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女子学院中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2018年度「女子学院中学校の社会」
攻略のための学習方法

[スライド式学習]

「女子学院対策」では先ず、「地理」「歴史」「公民」全単元の「知識」を確実に定着させることが重要だ。
「基礎的事項」は無論、細部にわたる「詳細な知識」や「深い理解」も求められるので、テキストの「注」や「囲み説明」等のチェックもすること。だが、悲しいことに人は忘れるものだ。時が経てば経つほど忘れる。ここに落とし穴がある。

基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し定着させたのか、その時期が問題となる。

塾では通常、本格的な受験勉強が始まる5年生になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、6年生の夏休み前には終える。その後は「復習」となるが、メインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。

そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。6年生で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか? 実質的に1年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。「地理」の全分野から深く出題されるJGではなおさらだ。

そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での学習時期とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある5年生の冬休みやその後の春休みを利用して、徹底的に「地理」の「復習」をしておくことがポイントだ。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用するといい。

さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習を密かに続けておくことで、ライバルに差をつけておきたい。

[いもづる式学習]

全単元に共通だが、「暗記事項」はそれぞれ単独(要は「一問一答方式」)で定着させていても無意味だ。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられない。ましてや、JGで求められる「多角的思考」などできるはずがない。

そこで重要となるのが「いもづる式学習法」。「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習だ。

1つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。もし「言葉」としては覚えていても「内容」があいまいになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ここでも「復習」できる)。また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。

その上で、それらが結びつく背景(=「面」)をも理解するようにする。

このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても、「線」で結びつけて答えられることになる。

さらに、単元もまたいでいるので、JGおなじみの「単元融合問題」や「総合問題」にも対応できるようになる。無論、「多角的思考」にも「いもづる式学習法」は力を発揮する。

 [手づくり式学習]

特に「歴史」単元の「復習」で必要となる。
塾での「歴史」の学習は通常、「政治史」を軸とした「通史」で「時代別」「時代順」になっている。しかし、JGに限らず上位校ではそうした単純な出題はほとんどない。
特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸になっている。

それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。
「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」~「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。

さらに、その「年表」には「西暦」だけではなく「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」も対応させて記入しておきたい。「世紀」と「時代」がすぐに結びつかないと答えられないような問題が多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみたい。

 [細部へのこだわり式学習]

前述のように、JGでは「リード文」「設問文」「統計資料」「地図」等の「要素」と自らの「知識」を多角的に結びつけないと解けない問題が多い。考える際の前提は無論、それぞれの「要素」をいかに正確に読み取るかということだ。そこから「考えるヒント」を見つけ出すのだから、「細部」にこだわって読み取ることが重要となる。
当然、トレーニングが欠かせない。過去問や練習問題等を用いて、各「要素」の細かな「意味」や「資料の数字」「地図上の位置」、そして「関連事項」など全てを材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する練習をしなくてはいけない。
導き出せることについては、過去問や問題集の「解説」に示されているはずなので活用する。

こうした「細部へのこだわり学習」を続けることで、次第に様々な「要素」から着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。
後は自分の「知識」と結びつけて考えていけばいい。

[意識継続式学習]

いついかなる場合でも、常に何かを「意識」しながら学習することが必要だ。無意識に机に向っていても無意味。その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのかを具体的に「意識」し続けていることが重要だ。

そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習していきたい。

女子学院の入試では40分という制限時間の中で、様々な「要素」を考え「条件」をクリアして70もの問題に答えなくてはならない。だからこそ、「設問」を正しく理解しているか? 「要素」は全て確認したか? 「他の設問」との関連は大丈夫か?「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。当然、「時間」も「意識」すること。

入試本番では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。

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2018年度「女子学院中学校の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「歴史」。弥生時代~近世までの「女性の暮らし」に関する出題。小問は全4問(解答数6)、「選択肢」(「不適切」「年代整序」あり)、「事項記述」。

