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栄東中学校 入試対策

出題傾向・攻略のための学習法・推奨テキスト

2019年度「栄東中学校の社会」
攻略のための学習方法

スライド式学習

「栄東対策」としては当然、「地理」「歴史」「公民」全単元・全分野の「知識」を確実に定着させることが最優先となる。「基礎的事項」はもちろん、細部にわたる「深知り知識」や「背景の理解」も求められるので、テキストの「注」や「囲み説明」等のチェックも忘れずに。

完璧な「知識定着」が欠かせないのだが、悲しいことに人は忘れるもの。時が経てば経つほど忘れる。ここに落とし穴がある。
基本的に「暗記」が最重要となる「社会」では、各単元をいつ学習し定着させたのか、その時期が問題となる。塾では通常、本格的な受験勉強が始まる5年になってから、「地理」⇒「歴史」⇒「公民」と単元消化していき、6年の夏休み前には終える。その後は「復習」となるが、メインは圧倒的に定着すべき事項の多い「歴史」にならざるを得ない。そのまま、秋から冬となり「過去問演習」と続いていく。6年で学習した「公民」はまだしも、「地理」はどうだろうか? 実質的に1年以上の空白が生じてしまう。それはまずい。「地理」での「深知り知識」が求められる栄東ではなおさらだ。

そこで、独自の「復習」が必要となる。塾での学習時期とはずらして(スライドさせて)、まだ時間的に若干の余裕がある5年の冬休みやその後の春休みを利用して徹底的に「地理」の「復習」をしておく。「重要事項チェック問題集」のようなものを活用するといい。さらに、その後も定期的に「地理」の理解を深めるような学習を密かに続けておくことで、ライバルに差をつけておきたい。

いもづる式学習

全単元・全分野に共通だが、「暗記事項」はそれぞれ単独で(要は単なる「一問一答方式」)定着させていても無意味だ。バラバラに覚えているだけでは、自分が覚えた通りに問われなければ結びつかないし、関連問題にも答えられない。ましてや、栄東定番の「複雑な選択肢設問」など絶対に無理だ。

そこで重要となるのが「いもづる式学習法」「点」で覚えているものを「線」で結び、さらには「面」をも理解するには不可欠の学習法だ。1つの「暗記事項」を確認する際、それに関連すると思われる「事項」を次から次へと思いつく限り引き出していく。単元も無視する。もし「言葉」としては覚えていても「内容」があいまいになっているものがあれば、すぐに確認しておく(ここでも「復習」できる)。また、それらは「線」で結びついているはずなので、どのように結びつくのかを確認していく。
その上で、それらが結びつく背景(=「面」)をも理解するようにする。

このようにして改めて暗記し定着させた「事項」はどのような問われ方をしても、「線」で結びつけて答えられることになる。無論、栄東で求められる「多角的思考」にも「いもづる式学習法」は力を発揮する。

手づくり式学習

特に「歴史」単元の「復習」で必要となる。
塾での「歴史」の学習は通常、「政治史」を軸とした「通史」として「時代別」「時代順」になっている。
しかし、栄東ではそんな単純な出題はない。特定の切り口での「分野史」が多いし、必ずしも「時代別」「時代順」ではなく様々な時間軸で出題される。

それらに対応するために必要なのが「手づくり年表」だ。「政治史」「社会経済史」「外交史」「文化史」「人物史」等の「分野史」別の「年表」を作成しながら復習する。その際、「原始」~「現代」という長い時間軸にする。当然、「重要事項」だけしか記入できないが、それでいい。「関連事項」を頭に思い浮かべるようにすれば、「いもづる式学習」にもなる。

さらに、その「年表」には「西暦」だけでなく、「世紀」と「日本の時代名」「中国の王朝名」も対応させて記入しておきたい。「西暦」と「世紀」や「時代」がすぐに結びつかないと答えられない問題が栄東には多いからだ。「年表づくり」を楽しみながらやってみよう。

