桜蔭中学校 入試対策
2025年度「桜蔭中学校の社会」
攻略のための学習方法
スライド式学習
「桜蔭対策」では、「地理」「歴史」「公民」全単元と「時事問題」の「知識」を確実に定着させることが最優先。「基礎的事項」は当然だが、細部にわたる「知識」や「深い理解」も必要なので、テキストの「注」や「囲み説明」等のチェックも重要だ。桜蔭では特に「地理」「歴史」からの掘り下げた出題が多い。全分野での「知識定着」が欠かせない。
だが、悲しいことに人は忘れるものだ。時が経てば経つほど忘れる。ここに落とし穴がある。基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し定着させたのか、その時期が問題となる。塾では通常、本格的な受験勉強が始まる5年生になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、6年生の夏休み前には終える。
その後は「復習」となるが、メインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。6年生で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか? 実質的に1年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。桜蔭では絶対に許されない。
そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での学習とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある5年生の冬休みやその後の春休みを利用して徹底的に「地理」の「復習」をしておくことがポイントだ。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用するといい。
さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習をひそかに続けておくことで、ライバルに差をつけておこう。
いもづる式学習
全ての単元に共通だが、「暗記事項」はそれぞれ単独(要は「一問一答方式」)で定着させても無意味だ。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられない。ましてや、桜蔭攻略のポイントである「多角的思考」など絶対に無理だからだ。
そこで、重要となるのが「いもづる式学習法」。「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習だ。1つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。もし「言葉」としては覚えていても「内容」があいまいになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ここでも「復習」できる)。
また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。その上で、それらが結びつく背景(=「面」)をも理解するようにする。このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても、「線」で結びつけて答えられることになる。さらに、単元もまたいでいるので、多様な問題にも対応できるようになる。無論、「多角的思考」にも「いもづる式学習法」は力を発揮する。
手づくり式学習
特に、「歴史」単元の「復習」で必要となる。塾での「歴史」の学習は、普通「政治史」を軸とした「通史」として「時代別」「時代順」になっている。しかし、桜蔭ではそうした単純なものはほとんどない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸で出題される。
それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」~「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。
さらに、その「年表」には「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」も対応させて記入しておきたい。「世紀」と「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみよう。
細部へのこだわり式学習
桜蔭の定番は何度も述べてきたが、「リード文」「設問文」「統計資料」等の「要素」と自らの「知識」を多角的に結びつけないと解けない問題だ。考えるに当たっての前提は無論、それぞれの「要素」をいかに正確に読み取るかということ。そこから「考えるヒント」を見つけ出す。
