、                                         (ア)「ブラジルへの移民開始」、(イ)「国際連盟脱退」、(ウ)「南樺太領有」、(エ)「日露戦争開戦」、(オ)「日中戦争拡大」。

無論、「手がかり」は「1937年11月21日」と「世界を無視」だ。(ウ)=「ポーツマス条約」(1905年)以降、(エ)=「1904年」だということは誰でも知っているので、即「消去」。

次に、(ア)も「世界を無視」とは結びつかないので「消去」できるはず。したがって、「答え」は(イ)と(オ)だ。

尚、(イ)=「1933年3月27日」、(オ)=「1937年7月7日開戦」だ。                    適切に「手がかり」をつかみ、「消去法」も活用することが肝要。

<時間配分目安:1分以内>

 

[問4(2)] 「史料読み取りの条件付き事項記述設問」(「カタカナ」指定)。                「歴史」単元。示されている「日本の雑誌『講談俱楽部』1942年2月号」に掲載された「漫画B」と添えられている「『大東亜戦争』と題された文章」について、「文章」の中にある「昭和十六年十二月八日」に「日本軍が攻撃した場所」を答える。

「条件」は「国名ではなく、地域名をカタカナで答える」こと。                       「漫画B」は、「東アジアの人々」を苦しめる「双頭の毒蛇」(アメリカとイギリス)をやっつけている「日本軍人」の姿を描いている。そして、「文章」では、「東亜新秩序」を目指す「大東亜戦争」の正当性を唱えている。

無論、「大東亜戦争」=「太平洋戦争」であり、「昭和十六年十二月八日」=「1941年12月8日」は「開戦」の日だ。陸軍は「イギリス領マレー半島」に上陸し宣戦布告、直後に海軍が「ハワイの真珠湾(パールハーバー)」を奇襲攻撃した。

では、何を「答え」にすればいいのか。「攻撃した場所」の「地域名」で「カタカナ」という「条件」があるので、「答え」は「ハワイ」ということになる(「マレー半島」には「漢字」が含まれるし、「パールハーバー」は「地名」だ)。

「答え方」がいくつかある場合、「条件」に必ず合致させること。

<時間配分目安:1分以内>

 

[問6(1)] 「下線部についての空所補充事項記述設問」(全3問)。                   「公民」単元。示されている「資料C」(2015年6月29日の「日本新聞協会編集委員会の声明全文」)の中の下線部③「与党の所属議員」に関して、「与党」を説明した次の文中の空所にあてはまる「適切な語句」を答える。

「与党とは、一般的に( A )権を持つ国会で多数を占め、( B )を構成する政党であり、実質的には( C )権も担う」となっている。

( B )=「内閣」は即答で、「内閣」は「行政権を担う」ので( C )=「行政」、「( A )権」は文脈上やや悩ましいが、「国会が持つ」=「立法」と特定できるはずだ。結局は「公民の基礎」だったわけで、全問正解でいきたい。

<時間配分目安:1分>

 

[問6(3)] 「下線部についての具体例選択肢設問」(複数完全解答/6択)。                「公民」単元。示されている「資料C」(同上)の下線部⑤の「表現の自由、報道の自由」の「弾圧にはあたらず、憲法上認められること」を「2つ」答える。

「具体例」なので細部にまで配慮する必要がある。各選択肢の内容を確認したい。

(ア)「新聞記事の内容を事前に官庁が確認する」⇒第21条2項が禁じる「検閲」にあたる=「不適切」

(イ)「政治的に中立でないことを理由に、デモや講演会を規制する」⇒第21条1項で保障されている「表現の自由」の侵害にあたる=「不適切」

(ウ)「人の名誉を傷つける発言に罰則を科す」⇒「他者の人権」を侵害する「名誉棄損」は「犯罪」にあたる=「適切」

(エ)「電話やメールの内容を捜査機関が自由に調査する」⇒第21条2項が保障する「通信の秘密」を侵害することになる(確かに「通信傍受法」で認められる場合もあるが、決して「自由に」ではない)=「不適切」

(オ)「テレビ番組の内容について、国務大臣が変更を指示する」⇒第21条1項で保障されている「表現の自由」の侵害にあたる=「不適切」

(カ)「個人の尊厳を否定する差別的な言動を法律で規制する」⇒「他者の人権」を侵害する行為は制限できる(「ヘイトスピーチ対策法」が2016年に成立)=「適切」。

よって、「答え」は(ウ)(カ)となる。                                 「基本的人権」についてはこのように「具体例」との適合性が問われることがよくあるので、数多くの事例を確認しておくことが肝要だ。

<時間配分目安:1分>

【大問Ⅲ】「歴史」「地理」(1問のみ「公民」)