大問も「歴史」(1問のみ「地理」)。「戦国時代の政略結婚ついてのリード文」からの出題。小問は全5問(解答数10)、「選択肢」(「不適切」「年代整序」あり)、「事項記述」、「説明記述」(1問。「字数指定」なし、「30字ほど」の解答欄)。

大問は「歴史」中心(一部「地理」「その他」あり)。「明治時代の農村」などについての出題。小問は全6問(解答数12)、「選択肢」(「不適切」「複数完全解答」あり)、「事項記述」。

大問も「歴史」中心(一部「公民」あり)。「識字率向上による社会の変化についてのリード文」からの出題。全7問(解答数10)、「選択肢」(「不適切」「複数完全解答」あり)、「事項記述」、「説明記述」(3問。「字数指定」なし、「15字ほど」2問と「30字ほど」1問の解答欄)。

大問は「公民」(2問だけ「時事」あり)。「現在の日本におけるジェンダー・ギャッブに関するリード文」からの出題。全7問(解答数7)、「選択肢」(「不適切」「複数完全解答」あり)、「説明記述」(2問。「字数指定」なし、「20字ほど」と「30字ほど」の解答欄)。

時間配分は、「説明記述」に10分ほど、他は2分強で3問をこなすペースとなる。無論、メリハリのある「戦術」が求められる。

【大問Ⅰ】「歴史」(「年代整序」「不適切選択肢」あり)

  • 難度:
  • 時間配分:5分
  • ★必答問題

※本校では、全大問の前提として「語句はできるだけ漢字で書きなさい」と明記されている。したがって、以下の「大問」での「事項などの記述設問」は全て「漢字指定」だと考えること。

「古くからも女性たちはさまざまな手仕事に従事し、宗教や文化にも関わってきた」ことに関連しての出題。「歴史」の「基本的事項」が問われている。本校志望者であれば「全問正解」が当然だ、「選択肢設問」の全てが「不適切選択肢」なので注意したい。本校の「標準レベル」をチェックする意味で、以下、2問だけ確認をしてみる。

[問1(1)] 「年代整序設問」(4択)。「歴史」単元。

「織物」について示されている(ア)~(エ)の「説明文」を「古い順」に並びかえる。

「キーワード」から「時代」を特定していく。選択肢(ア)「日宋貿易」⇒「平安時代末~鎌倉時代」、(イ)「漢字(伝来)」「渡来人」⇒「古墳時代」、(ウ)「銅鐸」⇒「弥生時代」、(エ)「月6回の定期市」⇒「室町時代」。よって、「答え」は「(ウ)→(イ)→(ア)→(エ)」となる。

このように難なく特定できなくてはいけない。不安な諸君は「レベルアップ」が必須だ。尚、「年代整序」は「うろ覚えの年代」で整序するのではなく、「流れ」や「キーワード」を確認し、特定していくこと。たとえば、「月3回の定期市」⇒「鎌倉時代」、「二毛作が西日本で広まる」⇒「鎌倉時代~」、「二毛作が全国で広まる」⇒「室町時代~」、「牛馬糞の肥料」⇒「鎌倉時代~」、「下肥(人糞)」「金肥」⇒「江戸時代~」なども覚えておきたい。

<時間配分目安:30秒>

[問3(1)] 「時代特定の不適切選択肢設問」(4択)。「歴史」単元。

「仏教をあつく信仰した光明子と聖武天皇の時代」について、「まちがっているもの」を答える。「光明子と聖武天皇の時代」=「奈良時代」は何の問題もない。あとは、各選択肢の「キーワード」で「時代」の正誤判別をしていく。

(ア)「特産物を都に運ぶ義務」⇒「租庸調」の「調」=「適切」、(イ)「東北の沿岸部や九州の警備が義務」⇒「九州の警備」は「防人」、が、当時「東北沿岸部」は「蝦夷地」=「不適切」、(ウ)「住んでいる地域で土木工事を課せられた」⇒「雑徭」=「適切」、(エ)「布の納入が課せられた」⇒「庸」=「適切」。よって、「答え」は(イ)。本問は難解ではないが、「正誤判別」では「細部」にまで配慮することが肝要。