そのためには「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。当然、トレーニングが欠かせない。過去問や練習問題等を用いて、各「要素」の細かな「意味」「資料の数字」や「関連事項」などを全て材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する練習をしなくてはいけない。導き出せることについては、過去問や問題集の「解説」に示されているはずなので活用する。
こうした「細部へのこだわり学習」を続けることで、次第に様々な「要素」から着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」とつなげて考えればいい。
意識継続式学習
いつ何時も、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。漠然と机に向っていても無駄なだけ。その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのか、具体的に「意識」し続けていることが大切。
そうして、何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。桜蔭の入試本番ではたった30分という制限時間の中で、様々な「要素」を考え「条件」をクリアして答えなくてはならない。だからこそ、「設問」を正しく理解しているか? 「要素」は全て確認したか? 「他の設問」との関連は大丈夫か?「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。
当然、「時間」も「意識」すること。入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。
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2025年度「桜蔭中学校の社会」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
大問Ⅰは「地理」(「公民」の混在あり)。「観光資源」についての「リード文」からの出題。小問は全8問(解答数21)、「選択肢」(「不適切」「組み合わせ」あり)、「事項・地名等記述」(「空所補充」、「漢字指定」あり)、「内容説明記述」(1問。「字数指定」なし。「100~120字ほど」の解答欄)。
大問Ⅱは「歴史」。「歴史上の女性の地位」についての「リード文」からの出題。小問は全11問(解答数24)、「選択肢」(「不適切」、「正誤判別」、「組み合わせ」あり)、「事項記述」(「空所補充」、「漢字指定」等あり)、「内容説明記述」(1問。「70字以内」指定)。
大問Ⅲは「公民」(「時事」の混在あり)。「選挙や政治のしくみ」についての「リード文」からの出題。小問は全5問(解答数9)、「選択肢」(「正誤判別」あり)、「事項等記述」(「漢字指定」あり)。時間配分としては、「説明記述」をそれぞれ4分程度、その他は1問を30秒弱で解く超ハイペースになる。
【大問Ⅰ】
- 難度:標準
- 時間配分:12分
- ★必答問題
「2024年、パリオリンピック開催」という「時事ネタ」を切り口としての「日本のさまざまな観光資源」についての「リード文」からの出題。「地理」単元からの基本的知識が問われている。全体として本校の標準的難易度だ。手際よく解き進めていきたい大問。いくつかの「設問」を確認してみよう。
[問 3 ・ 6 ] 「空所補充の事項記述設問」(全2問。漢字指定)。
「リード文」中の空所である 3 ・ 6 に「適する語句」を「漢字」で答える。それぞれの空所前後を確認して、「答え」」を特定していきたい。「国後島を見渡すことができ、国立公園の指定を受けた豊かな自然で知られる 3 半島にも 2 が接岸します( 2 =「流氷」)⇒「国後島を見渡すことができ」「流氷が接岸」で「半島」であれば「知床(半島)」だと即決できるはずだ。「南海トラフは、駿河湾から 6 灘(なだ)まで続く海底の溝状の地形」⇒近々発災するかもしれないと注目されている「南海トラフ巨大地震」のことは「時事ネタ」としても知っていなくてはいけない。位置としては「駿河湾」から「宮崎県東部」にかけてだ⇒「宮崎県」沖の海で「○○灘」であれば⇒「答え」は「日向(灘)」だと特定できるはずだ。「空所補充」では前後の「文脈」を正しく読み解き、的確に代入できる「答え」とすること。
<時間配分目安:全問で1分>