細部へのこだわり式学習

「問題解説」でも指摘したが、「栄東対策」で欠かせないのが「細部へのこだわり」だ。
「多角的思考」をするに当たっての前提は無論、それぞれの「要素」をいかに正確に読み取るかということ。そこから「考えるヒント」を見つけ出す。そのためには「細部」にこだわって読み取ることが必要となる。当然、トレーニングが欠かせない。

過去問や練習問題等を用いて、各「要素」の細かな「意味」「資料の数字」や「関連事項」などを全て材料として、そこから何が導き出せるのかを確認する練習をしなくてはいけない。
導き出せることについては、過去問や問題集の「解説」に示されているはずなので活用する。

こうした「細部へのこだわり学習」を続けることで、次第に様々な「要素」から着目すべき「手がかり」が自然と浮かび上がるようになる。後は自分の「知識」とつなげて考えればいい。

意識継続式学習

どのような場合であっても、常に何かを「意識」しながら学習することが重要だ。漫然と机に向っていても無意味だ。その時々、何を目的としてどのような学習(たとえば、上記の「○○式学習」)をしているのか、具体的に「意識」し続けていることが大切。

そうして何かを「意識」することが継続できるようになったら、次は同時にいくつものことを「意識」しながら学習したい。
栄東の入試本番では40分という制限時間の中で、様々な「要素」を考え「条件」をクリアして答えなくてはならない。だからこそ、「設問形態」を正しく理解しているか? 「要素」は全て確認したか? 「細部へのこだわり」や「他の設問」との「関連」は大丈夫か? 「条件」を満たしているか? つまらないミスはないか? といったようなことを、問題を考え、解き、解答欄に答えを書き入れるいくつもの段階で常に「意識」しながら学習する必要がある。

入試では見直しの時間はないと思った方がいい。常にそれらの「意識」を継続しているということは、何度も「見直し」をしていることになるのだ。

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2019年度「栄東中学校の社会」の
攻略ポイント

特徴と時間配分

大問は「地理」。「5つの都道府県の特色と課題についてまとめたカード」からの出題。
小問は全12問(解答数15)、「選択肢」(「不適切」「組み合わせ」「整序」「複数完全解答」あり)、「事項記述」(「空所補充」あり、「漢字」「カタカナ」指定あり)、「自由説明記述」(1問)。

大問は「歴史」。「1世紀半ば~20世紀後半までの年表」からの出題。
小問は全14問(解答数14)、「選択肢」(「不適切」「組み合わせ」「年代(位置)整序」あり)、「事項記述」(「人名記述」、「漢字指定」あり)、「説明記述」(1問)。

大問は「公民」(1問のみ「時事」)。「2016~18年のさまざまな関心のあるできごとについての会話文」からの出題。
小問は全8問(解答数8)、「選択肢」(「空所補充」あり、「組み合わせ」「正誤判別」「複数完全解答」あり)、「事項記述」(漢字指定)。

時間配分は、「説明記述」2問で6分、他は1問をほぼ1分というペース。無論、メリハリのある「戦術」が求められる。

【大問1】「地理」(「自由説明記述」あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:16分
  • ★必答問題

「班ごとに日本の都道府県にニックネームをつけ、その特色と課題について発表した」という設定で、(A)「城下町県」、(B)「町おこし県」、(C)「農業さかん県」、(D)「( ⑦ )県」、(E)「開国県」という5枚のカードの説明文からの出題。

さまざまな「統計資料」から「地理」の「基本的知識」が問われているのだが、「組み合わせ選択肢設問」が多く「不適切」もあり、中には悩ましいものもある。また、受験生自身が「具体例」を考察する新機軸の「自由記述」が、昨年度に引き続き出題された。そうした「設問」を中心に確認してみる。

[問2] 「下線部についての統計資料読み取り組み合わせ選択肢設問」(6択)。

カード(B)「町おこし県」の説明の下線部②「過疎化」について、示されている「全国に占める過疎地域の割合」で、「市町村数」「人口」「面積」のいずれかを表した(あ)~(う)の「円グラフ」それぞれの「組み合わせ」として「正しいもの」を答える。