<時間配分目安:30秒>

【大問Ⅱ】「歴史」(1問のみ「地理」。「説明記述」あり)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:8分

「織田信長」「豊臣秀吉」「徳川家康」「徳川家光」に関連した、政治上のかけ引きを目的とした「政略結婚」についての「リード文」からの出題。
「歴史」に「地理」が混在しており、やや難解な大問だ。以下、いくつかの「設問」を検討する。

[問2] 「下線部についての人名記述設問」。「歴史」単元。

「リード文中」の下線部①「戦国大名」について、「越後の上杉謙信と川中島で戦った、甲斐の戦国大名は誰か」を答える。「答え」は「武田信玄」だ。「信玄堤」や「分国法」の「甲州法度次第」との結びつきは定着していても、「上杉謙信」との「川中島の戦い」は意外と抜けているかも。「歴史事項」はいくつもの「関連事項」を含めて定着させておきたい。

<時間配分目安:30秒>

[問3] 「前問に関する条件付き理由説明記述設問」(字数指定なし、「30字ほど」の解答欄)。「歴史」単元。

前問の「上杉謙信」の関東への「出兵が秋の終わりから冬の初めに集中していた理由」を説明する。「条件」は「どのような人が兵の多くを占めていたかを考えて説明する」こと。当時出兵した兵の多くは「農民」だったことは知っているはず。そして、「上杉謙信」が「越後」だということが前問に記されている。

ということは……、「米づくり」の農作業が集中する「春から秋の初めは出兵が困難だ」ということだ。あとは、「過不足なく」まとめていきたい。たとえば、「兵の多くは農民で、米づくりの農作業が集中する時期を避けたから。」といった「答え」になる。与えられている「情報」を的確に結びつけて考えることが肝要だ。

<時間配分目安:1分強>

[問4(1)] 「下線部に関する年代整序設問」(3択)。「歴史」単元。

「リード文中」の下線部②の「北陸地方」に関して示されている「説明文」を「古い順」に並びかえる。「キーワード」から「時代」を特定していきたい。

選択肢(ア)「越前の朝倉氏」「家臣団は一乗谷に集住」⇒「朝倉氏の一乗谷」は「織田信長に滅ぼされた」ということを知っているかどうか? やや難解だ⇒「戦国時代」、(イ)「源義仲」=「木曽義仲」⇒「源平合戦」⇒「平安時代末期」はすぐに特定可能、 (ウ)「前田利家」=「豊臣秀吉」の「五大老」のひとり(何とか結びつけたい)⇒「安土桃山時代」。したがって、「答え」は「(イ)→(ア)→(ウ)」。細かな「キーワード」をも見逃さないこと。また、「人物」による「整序」で混乱しないことが求められる。

<時間配分目安:1分弱>

[問4(3)] 「下線部に関連する不適切選択肢設問」(4択)。「地理」単元。

「リード文中」の下線部②の「北陸地方」に関連して示されている、「現在、富山県氷見で行われているブリ漁」についての説明で、「まちがっているもの」を答える。各選択肢の「キーワード」で正誤判別する。

(ア)「対馬海流」「回遊魚が富山湾に入ってくる」⇒悩む間もなく「適切」、(イ)「氷見のブリ漁は定置網漁」⇒誰も知らないはず、判別不可能、(ウ)「富山湾には九頭竜川が流れ込み」⇒「九頭竜川」? 違和感ありあり、「九頭竜川」は「福井平野」を形成して「日本海」に達していることを思い出したい=「不適切」、(エ)「氷見のブリ漁は冬にさかん」⇒「常識」だ=「適切」。よって、「答え」は結局、(ウ)だ。

