立教女学院中学校 入試対策
2024年度「立教女学院中学校の理科」
攻略のための学習方法
立教女学院中の理科の満点は60点、今年度の問題はすべて選択肢問題であった。基本的な知識問題も多いが、細かい知識を問う問題や判断に迷う問題も含まれる。本校受験者はテキスト等で学習した基本知識はもちろんのこと、日頃のニュースや自然・科学の話題にも興味を持ち、知識の吸収を貪欲に行って欲しい。秋以降は演習を通じて知識の運用の練習を行って欲しい。また、30分というテスト時間は長くはないので、過去問等時間を意識した問題演習も十分に行って頂きたい。各分野の学習方法は以下の通り。
<分野毎の学習法>
生物分野 本年は魚の卵とふ化に関する出題で、正確な知識と計算力が問われる内容であった。近年では、ヘチマ・生物の成長・人のからだの働き等の出題が見られる。この分野の学習法としては、まずは生物すべての分野について基本知識をしっかり身につけよう。植物・動物・昆虫については、テキストのカラー写真や図鑑・資料集を使って形・色など細かい部分にも注目して欲しい。また、顕微鏡を使った観察方法などについても頭に入れたい。
地学分野 本年度は気象に関する出題で、気象以外の内容も含めて幅広い知識を問う内容であった。近年では、火山・月の動きと満ち欠け・気象に関する出題が見られた。今後も天体・気象・地層・岩石など幅広い単元からの出題が予想される。この分野の学習として、テキストに書かれた基本知識に加え、台風による災害・近年起こった地震・火山噴火など時事的な内容にも重点を置いて学習すること。天体については、単なる丸暗記ではなく、動きについての理解をしっかり行うこと。また、月食・日食・金星の満ち欠けなどにも学習の幅を広げて欲しい。
物理分野 本年は力の働きに関する出題であった。計算問題も含まれていたが、考えやすい内容であった。近年では、熱・光電池・光の反射・浮力等の出題が見られる。この分野の学習として、まずは力のつり合い(てこ・滑車・浮力・振り子など)に関する学習に力を入れてほしい。来年以降はややレベルの高い計算問題が出題される可能性があることを頭に入れておきたい学習すること。また、光や電気について出題される可能性も高いので、これらの単元にも力を入れること。
化学分野 今年度は金属と水溶液の反応についての出題であった。計算問題は難問ではなかった。また、ろ過の実験について問う問題も見られた。近年では水溶液の性質・ものの溶け方についての出題が見られた。この分野の対策としては、まずは気体や水溶液の性質、指示薬の色の変化などについて基本知識を確実に固めたい。今後は今年出題された中和・水溶液と金属の反応等計算が必要な問題も出題される可能性もある。塾のテキストや問題集を使って計算練習をしっかり行って欲しい。
立教女学院中学で合格点を取れる力を身につけるためには、各分野の基本知識の習得に全力を傾けること。さらには、自然や科学・日頃のニュースや天気予報などへの興味の眼を常に持ち続けることが大切になる。そのうえで、秋以降はそれらの知識を運用するための演習にも時間をかけて欲しい。もちろん秋以降でまだ苦手な単元に関してはさらに力を入れて定着させる必要がある。模試や総合的な演習は、まだ仕上がっていない分野を見つける絶好のチャンスでもある。できていない問題については、なぜ間違えたのかの分析をしっかり行い、苦手分野の克服につなげて欲しい。
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2024年度「立教女学院中学校の理科」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
30分で大問は4、小問数は約30で、時間に対して問題数はやや多い。今年度の受験者平均点は45.0点、昨年と比べると大幅に易化している。解答方式はほとんどが記号選択、数値で答える問いが2題。選択問題において、昨年多かった「すべて選べ」が減っており、判断しやすかったものと思われる。
【大問1】生物 魚の卵とふ化
- 難度:標準
- 時間配分:7分
問1 たらこはスケトウダラの卵巣で、明太子はそれに味付けしたもの。たらこはニシンの卵巣。
問2 チョウザメは3000×50より150000個、ニシンは240÷0.3×50より、40000個、シロサケは600÷2×10より3000個。
問3 メダカは水草などに卵をくっつけて産む。
問4 250÷20=12あまり10より、ふ化まで約13日。
問5 47日間の平均水温の変化を見ると最初の15日間は16℃から12℃まで徐々に低下し、それ以降は8℃付近で大きな変化がない。最初に15日間は平均の14℃を利用すると、14×15+8×32=476 より、選択肢の中から選ぶと、480℃となる。