[①] 「下線部に関する時差計算設問」。「リード文」中の下線部①の「バリ」が「2月1日午後8時の時、東京は何月何日の何時か」を答える。尚、「パリの標準時子午線」は「東経15度」。典型的な「時差計算」になる。「東京(日本)の標準時子午線」は無論、「東経135度」。よって、135-15=120、「経度15度」で「時差」は「1時間」(誰もが知らなくてはいけない)、「バリ」は「日本」より「西」に位置しているので、「8時間、時刻が遅い(日本は8時間早い)」ことになる。「午後8時」=「20時」⇒「20時」+「8時間」=「28時」。したがって、「答え」は「2月2日午前4時」となる。「時差問題」の基本は、2地点の「経度」の「東西が同じ」であれば「引き算」、「東西が別」であれば「足し算」で「経度の間隔」を出し、「15度」で割ったものが「時差」となることだ。もちろん、「西」に位置する方が「時刻が遅い」。このことはしっかりと定着させておく必要がある。
<時間配分目安:1分半>
[③-ⅰ] 「下線部についての事項記述設問」(漢字指定)。「公民」単元。
「リード文」中の下線部③の「世界遺産」と関係が深い「国際連合の機関の名称」を「漢字」で答える。「世界遺産」といえば「ユネスコ」だと誰もが知っているはず。だが、「漢字」となると途端に悩む諸君がいるのではないか? 「答え」は「国際連合教育科学文化(機関)」だ。尚、「公民」でお馴染みの「アルファベット略称」、国連の専門機関などの国際機関については、「日本語の正式名称」・「機関の役割」とセットで定着させておくこと。
<時間配分目安:30秒>
[⑥] 「下線部についての選択肢設問」(4択。複数完全解答)。
「リード文」中の下線部⑥「南海トラフ」について、「南海トラフの形成に関係するプレート」を「2つ」答える。各選択肢は、(ア)「ユーラシアプレート」・(イ)「北米プレート」・(ウ)「太平洋プレート」・(エ)「フィリピン海プレート」。度々ニュースなどで報じられているので、「南海トラフ」については周知のはずで、その「形成に関係するプレート」も知っていたい。陸側のプレートである「ユーラシアプレート」と海側のプレートである「フィリピン海プレート」の境界に当たる。よって、「答え」は(ア)と(エ)だ。ちなみに、「北米プレート」は「ユーラシアプレート」の東側にある大陸プレートで、「太平洋プレート」は「フィリピン海プレート」の東にある海洋プレートだ(下図参照のこと)。
[⑧-ⅱ] 「下線部に関する条件付き内容説明記述設問」(「字数指定」なし。「100~120字ほどの解答欄)。
「リード文」中の下線部⑧「空港や港」に関連して、「コンテナ船の長所」を説明する。「条件」は「示されているコンテナ船の写真をよく見て、他の輸送手段との繋(つな)がりに触れて説明する」こと。コンテナ船とは「大きさや形が統一された容器であるコンテナを運ぶための船」だとは誰もが知っているはずだ。中の積み荷の形や大きさに関わらず、たくさんの貨物を整然と並べて積める上、コンテナ内の荷物は雨風の影響を受けないなどの利点があるが、「条件」である「他の輸送手段との繋(つな)がり」という視点では、「船から貨物列車やトラックへ、クレーンを使って積み替えることが容易にできるといった長所があるということは「写真」から分かるはずだ。これにより、積み替えにかかる時間や労力を減らせるわけだ。同時に、輸送機関から排出される二酸化炭素を減少させ環境への負荷も小さくなるのだ。あとは、これらの要素を整理して過不足なくまとめていく。たとえば、「コンテナ船は貨物をつめたコンテナを運ぶ専用船であり、コンテナは統一された大きさであるため、すき間なく効率的に積み込め、トラックや鉄道といった他の輸送手段にクレーンを使ってそのまま積みかえることができ、時間や労力を減らし、環境負荷も小さいといった長所。」(125字)といった「答え」だ。設問そのもので直接指摘されていなくても、「下線部」以外も含め全ての与えられている「情報」と「自らの知識」を組み合わせて解き進めることが肝要だ。
<時間配分目安:4分>
【大問Ⅱ】
- 難度:標準
- 時間配分:14分
- ★必答問題
「歴史上の女性の地位とジェンダー」についての「リード文」からの出題。弥生時代~現代までのさまざまな「歴史的事項」が問われている(「時事」の混在あり)。
「正誤判別」の「組み合わせ選択肢」が7問も連続しており、混乱することは必至だ。心してかかりたい大問。それらを含めて、いくつかチェックしてみたい。
[問 7 ・ 8 ] 「空所補充の事項記述設問」(全2問。漢字指定)。「リード文」中の空所である 7 ・ 8 に「適する語句」を「漢字」で答える。それぞれの空所前後を確認して、「答え」を特定する。「……律令体制が確立していき、人々が 7 に記載されるようになった…… 7 が作成されると、それにもとづいて田が割り当てられ……」⇒「律令体制」「記載される」「田が割り当てられ」⇒「改新の詔」「班田収授法」等が結びつかなくてはいけない⇒ 7 の「答え」=「戸籍」。「古代の日本では……父から男子へと政治的な地位や財産が継承される 8 が徐々に形成され……中世には父から男子へと受け継がれる 8 が確立し、 8 の長としての父の力が強化刺され……」⇒1か所だけでは分かりづらいだろうが、トータルの「文脈」から判断し特定できるはずだ⇒ 8 の「答え」=「家」。「空所」が何か所かある場合は、全てを「手がかり・ヒント」として特定していくことが肝要だ。