尚、「ブリ漁の定置網漁」はごく一般的だ。「正誤判別」を含めた「選択肢設問」では、「消去法」をしっかりと活用せよ。

<時間配分目安:30秒>

【大問Ⅲ】「歴史」(一部「地理」。「複数完全解答」あり)

  • 難度:
  • 時間配分:8分

農村でも人々の生活に変化が起きてきた「明治時代」にさかんになった「養蚕」に関連する出題。「歴史」の問題はさほど難しくはないが、「地理」での「図版・写真の読み取り」や、「統計資料読み取り」では難解なものが多い。厄介な大問だ。以下、いくつかの「設問」を考えてみる。

[問2(2)] 「理由説明選択肢設問」(4択)。「歴史」単元。

「養蚕農家」は蚕を「お蚕さま」と呼んでいたが、「そう呼ばれた理由」を答える。「お蚕さま」? 誰も知らないに違いない。さて、どうするか? 先ずは、各選択肢を確認してみよう。

(ア)「いろいろな植物の葉をエサにできるから」、(イ)「病気に強く、成長が早いから」、(ウ)「東日本でしか飼育できず、貴重だったから」、(エ)「農家にとって貴重な現金収入源だから」。事実関係で「消去」できるものがあるはずだ。

(ア)⇒「蚕は桑の葉だけをエサにする」、(ウ)⇒「当然、西日本でも飼育されている」、よって、両者は「消去」。次に、本大問は「明治時代」についてだということで考えたい。当時、「生糸」は日本の最大の「輸出品」、生産農家には大きな利益をもらせたと考えられる。だからこそ、「敬意」を込めた呼び方になったと判断したい。

したがって、「答え」は(エ)になる。「私が知らない」⇒「誰も知らない」⇒「知らなくても解ける」と考え、「自らの知識」を結びつけていくことが重要。

<時間配分目安:1分弱>

[問4] 「理由説明選択肢設問」(5択)。「地理」単元。

「諏訪地方」で「製糸業」がさかんになったのは、「どのような自然条件があったからか」を答える。内陸県の「長野県」にある「諏訪湖」を中心とした地域の「自然条件」を考慮して、各選択肢を正誤判別していきたい。

(ア)「夏と冬の気温差が大きい」⇒「内陸部」なので「適切」、(イ)「昼と夜の気温差が小さい」⇒「内陸部」なので「不適切」、(ウ)「火山が多く、地熱を利用できる」⇒「諏訪湖」は「火山湖」ではなく「断層湖」なので「不適切」、(エ)「水が豊富にある」⇒当然、「適切」、(オ)「一年を通じて湿度が高い」⇒「内陸部」なので「不適切」。(ア)(エ)の2択になった。「製糸業」にとっては、どちらがより重要か? 繭(まゆ)を煮る工程があるのだから、大量の水が必要だ。よって、「答え」は(エ)。定着している「知識」で的確に「消去」していくこと。

<時間配分目安:1分弱>

[問5(1)] 「図版についての選択肢設問」(5択)。「地理」単元。

示されている「諏訪湖」の形を表した「図A」にある(ア)~(オ)の5つの「○印」は、「4か所」は「河川が湖に流れ込んでいる場所」で、「1か所」が「湖から河川が流れ出している場所」だが、「湖から河川が流れ出している場所」を答える。

はっ? なんとも不可思議な問題で、分かるはずがない? いや、そうではない。とにかく先ずは、「図A」をしっかりと観察すること。すると気づくはずだ。(イ)~(オ)と(ア)とは明らかに形状が異なっており、前者は「湖に向かっての出っ張り」があり、後者は逆に「湖からの出っ張り」がある。「河川が流れ込む所」では当然、土砂が堆積する。それが「出っ張り」になっているのだ。

したがって、「答え」は(ア)になる。「問題文」や「図版」など、与えられているものは全て「ヒント」だと捉えて、最大限活用せよ。

<時間配分目安:1分>

[問5(2)] 「前問についての事項記述設問」。「地理」単元。

[問5(1)]で答えた場所から流れ出す河川の「河口がある県名」を答える。「諏訪湖」が源流といえば「天竜川」だけだということは誰でも知っている(現に、前問でも「流出河川」はひとつだけだった)。であれば、その河口は言わずもがな、「答え」は「静岡(県)」。これはとても平易だ。正解して当然。