3つの「グラフ」の「数字」は、(あ)=「59.7%」・(い)=「47.6%」・(う)=「8.6%」となっている。
「過疎地域」なのだから当然、最小の(う)が「人口の割合」だと即決できるはず。この段階で、「組み合わせ」の選択肢は(イ)(オ)に絞り込める。
そして、「過疎地域」の多くは地方の農山村なので、それぞれの「市町村」の「面積」は大きいはず。
したがって、(あ)=「面積」となっている(オ)が「答え」だと判別できる。

「組み合わせ選択肢設問」では、ひとつの「手がかり」で一気に「選択肢」を絞り込んでおくことが肝要。

<時間配分目安:1分弱>

[問4] 「下線部についての自由説明記述設問」(「字数指定」なし、「50字ほど」の解答欄)。

カード(B)「町おこし県」の説明の下線部④「観光資源が少ない地域で、どのような取り組みをしていくか」について、「過疎化がすすむ地域の活性化をはかるためには、観光資源の活用以外にどのような方法が考えられるか」を説明する。

さて、どう考えるか? 当然、「手がかり」は「問題文」や下線部以外の「説明」にあるはずだ。
「活性化をはかる」必要があるということは現在、「活性」していないわけで、その原因は「過疎化」=「人口減少」ということは誰にも分かる。であれば、「人口増加」がその解決策になる。
では、どうやって「増加」させるか? 「過疎化」≒「高齢化」でもあるので、「自然増加」は期待できない。したがって、「転入者」を増やすしかない。そのためには……、という具合に筋道を立てて考えていくことが重要だ。

その際に必要なのは「逆転の発想」だ。
「人口が少ない」という「欠点」は、「静かな環境」があるという「長所」でもある。そうした環境を求めている人もいるはずだし、今はインターネットさえつながれば仕事ができる人たちもいるので、そうした人たちに向けて「魅力的な職場」として紹介したり、「高齢者」が多いということはそれだけ「知恵」があることでもあるので、その「知恵」を活用しての新たな「特産品」のアイデアをSNSで募集して商品化したり……等々の「観光資源の活用」以外の「取り組み」を思いつきたい。

尚、こうした新傾向の問題は来年度以降も当然、出題が予想される。本校志望者は本格的にこうした問題に対する準備が必要になったと心得よ。

<時間配分目安:3分>

[問10] 「カードについての統計資料読み取り位置整序選択肢設問」(全2問/4択)。

示されている(ア)~(エ)の「雨温図」は、カード(A)~(D)の都道府県の都道府県所在地のいずれかにあてはまるが、その都市を「西から順に並べかえた」とき、「2番目」と「4番目」になるものをそれぞれ答える。

先ずは、(A)(D)の都道府県所在地を「カード」の「キーワード」から特定する。
(A)「徳川家康が城を築く」「企業城下町」⇒「企業城下町」といえば「豊田市」で、「家康」が江戸時代初期に天下普請によって「名古屋城」を築いている⇒愛知県=名古屋市。
(B)「人口が日本で最も少ない」⇒これだけで鳥取県だと分からなくてはいけない=鳥取市。
(C)「稲作や畑作、酪農がさかん」「かつては泥炭地」「寒さに強い作物を栽培」⇒無論、北海道=札幌市。
(D)「阿蘇山」「いぐさ」⇒即決、熊本県=熊本市。

次に、「雨温図」との組み合わせだ。
「冬の気温がマイナス」の(ウ)=札幌市、
「冬に雨量が多い」(エ)=日本海側の鳥取市、
「6、7月に極端に雨量が多い」(イ)=熊本市、
残りの(ア)=名古屋市だと判別できる。
そして、それぞれの「位置」は「西から順」に、(イ)(エ)(ア)(ウ)となる。
したがって、「答え」は、「2番目」=(エ)・「4番目」=(ウ)だ。

