立教女学院中学校 入試対策
2024年度「立教女学院中学校の算数」
攻略のための学習方法
立教女学院中、算数の満点は90点。標準的なレベルの問題が中心だが、複雑で工夫を必要とする計算問題は本校の特徴の一つ。大問の中にも計算力や思考力を必要とする問題も含まれる。各大問内の小問数が多いので、(1)での間違いは大きな失点になりかねないことにも注意が必要である。各単元の出題傾向と学習法は次の通り。
<単元毎の傾向と学習法>
計算問題
近年の出題を見ると、大問1の中の中で整数、小数、分数の計算が3題出題されている。複雑で長めの計算、□を求める問題、工夫を必要とする問題とあり、計算問題とは言え相当な計算練習を積んでおかないと攻略が難しいと言える。計算問題対策としては、複雑な計算問題を含めて毎日5~10題程度の計算練習を行って欲しい。素早く解くことも大事だが、落ち着いて丁寧に解いて正答するという練習を心がけよう。
1/4=0.25 1/8=0.125など、基本的な分数と小数の変換は覚えること。また、( )でくくるなどの工夫をすることにより、複雑な計算を減らすことを心がけて欲しい。
文章題
今年度は小問で売買損益算・通貨算・比の文章題、大問では速さと比が出題された。近年の出題傾向を見ると、速さについての出題が多く、特に流水算の出題が多い。その他には、食塩水の濃さ・相当算・仕事算・つるかめ算の出題が見られる。割合と比の文章題の出題頻度が高い。この分野の学習方法としては、重点を置いて学習すべき単元は「速さ」と「割合と比」である。特に近年頻繁に出題されている流水算と食塩水の濃さには力を入れて学習して欲しい。ややレベルの高い問題も想定し、問題集の練習問題や応用問題にも意欲的に取り組んで欲しい。
数に関する問題
今年度は、大問で分数数列について出題された。昨年から2年続けて同単元からの出題となった。近年の出題を見ると数の性質・規則性に関する問題からの出題頻度が高い。この分野の学習方法として、まずは数の性質と規則性に力を入れて欲しい。数の性質では、倍数・約数を利用する問題、割り算のあまりについての問題、分数の性質についての問題などに力を入れて学習すること。規則性に関しては、数列(特に分数数列)・数表・図形の規則性などの問題演習をしっかり行いたい。三角数や平方数を用いて解く問題にも力を入れて学習して欲しい。場合の数はいろいろなパターンの問題が想定されるので、幅広く多くの問題を練習して欲しい。計算だけで処理できるものだけでなく、丁寧な調べ上げが必要な問題の練習にも時間をかけたい。
平面図形
今年度は小問の中で等積変更の工夫を必要とする求積問題が出題された。立体図形の中でも、相似など平面図形の解法が必要となっている。近年の出題を見ると、比を使って解く問題の出題頻度が高く、図形の折り返し、図形上の点の移動についても出題されている。この分野においてはまずは、相似など比を用いて解く問題の練習に時間をかけたい。工夫をすることによって求める求積・求角問題、図形の移動や図形上の点の移動についてもしっかり学習して欲しい。いずれも、多少難し目の問題も想定して欲しい。
立体図形
今年度は大問で回転体の求積と切断に関する出題があり、難問が含まれていた。近年の出題を見ると、回転体の求積・水の容積についての出題が見られる。この分野の学習で力を入れて欲しいのは、水の深さの変化に関する問題と回転体の求積、そして今回出題された切断である。レベルの高い問題も含め、演習量を十分に確保して欲しい。
本校算数のテスト時間は45分であり、正確かつスピーディな処理が要求される。日頃の演習・過去問演習はしっかりと時間を意識して行って欲しい。
また、過去問や模試はまだ仕上がっていない単元や苦手な単元をあぶりだす絶好のチャンスである。単に得点だけを気にするのではなく、失点の多かった単元については、塾のテキストに戻るなどして、もう一度基本の確認を行うことが必要であろう。なお、苦手分野の分析やその対策については、プロの家庭教師へ是非相談しよう。
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2024年度「立教女学院中学校の算数」の
攻略ポイント
特徴と時間配分
試験時間は45分で大問が4題,小問数が20、90点満点で平均点が46.4点、ここ数年で最も難度の高い入試であった。大問1の計算問題や各大問の中に複雑な計算を必要と設問が含まれているので、45分というテスト時間はかなり短く感じるであろう。大問1の中の文章題など、比較的処理をしやすい問題は素早く処理をした上で、複雑な計算ではミスをすることなく落ち着いて取り組むという姿勢も求められる。過去問など時間を意識した演習も十分に行おう。
【大問1】計算問題・小問集合
- 難度:やや難
- 時間配分:18分
- ★必答問題
(1)やや複雑な小数・整数・分数の混合計算。
(2)小数・分数混合の を求める計算。
(3)工夫(25×24-24×23=24×2 等)を必要とする計算。工夫なしに強引に計算することは避けたい。
(4)立体図形 立方体に書かれた文字を展開図に描く問題。
(5)売買損益算1日目は1個あたり600円の利益、2日目は1個あたり340円の利益、3日目は1個あたり200円の利益2日目と3日目合わせ70個売れ、21000円の利益。ここでつるかめ算を利用すればよい。
(6)立体図形 立方体Aは1つの面の面積が1㎠で、底面を除く5つの面4個分の面積が20㎠。立方体Bは1つの面の面積が2㎠で4つの面5個分の面積が40㎠。合わせて水につかっている部分の面積は60㎠。
(7)比の文章題 算数について、5日目までは1日あたりに解いた問題数:それ以降に1日あたりに解いた問題数=1/10:1/18=⑨:⑤ ④=4問なので⑨=9問。⑤=5問。