<時間配分目安:30秒>

[問5(3)] 「図版についての事項記述設問」。「歴史」単元。

示されている「諏訪湖」の形を表した「図A」の、「『★印』あたりで終わっていた江戸からの街道の名前」を答える。「★印」は「諏訪湖」のやや北に位置している。「江戸からの街道」といえば無論、「五街道」で、その中で現在の「長野県」を通っていたのは「中山道」「甲州街道」だとすぐに特定できなくてはいけない。どちらか? 

「問題文」の「『★印』あたりで終わっていた」に着目したい。「中山道」は「京都」まで達していたので、「答え」は「甲州街道」になる。同街道は、「下諏訪」で「中山道」に合流していた。ここでも、「問題文」に最大の「手がかり」があった。

<時間配分目安:30秒>

※尚、本大問の[問2(3)]と[問6]に「統計資料読み取り設問」があるが、こうした設問で手こずる諸君が意外と多い。「正解」するための最大のポイントは、「資料」の「数字」や「特徴」を正確に捉えて、選択肢の説明などと細かく照合することだ。「経年推移」や「計算単位」などにもこだわる必要がある。そうすれば、「正解」することは間違いない。とにかく、手を抜かないことが肝要だ。

【大問Ⅳ】「歴史」(一部「公民」。「説明記述」あり)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:10分
  • ★必答問題

「識字率の向上による明治・大正時代の社会生活の変化についてのリード文」からの出題。「歴史」と「公民」が混在し、「選択肢設問」では「適切」「不適切」が絡み合っている。また、「難易」も交差している。いかに混乱せずに、冷静に「情報」を読み取ることができるかが鍵となる大問だ。以下、いくつかの「設問」を検証したい。

[問1(3)] 「下線部に関連する条件付き統計資料読み取り選択肢設問」(複数完全解答/5択)。「歴史」単元。

「リード文中」の下線部①の「識字率」に関連して示されている、第二次世界大戦前に義務教育終了後に「男子が進学した中学校」と「女子が進学した高等女学校」の「授業科目と授業時間数」を比較した「表」について、そこから読み取れる「女子教育に比べ、男子教育がめざしていたこと」を「2つ」答える。

「条件」は「表の男女の授業科目・時間数の違いから読み取る」こと。誰にとっても「初見の資料」だ。「知識」などないのだから、素直に「条件」の「男女の授業科目・時間数の違い」に着目し、「女子教育に比べ、男子教育がめざしていたこと」という観点で、「特徴」を読み解いていく。

男女を比べて著しく特徴的なことは、「外国語」の「授業時間数」が男子「6時間」に対して女子「3時間」、女子の「理科」が「1時間」に対して男子の「物理・化学」は「4時間」ということなどだ。各選択肢は、(ア)「道徳的的にすぐれた国民になること」、(イ)「外国の進んだ文化を学び、取り入れること」、 (ウ)「科学技術を発展させること」、(エ)「日本の風土と歴史を深く理解すること」、(オ)「優れた芸術感覚を養うこと」。

当時の「歴史的背景」も考えれば、「答え」は(イ)(ウ)と特定できるはず。「未知の資料」の場合、虚心坦懐に「問題文」や「条件」に従うことで、道は開けると心得よ。

<時間配分目安:1分半>

[問3] 「下線部についての写真読み取りの条件付き説明記述設問」(全2問。ともに「字数指定」なし、各「15字ほど」の解答欄)。「歴史」単元。

示されている「リード文中」の下線部③の「大正6(1917)年に創刊された『主婦之友』」の「表紙」である「図A(1944年3月)」と「図B(1945年2月)」について、それらに表わされている「国家への協力として当時の女性に求められていた役割」をそれぞれ説明する。「条件」は「この時代の様子と結びつけて具体的に説明する」こと。

「表紙」に描かれているのは、「図A」は「水の出るホースを持っている女性」、「図B」が「飛行機のプロペラを抱えている女性」だ。そして、時期は「1944年3月」と「1945年2月」、「時代背景」としては、「太平洋戦争末期」だと分かる。それらから類推できる「当時の女性に求められていた役割」とは? 