尚、本校に限らず「雨温図」は頻出なので、「気候区分」に応じた特徴をしっかりと理解し、定着させておくこと。

<時間配分目安:全問で2分強>

[問11] 「カードについての統計資料読み取り選択肢設問」(全2問/5択)。

示されている「表」の(ア)(オ)は、カード(A)(E)いずれかの都道府県の、「産業別就業者割合」「農業産出額」「製造品出荷額」を表しているが、その中で(D)(E)にあてはまるものをそれぞれ答える。

[問10]で特定できていない(E)の都道府県を確認したい。
「1854年にアメリカと和親条約が結ばれた都市がある」⇒もちろん、「日米和親条約」が締結されたのは「横浜市」⇒神奈川県だ。
続いて「表」を読み解いていく。「農業産出額」がけた違いでトップの(ウ)=北海道、「製造品出荷額」が1位の(エ)=愛知県、「製造品出荷額」2位の(オ)=神奈川県までは即決できるはず。残りでは、「農業産出額」「製造品出荷額」ともに(イ)をはるかに上回っている(ア)=熊本県、(イ)=鳥取県だと特定する。よって、「答え」は、(D)(ア)/(E)(オ)となる。

「統計資料読み取り」では、「特徴的な項目」に着目して判別していくことが肝要だ。

<時間配分目安:全問で1分半>

【大問2】「歴史」(「年代(位置)整序」「説明記述」あり)

  • 難度:やや難
  • 時間配分:16分

示されている「西暦57年~1978年までの年表(14項目)」から出題。

「歴史」のさまざまな分野からの小問が並んでいる。「不適切」や「組み合わせ」の「選択肢設問」、「人名記述」、「説明記述」……、本校特有の目まぐるしい変化が連続する。よほど注意しないと混乱してしまう。
特に本年度は「整序問題」が厄介。4つもの「年代整序」に加えて「位置整序」まであるという念の入れようだ。しかも、難易度もまちまちで、まさに本校の真骨頂発揮。
「事実関係」「背景」「人物」「年代」など、細部まで十分に配慮することが肝要。以下、いくつか検討してみよう。

[問2] 「年表についての年代整序選択肢設問」(全2問/5択/複数完全解答)。

年表中の(B)「『[5世紀]倭の五王が宋に使いを送る』⇔『[723年]三世一身の法』」の期間におこった「できごと」として示されている(ア)~(オ)を「古い順」に並べかえ、「2番目」と「4番目」を答える。

「年代整序」では、覚えているであろう「年代」で無理やり「整序」しようとすると、「数字」を取り違えて誤ってしまう可能性があるので、必ず「できごと」の「背景」や「人物」などの「流れ」で整理してつないでいくこと。
順序を確認する。
「6世紀のできごと」として覚えていなくてはいけない選択肢(エ)「公に百済から仏教伝来」(538年。一説に552年)→
「聖徳太子」と結びつく(ア)「小野妹子が隋に派遣」→
「中大兄皇子」とつながる(オ)「白村江の戦い」→
「天智天皇」と結びつく(イ)「壬申の乱」→
「701年」と定着しているはずの(ウ)「大宝律令」という「流れ」だ。

したがって、「答え」は「2番目」=(ア)、「4番目」=(イ)となる。

本問では主に「人物」で「流れ」をつないでいった。

<時間配分目安:1分>

[問3] 「年表に関連する人名記述設問」(漢字指定)。

年表中の(C)「[1074年]藤原頼通が亡くなる」に関連して、「頼通の関白辞任後、藤原氏の娘の子どもではない天皇が自ら政治を行ったため、摂関政治が衰退していった」が、「その天皇の名前」を「漢字」で答える。

即答できるか? この問題は本校の「標準レベル」のひとつの指標になる。
「摂関政治」を「藤原氏」の側からだけ押さえていたのでは、太刀打ちできない難問だ。

「答え」は「後三条(天皇)」。
「清和天皇」の時に始まった「摂関政治」は、「一条」「三条」「後一条」の天皇の時代に全盛を迎え、その後「後三条天皇」の即位で終わりを告げたということは理解しておきたい。