  • 難度:
  • 時間配分:10分
  • ★必答問題

「古来、交通の要所や軍事的に重要な場所に置かれた『関所』に関するリード文」からの「歴史」「地理」(1問のみ「公民」)の出題。「歴史」での「年代整序」、「地理」での「地形図読み取り」等々の多彩な問題があるが、平易なものがほとんどだ。短時間で得点を重ねていきたい。

若干ひねりの加わっている2問だけを検証したい。

 

[問3] 「下線部についての具体的施設選択肢設問」(複数完全解答/4択)。                「公民」単元。リード文中の下線部③「(古くは関と呼ばれ、律令制のもとで)人々を取り締まり」について、「現在、その役割を常に果たしている施設」を「2つ」答える。

「人々を取り締まる現在の関所」? 一瞬、戸惑うはずだが、そこは各選択肢を冷静に確認し判断したい。   (ア)「高速道路の料金所」、(イ)「東京港」、(ウ)「成田空港」、(エ)「東京駅」。                  確かに、全て人々が「通過」する「関所」(施設)だ。

その中で、(イ)と(ウ)は「港(空港)」、つまりは「外国との出入り口」ということになる。            したがって、そこでは当然「出入国管理」(=「人々やものの取り締まり」)が行われている。よって、「答え」は(イ)(ウ)だ。

「選択肢」そのものが「手がかり」ということもあると心得よ。

<時間配分目安:1分以内>

 

[問8] 「史料読み取りの説明記述設問」(字数指定なし、「25字ほど」の解答欄)。             「歴史」単元。示されているリード文中の下線部⑧「(関ヶ原の戦いの後に設置された)箱根の関所」に掲げられていた「資料」を読んで、「幕府は支配体制を保つために、どのようなことを防止しようとしていたと考えられるか」を説明する。

本校志望者であれば、「江戸時代」の「箱根の関所」=「入り鉄砲に出女」と結びつくはず。そのことを意識して「資料」を読み解きたい。

「笠や頭巾を取らせ」「駕籠(かご)の引き戸を開けさせ」「江戸方面から京都方面へ旅する女性は、通行手形を細かく照らし合わせ」……、もう分かったはずだ。「出女」についてのことだ。

あとは、「出女」の説明も踏まえて簡潔にまとめればいい。たとえば、「幕府の人質である大名の妻や娘が江戸から逃げること。」という「答え」だ。

「資(史)料」のポイントを押さえ、的確に説明することが肝要。

<時間配分目安:1分>

【大問Ⅳ】「公民」「時事」(1問のみ「歴史」)

  • 難度:
  • 時間配分:8分

「第一次世界大戦時に国際的に認識された難民問題が、最近ではEUの原則さえも揺るがしつつある現状についてのリード文」からの「公民」「時事」(1問のみ「歴史」)の出題。「国際機関」の判別や最近の「国際情勢」など、「深知り知識」が求められている。 難問ぞろいの大問だ。

以下、いくつかを検討したい。

 

[問1] 「空所補充の国際機関名選択肢設問」(5択)。                         「公民」単元。リード文中の「難民の保護や支援を行う( A )」の空所にあてはまる国際機関を答える。

「難民」についての「国際機関」といえば、長ったらしい用語を呪文のように必死に覚えたはず。そう、「国連難民高等弁務官事務所」だ。が、各選択肢は「アルファベット略称」だ。

(ア)「WHO」、(イ)「IBRD」、(ウ)「UNESCO」、(エ)「UNICEF」、(オ)「UNHCR」。

無論、「答え」は(オ)なのだが、即答できなかった諸君にはひとつ覚えておいてほしいことがある。「国際機関」の「アルファベット略称」では、「国連~」=「UN~」、「国際~」=「I~」、「世界~」=「W~」となっているということだ。思い出すきっかけにしてほしい。

尚、他の選択肢は、(ア)「WHO」=「世界保健機関」、(イ)「IBRD」=「国際復興開発銀行(世界銀行)」、(ウ)「UNESCO」=「国連教育科学文化機関」、(エ)「UNICEF」=「国連児童基金」。

<時間配分目安:30秒>

 

[問5(2)] 「下線部についての内容説明不適切選択肢設問」(複数完全解答/6択)。            「時事」単元。下線部③「難民」について、「現在の難民に関する説明」で「まちがっているもの」を「2つ」答える。

各選択肢のポイントで正誤判別していく。                              (ア)「難民の多くは開発途上国から発生している」⇒「紛争や迫害で発生」⇒「現在の発生国はシリア・アフガニスタン・ソマリアの順」=「適切」