「水の出るホース」⇒「消火用」⇒「空襲による火災」、「飛行機のプロペラ」⇒「戦闘機」⇒「兵器の製造」⇒「軍需工場での勤労動員」などと結びつくはず。したがって、それぞれの「答え」はたとえば、「図A」=「空襲による火災を消火する役割。」、「図B」=「勤労動員による兵器製造の役割。」などとなる。本問でもやはり、「問題文」や「史料」(ここでは「写真」)と「自らの知識」を結びつけて類推することが求められていた。

<時間配分目安:合わせて1分半>

[問5] 「テーマについての事項記述設問」。「公民」単元。

本大問のテーマである「識字率」について「国際的に調査をしている国際連合の専門機関は何か」を答える(「略称」でもよい)。これは容易い。難なく「国連教育科学文化機関(ユネスコ)」と答えられるに違いない。
尚、これも含めて代表的な「国連機関」は、「正式名称」「カタカナ略称」「アルファベット略称」をセットで定着させておきたい。

<時間配分目安:30秒弱>

[問7] 「テーマに関する図の読み取り選択肢設問」(複数完全解答/5択)。「公民」単元。

本大問のテーマである「識字率」に関して、「いろいろな国」について、「成人女性の識字率」を「横軸(→高)」にし、示されている(ア)~(オ)の「項目」を「縦軸(↑高)」にしたとき、「掲載された『図』のようになるもの」を「すべて」答える。

「図」に表わされた「各項目」は「右下がり」になっている。つまり、ほぼ「反比例」の関係だ。各項目は、(ア)「5歳未満の子どもの死亡率」、(イ)「小学校に通う児童に占める女子の割合」、 (ウ)「平均寿命」、(エ)「小学校に入学した児童のうち5年間在学できた児童の割合」、(オ)「合計特殊出生率」。さあ、どのように考えるか? 

「右下がり」ということは、「識字率」が高まるほど(→高)、「多くの知識を得られる」「計画的な生活ができる」「学ぶことの重要性をより強く認識する」など(↑高)と考えられるはずだ。とすれば、「答え」は(ア)(オ)だと判断できる。「図」や「グラフ」などは、先ずは「全体的な傾向」をざっくりと捉えることが肝要だ。

<時間配分目安:1分半>

【大問Ⅴ】「公民」(「時事」2問あり。「複数完全解答」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:9分

「2017年の『ジェンダー・ギャッブ指数(男女格差指数)』では日本がG7の国々の中で最下位だったことの実態を説明したリード文」からの出題。

「公民」(「時事」2問あり)の「基礎的問題」が多いが、「不適切」や「複数完全解答」の「選択肢設問」で戸惑う可能性があるので、要注意だ。以下、いくつかの「設問」を考えよう。

[問4] 「テーマに関連する不適切選択肢設問」(複数完全解答/6択)。「公民」単元。

本大問のテーマである「ジェンダー・ギャッブ」に関連して、「衆議院と参議院の違い」について、「まちがっているもの」を「すべて」答える。各選択肢の「キーワード」で正誤判別していく。

(ア)「衆議院のほうが定数が多く、全議席について一斉に選挙される」⇒「衆議院議員定数は465人(289人が小選挙区、176人が比例代表)」で「参議院議員定数は242人(146人が選挙区、96人が比例代表)」、また、「衆議院議員選挙は『総選挙』だが、参議院議員選挙は『3年ごとに半数を改選』」=「適切」、