本校ではどこまでの「深知り知識」が求められているかを、しっかりと認識することが肝要。

<時間配分目安:1分弱>

[問6] 「年表についての年代整序選択肢設問」(全2問/5択/複数完全解答)。

年表中の(F)「『[1543年]ポルトガル人が鉄砲を伝える』⇔『[1639年]ポルトガル船の来航が禁止される』」の期間におこった「できごと」として示されている(ア)~(オ)を「古い順」に並べかえ、「2番目」と「4番目」を答える。

順序を確認する。「安土桃山時代」⇒「江戸時代」の「できごと」だとすぐに分かる。
「江戸時代」の方が容易なので、先に確定したい。「鎖国への流れ」だ。
選択肢(オ)「スペイン船来航禁止」(1624年)→(ア)「島原・天草一揆」(1637年)→「ポルトガル船来航禁止」(1639年)とつながっている⇒「スペイン船」と「ポルトガル船」を逆にしないこと。
残りの「安土桃山時代」では、(イ)「室町幕府滅亡」(1573年)→(エ)「長篠の戦い」(1575年)→(ウ)「文禄の役」(1592~93年)という「流れ」⇒「長篠の戦い」と同じく「織田信長」と結びつく「桶狭間の戦い」(1560年)は「室町幕府滅亡」の前なので、混同しないこと。

結果として順序は、(イ)(エ)(ウ)(オ)(ア)ということだ。
よって、「答え」は「2番目」=(エ)、「4番目」=(オ)だ。

ここでは、混同しやすい「同種のできごと」の正確な「整序」が求められていた。十分に注意する必要がある。

<時間配分目安:1分>

[問8] 「年表についての位置整序選択肢設問」(全2問/4択/複数完全解答)。

年表中の(H)「『[1772年]田沼意次が老中就任』⇔『[1863年]薩英戦争』」について、示されている(ア)~(エ)の「できごと」が「おこった場所」を「東から順」に並べかえ、「2番目」と「4番目」を答える。

「年代整序」に紛れて突然現れた「位置整序」、先ずはその点に注意しなくてはいけない。
それぞれの「できごと」から「場所」を特定していきたい。

選択肢(ア)「レザノフ来航」⇒江戸時代後期の「外国船来航」のひとつで、「根室」への「ラクスマン来航」(1792年)に引き続いてのロシア船で、「長崎」にやって来たことは知っているはずだ(1804年)。
(イ)「ペリー来航」⇒無論、「浦賀」だ(1853年)。
(ウ)「大塩の乱」⇒「大坂町奉行」の元与力「大塩平八郎」が起こしたのは常識(1837年)。
(エ)「ラクスマン来航」⇒前述のとおり「根室」。
ということで、それぞれの「場所」は「東から順」に、(エ)(イ)(ウ)(ア)になる。
なので、「答え」は「2番目」=(イ)、「4番目」=(ア)

「年代」と「位置」とを間違えなければ容易いのだが、入試本番で焦っていると取り違えもあり得る。十分に留意したい。「冷静さ」が求められるということだ。

<時間配分目安:1分以内>

[問12] 「年表についての選択肢設問」(4択)。

年表中の(L)「[1914年]第一次世界大戦が始まる」について、「第一次世界大戦前後のできごと」として「正しいもの」を答える。

各選択肢の「キーワード」で正誤判別する。
(ア)「ドイツが支配していた中国の遼東半島を日本が占領」⇒日本が攻撃したのは「山東半島」の「青島」にあったドイツ軍の拠点だ。ちなみに、「遼東半島」は朝鮮半島の付け根にあり、日清戦争後の下関条約に対する「三国干渉」で返還を要求されたところ=不適切。
(イ)「中国」「三・一運動」⇒中国での「抗日運動」は「五・四運動」、その前に朝鮮で起きたのが「三・一独立運動」=不適切。
(ウ)「大戦後も1920年代まで好景気」⇒「大戦景気」は「第一次世界大戦」が終わった1918年までだ=不適切。
(エ)「ロシア革命」「シベリア出兵」⇒1918年から日英米などがシベリアへ出兵した=適切。
したがって、「答え」は(エ)