<時間配分目安:全問で1分>
[問【 B 】【 C 】] 「空所補充の語句選択肢設問」(全2問。10択)。「時事」単元。
「リード文」中の空所である【 B 】【 C 】に「あてはまる語句」を答える。「ジェンダーギャップ指数の2024年の発表では、日本は146カ国中【 B 】位でした……特に政治分野で低く、次いで【 C 】分野が低いという状況が続いています」⇒【 B 】は「数字」に決まっていて、
各選択肢は、(キ)「14」・(ク)「43」・(ケ)「118」・(コ)「145」。典型的な「時事ネタ」だ。「146カ国中」で「低くく」なっているのだから、「答え」は(ケ)の「118(位)」だと特定したい。【 C 】の候補は、(ア)「経済」・(エ)「健康」・(カ)「教育」⇒微妙かもしれないが、「政治分野」の次に列挙しているとしたら、「答え」は(ア)の「経済」になると判別できよう。「公民」では細部についてまで「知識」として定着していなくても、「現代社会」のことがらなので「感覚」や「センス」で判別できるようにしておきたい。
<時間配分目安:全問で1分>
[①] 「下線部についての正誤判別組み合わせ選択肢設問」(8択)
「リード文」中の下線部①「(律令体制での)兵士」について示されている(a)~(c)の「説明文」の「正誤の組み合わせ」として「正しいもの」を答える。
それぞれの「説明文」の「要点」「キーワード」で「正誤判別」していく。
(a)「兵士」「都の警備」⇒律令体制での「都の警備」は「兵士」ではなく「衛士(えじ)」だと判別しなくてはいけない=不適切。
(b)「3年間」「北九州で警備」⇒無論、「防人」についての説明だ=適切。
(c)「年60日」「地方長官のもとで兵士としての訓練」⇒「年60日」であれば、「兵役」ではなく、国司のもとで働く「雑徭(ぞうよう)」だと判別したい=不適切。
したがって、「誤・正・誤」の「組み合わせ」になっている(カ)が「答え」だ。「正誤判別設問」では当然ながら、説明文の「内容」だけではなく、「用語」の正確さも考慮して「正誤判別」をしなくてはいけないと心得よ。
<時間配分目安:30秒強>
[⑤] 「下線部についての不適切選択肢設問」(4択)
「リード文」中の下線部⑤の「戦国時代」の「鉄砲の産地」として「適切でないもの」を答える。各選択肢は、(ア)「安土」・(イ)「国友」・(ウ)「根来」・(エ)「堺」。「国友」と「堺」は「鉄砲の産地」として定着しているだろうが、「安土」と「根来」は迷うか?⇒「安土」⇒「安土城」⇒「城下町」と考えられるはず⇒よって、「答え」は(ア)になる。ちなみに、「根来」は「ねごろ」と読み、「和歌山県」だ。覚えておきたい。尚、「選択肢設問」では「消去法」も活用することが重要。
<時間配分目安:30秒強>
[⑦] 「下線部についての正誤判別組み合わせ選択肢設問」(8択)
「リード文」中の下線部⑦「大名」の「江戸時代の様子」について示されている(a)~(c)の「説明文」の「正誤の組み合わせ」として「正しいもの」を答える。それぞれの「説明文」の「要点」「キーワード」で「正誤判別」する。
(a)「譜代大名」「尾張と紀伊と水戸」⇒「譜代大名」は「関ヶ原の戦い以前から徳川家康に仕えていた大名で、江戸幕府の要職に就いていた」⇒「尾張と紀伊と水戸」は「御三家」に決まっている=不適切。
(b)「20万石の大名とは20万石の年貢収入がある大名」⇒一読すると正しそうに思ってしまうが、ひっかかってはいけない⇒「石高(こくだか)」とは、「土地の生産力を米の量で表す単位」⇒「20万石の大名」とは「領地で1年に20万石の米が生産される大名のこと⇒「年貢収入」は石高に一定の比率をかけることで求められる=不適切。
(c)「島津氏や毛利氏などの外様大名」「豊臣氏がほろんだ後に徳川氏の家臣となった」⇒「外様大名」とは「関ヶ原の戦い」(1600年)の後に徳川氏の家臣となった⇒「豊臣氏がほろんだ」のは「大坂夏の陣」(1615年)だと判別できなくてはいけない=不適切。
したがって、「誤・誤・誤」の「組み合わせ」になっている(ク)が「答え」になる。「正誤判別設問」では「ひっかけ」が多々あるので要注意だ。
<時間配分目安:30秒強>
[⑨] 「下線部についての不適切選択肢設問」(4択)
「リード文」中の下線部⑨「職業婦人と呼ばれた、働く女性たち」の「時代」(大正時代)の「職業婦人」として「適切でないもの」を答える。各選択肢は、(ア)「タイピスト」・(イ)「バスの運転手」・(ウ)「デパートの店員」・(エ)「電話の交換手」。これまたややひっかけだ⇒「大正時代の職業婦人」に「バスの車掌」は含まれるが、「運転手」ではないと見抜きたい⇒よって、「答え」は(イ)だ。本問で悩むようではまだまだ修行が足りぬ。精進せよ!