(イ)「参議院のほうが任期が長く、解散されることもない」⇒「衆議院議員の任期は4年で参議院議員は6年」、また、「『解散』は衆議院のみ」=「適切」、

(ウ)「条約案は参議院が先に審議することもある」⇒「『予算案』以外は衆参どちらの先議でも構わない」=「適切」、

(エ)「法律案は常に衆議院が先に審議する」⇒前述のとおり=「不適切」、

(オ)「内閣総理大臣の指名は衆議院だけで行われる」⇒無論、「衆参両院で行われる」=「不適切」、

(カ)「内閣不信任案の議決は衆議院だけで行われる」⇒「衆議院の優越」のひとつ=「適切」。

よって、「答え」は(エ)(オ)だ。「複数完全解答設問」では、説明の「細部」もしっかりと確認せよ。

<時間配分目安:1分半>

[問5] 「テーマに関連する条件付き事例説明設問」(「字数指定」なし、「20字ほど」の解答欄)。「公民」単元。

本大問のテーマである「ジェンダー・ギャッブ」に関連して、「内閣や行政機関の仕事が不公正だと疑われる場合に、国会が行えることは何か」を説明する。「条件」は「内閣不信任案の議決以外に憲法で認められている」こと。「三権分立」のしくみで、「立法」は「行政」をチェックする。具体的には「国政調査権」がすぐに思い浮かばなくてはいけない。

よって、たとえば、「国政調査権で、証人喚問などを行うこと。」といった「答え」だ。やや回りくどい問われ方をしているが、端的に整理して考えることが重要。

<時間配分目安:1分弱>

[問7] 「テーマについての時期特定選択肢設問」(4択)。「公民」単元(「歴史的要素」あり)。

本大問のテーマである「ジェンダー・ギャッブ」について、「日本で女性が初めて選挙権を持った時期」を、「歴史的できごとの間」を示した(ア)~(エ)の中から答える。ここで注意したいのは、「選挙権を持った時期」であって「実際に選挙が実施された時ではない」ということだ。

前者は「衆議院議員選挙法」が改正された「1945年12月」で(その結果、「満20歳以上の男女」に選挙権が認められた)、後者は「1946年4月」だ。したがって、「答え」は「ポツダム宣言受諾」(⇒「1945年8月」)と「日本国憲法成立」(⇒「1946年11月」)の間である、(イ)だ。やはり、ここでも細部へのこだわりが正否を決する。

<時間配分目安:1分弱>

攻略のポイント

●制限時間内にこなすのは至難の技といえる解答数で、しかも、難易度はバラバラ。したがって、最大のポイントは「試験時間の使い方」になる。先ずは、難易度を即座に判断する。そして、「取れる問題を確実に押さえる」ことが重要だ。

「取れそうにない問題は潔く捨てる!」ことも戦術のひとつ。時間を取られて、「できるはずの問題」を逃してしまっては元も子もないのだから。もし時間が余ったら、また戻ればいい。本校の合格ラインは完全非公表だが、解答数から考えて10問程度の「捨て問」なら大丈夫だ。6割以上は「基礎的知識」で十分対応可能で、あとは前述したような「本校対策」ができれば「安全圏」だ。

「基本的知識を基にした思考力や記述力、図表や資料等から必要な情報を読み取る能力」も求められる。それらの「設問」では、「リード文」「設問文」「統計資料」「歴史史料」「地図」等の「要素」と「自らの知識」を多角的に結びつけて考えることが必要だ。

また、「設問どうしの連関」や「設問条件=手がかり・ヒント」だということも心得ておきたい。そして、過去問演習を通じて(「解説」を読みながら)、どのような「要素」を組み合わせて考えていけばいいのかを繰り返し確認し、自らも「多角的思考」ができるように練習していきたい。

●もうひとつ。本校では「4科目の配点と試験時間が全て均等」であることにも注意したい。「社会」だからといって手抜きはできない。逆に考えれば「社会」が得意科目である場合、ライバルに大きく差をつけるチャンスにもなるのだ。

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