「山東半島」と「遼東半島」、「三・一運動」と「五・四運動」など、紛らわしい「歴史的事項」は絶対に混同せぬこと。

<時間配分目安:30秒>

[問14] 「年表についての条件付き目的説明記述設問」(「字数指定」なし、「50字ほど」の解答欄)。

年表中の「倭の五王が宋に使いを送る」について、「その目的」を説明する。「条件」は「当時対抗していた国の名前をあげながら説明する」こと。

「目的」自体はすぐに思い浮かぶだろうが、「条件」があるのでなかなか厄介な難問になっている。
当時日本は朝鮮半島南部を支配していたが、それを脅(おびや)かしつつあった「ある国」に対抗するため、宋に朝貢し日本の立場と支配権を認めてもらおうとしたのだ。その「ある国」とは? 5世紀頃の朝鮮半島の勢力図、定着しているだろうか? そう「高句麗」だ。
したがって、たとえば、「朝鮮半島南部の支配について対立していた高句麗に対抗するため中国に日本の支配権を認めてもらうという目的。」(51字)といった「答え」だ。

「歴史的事項」に関して多角的に理解していないと解けない問題もあるということだ。やはり、本校は一筋縄ではいかない。

<時間配分目安:3分>

【大問3】「公民」(「時事」1問あり)

  • 難度:標準
  • 時間配分:8分

「ここ1~2年(2016~18年)のさまざまなできごとについての先生と生徒の会話文」からの出題。

「衆議院議員選挙」(2017年10月)、「東京都議会議員選挙」(2017年7月)、「天皇の生前退位決定」(2017年6月)、「トランプ大統領就任」(2017年1月)などといった「時事ネタ」について「会話」が交わされているが、それらの直接的出題はない(「時事問題」は人口統計に関する1問のみ)。
基本的には「公民」の基礎的知識を問うものばかりなので、一気呵成に得点を重ねたいところだが、「正誤判別」や「複数完全解答」でやや悩ましい問題がある。
以下、いくつか検証する。

[問2] 「下線部に関する正誤判別組み合わせ選択肢設問」(8択)。

「会話文中」の下線部②「知事」に関して、「地方自治体の首長」の説明として示されている(A)~(C)について、「正しければ『○』」、「あやまっていれば『×』」とした場合の「組み合わせ」として、「正しいもの」を答える。

それぞれの説明を「正誤判別」する。
(A)「首長は、条例案を議会に提出できない」⇒「条例案」を提出できるのは「首長」か「議員」=不適切。
(B)「首長は、議会に対して拒否権をもっているが、議会は出席議員の3分の2以上の賛成で再可決できる」⇒これはやや難問か? 「深知り知識」が求められている=適切。
(C)「首長は、直接請求権によって解職されることがあるが、議会から不信任決議を受けることはない」⇒「首長」に対しての「リコール」は知ってのとおり、そして無論、「不信任決議」もあり得る=不適切。
よって、(A)(C)「☓」で、(B)「○」となっている(カ)が「答え」だ。

尚、「地方自治における直接請求権」は頻出なので、正確に理解しておきたい。

<時間配分目安:1分弱>

[問5] 「下線部に関する選択肢設問」(6択/複数完全解答)。

「会話文中」の下線部⑤「人権問題」に関して、「人権」の説明として示されている(ア)~(カ)で、「正しいもの」を「2つ」答える。

各説明の「キーワード」で正誤判別していく。
(ア)「男女共同参画社会基本法の後、男女雇用機会均等法が制定」⇒順序が逆だとすぐに気づかなくてはいけない=不適切⇒「女子差別撤廃条約」(1979年)→「男女雇用機会均等法」(1985年)→「男女共同参画社会基本法」(1999年)という「流れ」は押さえておくこと。
(イ)「国連総会で子どもの権利条約を採択」「18歳未満の子どもの権利を保障」⇒「1989年」に採択されていることは知っているはず=適切。
(ウ)「日本の国際連合加盟後、世界人権宣言を採択」⇒これも逆だと分かる=不適切⇒前者は「1956年」、後者は「1948年」だ。
(エ)「日本国憲法には新しい人権は定められていない」⇒当然、「日本国憲法」に規定されていないから「新しい人権」と呼ばれている=適切。
(オ)「労働三権は経済の自由」⇒無論、「団結権」「団体交渉権」「団体行動権」は「社会権」=不適切⇒「経済の自由」は「職業選択の自由」や「財産権」など。
(カ)「基本的人権は永久不可侵」「いかなる場合も制限を受けない」⇒前者はいいが、後者については「公共の福祉」に反する場合は制限される=不適切。
したがって、「答え」は(イ)(エ)