同様に考えると、国語については5日目までに1日あたり6問。それ以降は1日あたり5問。算数と国語を比べると、(9-6)×5より、算数の方が15問多い。
(8)平面図形 図2:2か所ある斜線部分の間にある白い部分を等積変換すると、半径3㎝中心角60度のおうぎ形になるので、斜線部分の面積の合計は中心角120度のおうぎ形になる。図3:斜線部分の面積は、中心角60度半径3㎝のおうぎ形+底辺1.5㎝高さ3㎝の三角形-底辺1.5㎝高さ1.5㎝の三角形となる。中心と斜線部分の各点を結ぶ補助線を引いて考えてみよう。
(9)通過算 長さ260m特急列車と長さ430mの貨物列車がすれ違うのに13.8秒かかったことから、秒速の和は(260+430)÷13.8より50m。特急列車と貨物列車が79秒で進む距離の和は、50×79より3950m。特急列車が61秒で進む距離と貨物列車が79秒で進む距離の差は170mなので、特急列車が140秒で進む距離は、3950-170より3780m。これより特急列車の秒速は3780÷140より27m、貨物列車の速さは23m。トンネルの長さは61×27-430より、1387m。
(1)~(3)は計算問題。例年やや複雑な計算問題や工夫が必要な計算問題が出題される。本校受験者はこのレベルの計算問題を想定し、十分な計算練習を積み重ねて欲しい。
(4)以降は小問集合。(7)~(9)はレベルが高く、(9)は難問。例年以上に小問集合で苦しんだ生徒が多いかと思われる。
【大問2】速さと比
- 難度:標準
- 時間配分:7分
- ★必答問題
(1)1回目に出会うまでに、姉は570m、妹は330m進んだので、570:330=19:11となる。
(2)(1)で求めた速さの比を用いて、300×19/30 より、190m
(3)1回目に出会ってから2回目に出会うまでに2人合わせて600m、姉は380m進む。以降も同様に、姉が380m進むごとに2人は出会うので、姉は10回目に出会うまでに初めから考えると、190+380×9より、3610m進む。3610÷600=6あまり10より、A地点から10m地点となる。
旅人算と比についての出題。状況図または進行グラフを描いて2人の動きを把握したうえで解き進めること。今年度入試全体を見ると、かなり素直で考えやすい一題。
【大問3】分数数列
- 難度:標準
- 時間配分:8分
(1)分母の84を素因数分解すると、2×2×3×7となる。これより分子に4の倍数があると、約分して2×2がなくなるので、分母が奇数になる。
(2)分子の和は、1+2+・・・・・+82+83=(1+83)×83÷2より3486となる。
(3)84の素因数分解の結果より、分子が2の倍数、3の倍数、7の倍数のときは約分でき、それ以外は約分できない。ベン図を描いて考えること。
(4)約分できない分数は1/84から83/84までの24個。(1/84+83/84)×24÷2より、12となる。
分数数列についての出題。テキストや問題集に同様の問題があるので、解いた経験があれば迷うことなく解き進めることができるであろう。(3)では3つの倍数についてのベン図になるので、丁寧に処理して欲しい。
【大問4】立体図形
- 難度:難
- 時間配分:12分
(1)EGの長さを底面の半径、高さが10㎝の円柱となる。EGの長さを求めることはできないが、EGは1辺10㎝の正方形の対角線なので、EG×EG÷2=10×10=100である。従って、200×3.14×10より、6280㎤。
(2)切断によってできる立体は、底面は三角形EFHで頂点がPの三角すい。10×10×1/2×6×1/3より、100㎤。
(3)切断面を描く基本は、①同じ面にある2点を結ぶ ②向かい合う面には平行線を引く。HとQは同じ面にあるので結び、その線と平行な線をPから引き、辺ABと交わった点がR。次に、HとPは同じ面にあるので結び、その線と平行な線をQから引き、辺BCと交わった点がSとなる。このとき、三角形APSと三角形GQHが相似に、三角形PEFと三角形CQRも相似になる。
(4)RSの延長線が辺DCの延長線と交わる点をX、辺DAと交わる点をYとすると、求めたい立体は、DHXYを頂点とする三角すいから、XCSQを頂点とする三角すいと、YAPRを頂点とする三角すいを切り取ったものになる。
立体図形に関する出題。(1)は回転体の求積問題で、「半径がわからなくても半径×半径がわかれば面積が求まる」という中学入試で頻繁に使う性質を利用するという内容。(2)以降は切断についての問題で、(2)は易問だが、(4)は難問。
攻略のポイント
テスト時間45分で90点満点,合格者平均点は46.4点で、近年で最も低くなっている。
大問1では3題の計算問題が複雑であり、ここを落ち着いて処理できるかが攻略の第1ポイント。
大問1の中の文章題等の小問集合は例年に比べてレベルが上がっている。特に後半の比の文章題・平面図形と比・通過算の3題は難問であった。
大問3題は速さと比・分数数列・立体図形の出題であった。速さ・数列・立体図形3題での大問構成が昨年と全く同じであったことは注目に値する。各大問ともに(1)(2)で正答できるかどうかで明暗が大きく分かれる。(3)以降はレベルが上がり、特に立体の切断問題にはかなりの難問が含まれている。
この3単元は来年以降の入試でも特に重点を置いて学習したい。本校算数入試の攻略ポイントとして、正確な計算力を身につけることがあげられる。大問1の計算問題だけでなく、各大問を処理する上でも複雑な数字設定が見受けられる。日々の計算練習をしっかり行うことが大切で、工夫をすることによってできるだけ複雑な計算を減らすことを心がけて欲しい。
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