<時間配分目安:30秒強>
[⑪] 「下線部についての統計資料読み取り事項記述設問」
「リード文」中の下線部⑪の「高度経済成長」が始まると、家庭電化製品が普及したが、示されている「グラフ」(家庭電化製品の普及)は「『三種の神器』や『3C(三種の神器)』と呼ばれた家庭電化製品のうち、4つの製品の「普及率の推移」を表している。では、「グラフ中の『D』の家庭電化製品は何か」を答える。テキストなどでお馴染みの「折れ線グラフ」だ。見たことがあるはず。そして、高度経済成長期の前期に広まった「三種の神器」=「白黒テレビ・電気洗濯機・電気冷蔵庫」、1960年代以降に広まった「3C(新三種の神器)」=「カラーテレビ・クーラー・カー(自家用車)」のことも定着しているに決まっている。さて、「4つの製品」の中で「D」だけが特殊で、他の3つが1980年代にかけて上昇し続けているのに、「D」だけが1960年代末に「90%以上」になった後減少しているのだ。どういうことなのか? 同じ「テレビ」でも、「白黒」→「カラー」へと「普及率」が移っていったと考えられるはずだ。したがって、「答え」は「白黒テレビ」となる。「統計資料読み取り設問」では「特徴的な項目」に着目して突破口にせよ。
<時間配分目安:30秒>
【大問Ⅲ】
- 難度:標準
- 時間配分:4分
- ★必答問題
「2024年は多くの国で選挙が行われた」という「時事ネタ」を切り口にして、「選挙や政治のしくみ」についての「リード文」からの出題。「公民」単元の主に「政治分野」の「基本的事項」が問われている大問(「時事」の混在あり)。「時事ネタ」でやや難解なものがある。いくつかを検証しておきたい。
[問 1 ] 「空所補充の事項記述設問」(漢字指定)。「リード文」中の空所 1 に「適する語句」を「漢字」で答える。空所前後は「国が収入を得て支出する活動を 1 という……地方公共団体の 1 を補うために……」⇒ここは「答え」は「財政」だと即答したい。より詳しくいうと、「国家や地方公共団体がその任務を遂行するために営む経済活動」だ。
<時間配分目安:30秒>
[問【 A 】] 「空所補充の語句選択肢設問」(5択)。「時事」単元
「リード文」中の空所である【 A 】に「あてはまる語句」を答える。「イギリスでは、2024年7月の総選挙の結果、14年ぶりに政権が交代し、与党は【 A 】党になりました」⇒これまた典型的な「時事ネタ」。押さえていれば何の問題もないが、スルーしてしまっていると難問だ。各選択肢は、(ア)「共和」・(イ)「自由」・(ウ)「保守」・(エ)「民主」・(オ)「労働」。「答え」は(オ)の「労働(党)」になる。イギリスとアメリカはともに「二大政党制」。イギリスは19世紀までは「保守党」「自由党」、現在は「保守党」「労働党」、アメリカは「共和党」「民主党」だ。知らなかった諸君は定着させておくこと。
<時間配分目安:30秒>
[②-ⅱ] 「下線部についての事項記述設問」(漢字指定)。「時事」単元