各説明の細部まで見落としがないようにすること。

<時間配分目安:1分>

[問6] 「下線部に関する選択肢設問」(4択)。

「会話文中」の下線部⑥の「紛争」に関する説明として示されている(ア)~(エ)で、「正しいもの」を答える。

各説明の「キーワード」で正誤判別する。
(ア)「湾岸戦争で、イラクを国連軍が攻撃」⇒1991年の「湾岸戦争」ではアメリカを中心とする「多国籍軍」がイラクを攻撃した=不適切⇒常設ではない「国連軍」が編成されたのは「朝鮮戦争」のみ(ただし、正式な「国連軍」ではないという考え方もある)。
(イ)「難民支援のため、NGOの1つであるUNESCOが活動」⇒無論、「難民支援」は「UNHCR」(国連難民高等弁務官事務所)、「UNESCO」は「国連教育科学文化機関」ということは知っていて当然=不適切⇒尚、両機関ともに「国連機関」であって「NGO」(非政府機関)ではない。
(ウ)「イスラエル建国で、周辺のアラブ諸国との間で戦争」⇒1948年の「第一次中東戦争」は誰でも知っているはず=適切⇒「中東戦争」は、1973年の「第四次」まである。
(エ)「ヒンドゥー教徒の多いインドと、仏教徒の多いパキスタンがカシミール地方の帰属をめぐって対立」⇒確かに「カシミール地方」をめぐって「印パ戦争」(1947年以降、三次に及ぶ)が起きているが、パキスタンでは「仏教徒」ではなく「イスラム教徒」が大半を占める=不適切。
よって、「答え」は(ウ)だ。

「国際紛争」に関しては、起きた地域も「世界地図」で確認しておくこと。

<時間配分目安:30秒>

攻略のポイント

本校の最大のネックは、あらゆる「設問形式」が複雑に混在していて解答数も多いので、頭が混乱し「自滅」する恐れがあるということだ。
「適切」と「不適切」、「単数」と「複数」といった「選択肢問題」や、「年代」「位置」などの「整序問題」、様々な「条件」のある「説明記述問題」等が次々に出題されてくる。
「設問形式」を正確に理解し判断することが最高の「攻略法」。それさえできれば、問題自体はさほど難しくない。
現に、過去5年間の「受験者平均得点率」は「60.0%」(本年度はやや下がって55.7%)。「受験者」の中で「自滅」せずに得点を重ねた者が、本校の合格者になると心得よ。

「複数選択肢問題」や「完全解答問題」でさらに求められるのは、「細部へのこだわり」と「知らない問題」への「対処法」。前者はいかに「細部」から「正誤判別」ができるかであり、後者はいかに「知っていること」に結びつけられるかということだ。「深知り知識」が定着していなくても、必ずどこかに「手がかり」「ヒント」が隠されていると考えること。
「リード文」「設問文」や「設問条件」、「設問どうしの関連」等々と「自らの知識」を多角的に結びつけて考察することで絶対に解くことができるのだ。従って、「多角的思考」ができるよう、十分に訓練しておきたい。

「地理」では「地図」「地形図」「統計資料」等、「歴史」では「年表」「歴史史料(「図版」含む)」等がよく出題されるので、確実に覚え、繰り返し確認しておくこと。もちろん、「統計資料」は必ず最新版を使いたい。テキストとしては「日本のすがた」(矢野恒太記念会編集)が分かりやすくてオススメだ。

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