問6 メダカの受精卵の成長を順に並べる問題。
問7 メダカもシロサケも稚魚には養分を蓄えた袋がある。
魚の卵とふ化に関する知識問題と計算問題。問5は数値の選び方がポイント。メダカの受精卵の成長過程については、テキスト等のカラー写真で確認すること。
【大問2】化学 金属と水溶液の反応
- 難度:標準
- 時間配分:9分
- ★必答問題
問1 ろ過の実験の正しいやり方を選択する問題。ガラス棒・ろ紙の大きさなどがポイント。
問2 ろ過を行うことができる条件を選択する問題。
問3 塩酸は無色透明で刺激臭がある。気体である塩化水素が溶けているので、水を蒸発させても、何も残らない。
問4 塩酸に鉄を入れると、水素を発生して溶ける。
問5 残る黄色い固体は塩化鉄。鉄の性質は残らないので、磁石につくことはない。
問6 金属の種類によっては塩酸に溶けてしまう。
問7 ブルーベリーに含まれるアントシアニンは紫キャベツ液と同様に色が変化する。酸性では赤色に変化する。
問8 塩酸と同様に酸性の液体を選択すると、レモンの汁・お酢・炭酸水が該当する。
問9 (1)グラフより、気体の発生が止まったのは亜鉛を0.8g加えた時。
(2)亜鉛を0.8g加えた時300mLの気体が発生したので、0.4g加えた時には150mLの気体が発生する。
(3)グラフを選択する問題。塩酸の量が2倍になると、溶ける亜鉛の量、発生する気体の量いずれも2倍になる。
(4)グラフを選択する問題。濃さを2倍にうすめた塩酸20mLに溶けている塩化水素の量は、うすめる前の1/2になるので、溶ける亜鉛の量、発生する気体の量いずれも1/2になる。
塩酸と金属の反応についての出題。ろ過の実験についての問いも含まれている。知識問題と計算問題が含まれているが、計算問題はいずれも易問。
【大問3】物理 力の働き
- 難度:標準
- 時間配分:8分
- ★必答問題
問1 (1)時計回りの回転力と反時計回りの回転力が等しくなればよい。支点から左に2の距離の場所に3の重さがかかっているので、右に3の距離の場所に2の重さを加えればよい。
(2)同様に考えて、支点から1の距離の場所に6の上向きの力を加えればよい。
(3)時計回りの回転力が6、反時計回りの回転力が4なので、反時計回りの回転力が2足りない。従って、Cに上向きの力を1加えればよい。
(4)反時計回りの回転力を減らす、または、時計回りの回転力を増やせばよい。
問2 (1)電線は図の右側に伸びているので、支線は左側に引っ張るようにつけるとよい。
(2)電線Dは図の下側に向かって、電線Eは図の右側に伸びているので、支線は図の左上に向かって引っ張るようにつけるとよい。
問3 電車の架線がたるまないようにする工夫を選択する問題。
力の働きについての出題。前半のてこのつり合いに関する計算問題はいずれも易問。後半の電線や架線における力の働きについての設問はあまり見かけないユニークなものだが、特に難問ではない。
【大問4】地学 気象
- 難度:標準
- 時間配分:6分
問1 西から東へ向かう場合は上空の偏西風の影響で所要時間が短くなる。
問2 海流の影響で船の速度が変化する。
問3 (1)太陽-月-地球の順に並ぶ日は新月。
(2)ツバメが低く飛ぶと雨が降ると言われている。これは、湿度の影響でツバメのエサとなる昆虫の飛ぶ高さが低くなるためである。
(3)綿雲(積雲)は乱層雲より低い位置に見られる。
(4)次の潮の満ち引きが大きくなるのは満月の日で、約2週間後。
問4 かなり迷う可能性の高い選択問題。北海道の沿岸でシロサケがとれるのは秋である。
気象を中心とした出題で、海流や大潮などについての設問も含まれる。問4の選択問題は難しい。幅広い知識が求められる。
攻略のポイント
テスト時間は30分で60点満点。合格者平均点は「45.9点」で昨年と比べ大幅に易化しているが、前年の平均点がかなり低かったので、それ以前の水準に戻ったともいえる。選択問題が多いのが特徴。昨年は全問が選択問題だったが、今年度はグラフの読み取りと計算問題で数値を答える問題が見られたが、特に難しいものではなかった。また、昨年は「選択肢の中からすべて答えよ」という正解が複数でいくつあるかわからないという問題が多かったが、今年はそのような設問が大幅に減ったことが合格者平均上昇の原因の1つと考えられる。
本校理科の攻略の最大のポイントは確実で幅広い知識を身につけることに尽きる。選択肢問題で迷わずに自信を持って答えることができるようにするためにも、分野や単元にこだわることなく、知識を確実に身につけることが本校受験者にとっての最低条件である。その上で、その知識を運用するための演習にも力を入れて欲しい。
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