(イ)「他の先進国と比べ、日本の難民認定数は多く」⇒「欧米の先進国は数千から数十万人なのに対して、日本は極端に少ない(2016年度は28人)」=「不適切」

(ウ)「難民のうち18歳未満の子どもが占める割合は2割以下」⇒「全難民の5割以上を占める」=「不適切」

(エ)「リオデジャネイロ五輪で初めて難民選手団結成」⇒「シリア・エチオピア・南スーダンなどの出身者10人で結成された」=「適切」

(オ)「難民のための国際的な条約が成立している」⇒「1951年に『難民の地位に関する条約』成立」=「適切」

(カ)「難民と認められると、本国へ引き渡されないように保護される」⇒「本国では迫害される恐れがあるので当然だ」=「適切」。

よって、「答え」は(イ)(ウ)となる。「難民問題」について相当に理解していなくては解けない難問だ。    「時事問題」についてはしっかりと習得しておくことが重要。

<時間配分目安:1分>

 

[問6] 「下線部についての国名選択肢設問」(6択)。                         「時事」単元。下線部④の「UNHCRの2015年年間統計報告書」で、「もっとも多く難民を受け入れている国(最初に一時的な保護をした国)」を答える。

各選択肢は、(ア)「ロシア」、(イ)「オーストラリア」、(ウ)「イギリス」、(エ)「トルコ」、(オ)「中国」、(カ)「アメリカ」。

無論、誰も直接的には知らない。だが、考えようはあるはずだ。問題文に着目したい。カッコ内に「最初に一時的な保護をした国」とある。ということは、「難民発生国」に隣接しているか、近くの「国」と考えられる。

現在、最も多くの難民が発生しているのは「シリア」なのだから、その隣国である(エ)の「トルコ」が「答え」だと特定できる。尚、以下、「パキスタン」「レバノン」「イラン」「エチオピア」と近隣諸国が続いている。

「私は知らない」⇒「誰も知らない」⇒「知らなくても解ける」と心得て、何か「手がかり」を探し「知っていること」と結びつけていくこと。

<時間配分目安:1分以内>

 

[問8] 「下線部についての内容説明選択肢設問」(不特定複数完全解答/6択)。              「公民」単元。下線部⑥「EU」について、「正しい説明」を「すべて」答える。

出た! 本校頻出の「不特定」の「複数完全解答」、いくつあるのか不明なのでこれほど厄介なものはない。細心の注意を払って、各選択肢のポイントで正誤判別していきたい。

(ア)「大統領にあたる役職がある」⇒知っているかどうか微妙⇒「最高意思決定機関の欧州議会の議長が相当する」=「適切」

(イ)「すべての加盟国は共通通貨を導入」⇒誰でも知っている⇒「イギリス、デンマーク、スウェーデンなど9カ国は未導入」=「不適切」

(ウ)「全体の公用語はひとつ」⇒知らなくて当然⇒「全加盟国の公用語がEUの公用語になっている」=「不適切」

(エ)「加盟国どうしでは関税なしに輸出入」⇒知っていて当然⇒「実質的に国境はなく移動も自由」=「適切」

(オ)「ヨーロッパの国々はすべて加盟」⇒これまた知っていて当然⇒「スイス、ノルウエーなどは未加盟。また、「イギリスは脱退を決定」=「不適切」

(カ)「かつて東側陣営に属していた国も加盟」⇒知っての通り⇒「2004年以降、ポーランド、ブルガリアなど続々と加盟している」=「適切」。

したがって、「答え」は(ア)(エ)(カ)になる。                             尚、「不特定複数完全解答問題」は時間がかかり得点しづらい(コスパが悪い)ので、戦術的には「後回し」「捨て問」で構わない。

<時間配分目安:1分半>

攻略のポイント

●尋常ではない解答数で難易度はバラバラ。最大のポイントは「試験時間の使い方」。

先ずは、難易度を即座に判断する。そして、「取れる問題を確実に押さえる」ことが重要だ。「取れそうにない問題は潔く捨てる!」ことも戦術のひとつ。時間を取られて、「できるはずの問題」を逃してしまっては元も子もないのだから。もし時間が余ったら、また戻ればいい。

本校の合格ラインは完全非公表だが、解答数から考えて10問程度の「捨て問」なら大丈夫だ。6割以上は「基礎的知識」で十分対応可能で、あとは前述したような「本校対策」ができれば「安全圏」だ。

●「基本的知識を基にした思考力や記述力、図表や資料等から必要な情報を読み取る能力」も求められる。   それらの「設問」では、「リード文」「設問文」「統計資料」「史料」「地図」等の「要素」と「自らの知識」を多角的に結びつけて考えることが必要だ。

また、「設問どうしの連関」や「設問条件=手がかり・ヒント」だということも心得ておきたい。そして、過去問演習を通じて(「解説」を読みながら)、どのような「要素」を組み合わせて考えていけばいいのかを繰り返し確認し、自らも「多角的思考」ができるように練習していきたい。

●もうひとつ。本校では「4科目の配点と試験時間が全て均等」であることにも注意したい。「社会」だからといって手抜きはできない。逆に考えれば「社会」が得意科目である場合、ライバルに大きく差をつけるチャンスにもなるのだ。

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