「リード文」中の下線部②の「内閣」の「指名を受けて2024年に交代した『三権の長』の役職名」を「漢字」で答える。いまふたたびの「時事ネタ」だ。ほとんどの諸君が押さえていないに違いない。どうする? パスか? 否、何とか考えてみたい。「三権の長」とは、「立法権」の「衆議院・参議院議長」、「行政権」の「内閣総理大臣」、「司法権」の「最高裁判所長官」ということは定着しているはず。「時事ネタ」としては知らなくてもそれぞれの選出方法から判別できる。「衆議院・参議院議長」は原則として、衆参それぞれの「議員による選挙」だが、慣例として「所属議員数が一番多い会派から議長、二番目に多い会派から副議長が選ばれる」。「内閣総理大臣」は無論、「国会の指名により天皇が任命」する。「最高裁判所長官」は「内閣の指名に基いて、天皇がこれを任命する」。本問では「内閣」の「指名を受けて」とあるので、「答え」は「最高裁判所長官」となる。尚、「渡しが知らない」⇒「誰も知らない」⇒「知らなくても解ける」と考えよ。
<時間配分目安:1分弱>
[③-ⅰ] 「下線部についての事項記述設問」(漢字指定)。「公民」単元
「リード文」中の下線部③の「国会」には「裁判官をやめさせるかどうかを判断する裁判所が設置されている」が、この「裁判所の名前」を「漢字」で答える。何の問題もない。「答え」は当然ながら「弾劾(裁判所)」⇒「弾劾」の「劾」は「刻」ではないので要注意。本校では原則的に「漢字指定」なので、とにかく正確に定着させておくことが肝要だ。
<時間配分目安:30秒>
攻略のポイント
●本校の攻略では、「リード文」「問題文」「資史料」などの「情報」と「自らの知識」を多角的に結びつけて考察することが肝要だ。また、「設問どうしの連関」や「設問条件=ヒント」だということも心得ておきたい。出題傾向はほぼ一定なので、10年分以上の過去問演習をすること。どのような「情報」を組み合わせて考えていけばいいのかを「解説」で繰り返し確認し、自分でも「多角的思考」ができるように練習しておきたい。そして、「リード文」「説明文」は「下線部」や「空所部前後」以外も確実に読解しておく必要があることを改めて肝に銘じたい。
●合格ラインは非公表だが、7割近くは得点したい。「試験時間」を考えれば「戦術」は不可欠。基本は「取れる問題を確実に押さえる」ということ。潔く「捨て問」にするという覚悟も求められる。「基本的知識」の完全定着で、基礎点(6割強)は獲得可能。残りは「桜蔭対策」の結果として勝ち取る。無論、「単純ミス」は絶対にしないこと。そして、「設問」を正確に理解することも肝要だ。「易しさに埋もれた難しさ」には要注意だ。
●「地理」では「地図」「地形図」「統計資料」等、「歴史」では「史料」「年代整序」などが必出。確実に習得すること。また、「時事問題」についても細心のものを敏感に確認しておくこと。尚、「統計資料」は必ず最新版を使いたい。テキストとしては「日本のすがた」(矢野恒太記念会編集)が分かりやすくてオススメだ。
●「思考力・判断力・表現力」を意識した設問、本年度は未出だったが、来年度以降に向けて、改めて準備をしておくことが肝要。尚、3年前には「一般常識」の問題があった。普段から、社会でのさまざまな事象にアンテナを張っておきたい。
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リーダーズブレインの合格実績豊富な現役家庭教師が、プロならではの視点でポイントをお話ししています。どのようなタイプの子供が伸びるのか、家庭でのサポートで親が気を付けるべき事は何か。勉強のサポートの仕方から親子の関係性など…ぜひ参考にしてください。
